築古アパートのメリット・デメリットとは?築浅との違いや失敗しないコツも
築古(ちくふる)アパートとは、主に築30年以上を経過したアパートのことです。
格安で購入できたり、利便性の良好な物件を比較的簡単に手に入れられたりするため、不動産投資家から人気を集めています。
しかし、先入観だけで築古アパートに投資すると、「想像以上に修繕が必要で経費がかかった」など後悔を感じる場合があるので注意が必要です。
この記事では、築古アパートの定義やメリット・デメリットを解説します。
築浅アパートとの違いや、購入・管理をはじめとしたシーン別の失敗しないコツもあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
築古アパートとは
築古(ちくふる)アパートとは、おおむね築30年以上を経過したアパートを指すのが一般的です。
ただし、法的には明確な定義は存在しません。
築古アパートの特徴は、以下の通りです。
- 安価で購入できる
- 立地の物件でも手が出やすい
- 好みのデザインにリフォームしやすい
- 住環境をチェックできる
築年数を計算する際は、アパートの完成日を起点にして算出します。
【例】
2020年1月1日に完成した物件 →2024年1月1日時点では築年数4年 |
築30年以上を経過したアパートは、建物の構造によっては法定耐用年数を超えているのも特徴です。
建物の構造による法定耐用年数は、下表の通りとなります。
建物の構造 | 法定耐用年数(住宅用) |
木造・合成樹脂造のもの | 22年 |
木骨モルタル造のもの | 20年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもの | 47年 |
れんが造・石造・ブロック造のもの | 38年 |
金属造のもの | 最長34年 |
法定耐用年数を超えると、融資や減価償却期間に影響が出るので注意しましょう。
また、建物の構造次第では「築古」の年数定義が異なる場合があるので、アパートの条件を確認する際にはしっかり築年数を確認してください。
不動産投資で築古アパートを選ぶ3つのメリット
不動産投資で築古アパートを選ぶメリットは、以下の3つです。
- 高い利回りが期待できる
- 減価償却を有効活用しやすい
- キャッシュフローが安定しやすい
メリットを最大限に活用しながら、築古アパートへ投資しましょう。
メリット①:高い利回りが期待できる
新築アパートよりも安く購入できる築古アパートは、高い利回りが期待できるのが魅力です。
高い利回りの物件は収益力が高く、大きな利益を得られる可能性があります。
築年数別に見る一棟アパートの利回り相場は、下表の通りです。
築年数 | 利回り |
築10年未満 | 6.60% |
築10年~ | 7.55% |
築20年~ | 9.57% |
築20年以上のアパートは築10年未満と比較して1.5倍の利回りとなっており、収益力が優れていることが分かります。
また、築年数の経過した物件は賃貸需要を把握しやすく、収支計画の精度を高められるのもメリットです。
入居者が住んだままのオーナーチェンジの物件を購入すれば、最初から安定した家賃収入を得られます。
ただし、修繕費などが発生する可能性もあるため、事前に物件の状態を十分にチェックしてください。
オーナーチェンジについて理解を深めたい方は、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】オーナーチェンジマンションとは?初心者におすすめな理由や選び方を解説
引用元:不動産投資と収益物件の情報サイト 健美家 ( けんびや )|収益物件 市場動向 年間レポート<2022年1月~12月期>
メリット②:減価償却を有効活用しやすい
築古アパートは法定耐用年数が残り少なかったり、過ぎていたりするので、減価償却を有効活用しやすいのがメリットです。
減価償却とは時間の経過とともに価値が減少する資産の購入費用を、一定期間で配分して計上する会計処理を指します。
減価償却の期間は法定耐用年数に沿って計算するため、法定耐用年数の短い築古アパートは短期間に経費を計上できるのがメリットです。
建物の構造 | 法定耐用年数(住宅用) | 法定耐用年数を過ぎた場合の減価償却期間 |
木造・合成樹脂造のもの | 22年 | 4年 |
木骨モルタル造のもの | 20年 | 4年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもの | 47年 | 9年 |
れんが造・石造・ブロック造のもの | 38年 | 7年 |
金属造のもの | 最長34年 | 最長6年 |
例えば、1,000万円の木造物件を新築で購入した場合、1年で計上できる減価償却費は45万円程度となります。
