新NISAで上限が見直された4項目|メリットや注意すべき人の特徴も解説

新NISAで上限が見直された4項目|メリットや注意すべき人の特徴も解説

2024年1月から始まった新NISAは、各項目の上限を中心として旧NISAから大幅な見直しがかけられました。

今まで以上に個人が投資しやすい環境になったものの、「何が変わったのか」「自分の場合、どこまで投資できるのか」など疑問に思う方も多いでしょう。

この記事では新NISAが気になる方に向けて、見直された4項目の上限額を詳しく解説します。

新NISAのメリットや注意すべき人の特徴はもちろん、クレカ積立上限額の引き上げなどについてもあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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新NISAとは

新NISAは、以下に挙げる2つの投資枠から構成されています。

  1. つみたて投資枠
  2. 成長投資枠

それぞれ詳しく見ていきましょう。

なお、新NISAのメリット・デメリットや基本的な運用方法について知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。

【関連記事】新NISAはデメリットしかない?メリットの有無や上手な活用方法を解説

 

つみたて投資枠

つみたて投資枠とは、旧NISAの「つみたてNISA」に代わって新設された投資枠です。

選択できる投資対象商品は金融庁の基準を満たした投資信託に限定され、2024年2月29日時点で282本になります。

つみたて投資は、開始時期が早いほど投資効果が高まる「複利効果」が期待できます。

そのため、長期的な資産形成を目指して運用したい方や、少額で投資を始めたい方にとって利用しやすい投資枠といえるでしょう。

引用元:
金融庁|NISAを知る
金融庁|2024年つみたて投資枠対象商品の概要について

 

成長投資枠

成長投資枠は、旧NISAの「一般NISA」に代わって新設された投資枠です。

選択できる投資対象商品は、以下をはじめとして多岐にわたります。

  • 上場株式(国内株式や外国株式)
  • REIT(上場不動産投資信託)
  • ETF(上場投資信託)
  • 公募株式投資信託 など

つみたて投資にくらべると、リターンが大きい投資対象商品も選べる傾向にあります。

その分、リスクも高まるため、分散投資などの対策が重要です。

株式投資をはじめ積極的な資産運用を行いたい方や、投資経験の長い方が利用しやすい投資枠といえるでしょう。

なお、分散投資するうえでは、新NISA以外にも不動産投資という選択肢があります。

弊社ゴールドトラストの「賃貸マンションアパート(一棟買い):トチプラス」では、土地と建物がセットで最初から収益事業を行えます。

物件管理などはプロがサポートするので、保有資産の種類を増やしたい方はぜひお気軽にご相談ください。

分散投資の基礎知識を振り返りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしましょう

【関連記事】【初心者向け】分散投資の種類とは?組み合わせるメリットや注意点も解説

引用元:金融庁|NISAを知る

 

新NISAで上限が変わった4項目

新NISAになって上限が変わった項目は、以下の4つです。

  1. 年間投資上限額
  2. 非課税保有期間
  3. 非課税保有限度額
  4. 口座開設期間

それぞれの項目について、旧NISAと比較した表とともに見ていきましょう。

 

項目①:年間投資上限額

旧NISA 新NISA
つみたてNISA 一般NISA つみたて投資枠 成長投資枠
40万円 120万円 120万円 240万円
併用不可
年間最大120万円(一般NISAを選んだ場合)
併用可能
年間360万円

年間投資上限は全体的に拡大し、より多くの投資が可能になりました。

すでに投資している方からすると、NISAの年間投資額が3倍になった点は大きなインパクトを与えたことでしょう。

月額で換算すると、ひと月あたり10万円を投資できる計算になります。

1回に積み立てられる金額が大きくなる分、将来の資産総額もより多くなることが期待されます。

なお、ひと月あたり10万円の投資が可能になることを受けて、クレジットカードでの入金についても変更がありました。

いわゆるクレカ積立における変更点について知りたい方は、後述の「新NISAへの移行でクレカ積立の上限額も引き上げ」もあわせてチェックしてみてください。

引用元:金融庁|NISAを知る

 

項目②:非課税保有期間

旧NISA 新NISA
つみたてNISA 一般NISA つみたて投資枠 成長投資枠
20年間 5年間 無期限

新NISAでは非課税保有期間が無期限となり、より投資しやすい環境が整いました。

なお、一般NISAでは非課税保有期間が5年経過したあと、翌年には非課税投資枠へ移管する「ロールオーバー」という手続きが必要でした。

しかし、新NISAではロールオーバーの手続きも不要です。

非課税保有期間の把握が不要となる分、より手軽に運用・管理できるようになったといえるでしょう。

 

項目③:非課税保有限度額

旧NISA 新NISA
一般NISA つみたてNISA つみたて投資枠 成長投資枠
600万円 800万円 1,800万円
(うち成長投資枠1,200万円)

