一種単価とは?算出すべき理由や計算方法・収益シミュレーションを解説

一種単価とは?算出すべき理由や計算方法・収益シミュレーションを解説

不動産投資において、投資効率は非常に重要です。

投資効率の良し悪しを見極められるようになるには、経験や知識が必要となります。

その中でも、投資効率を見極める指標としてよく使われるのが一種単価です。

この記事では、一種単価を算出すべき理由や計算方法を解説します。

土地の評価方法や収益シミュレーションもあわせて紹介しているので、一種単価を踏まえながら不動産投資を進めたい方はぜひ参考にしてください。

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一種単価とは

一種単価とは、坪単価を使用して算出する容積率100%あたりの土地単価です。

容積率とは、敷地面積に対する延べ床面積の割合です。

例えば、50坪の土地の容積率が200%の場合、100坪の建物が建てられることになります。

つまり、一種単価を出すことで土地と同じ坪数の建物を建てた際における、床面積当たりの土地単価が算出できます。

坪単価は不動産業界においてよく耳にする一般的な単価ですが、土地に対する単価で、平面的な見方しかできません。

あくまで土地に対する単価で不動産の投資効率に関しては不向きな数値です。

しかし、坪単価から一種単価を算出することで、土地だけでなく建物も含めた単価を出せるのです。

投資効率の良し悪しがわかりやすく表面化するので、一種単価は不動産投資の指標としてよく使われています。

 

一種単価の計算方法

一種単価の計算式は、以下の通りです。

一種単価=坪単価÷(容積率÷100%)

坪単価は「土地の価格÷土地の面積(坪)」で算出できます。

例えば、100坪の土地を5,000万円で購入した場合の坪単価を算出してみましょう。

土地の価格÷土地の面積(坪)
=5,000万円÷100坪
=50万円/坪

上記の土地における容積率が200%だった場合、一種単価は以下のように算出できます。

坪単価÷(容積率÷100%)
=50万円÷(200%÷100%)
=25万円

普段よく見ている坪単価から素早く一種単価を算出できるようにしておくと、投資効率を素早く見極められるでしょう。

 

一種単価の比較シミュレーション

一種単価は、容積率に大きく左右されます。

例えば、以下の条件で一種単価を計算してみましょう。

A B
土地の価格 5,000万円 5,000万円
土地の坪数 100坪 100坪
容積率 100% 400%

土地の価格と坪数が同じであるため、坪単価はA・Bともに50万円です。

一方、一種単価や建てられる建物の床面積は下記のように大きく変わってきます。

【Aの場合】

一種単価 建てられる建物の床面積
坪単価÷(容積率÷100%)
=50万円÷(100%÷100%)
=50万円
土地の坪数×(容積率÷100%)
=100坪×(100%÷100%)
=100坪

 

【Bの場合】

一種単価 建てられる建物の床面積
坪単価÷(容積率÷100%)
=50万円÷(400%÷100%)
=12.5万円
土地の坪数×(容積率÷100%)
=100坪×(400%÷100%)
=400坪

上記の場合、収益が大きくなるのは賃貸として貸し出せる面積が大きいBです。

そのため、容積率以外の条件が同じであれば容積率の大きい方が、収益性が高いといえるのです。

 

一種単価の計算で知っておきたい3つの数値

一種単価の計算で用いられる数値は、以下の3つです。

  1. 坪単価
  2. 容積率
  3. レンタブル比(賃貸面積比)

よく耳にする用語ですが、出し方や算出する理由などを今一度おさらいしましょう。

 

数値①:坪単価

坪単価は㎡単価から算出される単価で、1㎡=0.3025坪をもとに算出します。

100㎡で2,000万円の場合、㎡単価は「2,000万円÷100㎡=20万円/㎡」となります。

㎡単価から坪単価に変換する場合は以下の通りです。

㎡単価÷0.0325坪
=20万円/㎡÷0.3025坪
=66.1万円/坪

また、㎡単価を出す前に㎡を坪に変換して計算するのも1つの手です。

㎡に0.3025をかけると、㎡を坪に換算できます。

坪単価は土地の価格を比較する上で算出すべき値であり、不動産投資においてもよく用いられる指標のため、計算できるようにしましょう。

坪単価は土地価格により大きく変動しますが、令和5年度の東京都の平均坪単価は358万円/坪、愛知県は74万円/坪となっています。

坪単価は年々上昇傾向にあり、特に首都圏では価格が大幅に上昇しています。

住んでいる街の坪単価や価格変動を把握し、どの地域が不動産投資において狙い目かなど常にアンテナを張っておくと良いでしょう。

弊社ゴールドトラスト株式会社がある愛知県では地価上昇が予測され、不動産投資もおすすめです。

気になる方は以下の記事をご覧ください。

【関連記事】愛知県で地価が上がりそうな地域や3つの理由を解説

引用元:国土交通省|令和5年地価公示

 