一方で、同じ条件でも法定耐用年数を過ぎていれば年間250万円計上でき、高い節税効果を得ることが可能です。
ただし、減価償却の対象となるのは建物部分のみなので、土地と建物の費用バランスには注意してください。
※不動産投資による節税は物件などの条件により効果が異なります。節税を目的とした投資をする際は専門家のサポートを受けながら行いましょう。
メリット③:キャッシュフローが安定しやすい
キャッシュフローが安定しやすいのも、築古アパートのメリットです。
築古アパートが良好なキャッシュフローを保ちやすい理由は、以下の3つが挙げられます。
- 不動産価格の下落リスクが低い
- 家賃が安いことで長期居住者が増えやすい
- 収支を予測しやすく有効な対策が立てられる
築25年以下の物件は価格の下落が激しいですが、築25年を超えると価格のダウン幅が比較的小さくなるため、売却時に大きなマイナスを防げるのが特徴です。
築古アパートは家賃が安いことで長期居住者が増えやすく、安定した家賃収入を得られます。
また、入居者の出入りが少ない物件は、原状回復費や仲介手数料などの経費を抑えられる点もキャッシュフローの安定化につながっています。
なお、弊社の100億円資産形成倶楽部では、不動産投資のノウハウや優良物件の情報を得られます。
良好なキャッシュフローで不動産投資を成功させたい方は、ぜひ一度ご覧ください。
不動産投資で築古アパートを選ぶ2つのデメリット
不動産投資で築古アパートを選ぶデメリットは、以下の2つです。
- デッドクロスになりやすい
- メンテナンス費用が高額になりやすい
メリットのみで判断すると後悔する可能性があるので、デメリットも踏まえて検討しましょう。
デメリット①:デッドクロスになりやすい
築古アパートは法定耐用年数を過ぎた物件も多く、減価償却期間が短いのでデッドクロスになりやすいのがネックです。
デッドクロスとはローンの元金返済額が減価償却費よりも上回る状態であり、課税所得が増えてキャッシュフロー悪化を招く危険性があります。
要因を知るためにも、ローンの元金返済額と減価償却費について帳簿上の扱い・キャッシュアウトの有無をチェックしましょう。
経費の扱い | キャッシュアウト | |
ローンの元金返済額 | 対象外 | あり |
減価償却費 | 対象 | なし |
デッドクロスでは、キャッシュアウトするものの経費計上できないローンの元金返済額はそのままで、キャッシュアウトがともなわず経費にできる減価償却費が減少・消滅する状態となります。
経費に占める割合が大きい減価償却費が計上できないと、課税所得が大幅にアップするケースもあるので注意が必要です。
デッドクロスについて理解を深めたい方は、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】不動産投資のデッドクロスとは?原因や予防策を解説|購入後の対策も
デメリット②:メンテナンス費用が高額になりやすい
築古アパートは建物が完成してから月日が経っているため、メンテナンス費用が高額になりやすいのが難点です。
メンテナンス費用が高額になりやすい理由は、主に以下の3つが挙げられます。
- 外観・内装などの修繕
- 水回りなどの設備交換
- デザイン・設備を新しくするリフォーム・リノベーション
さらに、配管の老朽化や雨漏りなど、目視では確認できない内部の修繕に費用がかかるケースもあります。
費用を抑えるために修繕しないままにすると、入居者の不満につながるだけではなく、そもそも入居希望者が集まらない場合があるのでメンテナンスは必須です。
加えて、リフォーム・リノベーションを実施しても、不動産価値の上昇が少ないのもデメリットだといえます。
金融機関の融資審査を通りにくいうえに売却しにくい可能性があり、出口戦略を想定しておくことが重要です。
築古アパートと築浅アパートの違い
中古アパートには築年数の違いによって、築古と築浅があります。
種類 | 築年数 |
築古アパート | 築30年以上 |
築浅アパート | 築5年以内 |
上記は主な築年数であり、築古アパートと築浅アパートともに明確な定義が存在しないため、購入を検討する際にはしっかり確認してください。
なお、築古アパートと築浅アパートのメリット・デメリットは下表の通りです。
築古アパート | 築浅アパート | |
メリット | ・高い利回りが期待できる ・減価償却を有効活用しやすい ・キャッシュフローが安定しやすい |
・メンテナンス費用を抑えられる ・高い耐震基準で立てられている ・新築よりも安く購入できる |
デメリット | ・デッドクロスになりやすい ・メンテナンス費用が高額になりやすい |
・立地条件が悪い可能性がある ・物件数が少ない |
