少額不動産投資とは?3つの種類とメリット・デメリットなどを解説
一般的に不動産投資といえば、自己資金で不動産を購入し運営しなければならないため、大きな資金が必要になるとされています。しかし最近では、少額で不動産投資ができる仕組みが色々と生まれており、気軽な投資方法として人気を博しています。
この記事では、そんな少額不動産投資の具体的な種類について解説するとともに、メリットやデメリット、始める際の注意点などについても触れていきます。
最後まで読むことで、少額不動産投資についての基礎知識がしっかりと身につくことでしょう。
目次
少額不動産投資とは
少額不動産投資の厳密な定義はありませんが、一般的には「投資額が1,000万円以下でもできる不動産投資」のことを指します。
自己資金で不動産を購入するとなると、場合によっては数千万円から数億円かかってしまうこともあります。それに対して少額不動産投資では、もっとも少ない場合で10,000円からでも投資できる仕組みが出来上がっています。大金を用意する必要はなく、お小遣い程度の額でも投資できることから、近年になってますます人気が高まってきました。
もともと不動産投資は比較的リスクが低く、安定的なリターンが見込めることで知られる投資です。そんな不動産投資を、より参入しやすい形にしたのが各種少額不動産投資。ごく普通の収入の方でも、人生を賭けたりすることなく不動産投資に関われるようになりました。
少額でもはじめられる不動産投資の種類
少額で始められる不動産投資として代表的なのは、以下の3つです。
①REIT
②不動産クラウドファンディング
③不動産小口化商材
以下で1つひとつ解説します。
種類①:REIT
REIT(リート)とは、証券取引所で販売されている「不動産投資信託」と呼ばれる金融商品です。不動産を対象に投資をおこない、利益に応じた配当金が分配される仕組みになっています。不動産投資法人が運用し、証券会社などが販売しています。
投資額の目安は、1口当たり5~70万円程度。比較的安定して収入が得られたことや、関係性や流動性が高いことなどにメリットがありますが、反面、株式市場の影響を受けやすいことや、物件選び・運用管理を自分でコントロールできない点などにデメリットがあります。
種類②:不動産クラウドファンディング
不動産クラウドファンディングは比較的新しい不動産投資の手法です。クラウドファンディング事業者が見つけてきた物件に対し、複数の投資家が少しずつ投資をするタイプ。事業者がその不動産を運用して得られた利益は、投資額の割合に応じて投資家たちに分配されます。
投資額の目安は、1口あたり10,000円から。毎月のお小遣い程度で投資できるのが不動産クラウドファンディングの大きな魅力です。それでいて億単位の物件にも投資できる点がメリットですが、購入するために申し込みや審査の必要があるところがデメリットといえるかもしれません。
【関連記事】不動産クラウドファンディングとは?利用するメリットやデメリットを徹底解説
種類③:不動産小口化商材
不動産小口化商材とは、1つの不動産を100万円程度に小口化して販売し、その利益を投資額に応じて出資者に分配する商品です。不動産特定共同事業者と呼ばれる業者が販売しており、投資家たちはその業者に対して投資する形になります。
本記事で紹介する投資手法の中ではもっとも1口当たりの金額が高いことがデメリットといえるかもしれません。しかし不動産を管理・運用する手間はかかりませんし、所有権を売却することでキャピタルゲインを見込めるなどのメリットもあります。
それぞれの少額不動産投資の始め方
本記事で紹介する3つの少額不動産投資について、始め方を簡単に解説します。
REITの始め方
REITは証券取引所でやりとりされる金融商品の一種であるため、始めるためには証券口座を作る必要があります。投資家は証券会社を介して不動産投資法人などが営業している不動産の権利を購入し、その運用利益の一部を分配してもらいます。
いわゆる投資信託とほぼ同じ仕組みであると考えておけば間違いありません。
不動産クラウドファンディングの始め方
不動産クラウドファンディングは、国から免許を与えられた専門の事業者がおこなっているものです。事業者がインターネット上で投資家を募り、投資家がその内容を吟味し、利益を得られると考えた場合には資金を投下することになります。
いわゆるクラウドファンディングの仕組みの一種であり、本記事で紹介する投資手法の中ではもっとも新しいものです。ネットビジネスに関する知識がある程度あったほうが、不安なく参入できます。
不動産小口化商材の始め方
不動産小口化商材は、1口あたりの出資額の目安がやや高いこともあり、本記事で紹介する他の2つの手法と比べると、いささか「直接不動産を購入する」ニュアンスが強いかもしれません。形態としては以下の3種類があります。
①匿名組合型
②任意組合型
③賃貸型
それぞれ所有権は誰が持っているか、出資先がどこになるかといったことに多少の違いがあります。しかし実際に管理・運用するのは不動産特定共同事業者であることや、利益を得るまでのプロセスに関しては違いはありません。
少額の不動産投資におけるメリット
