不動産クラウドファンディングに税金はかかる?確定申告は必要?

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不動産投資の一つとして、不動産クラウドファンディングと呼ばれるものがあります。クラウドファンディングという言葉から想像できる方もいるかもしれませんが、投資の手法としては比較的新しいものです。そのため、どのような形で税金がかかるのか、確定申告はどのようにすればよいのかといった知識がまだ深く共有されていません

この記事では、不動産クラウドファンディングにおける税金のかかり方や注意点、確定申告についての基礎知識やちょっとした応用例について解説します。

 


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不動産クラウドファンディングに税金はかかる?

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まず結論からいいますと、不動産クラウドファンディングにおいては、分配金に対して税金がかかります。その金額が一定以上である場合には確定申告も必要となります

「分配金に対して税金がかかる」という点に注目してください。どれくらい投資したかは関係なく、投資をしたあと受け取った金額に対して税金がかかる仕組みになっています。したがって分配金を1円も受け取らなかった場合には、税金の話は浮かび上がってきません。

不動産クラウドファンディングにおける税金は、分配金の形で利益を得たときにのみ考えなければいけないことであると捉えておきましょう。

不動産クラウドファンディングとは

不動産クラウドファンディングとは、不動産投資をおこなうための資金を、インターネットを通じて広く募る仕組みのことを指します。また個々のプロジェクト自体を不動産クラウドファンディングと呼ぶこともあります。

まず、国から許可を得ている「不動産クラウドファンディング事業者」がプロジェクトを立ち上げます。そのプロジェクトに対して、インターネットを通して投資家たちがそれぞれの資金力の範囲で投資します。集まったお金を使って不動産クラウドファンディング事業者が不動産を取得・賃貸し、得られた運用益を分配金として投資家に再分配する、というのが一連の流れです。

不動産クラウドファンディングのメリットとしては、以下の3つの点が挙げられます。

①本来なら多額の資金が必要である不動産投資用10,000円程度の少額からおこなえる
②入居者を募集したり設備の修繕をしたりといった不動産管理の手間がかからない
③価格が変動する事などを満期に元本が償還されるため、値動きを気にすることなく保有できる

それほど資金のない状態で、ストレスなく不動産投資を始めてみたい方に適した投資方法といえるでしょう。

【関連記事】不動産クラウドファンディングとは?利用するメリットやデメリットを徹底解説

不動産クラウドファンディングにかかる税金は雑所得

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日本における所得の種類としては、以下の10種類があります。

①利子所得
②配当所得
③不動産所得
④事業所得
⑤給与所得
⑥退職所得
⑦山林所得
⑧譲渡所得
⑨一時所得
⑩雑所得

不動産クラウドファンディングの分配型は、これらのうち「雑所得」にあたります。雑所得は課税対象であるため、場合によっては確定申告が必要になります(詳細は後述)。ここであらためて「分配金」と「雑所得」についてざっくりと解説を加えておきましょう。

分配金とは

不動産クラウドファンディングにおける分配金とは、事業者が不動産を運用した結果生まれた利益を、投資家に再分配したもののことを指します。その種類としては、以下の2つが考えられます。

①賃貸収益によるインカムゲイン
②売却収益によるキャピタルゲイン

賃貸収益は文字通り、不動産を賃貸することによって得た賃料を投資家達のあいだで分配するものです。売却収益とは、購入した不動産をそれよりも大きな金額で売却することによって得た差益を投資家達のあいだで分配するものです。

雑所得とは

日本における所得が10種類あることはすでに解説した通りですが、雑所得はそのうちの1種類です。ほかの9種類に当てはまらない所得は、すべて雑所得として扱われます雑所得の例としては、以下のようなものが挙げられます。

・年金収入
・副業による収入
・ネットショップでの収入
・金融取引での収入
・印税や講演料

不動産クラウドファンディングで確定申告が必要な例

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不動産クラウドファンディングの事業者は、分配金を渡してくれる際に源泉徴収をおこなってくれるため、原則としては確定申告をする必要はありません。しかし以下の3つのケースに当てはまる場合には、投資家が自らの収益に対してかかる税金を確定申告によって納める必要があります。

①雑所得が20万円以上
②課税所得が694万円以下
③不動産クラウドファンディングの確定申告が無条件に必要

順番に見ていきましょう。

例①:雑所得が20万円以上

不動産クラウドファンディングの分配金と、それ以外の雑所得とをあわせた金額が20万円を超える場合には、確定申告が必要になります。たとえ不動産クラウドファンディングの分配金がわずか1,000円であっても、それ以外の雑所得が19万9,000円以上であれば確定申告をしなければいけません。

このとき、不動産クラウドファンディングの分配金は、源泉徴収前の金額で計算しなければならないことに注意してください。

例②:課税所得が694万円以下

不動産クラウドファンディングの分配金に対する源泉徴収は、一律で20.42%となっています。しかし所得税率は収入に応じて5~45%と幅があり、課税所得が694万円以下の場合には、20.42%は「払い過ぎ」となってしまいます。

