賃貸収入に直結!入居率を上げるコツや計算方法・地域別の平均一覧を解説

賃貸収入に直結!入居率を上げるコツや計算方法・地域別の平均一覧を解説

賃貸物件において、入居率は収入に直結する重要な課題です。

入居率が悪ければ収入が少なくなり、アパートやマンションの経営が立ち行かなくなる場合もあります。

この記事では賃貸収入に直結する入居率の基礎知識や、実際の計算方法を解説します。

地域別の平均入居率や上げるコツもあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。



 

入居率とは

入居率とは、アパートの総戸数に対して入居している戸数の割合を指します。

例えば、総戸数が10戸のアパートで入居者が7人いる場合、入居率は70%です。

また、入居率と対をなす指標として空室率があり、入居率が70%の場合は空室率が30%となります。

ここでは入居率の基礎知識として、以下の3つを解説します。

  1. アパート・マンション経営における重要性
  2. 賃貸稼働率との違い
  3. 入居率の見方

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

アパート・マンション経営における重要性

入居率が高いほど不動産収益が大きくなる可能性があるため、アパート・マンション経営で重要な指標の1つです。

例えば、月額賃料が10万円、総戸数が20戸のアパートの場合、入居率と月の収益は下表の通りになります。

入居率 月の収益
100% 200万円
90% 180万円
80% 160万円
70% 140万円
60% 120万円
50% 100万円

このように、入居率によってアパートの収益は大きく異なるのです。

入居率が安定すればキャッシュフローも管理しやすくなり、不動産投資ローンの返済に対する不安も少なくなります。

購入を検討しているアパート・マンションがある場合は、現状の入居率も加味して慎重に判断しましょう。

 

賃貸稼働率との違い

賃貸稼働率とは、1年間にどれくらいの賃貸アパートが収入を得られたかを示す指標です。

つまり、年間の総日数に対する入居している日数です。

例えば、総戸数が10戸の賃貸アパートで、1戸が1年間空いていた場合、賃貸稼働率は90%となります。

収益に注目したい場合には、賃貸稼働率も算出するとわかりやすい場合もあります。

場面に応じて入居率と賃貸稼働率を使い分けましょう。

 

入居率の見方

入居率にはいくつかの計算方法があります。

それゆえに同じ総戸数、空室数であっても計算方法により入居率に差が出るため、比較する場合には計算方法を統一しましょう。

また、不動産会社の宣伝において入居率が高いというのは売り出し文句にもなるため、いくつかの計算方法で算出した入居率の中で1番高い数値を掲載することも多くあります。

一概に入居率と言ってもさまざまな数値が算出されるため、注意が必要です。

 

【ケース別】入居率の計算方法

入居率の計算方法は、以下の3つです。

  1. 特定期間の入居率を算出する
  2. 年間の稼働日に対する入居率を算出する
  3. 年間の総賃料に対する入居率を算出する

不動産の収益性を知るためには、入居率の算出方法の違いへの理解が重要です。

それぞれの注意点とあわせてチェックしていきましょう。

※以下の計算方法は、「入居率=100%-空室率」をベースとします。

 

特定期間の入居率を算出する

1つ目は、特定期間の入居率を算出する方法です。

時点空室率=空室÷総戸数

時点入居率=1-時点空室率

例えば、総戸数50戸の賃貸アパートで8戸の空室があった場合、以下の計算より入居率は84%と算出できます。

8÷50=0.16

1-0.16=0.84

アパートやマンションの空室は1か月の中でも変動するケースもあり、時点ベースでの入居率は算出のしやすさから多くの不動産会社で用いられています。

月ごとの入居率を比較したい場合は、「毎月10日時点」など決まった日にちで算出すると良いでしょう。

ただし、その場合は空室の概念を統一する必要があります。

  • 申込が入っている部屋は空室か
  • 入居するまでは空室とカウントするか
  • 退去してばかりで広告を出していない部屋は空室か

上記のような問題をしっかりと取り決めしたうえで、入居率を算出しましょう。

 

