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金融所得課税の強化とは?推進されている理由や節税対策のポイントを解説

金融所得課税の強化とは?推進されている理由や節税対策のポイントを解説

株や預金など、金融商品の利益に課される金融所得課税が2025年より強化されます。
この追加徴税措置により、資産をお持ちの方は税金対策を検討する必要があります。
しかし、「具体的に、どのような影響を受けるか分からない」という方も多いでしょう。

この記事では、金融所得課税の強化について解説します。
推進されている理由や節税対策のポイントをあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

※不動産投資による節税は物件などの条件により効果が異なります。節税を目的とした投資をする際は専門家のサポートを受けながら行いましょう。

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金融所得課税とは

金融所得課税とは、金融商品から得られた所得にかかる税金を指します。
預金であれば利子、株式であれば配当が課税対象になりますが、売却・譲渡時の利益も課税対象になるので注意が必要です。

投資信託も課税対象ですが、現在新NISAは金融所得課税の対象外です。
しかし、今後課税対象になる可能性もあるため、続報に注目しましょう。

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金融所得課税を強化する「ミニマムタックス」とは

金融所得課税を強化する追加徴税措置を、まとめて「ミニマムタックス」と言います。
ここでは、ミニマムタックスの基礎知識として、以下の2つを解説します。

  1. 概要
  2. 追加納税額の計算方法

ご自身が、ミニマムタックスの影響を受けるかどうか知りたい方は、下記の記事もあわせてチェックしてみてください。

【関連記事】【2025年から】ミニマムタックスとは?影響を受ける・受けない人の違い

 

概要

2022年に税制改正があり、それに盛り込まれた金融所得課税の強化を通称ミニマムタックスと呼びます。
税制改正には、下記6つの税金について改正がありました。

  1. 所得税・個人住民税
  2. 資産課税
  3. 法人課税
  4. 消費課税
  5. 国際課税
  6. 納税環境整備

その中で、金融所得課税は資産課税に含まれ、追加徴税措置がとられたのです。
目的は所得格差の是正ですが、対象は年間合計所得が30億円を超える富裕層です。
現行の税制においては超富裕層が優遇されているとみなされ、不公平さをなくすために改正されました。

適用は2025年からの所得されるため、節税対策をするのであれば早めに行いましょう。

引用元:国税庁|令和6年度税制改正の大綱

 

追加納税額の計算方法

ミニマムタックスは、下記の計算式で算出される差額分が課税対象となります。

(合計所得金額-3.3億円)×22.5%(税率)-通常の所得税額=申告納税対象

合計所得とは株式の譲渡所得だけでなく、不動産の譲渡所得や給与所得なども含まれます。
新NISAなどの非課税所得は含まれません。
なお、ミニマムタックス適用前の金融所得課税の計算式は下記の通りです。

合計所得×15%(税率)=金融所得課税

合計所得が10億円・50億円の場合でミニマムタックスを比べると、下表のようになります。

合計所得10億円 合計所得50億円
ミニマムタックス適用前 10億円×15%=1億5,000万円 50億円×15%=7億5,000万円
ミニマムタックス適用後 (10億円-3.3億円)×22.5%
=1億5,075万円
(50億円-3.3億円)×22.5%
=10億5,075万円
追加納税額 75万円 3億75万円

※合計所得がすべて金融所得の場合
※わかりやすいように、税率は金融所得課税のうち所得税の15%とする

上表のように合計所得が多ければ多いほど、追加納税額は大きくなります。
金融所得課税の計算方法など、さらに知見を深めたい方は下記の記事もご覧ください。

【関連記事】所得30億円超で金融所得課税の負担が増える?追加納税額の計算方法も解説

引用元:
大和総研|令和5年度税制改正大綱解説―超富裕層課税
国税庁|令和6年株式・配当・利子と税

 