数値②:容積率

容積率はその土地においての延べ床面積が占める割合を示す数値です。

容積率が大きければ大きいほど、建物は上に大きく建設できます。

そのため、同じ坪単価でも容積率が違うだけで収益が大きく変わります。

容積率は用途地域や土地の立地状態、前面道路幅員によっても変わるため、注意が必要です。

用途地域別の容積率は、下表の通りです。

用途地域 容積率(%)
第1種低層住居専用地域
第2種低層住居専用地域
田園住居地域
50・60・80・100・150・200
第1種中高層住居専用地域
第2種中高層住居専用地域
第1種住居地域
第2種住居地域
準住居地域
近隣商業地域
準工業地域
100・150・200・300・400・500
工業地域
工業専用地域
100・150・200・300・400
商業地域 200・300・400・500・600・700・800・900・1000・1100・1200・1300
用途地域の指定のない区域 50・80・100・200・300・400

実際には前面道路幅員が12m以下か以上かで分かれ、前面道路による容積率と比較し小さい方が適用されます。

そのため容積率は一概に表のとおりとは言えず複雑化しますが、用途地域によって容積率が変わるという点を覚えておきましょう。

引用元:国土交通省|平成29年建築基準法制度概要集

 

数値③:レンタブル比(賃貸面積比)

レンタブル比は賃貸面積比とも言われ、一種単価と同様、不動産投資における収益性を見極める指標として用いられます。

一種単価は土地の単価でしたが、レンタブル比は建物の単価です。

具体的には建物の延べ床面積に対する賃貸できる床面積の比率を指し、階段や共用部分などは省きます。

計算式は以下の通りです。

レンタブル比=賃貸できる床面積÷延べ床面積×100

一般的な商業ビルのレンタブル比は60〜70%であり、小規模なビルでは80〜85%程度です。

建物が高層になると階段をはじめとした共用部分や、建物維持管理に必要な機械室などが増えるため、レンタブル比は下がる傾向にあります。

レンタブル比が高いということは賃貸できる面積が大きく、収益性が高くなることを示します。

不動産投資に重点を置く場合には、レンタブル比が高くなる小規模から中規模程度の建物が良いでしょう。

 

【3ステップ】投資効率が良い一種単価を逆算する手順

投資効率が良い一種単価は、以下の手順で逆算できます。

  1. 建築費用を計算する
  2. 年間の家賃収入を算出する
  3. 適正一種単価を導き出す

ここでは、以下の条件で適正な一種単価を試算してみましょう。

期待利回り 5%
土地面積 200坪
容積率 200%
レンタブル比 85%
建築コスト 30万円/坪
相場月額賃料 5,000円/坪

なお、弊社ゴールドトラストでは、不動産投資や資産形成について学べるセミナーを定期的に開催しております。

一種単価をはじめとした不動産投資の知識を身に付けたい方は、弊社のセミナーへぜひご参加ください。

 

ステップ①:建築費用を計算する

建築費用は立地や建築会社によっても大きく異なるため、実際に建築する場合には複数の会社で建築坪単価を出すと良いでしょう。

建築費用は、延べ床面積を算出してから計算します。

【延べ床面積】

土地面積×容積率
=200坪×200%
=400坪(延べ床面積)

【建築費用】

延べ床面積×建築コスト
=400坪×30万円/坪
=1億2,000万円

つまり、容積率いっぱいで建築する場合の建築費用は、1億2,000万円です。

 

ステップ②:年間の家賃収入を算出する

年間の家賃収入は、レンタブル比から賃貸可能な坪数を算出したうえで計算します。

【賃貸可能な坪数】

延べ床面積×レンタブル比
=400坪×85%
=340坪(賃貸可能な坪数)

【年間の家賃収入】

賃貸可能な坪数×賃料相場×12か月
=340坪×5,000円/坪×12か月
=2,040万円/年

つまり、上記の条件では年間の家賃収入が2,040万円となります。

建物が大きくてもレンタブル比が低ければ賃貸できる面積が少なくなり、得られる収益も下がります。

また、相場賃料は地域によっても大きく異なるため、購入したい土地の相場賃料は事前に調べておきましょう。

 

ステップ③:適正一種単価を導き出す

最後に、期待収益や純利益から適正一種単価を算出します。

【期待収益】

年間の家賃収入×期待利回り
=2,040万円×5%
=4億800万円

【純利益】

期待収益-建築費用
=4億800万円-1億2,000万円
=2億8,800万円

【適正一種単価】

純利益÷延べ床面積
=2億8,800万円÷400坪
=72万円

つまり、72万円が上記条件における適正一種単価です。

購入予定である土地の一種単価が適正一種単価よりも安くなる場合、期待利回りが5%を上回り、投資効率の良いといえます。

このように一種単価を逆算し、購入を検討している土地の投資効率を見極めることが大切です。

 