年間の稼働日に対する入居率を算出する

2つ目は、年間の稼働日に対する入居率を算出する方法です。

稼働空室率=空室日数÷365日

稼働入居率=1-稼働空室率

稼働日ベースの入居率は賃貸稼働率と酷似しており、収益性を判断する際に用いられます。

例として、下記条件における入居率を算出してみましょう。

  • 総戸数:50戸
  • 空室:8戸
  • 空室日数:80日
  • 総日数:365日

80÷365=0.22(小数点第二位を四捨五入)

1-0.22=0.78

つまり、この場合の入居率は78%となります。

応用として月間の稼働入居率を細かく出したい場合は、総日数を30日にして算出しましょう。

 

年間の総賃料に対する入居率を算出する

3つ目は、年間の総賃料に対する入居率を算出する方法です。

賃料空室率=空室賃料÷総賃料

賃料入居率=1-賃料空室率

賃料ベースの入居率は、ローンの返済など具体的な収入金額に着目したいときに用いられます。

それでは、下記の条件で賃料入居率を算出しましょう。

  • 総戸数:50戸
  • 空室:8戸
  • 賃料:15万円/月
  • 空室期間:3か月
  • 運用期間:1年

(15×3)÷(15×12)=0.25

1-0.25=0.75

つまり、上記の条件における賃料入居率は75%となります。

実際には賃料がそれぞれの部屋で違う場合があり、計算方法も複雑になりますが、細かく計算すればローン返済の目安がつきやすくなります。

着目したいポイントを見極めながら、入居率を上手に活用しましょう。

 

【地域別】入居率の平均値一覧

地域別の入居率は、下表の通りです。

地域 入居率
北海道地方 78.4%
東北地方 75.9%
関東地方 71.5%
中部地方 70.4%
近畿地方 75.9%
中国・四国地方 76.8%
九州地方 80.1%
全国平均 75.6%

関東地方や中部地方の入居率はやや低めですが、東京都単独では82.9%と高くなっています。

また、弊社ゴールドトラスト株式会社がある愛知県も81.7%と、東京都に引けを取りません。

アパート・マンション経営を早期に安定化させたい方は、入居率が高い地方を選ぶと良いでしょう。

なお、弊社の「賃貸マンションアパート(一棟買い):トチプラス」は土地と建物がセットになっており、初めから収益を上げられます。

入居率が高い愛知県で不動産投資を始めたい方は、ぜひ一度ご相談ください。

愛知県の不動産投資について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしましょう。

【関連記事】名古屋で不動産投資をするメリット・デメリットとは?失敗させないコツも解説

引用:公益社団法人 全国賃貸住宅経営者協会連合会|2020年 民間賃貸住宅(共同住宅)戸数及び空き戸数並びに空き室率の推計

 

目標とすべき入居率の目安

目標とすべき入居率の目安は、おおよそ90%です。

安定経営を目指すのであれば満室まではいかないものの、ある程度の入居率をキープする必要があります。

例えば、全国の平均入居率は75.6%ですが、50戸の賃貸アパートではおよそ12戸の空室がある状態です。

賃料が全部屋15万円だとすると空室がない場合の収益は750万円である一方で、入居率75.6%の場合は570万円程度と200万円も下がってしまいます。

収支シミュレーションで大きな赤字とならないよう、おおよそ90%を目標として空室対策をしていきましょう。

引用:公益社団法人 全国賃貸住宅経営者協会連合会|2020年 民間賃貸住宅(共同住宅)戸数及び空き戸数並びに空き室率の推計

 

賃貸物件の入居率を上げる3つのコツ

実際に入居率を上げるコツを、3つ紹介します。

  1. 良きパートナーとなる管理会社を選ぶ
  2. 入居希望につながる物件へ整える
  3. 入居募集のアプローチを見直す

空室対策の幅広いアイデアも知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。

【関連記事】空室問題に悩まない!成功するための7つのアイデアとポイント解説

 