築古アパートは築浅アパートよりも年数が経過しているので、法定耐用年数が短く減価償却を有効活用しやすいですが、デッドクロスになりやすいデメリットがあります。
一方で、築浅アパートは使用感が少なく設備が新しい傾向にあり、メンテナンス費用を抑えられるものの、そもそも出回っている物件数が少ないのがネックです。
どちらかで迷う場合には、メリット・デメリットを比較しながら、目的や予算に合うアパートを見つけましょう。
【シーン別】築古アパート投資で失敗しないコツ
築古アパート投資で失敗しないコツを、以下のシーン別に紹介します。
- 選び方のコツ
- 購入のコツ
- 修繕のコツ
- 管理のコツ
- 売却のコツ
それぞれのポイントを把握しておけば、ストレスなく築古アパートの運用ができるでしょう。
選び方のコツ
築古アパートの選び方で押さえたいコツは、以下の通りです。
- 修繕費を予測する
- 節税効果を検証する
- 立地条件を考慮する
- リスクの高い物件は避ける
正確な収支を算出し、想定外の大規模な出費で悩まないためにも、修繕費の予測をしたり、節税効果を検証したりしましょう。
価格の安い築古アパートでも不便な立地では入居者が集まらず家賃収入が安定しないので、立地条件を考慮することも重要です。
また、リスクの高い物件の特徴は、以下の通りです。
- 旧耐震基準の物件
- 極端に狭い物件
- 利便性の低い物件
- 滞納者や入居者トラブルの多い物件
旧耐震基準の物件とは、建築確認日が1981年(昭和56年)5月31日までの物件で、耐震補強工事が必要なケースもあります。
1戸当たりが極端に狭い物件や利便性の低い物件は、入居者が集まりづらい場合があり、避けるのが無難です。
滞納者や入居者トラブルの多い物件は、家賃収入が安定せず、退去者が続出する危険性があります。
中古マンションの選び方について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】中古マンション投資とは?物件の選び方や融資を成功させるコツを解説
購入のコツ
築古アパートの購入で押さえたいコツは、以下の通りです。
- 物件価格に合わせた自己資金を準備する
- 融資を受けられる金融機関を探す
中古物件に必要な自己資金の目安は物件価格の17〜30%で、内訳は下表の通りとなります。
種類 | 目安 |
頭金 | 物件価格の10〜20% |
諸費用 | 物件価格の7〜10%が目安 |
新築物件の場合の諸費用は物件価格の4〜7%ですが、中古物件の場合は仲介手数料がかかるので高めになるのが特徴です。
法定耐用年数超えの物件は基本的に融資を受けられませんが、融資に対応している金融機関もあるので、複数の金融機関を比較検討しましょう。
また、土地の担保価値が高い場合は融資が通る場合があるため、なるべく立地のよいアパートを購入してください。
修繕のコツ
築古アパートの修繕で押さえたいコツは、以下の通りです。
- 外から見える通路・階段・外壁の改修
- 和室の洋室化
- 壁紙や床材の張替え
- 水回りの交換
- 給水管や排水管の交換
通路・階段・外壁を改修すると、入居希望者に対して好印象を与えられるため、入居の決定につながりやすくなります。
古臭さを感じるポイントを改善するには、和室を洋室化したり、壁紙や床材の張替えたりするのもおすすめです。
また、30年が寿命とされる排水管や給水管など水回りの設備交換も検討しましょう。
管理のコツ
築古アパートの管理で押さえたいコツは、以下の通りです。
- 共用部の清掃・管理
- 設備点検・交換
- 駐車場や駐輪場の管理
- アパート内のルール見直し
- 建物の維持・修繕
- クレームへの早めの対応
共用部の清掃・管理や設備点検・交換などを実施して、現在の入居者が退去しないよう住環境を整えることが重要になります。
また、アパート内のルールが更新されていない可能性があるので、見直し・改訂するのもおすすめです。
入居者からクレームがあった場合、放置し続けると不満につながるため、早めに対応しましょう。
売却のコツ
安く物件を購入できても売却できないと税金や管理費用がかかり続けてキャッシュフローが悪化するので、出口戦略を考えておくことも大切です。
売却のコツは、以下の通りとなります。
- 物件として売る
- 更地にして売る
物件として売れない場合には、更地にして売却する方法も検討しましょう。
ただし、更地にするのであれば、入居者に立ち退いてもらう必要があり、手間がかかるので時間をかけて準備する必要があります。
将来的に「売却できない」と悩まないためには、立地のよい物件を購入して、土地評価が保てるようにしてください。
築古アパート投資に関するよくある質問
築古アパート投資に関するよくある質問は、以下の3つです。
- 自己資金なしでも始められる?