非課税保有限度額は、旧NISAの2倍以上となる1,800万円に拡大されました。

なお、非課税保有限度額の管理方法は、買付け残高(簿記残高)です。

買付け残高(簿記残高)は購入時点の金額を累計するため、購入後の価格上昇を考慮する必要がありません。

その分、残りの投資可能金額を簡単に把握できます。

例えば、300万円の投資信託を購入した3か月後に、価格が400万円に高騰したとしましょう。

この場合でも、非課税保有限度額は1,500万円(1,800万円-300万円)のままです。

価格が上昇あるいは下降するたびに残高を算出し直す必要がないため、管理の手間を省きたい方にも向いているといえるでしょう。

 

項目④:口座開設期間

旧NISA 新NISA
つみたてNISA つみたてNISA 成長投資枠 つみたて投資枠
2042年末
(新規買付は2023年末)
2023年末 恒久化

新NISAでは口座開設期間も恒久化され、どのタイミングでも利用開始しやすい制度になりました。

ただし、1人1口座である点は旧NISAと変わりありません。

旧NISAの口座がある方は、2024年1月時点で自動的に新NISAの口座が開設されます。

口座の変更可否について知りたい方は、後述の「新NISAでは口座を変更できる?」もぜひ参考にしてください。

 

新NISAへの移行でクレカ積立の上限額も引き上げ

新NISAの運用開始を機に、クレカ積立による投資の上限額も変わりました。

毎月5万円から毎月10万円に引き上げられ、投資額を増やしやすくなっています。

従来のままであれば、クレカ積立と現金などでそれぞれ5万円ずつ支払うしかありませんでした。

しかし、現在は10万円の積立金をクレジットカードで一括支払いできます。

なお、クレカ積立の利用条件は以下の3つです。

  1. 翌月一括払いである
  2. 累積投資契約である
  3. 信用供与は10万円を超えない

累積投資契約が必須のため、成長投資枠では利用できません。

新しい上限額の対応は金融機関によって異なるため、クレカ積立を始める方は各金融機関へあらかじめ確認しておくと安心でしょう。

引用元:金融審議会|2023年市場制度ワーキング・グループ・資産運用に関するタスクフォース報告書

 

新NISAの年間投資上限額に注意すべき人の特徴

結論から言うと、年間投資上限額を超えるケースはあまり多くありません。

令和4年分における民間の平均給与は458万円であり、そこから差し引かれる税金や社会保険料を考慮すると、投資に回せる金額が限られるためです。

ただし、以下のような方は年間投資上限額に達する可能性があります。

  • 退職金の受け取りがあった
  • 相続により多額の資産を得た
  • 不動産の売却金を得た

まとまった資金を得ると「投資に回したほうが良いのでは?」と考えがちですが、選択肢は新NISAだけではありません。

時間をかけてでもご自身が納得いくタイミングと投資先で、資産形成を進めていきましょう。

なお、資産形成の方法としては、新NISAだけではなく不動産投資という方法もあります。

特に所得が多く節税対策が必要な方は、弊社の「中古再生:ズバッと節税ズバッと償却」の利用をぜひご検討ください。

自己資金はある程度保有しているものの、昨今のインフレ状況に不安があるという方は、こちらの記事もあわせてチェックしましょう。

【関連記事】インフレ対策に向いている投資法5選!上手に資産を守る・増やす方法も解説

引用元:国税庁|令和5年民間給与実態統計調査

 

【上限の変更以外も】新NISAで変わったところ

新NISAは、上限以外にも変更された点が2つあります。

  1. 2つの投資枠を併用できるようになった
  2. 売却した投資枠の再利用が可能となった

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

変更点①:2つの投資枠を併用できるようになった

新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能となりました。

旧NISAのつみたてNISAと一般NISAは選択制であり、年間投資上限額は後者の120万円が最高でした。

しかし、新NISAでは併用が可能となったことで、年間投資上限額は2つを合算した360万円に増えたのです。

投資対象商品の幅も広がり、資金力や運用ノウハウに合わせて柔軟に投資できるようになったといえるでしょう。

 

変更点②:売却した投資枠の再利用が可能となった

新NISAでは、売却した分の投資枠を再利用できるようになりました。

そのため、ライフイベントなどで急に資金が必要となり売却したとしても、資金に余裕ができたら再投資ができます。

例えば、投資信託を500万円分購入すると、投資枠の残りは1,300万円(1,800万円-500万円)です。

その後、住宅購入の頭金として300万円分を売却したとすると、売却後の翌年に投資枠の残りが1,600万円(1,300万円+300万円)になります。

ただし、投資枠の復活は売却の翌年であり、すぐに再利用できるわけではありません。

また、投資枠が復活しても年間投資上限額は変わらない点には留意しましょう。

 