コツ①:良きパートナーとなる管理会社を選ぶ

1つ目のコツは、良きパートナーとなる管理会社を選ぶことです。

管理会社と連携したほうが広告手段の幅が広がり、自主管理よりも効率良く入居希望者を探せるためです。

具体的には、以下に挙げる3つのポイントを押さえた管理会社を選びましょう。

  1. 高い入居率を維持している実績が豊富にある
  2. 管理業務へのサポートが充実している
  3. 物件がある地域に精通している

管理会社の選び方についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。

【関連記事】賃貸経営サポートとは?依頼時の会社選びのポイントも解説

 

高い入居率を維持している実績が豊富にある

管理会社によって管理している戸数が異なりますが、入居率は比較しやすい指標の1つです。

多くの管理会社では高い入居率を誇っていることを売りに出し、管理物件を増やそうとしています。

そのため、ただ入居率が高いという売り出し方ではなく、具体的な入居率の数字を広告に出し、実績が豊富にあることを売り出している管理会社を選ぶ必要があります。

また、前述したように入居率にはさまざまな算出の仕方があるため、どのような方法で入居率を算出しているか問い合わせてみるのも1つの手です。

数か月だけ維持した入居率を広告に出している管理会社もあるため、きちんと問い合わせたうえで良いパートナーとなる管理会社を見つけましょう。

 

管理業務へのサポートが充実している

管理会社の選定では、入居中の管理業務へのサポートが充実しているかも重要なポイントです。

具体的には下記をチェックし、安心して管理業務を任せられるか見極めましょう。

  • 対応のスピード
  • 修繕提案の仕方
  • 営業との連絡の取りやすさ

管理業務がきちんとできていないとアパート・マンションの利便性が低下し、入居者が退去するケースも少なくありません。

入居率を安定させるためにも、管理業務をしっかりと遂行できるところを選択しましょう。

 

物件がある地域に精通している

物件がある地域に精通しているかという点も、管理会社の選定において重要です。

空室が出て申込募集をする際に、地域に根強い管理会社は有利になります。

当該地域の賃料相場観や需要が分かり、適切な募集や修繕の提案ができるためです。

入居率が高い大手管理会社は安心ですが、地元に根強い中小管理会社を選ぶメリットも大いにあるといえます。

ネームバリューにとらわれず、物件がある地域に精通していて、入居募集を安心して任せられる管理会社を探しましょう。

 

コツ②:入居希望につながる物件へ整える

2つ目のコツは、入居希望につながる物件へ整えることです。

入居率を上げるためには空室を出さないことが大前提ですが、空室が出てしまった場合にすぐに埋める空室対策も非常に重要です。

そのためには入居したいと思われるよう、以下に挙げる3つのポイントに着目し物件を整えましょう。

  1. 内観や外観を定期的に修繕する
  2. リノベーションする
  3. 入居にかかる各費用を減額・撤廃する

 

内観や外観を定期的に修繕する

入居希望者は、アパートやマンションを探す際に以下のポイントに着目するケースが少なくありません。

  • 室内のきれいさ、清潔さ
  • 室内設備の利便性
  • 建物の外観

そのため、みすぼらしさや古臭さを出さないよう、内観・外観ともに定期的な修繕が必要です。

また、入居希望者にとっては、ホームページやポータルサイトに掲載されている写真も入居可否の判断材料となります。

内観や外観の修繕を終えたら、広告などに掲載している写真もアップデートしましょう。

 

リノベーションする

どうしても空室が埋まらない物件は、リノベーションもおすすめです。

築年数が経つと間取りや設備などがトレンドから外れてしまい、入居希望者が増えない原因になりかねません。

例えば、ふすまや障子などは若い人から敬遠されがちです。

思い切って和室を洋室にリフォームするなどのリノベーションを検討しましょう。

また、下記のような人気が高い設備をプラスするのも1つの手です。

  • 宅配ボックス
  • ビルトインコンロ
  • エアコン

リノベーションについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。

【関連記事】【事例付き】空き家のリノベ需要が増加中?使える補助金や成功のコツも解説

 