- 理想的な利回りはどれくらい?
- 都心部と地方どちらがおすすめ?
疑問や不安を解消してから、築古アパート投資に取り組みましょう。
質問①:自己資金なしでも始められる?
自己資金なしでも築古アパート投資は始められますが、キャッシュフロー悪化などのリスクがあるので注意が必要です。
自己資金がないということは融資額が多く、つまり月々の返済額が大きいことから、基本的にキャッシュフローが出にくい状態になります。
また、法定耐用年数を過ぎた物件に対して融資を実施している金融機関には限りがあり、探すのに時間がかかるのもネックです。
融資を希望するのであれば、金融機関との連携が強い不動産会社を選びましょう。
質問②:理想的な利回りはどれくらい?
築古アパートを築30年以上の物件とした場合、理想的な利回りは7~10%が目安です。
中古アパートと広く捉えると築年数によって理想的な利回りは異なり、下表の通りとなります。
築年数 | 理想的な利回り |
築20年以内 | 6%前後 |
築20~35年 | 7~10% |
新築アパートの理想的な利回りは2〜5%で、中古アパートのほうが高い利回りを実現可能です。
ただし、中古アパートには老朽化やデッドクロスなどさまざまなリスクがあるため、利回りとともに将来的なリスクも踏まえてください。
また、地方か首都圏かによっても利回りの目安には違いがあるので、地域性も考慮しましょう。
質問③:都心部と地方どちらがおすすめ?
都心部よりも地方のほうが安く物件を購入できるため、築古アパートの投資をするなら地方がおすすめです。
例えば、東京都と愛知県で中古区分マンションの価格を比較すると、下表の通りとなります。
2023年 | 東京都 | 愛知県 |
5月 | 5,780万円 | 2,263万円 |
7月 | 5,606万円 | 2,305万円 |
9月 | 5,632万円 | 2,509万円 |
特に東海地方は首都圏にも近く利便性が高いため、不動産投資に向いているエリアです。
なお、弊社ゴールドトラストでは、東海地方でのアパート投資実績も豊富にあります。
アパート投資についてプロのサポートを受けたい方は、分譲型マンション・アパート投資(一棟買い):エステシアをご覧ください。
また、区分マンションの価格が気になる方は、以下の記事もあわせてチェックしましょう。
【関連記事】【2024年最新予測】区分マンションの暴落待ちはリスク大?価格低下の要因やお得に買う方法を解説
まとめ:築古アパートは工夫次第で安定経営も可能
築古アパートとは、おおむね築30年以上を経過したアパートを指すのが一般的です。
高い利回りが期待できたり、減価償却を有効活用しやすかったりするメリットがある一方で、メンテナンス費用が高額になりやすいデメリットがあります。
事前に購入時や修繕時のコツを把握しておき、築古アパートの後悔を回避しましょう。
なお、弊社ゴールドトラストでは、国内の築古戸建てを活用した「超高速減価償却節税商品」を提供しています。
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