払いすぎた所得税は確定申告をすることによって返還される仕組みになっているので、それを求めるのであれば確定申告が必要になります。

例③:不動産クラウドファンディングの確定申告が無条件に必要

不動産クラウドファンディングの分配金にかかわらず、以下の条件に当てはまる方はもともと確定申告が必要となります

・年収2,000万円以上の会社員
・青色申告の人
・ふるさと納税医や療費控除を受ける人

申告漏れがあると、ペナルティとして後日さらに高い税を支払わなければいけないので注意しましょう。

確定申告で税金を納めるステップ

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確定申告の段取りをざっくり説明すると、以下のようになります。

①確定申告書の作成
②税務署への提出
③納税

1つひとつ見ていきましょう。

ステップ①:確定申告書の作成

確定申告が必要であるとわかった場合には、まず確定申告書を作成します。確定申告書は税務署に取りに行くこともできますし、インターネットからダウンロードすることもできます。

また国税庁のサイトには「確定申告書作成コーナー」が用意されており、データを入力するだけで自動的に申告書を作成してくれます。とても簡単に作成できるので、ぜひ利用しましょう。

ステップ②:税務署への提出

確定申告書ができ上がったら、税務署へ提出します。直接出向いて提出することもできますし、郵送による提出も可能です。いずれの場合も、自分の身分を証明するもの(マイナンバーカードなど)を用意する必要があります。

確定申告書の内容に不安がある場合には、直接税務署へ提出しに行き、目の前でチェックしてもらうことをおすすめします。

ステップ③:納税

確定申告書を無事に提出できたら、後日納税あるいは返還がなされます。源泉徴収の額が少なすぎた場合には納税となり、反対に多すぎた場合には返還となります。

確定申告書に不備があって、再度納税する必要がある場合には、税務署から連絡が来ます。その場合は税務署の指示に従って改めて納税をおこないましょう。

【関連記事】アパート・マンション経営の確定申告は必須?申請できる必要経費も解説

不動産クラウドファンディングは相続税対策になる?

不動産クラウドファンディングは相続税対策としても利用できます。相続においては、同じ金額の現金と不動産があった場合、不動産の方が相続税を安く抑えられるからです。

さらに「自用地(他人が使用する権利がない土地)」よりも「貸付建付地(賃貸のために使われている宅地)」のほうが相続財産としての評価額が下がるので、より相続税を減らすことにつながります。

不動産クラウドファンディングにおける税金の注意点

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不動産クラウドファンディングにおける税金の注意点としては、以下の2つが挙げられます。

①分配金の計算
②損益通算

この種の計算は非常に大切なことなので、以下の解説を読んで認識ミスのないようにしておいてください。

注意点①:分配金の計算

不動産クラウドファンディングで受け取る分配金は、源泉徴収されたあとの金額です。しかし雑所得を計算する際には、源泉徴収前の分配金を計算しなければいけません。そちらの数字が正確な雑所得だからです

このことは、雑所得が年間20万円を超えるかどうか判断する際に重要な意味を持つので、決して忘れないようにしておいてください。

注意点②:損益通算

不動産クラウドファンディングの分配金は雑所得であるため、損益通算ができます。損益通算とは、一定期間内の利益と損失を相殺することで、納める税金額を減らせる仕組みのことです。

たとえば不動産クラウドファンディングで10万円の損失が出た場合、他の雑所得の利益が15万円であれば、両者を相殺してその年の雑所得を5万円と計上できます。もし損失を出してしまった場合には、この仕組みを利用してうまく税金を低く抑えましょう。

【関連記事】節税対策として不動産は効果がある?対策できる税金種類も紹介します

まとめ

不動産クラウドファンディングにおける税金の仕組みについて、基本的なことを解説しました。

冒頭でも述べた通り、不動産クラウドファンディングは近年になって生まれた投資方法であるため、税金などについての知識がきちんと共有されていないところがあります。しかしだからといって、税金に関する理解が浅いまま投資をするのは危険であると言わざるを得ません

この記事を参考にして、不動産クラウドファンディングに必要な税金の知識を一通り身につけたうえで投資に勤しんでください。

オンラインセミナーも随時開催しておりますので、スケジュールについては弊社ホームページ
セミナー情報」よりご確認ください。



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この記事の監修者

西尾 陽平
西尾 陽平
役職
土地活用事業部 執行役員
保有資格
資産形成シニアコンサルタント、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後同社へ入社し、地主さんの土地活用という資産形成や節税を実践で学び、現在は土地のない方へ、土地から紹介し不動産の資産形成の一助を行っている。実践の中で身に付いた視点で、分かりやすく皆様に不動産投資のあれこれをお伝えしています。