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【増税前に】法人税の節税対策13選|経費計上・決算で使える方法を解説

【増税前に】法人税の節税対策13選|経費計上・決算で使える方法を解説

2026年4月1日から、防衛力強化の財源確保を目的として「防衛特別法人税」が導入されます。
新たな増税を見据え、今後より一層重要になってくるのが法人税の節税対策です。

この記事では、今からでも取り組むべき基本ルールに則った経費計上や、決算時における節税方法を解説します。
不動産活用や不動産投資による方法もあわせて13通りの方法を解説するので、有効な節税対策を検討したい方は、ぜひ参考にしてください。

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法人税の節税対策がより一層必要になってくる理由

企業経営において、法人税の負担は避けられない重要な懸念事項の1つです。
特に増税となると、ほとんどの企業にとって影響が大きくなりかねません。

このような中、防衛費増額の財源を確保するために、「防衛特別法人税」が2026年4月1日以降の事業年度から導入されます。
法人税額に一定割合が上乗せされる仕組みとなっており、企業にとってはこれまで以上に税負担が増えるため、今から適切な節税対策が必要です。

節税対策と聞くと、姑息でネガティブなイメージを持つ方もいるでしょう。
しかし、適切な方法で法人税を抑えることは、企業経営において不可欠な戦略の1つです。

増税前にしっかり対策を立てて、自社の利益を守りましょう。
防衛特別法人税について、具体的な税率や、影響を受ける企業など詳しい情報を知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

【関連記事】【計算例付き】防衛特別法人税とは?課税対象や企業に与える影響を解説

 

法人税の節税対策で押さえたい基本ルール

法人税の節税対策は単なる経費の浪費ではなく、会社の利益を守りつつ将来的な成長につなげることが重要です。
そのために押さえておきたいルールは、以下の3つです。

  1. 企業を守り・維持するための守備的対策
  2. 企業の将来に役立つ投資的対策
  3. ルール活用による対策

節税の第一歩は、無駄な支出の削減による財務の健全化です。
具体的には、不良資産の処分やコスト見直しにより不必要な支出を削り、節税と財務の安定を両立させます。

節税とともに、将来の利益につながる投資も必要です。
従業員の賃金引き上げや設備投資などを通して、事業を成長させながら税制優遇措置を活用できます。

また、税法には中小企業向けの特例措置や、減価償却費(※)など優遇措置があります。
※法定耐用年数に沿って費用分配すること

上記のようなルールに沿って企業の財務体質を強化し、将来的な成長につなげていきましょう。

 

法人税の節税対策【経費計上編】

法人税の節税対策として、経費を適切に計上することは基本中の基本です。
経費として認められる支出を、ルールに則って計上することで課税所得を減らし、結果的に法人税を抑えられます。
ここでは損金として計上し、節税を図る方法を7つ紹介します。

  1. 役員報酬を増やす
  2. 経営者の旅費日当を支給する
  3. 接待交際費を支給する
  4. 不良在庫を処分する
  5. 福利厚生を充実させる
  6. 経営者の自家用車を社用車に転用する
  7. 中小企業倒産防止共済制度に加入する

順に見ていきましょう。

 

節税対策①:役員報酬を増やす

役員報酬を適正な範囲内で増額すれば、法人の課税所得を圧縮し、節税効果が得られます。

メリット 注意点
定期同額給与(※)など一定の要件を満たせば、経費として課税対象額から差し引ける損金計上ができる ・役員報酬は事業年度開始後3か月以内に決定し、原則1年間は固定する
・金額の決定や報酬額を変更する際は、株主総会で決める必要がある

※月々の支給額が変動せず、毎月同額で支払われる役員報酬

役員報酬を増やせば法人税の節税になりますが、役員個人の所得税が増える点も考慮し、トータルで最適なバランス を取ることが求められます。

 