金融所得課税の強化を進める理由

金融所得課税の強化を進める理由として挙げられるのが、以下3つです。

  1. 1億円の壁を解消するため
  2. 社会保障給付費を確保するため
  3. 海外の税率に近づけるため

ミニマムタックスが設けられた背景を知り、強化を進める目的を把握しましょう。

 

理由①:1億円の壁を解消するため

日本の税制度は、年間所得1億円までは年収に比例して税負担も増加するものの、1億円を超えると反比例して下がっていきます。
この問題を1億円の壁と呼び、税負担の格差をなくすために設けられたのがミニマムタックスです。

基本的に所得税は累進課税制度で、所得が増加するにつれて税率が上がります。
しかし、金融所得課税は累進分離課税が適用できるため、税率が一律20.315%となり所得税よりもはるかに小さい税率になるのです。

所得税は所得に応じているため、公平にならされていますが、金融所得は公平になっていない点が問題となっています。

引用元:財務省|令和4年参考資料

 

理由②:社会保障給付費を確保するため

社会保障給付費とは、下記3分野にかかる費用を指します。

  1. 医療
  2. 年金
  3. 福祉

これらの財源を確保する目的で、金融所得課税の強化を進めているともいわれているのです。
日本は医療や福祉の制度が海外よりも整っており、貧困層への手当ても厚くなっています。
しかし、高齢化社会により、社会保障給付費は年々増えており、今後もさらに必要になる見込みです。

高齢化社会がさらに進めば、社会保障給付費の財源確保が必要になります。
今後も税制改正される可能性を視野に入れ、資産形成を進めていきましょう。

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引用元:国立社会保障・人口問題研究所|令和3年令和元年度社会保障費用統計

 

理由③:海外の税率に近づけるため

日本の税率は海外に比べて低く、足並みをそろえるためというのも金融所得課税を強化する理由の1つです。
各国における金融所得課税の税率は、下表の通りです。

税率
イギリス 0%~45%
フランス 12.8%
ドイツ 26.4%
スウェーデン 30%

中国や韓国などのアジア諸国では非課税ですが、主要国では金融所得課税が課される国が多くなっています。
今後も海外と税率をそろえる目的で追加徴税の措置が取られる可能性もあるため、節税対策を練りましょう。
金融所得課税の国際比較など、基礎知識のおさらいもかねて知見を深めたい方は下記の記事をご覧ください。

【関連記事】【国際比較】各国の金融所得課税|非課税の国も?税の基礎知識とともに解説

引用元:日本証券業協会|2022年金融所得の実態に関する分析~「1億円の壁」を読み解く~

 

金融所得課税の強化で起こり得るリスク

金融所得課税の強化が進むと、下記3つのリスクが起こり得ると予測されます。

  1. 国内資金の海外流出
  2. 人材の海外流出
  3. 投資離れ

リスクによって、お持ちの資産にどのような影響が出るか検討しながら対策を考えましょう。

 

リスク①:国内資金の海外流出

金融所得課税が強化され、税金の額が増えると国内の富裕層が資産を海外へ流出させる恐れがあります。
国内でも株式など金融商品の譲渡は課税対象となるため、租税回避のために海外資産へ転換を図る可能性が示唆されます。

実際に2011年に裁判が実施された「武富士事件」は、国内の贈与税を免れる目的で、国内資産を海外資産に転換した凡例です。
武富士事件はいわゆる脱税と判断され、税制改正により抜け道はなくなっています。
しかしながら、節税対策で抜け道を使い、国内資産の海外への流出は可能性として考えられます。

脱税がないよう、さらに税制厳格化も考えられるため、続報に注目しましょう。

引用元:裁判所|裁判例検索

 

リスク②:人材の海外流出

金融所得課税の強化で、優秀な投資家や企業家が海外へ流出する可能性もあります。
国内の富裕層には、投資や起業により財を成した投資家も多くいます。

国内のミニマムタックスがさらに大きくなれば、海外へ拠点を移して国内資金と共に人材も流出する可能性はゼロではありません。
富裕層の投資家が減れば、国内での投資が衰退し経済にも影響を与えます。