入居にかかる各費用を減額・撤廃する

入居率向上には、入居時のハードルとなる初期費用の減額や撤廃も有効です。

初期費用に含まれる費用は不動産会社によって異なりますが、大きく分けて以下の5つが挙げられます。

  1. 月額賃料
  2. 敷金、礼金
  3. 家財保険料
  4. 家賃保証料
  5. 仲介手数料

減額できない費用が多いものの、敷金・礼金や仲介手数料は不動産会社あるいはオーナーの取り分を減らせば調整が可能です。

近年では敷金・礼金がかからない物件も多く、売り出し文句としても使われています。

ただし、管理会社とオーナーの取り分が減るため、空室が長くなかなか決まらない時の最終手段としてキャンペーンするのが良いでしょう。

 

コツ③:入居募集のアプローチを見直す

3つ目のコツは、入居募集のアプローチを見直すことです。

広告媒体に掲載しているものの問い合わせが少ない、問い合わせがあっても入居申込まで至らない場合は入居募集のアプローチが不足していることが考えられます。

具体的な解決策は以下の2つです。

  1. 掲載情報をアップデートする
  2. 内見に備えて資料や室内外を整える

 

掲載情報をアップデートする

まずは、広告媒体に掲載されている情報を確認しましょう。

ポータルサイトでは情報が不足していると、上位に上がらないケースが多いためです。

具体的には、以下のポイントに着目して掲載情報をアップデートします。

  • 写真が最新か
  • 追加した設備が記載されているか
  • 情報に間違いはないか
  • キャンペーン情報がわかりやすく書かれているか

特に写真は室内の雰囲気を伝える手段として非常に有効で、かつお客さまがよく見る部分です。

写真の撮り方や部屋の見せ方を工夫し、分かりやすくきれいな写真を載せると反響も良くなります。

また、リノベーションをしたにもかかわらず、媒体の情報が古いままだと問い合わせも増えません。

最新の情報が記載されているかどうか、定期的に確認することが大切です。

 

内見に備えて資料や室内外を整える

入居希望者は内見の際に室内はもちろん、共用部分や雰囲気なども一緒に見ています。

  • 室内がきれいにされているか
  • 共用部分が汚くないか
  • 物件自体の治安はどうか

部屋をただ見せるだけでなく、後日見直せるように、以下の情報が記載された物件資料を置いておくと良いでしょう。

  • 初期費用の見積もり
  • 物件の周辺情報
  • 設備一覧
  • 月額賃料

また、共用部分に各入居者の私物や未回収のゴミなどが置いてあると、治安が悪いのではないかと思われ良い印象にはなりません。

管理面でも普段から共用部分へ物品を設置しないよう、各入居者へ通知するなどの対策が必要です。

物件自体築年数が経ち古くても、定期的な清掃やメンテナンスできれいに見せられます。

万が一空室が出ても入居申込がすぐ入るように、入居者が過ごしやすい環境を普段から整えましょう。

 

まとめ:アパート・マンションの入居率向上は安定経営の鍵

賃貸アパート・マンションの入居率は家賃収入に直結するため、非常に重要な指標です。

信頼できる管理会社を見つけ、収支を考慮した修繕・リノベーションをしながら入居率向上を目指していきましょう。

なお、弊社の100億円資産形成倶楽部へご入会いただくと、アパート・マンション経営のノウハウや優良物件の情報などが得られます。

「将来のために資産形成したい」と考えている方は、オンラインセミナーもあわせてチェックしましょう!

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この記事の監修者

西尾 陽平
西尾 陽平
役職
土地活用事業部 執行役員
保有資格
資産形成シニアコンサルタント、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後同社へ入社し、地主さんの土地活用という資産形成や節税を実践で学び、現在は土地のない方へ、土地から紹介し不動産の資産形成の一助を行っている。実践の中で身に付いた視点で、分かりやすく皆様に不動産投資のあれこれをお伝えしています。