節税対策②:経営者の旅費日当を支給する

役員や従業員が、出張する際に支給する「旅費日当」も、法人税の節税に活用できる手法の1つです。
出張時の宿泊費や交通費に加え、旅費日当を支給すれば、その分法人の課税所得を減らせます。

メリット 注意点
法人にとっては経費として計上でき、受け取る個人にとっても所得税がかからない 支給額が過度に高い場合は、税務調査で否認される可能性もあるため、適正な金額設定をする

個人事業主の場合、従業員の旅費日当は経費計上できますが、事業主自体はできない点に注意しましょう。

 

節税対策③:接待交際費を支給する

取引先との関係強化などのために必要な接待交際費も、一定の範囲内であれば法人税の節税に活用できます。

メリット 注意点
・資本金1億円以下の中小企業では、年間800万円までの接待交際費が損金として認められる
・資本金が1億円を超える大企業は、接待飲食費の50%を上限として経費計上できる
・資本金が100億円を超える大企業は、接待交際費は経費として認められない
・個人的な支出と混同しないよう、領収書を保管し、経理処理を適切に行う
・接待の目的や参加者の氏名を記録する

交際費が多い企業は、福利厚生費や会議費など別の項目にできる経費は、交際費以外で計上する工夫も必要です。
不明な点は、税理士や会計士に相談しましょう。

 

節税対策④:不良在庫を処分する

売れ残った商品や、使用しない備品などの不良在庫を処分することも、法人税の節税につながります。
企業が保有する在庫は資産として計上されますが、長期間売れ残った不良在庫を適切に処分すれば、その分損金として計上でき、法人の課税所得を減らせます。

メリット 注意点
廃棄した場合には除却損(廃棄損)、減価より安く売却すれば売却損を経費として計上できる ・不良在庫を廃棄する際には、廃棄の事実を証明する書類が必要となる
・値下げ販売をする場合は、企業やブランドイメージダウンにつながるため頻繁には行わない

なお、主な処分方法は以下の3つです。

  • 廃棄
  • 値下げ販売
  • 寄付 など

特に、認定NPO法人などに寄付をすると法人税の優遇措置を受けられるケースもあるため、節税対策として有効です。

 

節税対策⑤:福利厚生を充実させる

従業員の満足度を高めつつ、法人税を抑える方法として「福利厚生の充実」も効果的です。
主な福利厚生としては、以下の通りです。

  • 社宅の提供
  • 健康診断の実施
  • 社員旅行の費用負担 など
メリット 注意点
・企業としての社会的信頼性が増す
・社員の業務の生産性が上がる
・採用力の向上につながる
・従業員に社宅を貸与する際は、家賃の50%以上を入居者が負担する必要がある
・健康診断の場合、全従業員を対象にすることや、かかる費用は企業が医療機関に直接払うことなどが条件となる
・社員旅行については、全従業員の50%以上が参加し、1人当たりの費用が10万円以下でないと福利厚生費として損金算入できない

福利厚生の充実は従業員のモチベーションや定着率の向上にもつながり、節税と企業の成長の両方を実現できる点も魅力です。

 

節税対策⑥:経営者の自家用車を社用車に転用する

経営者が所有する自家用車を社用車として転用すると、減価償却費(※)の相当額を取得した金額から差し引いた額を経費計上できます。
※購入した資産を法定耐用年数に沿って費用分配すること

メリット 注意点
車両のリース代・ガソリン代・駐車場代・車検費用なども経費計上できる ・社用車をプライベートで使う場合には、社用車の利用規定を作成する
・一定の利用料を企業に支払うなどのルールを決めておき、業務利用との区別を明確にする

車の修理代や洗車代も経費計上が可能となるので、社用車への転用は積極的に進めましょう。

 

節税対策⑦:中小企業倒産防止共済制度に加入する

中小企業向けの節税制度として、「中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)」を活用する方法もあります。
中小企業倒産防止共済制度とは、取引先の倒産による連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。
支払った掛金は全額損金算入できるため、節税対策としても有効です。