しかし、10年以内に日本に住所がある贈与者には相続税がかかるなど、海外流出への対策もとられています。
そのため、あまり大きなリスクにはなり得ないでしょう。
リスクヘッジばかりに気を取られず、現状を見据えた投資を検討することが大切です。

引用元:国税庁|令和6年No.4432 受贈者が外国に居住しているとき

 

リスク③:投資離れ

節税対策で、投資市場から撤退を図る個人・法人が増える可能性も示唆されます。
株式など、保有しているだけで多額の納税義務が発生することを恐れ、今後を見越して投資から離れる投資家もいるでしょう。

また、近年では政府が新NISAやiDeCoなど、個人の資産運用を勧めています。
このような中で資産運用に大きくかかわる金融所得課税の強化は、投資離れをまねく恐れがあるのです。

新NISAという非課税の資産運用制度は、投資離れを引き留める鍵になっています。
今後新NISAが課税対象にならないか、情報のアンテナを張り資産運用を行いましょう。
新NISAの活用方法についておさらいしたい方は、下記記事をご覧ください。

【関連記事】新NISAはデメリットしかない?メリットの有無や上手な活用方法を解説

 

【強化と弱化を繰り返す】金融所得課税の歴史

金融所得課税の歴史を、下記3つに分けて解説します。

  1. 株式譲渡益に対する課税
  2. 配当所得に対する課税
  3. 利子所得に対する課税

過去に金融所得はどのような遷移を繰り返したかを知り、今後の予測に役立てましょう。

 

株式譲渡益に対する課税

株式譲渡益とは、株式を譲渡・売却した際に得られる収益を指します。
1953年から1980年代までは、原則非課税となっていました。

その後、1989年に分離課税制度が適用されました。
税率は、下表の通りです。

申告分離課税 (売却金額-購入金額)×20%
源泉分離課税 売却金額×5%×20%

2003年に源泉分離課税がなくなって申告分離課税のみになり、税率は15%で固定されました。
しかし、2004年には政府税制調査会により「金融所得課税の一体化についての基本的考え方」が公表され、貯蓄から投資へ移行させる税制改正が行われたのです。

2009年には、配当所得との損益通算(※)ができるようになり、現行の税率15%になりました。
※同年分の利益と損失を合算すること

このように政府の意向は「貯蓄から投資へ」が強まっているため、早めに対策を検討しておくことが大切です。

引用元:
日本証券業協会|2022年金融所得の実態に関する分析~「1億円の壁」を読み解く~
厚生労働省|平成16年金融所得課税の一体化についての基本的考え方

 

配当所得に対する課税

配当所得は、株式の配当や投資信託の利益にかかる税金です。
1965年に源泉分離選択課税が適用され、税率は当初の15%から下表のように推移しました。

税率
1967年 20%
1973年 25%
1976年 30%
1978年 35%

2003年には源泉分離選択課税が廃止され、現行の税率15%になったのです。
2004年の「金融所得課税の一体化についての基本的考え方」公表以降は申告分離課税になり、税率は変わらず15%となりました。

引用元:日本証券業協会|2022年金融所得の実態に関する分析~「1億円の壁」を読み解く~

 

利子所得に対する課税

利子所得とは、預金などの利子に課される税金です。
1953年から源泉分離課税(10%)が適用されていましたが、1971年に総合課税に変わりました。
税率は年ごとに引き上げられましたが、1988年に再度源泉分離課税に戻り、税率15%となっています。

その後2016年に申告分離課税となり、株式譲渡益や配当所得などと損益通算ができるようになりました。
利子所得に対する課税はあまり変化がありませんが、今後の動向にも着目しておくと良いでしょう。

引用元:日本証券業協会|2022年金融所得の実態に関する分析~「1億円の壁」を読み解く~

 

金融所得課税は今後も強化が進む?