新NISAで投資枠を使い切ったあとの売却シミュレーション

新NISAの非課税保有限度額1,800万円を使い切ったあとの想定として、以下の条件における売却シミュレーションを考えてみましょう。

  • 500万円で購入した投資信託を売却する
  • 売却時点で価格が700万円になっている(=上げ幅200万円)

つまり、投資信託を売却すると700万円を受け取ります。

しかし、前述の通り、非課税投資枠は買付け残高(簿記残高)で管理しているため、投資枠の空きは従来の価格である500万円分です。

非課税保有額は1,300万円(1,800万円-500万円)となり、売却した翌年には500万円分の投資枠を再利用できます。

売却時点で価格が下がり、売却時点の価格と購入時点の買付け残高に差があっても同様の結果です。

非課税保有限度額に達した場合は売却し、他の投資方法に回すなど運用益を有効活用しましょう。

非課税保有限度額を使い切ったあとの選択肢について知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。

【関連記事】NISA枠を使い切ったらどうする?不動産投資で得られる3つの大きなメリット

 

新旧NISAの上限に関するよくある質問

新NISAの上限に関するよくある質問は、以下の3つです。

  1. 非課税期間が終了した旧NISAの保有商品はどうしたら良い?
  2. 旧ジュニアNISAで保有していた商品の取り扱いは?
  3. 新NISAでは口座を変更できる?

それぞれの回答について見ていきましょう。

 

質問①:非課税期間が終了した旧NISAの保有商品はどうしたら良い?

旧NISAである一般NISAとつみたてNISAでは、それぞれ非課税期間が終了しても新NISAにロールオーバーできません。

旧NISAは、新NISAと別枠で管理されるためです。

旧NISAの保有商品は、非課税期間の終了後に課税口座へ払い出して保有するか、売却するかの2択になります。

ただし、新NISAで売却した商品と同じ商品があり、引き続き保有したい場合は、売却した資金で買い直しできます。

 

質問②:旧ジュニアNISAで保有していた商品の取り扱いは?

旧ジュニアNISAで保有していた商品は、18歳を迎えるまで非課税で保有できます。

非課税期間が終了しても、18歳を迎えるまでは非課税で保有できる「継続管理勘定」へロールオーバーできるためです。

例えば、2024年に非課税期間が終了した10歳の子のジュニアNISAの保有商品は、18歳になる8年後の2032年までは継続管理勘定にて非課税で保有できます。

なお、2024年1月1日以降から旧ジュニアNISAは、18歳になる前でも源泉徴収されないで払い出しが可能になりました。

18歳までお金を引き出せなかった変更前と比べれば、使いやすくなったといえます。

ただし、一部分のみの引き出しには対応できないため、払い出す際は旧ジュニアNISA口座を廃止することになる点に注意しましょう。

 

質問③:新NISAでは口座を変更できる?

新NISAは、1年ごとに金融機関を変更できます。

口座変更の一般的な流れは、以下の通りです。

  1. 変更前の金融機関へ必要書類を提出する
  2. 勘定廃止通知書、または非課税口座廃止通知書を受け取る
  3. 変更したい金融機関で口座開設手続きを進める
  4. 変更したい金融機関へ必要書類を送付する

詳細な手続きについて知りたい方は、各金融機関のホームページなどを確認しましょう。

なお、NISAの口座変更では以下の注意点があります。

  • 手続き期間は、口座変更を希望する年の前年10月1日から9月30日までとなる
  • 非課税投資枠を使用すると、その年の変更ができない

口座の変更を検討している方はスムーズに手続きを進められるよう、上記を覚えておきましょう。

 

まとめ:上限が変わった新NISAを有効活用しよう

新NISAはさまざまな項目で上限が変わり、より利用しやすい制度となりました。

一方で、投資対象の幅が広がった分、運用ノウハウが以前にも増して必要になっているのも事実です。

新NISAで資産形成を進めたい方は利用時の注意点もしっかり理解し、有効活用していきましょう。

なお、お金に関する知識を深めたい方は、専門家からのアドバイスを受けつつ資産運用に取り組める100億円資産形成倶楽部への入会もおすすめです。

「将来のために資産形成したい」と考えている方は、オンラインセミナーもあわせてチェックしましょう!

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この記事の監修者

西尾 陽平
西尾 陽平
役職
土地活用事業部 執行役員
保有資格
資産形成シニアコンサルタント、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後同社へ入社し、地主さんの土地活用という資産形成や節税を実践で学び、現在は土地のない方へ、土地から紹介し不動産の資産形成の一助を行っている。実践の中で身に付いた視点で、分かりやすく皆様に不動産投資のあれこれをお伝えしています。