一種単価とあわせて覚えておきたい土地の評価方法

不動産投資において土地がどのように評価されているかを知っておくことも重要なポイントになります。

覚えておきたい土地の評価方法は以下の5つです。

  1. 公示地価
  2. 実勢価格(実需価格)
  3. 相続税路線価
  4. 固定資産税評価額
  5. 収益利回り価格

土地には、国が出している公的価格や実際の価格などさまざまな評価方法があります。

どのような評価方法なのか、どこで調べられるのかなどもあわせて解説するので、ぜひ覚えておきましょう。

 

評価方法①:公示地価

公示地価とは、国土交通省が毎年3月に公表する標準値の価格です。

最も一般的な取引指標であり、全国の不動産鑑定士により1㎡当たりの基準値が算出されています。

公示地価は、国土交通省が発表している「標準地・基準地検索システム」で調べられます。

売買物件の参考地価にもなるため、興味のある地域の地価を調べてみましょう。

なお、公示地価は東京に比べて地方の方が上昇幅が大きくなっています。

上昇幅が大きい地域が一概に良いとは言えませんが、公示地価の上昇は不動産投資において有利に働く場合もあります。

愛知県は特に上昇幅が大きいため、不動産投資を始めたい方にはおすすめの地域です。

地方での不動産投資について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

【関連記事】地方で不動産投資を行うメリットとは?失敗しないコツやおすすめの県も解説

引用元:国土交通省|標準地・基準地検索システム

 

評価方法②:実勢価格(実需価格)

実勢価格は実需価格とも呼ばれ、実際の売買取引を元にした評価方法を指します。

成立した取引を参考にしているため、売り手や買い手といった当事者間の値下げ・値上げなどが考慮されています。

おおむね、公示地価よりも高くなっているのが特徴です。

国土交通省の「不動産取引価格情報検索」のページから調べられるため、実際に購入する前に目安として確認すると良いでしょう。

購入する前の情報収集の仕方を詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてチェックしてみてください。

【関連記事】不動産投資における物件の探し方ガイド!着目したい条件やポイントも解説

引用元:国土交通省|不動産取引価格情報検索

 

評価方法③:相続税路線価

相続税の課税は相続する不動産を金銭に変換する必要があるため、その際に相続税路線価が利用されます。

路線価という名前の通り、価格がつけられるのは面している道路(路線)です。

不動産が金銭よりも高くなってしまうと、不動産を持つ方が有利になってしまうため、路線価はおおよそ公示地価の80%といわれています。

とはいえ、路線価も近年では上昇傾向です。

国税庁の「路線価図・評価倍率表」で調べられるため、土地購入の際は参考にしてください。

引用元:国税庁|路線価図・評価倍率表

 

評価方法④:固定資産税評価額

固定資産税路線価も公示地価や相続税路線価と同様、公的な価格の1つとされています。

固定資産税の基準となる価格で、国ではなく各市町村によって決められています。

見直しは3年に1度で、価格は公示地価の70%程度です。

不動産を所有している方は、毎年送付される課税証明書に固定資産税評価額が記載されています。

役所の固定資産税台帳でもチェックできるため、事前に確認しておきましょう。

 

評価方法⑤:収益利回り価格

収益利回り価格とは、不動産の期待収益と現在の価値を総合した価格を指します。

実際の取引を元にした実勢価格よりも予測に近い価格ですが、利回りも考慮するため不動産投資においては重要な指標の1つです。

1年間の純利益を還元利回りで割ることによって算出でき、投資効率を知る目安として価格を出したいときには有効活用できるでしょう。

利回りに関してさらに知見を深めたい方は、下記の記事をご覧ください。

【関連記事】最新の表面利回り事情!実質利回りとの違いや相場を徹底解説

 

まとめ:一種単価で投資効率の見極めを

不動産投資において、投資効率を素早く見極めることは非常に大切です。

一種単価は素早く見極めるための指標であり、坪単価と容積率から算出できます。

一種単価をうまく活用すれば、適正一種単価も算出ができ、購入予定の不動産の利回りが良いか悪いか予測できるようになるのです。

また、公示地価や実勢価格といった不動産の評価方法も覚えておけば、投資効率の見極めに役立つでしょう。

なお、弊社の100億円資産形成倶楽部へご入会いただいた方には、不動産投資における有益な情報をお伝えしております。

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この記事の監修者

西尾 陽平
西尾 陽平
役職
土地活用事業部 執行役員
保有資格
資産形成シニアコンサルタント、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後同社へ入社し、地主さんの土地活用という資産形成や節税を実践で学び、現在は土地のない方へ、土地から紹介し不動産の資産形成の一助を行っている。実践の中で身に付いた視点で、分かりやすく皆様に不動産投資のあれこれをお伝えしています。