強化と弱化を繰り返す金融所得課税ですが、昨今の政策ではさらなる強化がされると予測されています。

令和6年の総裁選で着任した石破総理は、就任前のインタビューで今後の金融所得税の強化を実行したい旨の発言をしています。
金融所得課税が強化され、海外への資産流出対策が必要となり、資産管理が厳しくなりかねません。
1億円の壁解消のため、さらなる高所得層への課税強化の可能性もあり、今のうちから資産管理を徹底する必要があります。

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金融所得課税の強化に立ち向かうためのポイント

今後強化されるであろう金融所得課税に立ち向かうポイントは、以下の2点です。

  1. 課税対象外となっている所得を増やす
  2. 実物資産の割合を増やす

お持ちの資産を無駄に手放さないよう、対策をしっかりと練りましょう。

 

ポイント①:課税対象外となっている所得を増やす

金融所得課税の課税対象外になっている所得を増やせば、課税強化から免れられます。
新NISAは金融所得課税の課税対象外であるため、活用しない手はありません。
ただし、新NISAは年間投資上限額や非課税保有限度額がある点に注意が必要です。

なお、現段階で新NISAは非課税ですが、今後非課税が続くかどうかは定かではありません。
政策により、さらに増税されれば非課税枠が縮小、あるいは課税対象になる可能性もあります。
政策にも着目しながら、投資なども活用しましょう。

 

ポイント②:実物資産の割合を増やす

実物資産を増やし、資産の内訳変更も課税強化対策の1つです。
実物資産には、下記のようなものが含まれます。

  • 不動産
  • 貴金属
  • 美術品・骨董品

土地や建物などの不動産に資産を移行する場合は別途税金がかかるため、事前の下調べは入念に行いましょう。

プラチナや金などの貴金属、あるいはワインや宝石などのコレクション品も実物資産の1つです。
ただし、コレクション品は公正な取引市場がない可能性もあるため、価値を見出すのが難しい場合もあります。

なお、実物資産は課税強化の対策として有効ですが、インフレにも強く、不安定な金融市場とは異なり安定した資産です。
金融所得課税の強化を機に、実物資産への移行も検討しましょう。
※不動産投資による節税は物件などの条件により効果が異なります。節税を目的とした投資をする際は専門家のサポートを受けながら行いましょう。

 

金融所得課税の強化に関するよくある質問

金融所得課税の強化に関して、よくある質問は下記の2つです。

  1. 強化が決定した理由は?
  2. 節税するためにはどうしたら良い?

背景と対策を理解し、今後に備えましょう。

 

質問①:強化が決定した理由は?

金融所得課税は、年間収益が1億円を超えると所得に反比例して税額が下がる仕組みになっています。
これを「1億円の壁」と呼び、高所得者の恩恵を減らし、公平にするために金融所得課税の強化に至ったという経緯です。

また、今後も進むであろう少子高齢化社会の将来のために、社会保障給付費の財源確保ともいわれています。

 

質問②:節税するためにはどうしたら良い?

節税するためには、新NISAなどの非課税所得を増やすのも1つの手です。
また、不動産をはじめとした実物資産への移行もおすすめです。

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※不動産投資による節税は物件などの条件により効果が異なります。節税を目的とした投資をする際は専門家のサポートを受けながら行いましょう。

 

まとめ:金融所得課税の強化は今後も進む可能性あり

金融所得課税の強化は、現在だけでなく高齢社会が進む今後もさらに進む可能性があります。
日頃から節税の計画をきちんと立てて、ご自身の資産を守りましょう。

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この記事の監修者

西尾 陽平
西尾 陽平
役職
土地活用事業部 執行役員
保有資格
資産形成シニアコンサルタント、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後同社へ入社し、地主さんの土地活用という資産形成や節税を実践で学び、現在は土地のない方へ、土地から紹介し不動産の資産形成の一助を行っている。実践の中で身に付いた視点で、分かりやすく皆様に不動産投資のあれこれをお伝えしています。