少額不動産投資のメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
①ローンを組まなくてもいい
②空室保証サービスがある
③管理の手間がかからない
順番に見ていきましょう。
メリット①:ローンを組まなくてもいい
自ら不動産を購入するタイプの投資は、ローンを組んで不動産を購入することから始めなければいけません。これは大きなリスクとなります。
それに対して少額不動産投資では、もっとも少ない場合で1口10,000円程度から投資できるので、「最初に借金をする」という不動産投資最大のデメリットを抱える必要がありません。この点が大きな強みです。
メリット②:空室保証サービスがある
100%すべての場合に当てはまることではありませんが、少額不動産投資の多くは空室保証サービスを用意しています。たとえば投資をしたマンションの1室になかなか借り手がつかなかったとしても、一定の家賃を保証してくれるので、リスクが軽減されます。
メリット③:管理の手間がかからない
一般的な不動産投資であれば、購入した不動産の管理や運用は投資家が自らおこなう必要があります。それに対して少額不動産投資によって投資対象となった不動産は、基本的に関わっている事業者が管理・運用してくれます。そのため投資家は、最初にお金を払う以外に何もする必要がありません。
時間的・心理的コストが小さいのも、少額不動産投資の大きなメリットです。
少額の不動産投資におけるデメリット
少額不動産投資のデメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
①選べる投資先が少ない
②大きな利益は狙えない
③手数料で利益率が低くなる
1つひとつ解説します。
デメリット①:選べる投資先が少ない
少額不動産投資の対象となる不動産の数は限られています。たとえば都心で交通の便が良い不動産は高額であるため、少額不動産投資の対象からは外れてしまいがちです。リスクが小さいことと引き換えに、選択肢がある程度狭まってしまうことは受け入れなければいけません。
とはいえ高額な物件ほど収益が見込めるわけでもないので、「儲かる可能性の少ない余り物にしか投資できない」とネガティブに捉える必要はないでしょう。
デメリット②:大きな利益は狙えない
少額投資である以上、どうしても大きな利益を狙うのは難しくなります。これは言わずもがなのことかもしれませんが、ローリスクハイリターンの都合のよい投資であると期待するべきではありません。
少額投資といっても具体的な金額には差がありますが、おおむね月に数万円の利益がでれば合格だと思っておくべきでしょう。
デメリット③:手数料で利益率が低くなる
少額不動産投資においては手数料がかかる場合もあるので、発生した利益のすべてが投資家に分配されるとは限りません。利益が小さい場合には手数料のほうが高くなり、結果的に赤字になってしまう可能性もあります。
どれぐらいの手数料がかかるのか、事前にしっかり調べておくべきでしょう。
少額の不動産投資における注意点
少額不動産投資における注意点としては、以下の3つが挙げられます。
①投資対象を吟味する
②事業者を吟味する
③リスクを理解する
順番に見ていきます。
注意点①:投資対象を吟味する
まず投資対象の不動産が確かに利益はあげられそうなものであるかを、しっかりと吟味しましょう。事業者のセールストークを100%真に受けて、ろくに調べもせずに投資するべきではありません。
その不動産の立地がどのようなものか、安定的に借り手が見つかりそうか、といったことを自分なりに調べることが大切です。
注意点②:事業者を吟味する
事業者が確かな仕事をしているかどうかもしっかり準備することは重要です。詐欺をおこなっている偽事業者に注意しなければならないのはもちろんのこと、業績の悪い事業者にも警戒する必要があります。たとえば、過去に分配金の支払いを遅延したことがある業者の場合、同じことがもう一度起きる可能性は高いといえます。
後々トラブルに巻き込まれないためにも、事業者選びはしっかりやりましょう。
注意点③:リスクを理解する
少額不動産投資はリスクの低い投資手法ですが、あくまでもリスクが「低い」だけであり、まったく何のリスクもなく利益を得られるわけではありません。場合によっては赤字になってしまうこともあり得ます。
大金を投資するわけではないためリスクを軽く見てしまう方も少なくありませんが、最悪の場合どのような状態になってしまうのか、しっかりと考え抜いた上で投資を実行するべきです。
まとめ
少額不動産投資の種類やその始め方、具体的なメリットやデメリットなどについて解説しました。
不動産投資は比較的リスクが低く、安定的なリターンを見込める投資として人気です。少額不動産投資は、そんな不動産投資から「イニシャルコストが高い」というデメリットを取り除いたものであり、人気が出るのも必然であるといえます。
しかし人気だからといって深く考えずに飛び込むべきではありません。その性質をしっかり理解したうえで、考えるべきことをしっかり考えて投資する姿勢が大切です。
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