メリット 注意点
万が一、取引先が倒産して売掛金の回収が困難になった場合は、速やかに融資が受けられる 解約時には戻ってくる掛金の一部に課税される

掛金は月額5,000円〜20万円の範囲で設定でき、最大800万円まで積み立てできます。
掛金の10倍(最高8,000万円)までの貸付を受けられるため、リスクヘッジにもなります。

 

法人税の節税対策【決算編】

法人税の節税対策は、決算前の準備が重要です。
適切な経費計上や税制の活用により、有効な節税対策が可能になります。
決算時に実施できる具体的な節税対策は下記の3点です。

  1. 未払金・買掛金の計上漏れを防ぐ
  2. 貸倒処理を行う
  3. 繰越欠損金を利用する

順に説明します。

 

節税対策①:未払金・買掛金の計上漏れを防ぐ

決算時に「未払金」や「買掛金」の計上漏れがあると、本来発生している費用が反映されず、結果として利益が膨らんでしまいます。
利益が増えると法人税の負担が増えるため、発生主義の原則に基づき、適切に未払金・買掛金を計上しましょう。

なお、未払金とは下表のように商品やサービスを購入したものの、決算日までに支払いが完了していない費用を指します。

費用の例
決算月に支払いが間に合わなかった費用 外注費や修繕費など
年払いや当月分が翌月払いとなっている費用 保険料や機材のリース料、広告宣伝費など

また、買掛金は、商品や材料を仕入れたり、物品などを購入したりしたものの、決算日までに支払いが完了していない場合に発生する費用です。
未払い金と同様に、買掛金の計上漏れを防ぐことで正確な利益計算ができ、法人税を適正に抑えられます。

 

節税対策②:貸倒処理を行う

売掛金や貸付金の回収が困難となった場合、「貸倒損失」として計上することで、課税所得を減らし、法人税の負担を軽減できます。
ただし、貸倒損失として認められるためには、対象となる取引先が、下記のいずれかを満たしていることが条件です。

  • 破産・民事再生などの法的倒産
  • 事実上の倒産
  • 一定期間経過後の回収不能

取引先が倒産し、法的手続きが進んでいる場合や、事業継続の可能性がないと判断される場合には、貸倒損失として計上できます。
また、最後の弁済期から1年以上が経過し、かつ催促しても回収見込みがない場合も同様です。

これらの条件を満たせば貸倒処理を行い、売掛金の金額を損金として計上することで節税対策につながります。

 

節税対策③:繰越欠損金を利用する

繰越欠損金とは、赤字が発生した際に、その損失を翌年以降の黒字と相殺できる制度のことです。
適用条件を満たせば、最大10年間繰越すことが可能であり、将来の法人税負担を軽減する重要な節税手段になります。
繰越欠損金の主な活用ポイントは、以下の3つです。

  1. 翌年以降の黒字と相殺
  2. 中小企業は100%控除が可能
  3. 青色申告が必須

例えば、2024年度が500万円の赤字で、2025年度に600万円の黒字が出た場合、繰越欠損金の適用で、2025年の課税所得を差額の100万円に抑えられます。
また、資本金1億円以下の中小企業は翌年以降の黒字に対し、最大100%まで欠損金と相殺が可能です。
ただし、白色申告では繰り越しが認められないため、事前に青色申告の承認を受けておきましょう。

 

法人税の節税対策【不動産活用編】

法人税の節税対策には、不動産を活用した方法も有効です。
ここでは、以下に挙げる2つのパターンに分けて、不動産を活用した節税対策を紹介します。

  1. 基本的な節税対策
  2. 物件売却時の節税対策

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基本的な節税対策

不動産を活用した基本的な節税対策は、下記の通りです。

  • 経営者や従業員の自宅を社宅扱いにする
  • 不動産投資を始める
  • 建物の購入は借入金で対応する
  • 資産計上を細分化する
  • 売却損は繰越控除を適用する

経営者や従業員の自宅を社宅扱いにし、家賃の一部を会社負担にすることで、法人税の圧縮につながります。
また、不動産投資は減価償却費を活用できるため、税負担の軽減が可能になります。
建物を購入する場合には利息が経費計上できるため、借入金で対応しましょう。

さらに、購入した不動産や工事・修繕をした際は資産計上を細分化することで償却期間を短縮し、早期の費用計上が可能になります。
売却損は、繰越控除を適用すれば、将来の利益と相殺できるため節税につながります。

不動産活用による節税方法をより詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

【関連記事】【不動産特化】法人の節税対策5選!法人化すべき人の特徴や相談先も解説

 

物件売却時の節税対策

不動産売却の際の節税対策は、以下の通りです。

  • 減価償却可能な物件を新たに購入する
  • 不動産売却益を分散させる
  • 自社の事業へ再投資する
  • 特例を有効活用する

減価償却ができる新たな物件を購入すれば、売却益と相殺できるため節税対策になります。
不動産売却で得た利益を分散させて、税率を下げる方法も有効です。
適正に経費を使うなどして、法人全体の利益を圧縮すれば、結果として節税になります。

また、売却時に得た利益を、自社へ再投資する方法もあります。
例えば、中小企業が自社の事業に必要な設備投資をすれば、特別控除により成長と節税の両立が可能です。

さらに、法人の土地売却にも、有効に活用できるさまざまな特例があります。
譲渡所得から控除できる特例や、併用可能な特例もあるため、適用条件を確認し最適な方法を選択しましょう。

不動産売却時の税金の種類や、節税対策についてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

【関連記事】【法人向け】不動産を売却したときにかかる税金とは?計算方法や節税対策も

 

不動産投資も法人税の節税対策に有効

不動産投資は土地や建物の購入費用を経費として計上できるため、法人税の節税対策に有効です。
建物部分にかかった購入費用は、法定耐用年数に沿って複数年にわたって経費計上が可能です。
また、以下のように不動産運用に関わるさまざま費用が経費として認められます。

  • 火災保険料などの保険料
  • 固定資産税などの租税公課
  • 管理会社への業務委託料
  • 減価償却費
  • 修繕費
  • ローン金利
  • 司法書士への報酬 など

法人として、社会貢献しながら不動産投資を進めたい場合は、「サービス付き高齢者向け住宅:ゴールドエイジ」をご覧ください。
他にも、土地・建物がセットになった新しい不動産投資「賃貸マンションアパート(一棟買い):トチプラス」や、マンション経営のトータルサポート「分譲型マンション・アパート投資 :エステシア」は、要チェックです。
不動産投資についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてチェックしましょう。

【関連記事】不動産投資とは?種類やメリット・初期費用の目安などをご紹介

 

まとめ:法人税の節税対策はできるものから早急に始めよう

法人税の節税対策は、早く始めるほど効果が高まります。
不動産の活用や投資も、有効な節税対策の1つです。
来るべき増税に備え、できるものから早急に始め、安定した経営基盤を目指しましょう。

なお、効率の良い不動産投資や、効果的な節税ノウハウを詳しく知りたい方は、100億円資産形成倶楽部のページをご覧ください。
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【関連記事】不動産の譲渡所得税とは?計算方法や特例を解説!シミュレーション例も
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この記事の監修者

西尾 陽平
西尾 陽平
役職
土地活用事業部 執行役員
保有資格
資産形成シニアコンサルタント、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後同社へ入社し、地主さんの土地活用という資産形成や節税を実践で学び、現在は土地のない方へ、土地から紹介し不動産の資産形成の一助を行っている。実践の中で身に付いた視点で、分かりやすく皆様に不動産投資のあれこれをお伝えしています。