アメリカの不動産投資とは?メリット・デメリットや国内との違いを解説
資産運用の種類には、株式や債券のほかに不動産への投資があります。投資する国によってリスク・リターンの大きさも異なります。
日本国内の不動産以外の投資先として注目されているのが「アメリカの不動産投資」です。
世界経済の中心であり先進国の中でも人口が増え続けているアメリカは、株式に限らず不動産投資にもメリットがあります。
本記事では、アメリカの不動産投資の概要やメリットデメリットをまとめました。アメリカの不動産投資が気になる方はぜひ参考にしてください。
目次
アメリカの不動産投資とは
そもそも不動産投資とは、土地(付随する建物含む)を所有し、売買の価格差で収益を得たり、家賃収入で収益を得たりする投資手法です。
不動産投資の対象をアメリカに向けたものを、アメリカの不動産投資といいます。
アメリカは今なお人口が増加しており、中古住宅の市場(住宅の取引戸数)は日本の約30倍とケタ違いです。
アメリカは1軒の家に住み続けるという文化がなく、住宅の流動性も大きいため、不動産が投資対象として注目を集めています。
アメリカの不動産投資のメリット
アメリカの不動産投資のメリットは、大きく分けて以下の4点です。
・円安になっても安心
・資産の分散ができる
・外国人投資家への規制がない
・他の国に比べて融資を受けやすい
メリット①:円安になっても安心
メリットの一つ目は、円安になっても安心であることです。
日本の経済成長は低迷し続け、対ドルだけでなく、各国通貨に対して円安傾向が進んでいます。アメリカの不動産に投資することは「ドルで取引する」ことに等しく、日本円の通貨安は影響しません。
ドル建てで資産を保有することになるため、円安傾向の昨今においては、むしろドル建ての方がプラスに働きやすいのです。
後述する「資産の分散」にも関連しますが、円安対策として投資妙味があることを押さえておきましょう。
メリット②:資産の分散ができる
二つ目メリットは「資産の分散ができる」ことです。国内株式や債券、不動産への投資は「対日本(円)」の資産を保有します。
アメリカ不動産への投資は資産の分散保有につながり、日本で有事の際が起きたときなどのリスク分散になるのです。
投資の格言に「卵をひとつのカゴに盛るな」があります。日本の投資対象に資本を集中させると、万が一の際に資産を大きく減らしてしまう可能性も。
資産運用において分散投資はもはや鉄則。国内株式等以外の選択肢として、アメリカ不動産に分散投資するのもおすすめです。
メリット③:外国人投資家への規制がない
アメリカ不動産への投資は、外国人の投資家に対する規制がないため、日本人でも土地を所有できる点もメリットのひとつです。
発展途上国を中心に、対外国人向けの不動産の所有に対する規制が存在します。
たとえば、国やエリアによっては最低物件価格が決まっている一方で、アメリカ国内は不動産の価格に関する価格の規制はありません。
アメリカ不動産であれば国内不動産と同じように投資でき、将来的にも外国人投資家に対して規制がかかるリスクは少ない見込みです。
メリット④:他の国に比べて融資を受けやすい
アメリカは他国に比べて融資を受けやすいため、不動産に投資しやすいというメリットもあります。
国内には、不動産投資に関して融資を受け付けている金融機関が複数存在。発展途上国の場合は金融機関が限られるため、全額を自己投資で投資することを視野に入れる必要があるのです。
メガバンクで融資を受けるのが、借入条件は最も有利になります。しかしメガバンク以外にも、地銀やモーゲージ会社、機関投資家などからも融資を受けられます。
アメリカ不動産への投資は、他国に比べて融資を受けやすいという観点からもハードルが低いのです。
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アメリカの不動産投資のデメリット
アメリカの不動産に対する投資はメリットだけでなく、以下3つのデメリットがあります。
・まとまった現金が必要
・コミュニケーションが大変
・費用が高い
デメリット①:まとまった現金が必要
アメリカ不動産は他国に比べて融資を受けやすいというメリットがあるものの、投資するにはまとまった現金が必要です。一般的な融資比率は50%ほどとされています。
そのため、もし物件価格が2,000万円で融資比率が50%の場合は、融資を受けられても最高で1,000万円ほどです。つまり、自己資金(現金)として1,000万円用意する必要があります。
まとまった現金が必要という点でアメリカの不動産投資はハードルが高くなるため、その点はデメリットのひとつです。
デメリット②:コミュニケーションが大変(時差)
海外の不動産を売買するため、コミュニケーションのハードルも高いといわざるを得ません。日本との時差は、13時間から16時間ほど。
行動の時間帯が逆転するため、スムーズなコミュニケーションは取りづらく、トラブルなどに対して迅速に対応することも難しいでしょう。
日常の管理業務は管理会社に委託するものの、日本における管理業務と同水準のサービスを受けられるとは限りません。
物理的な距離が離れていることでコミュニケーションが大変になってしまうのは、アメリカに限らず海外の不動産に対する投資特有のデメリットといえるでしょう。
デメリット③:費用が高い
そもそもアメリカの不動産価格は高めの傾向にあり、エリアによっては日本と同じような物件価格の場合も。
気候が安定しており人気の高いハワイ州やカリフォルニア州の物件価格は、テキサス州などに比べて2〜3倍ほどの高値で取引されます。
テキサス州における物件価格の中央値が約20万ドル、家賃の中央値が約1,100ドルです。
物件価格の開きに比べて家賃中央値の開きは1.5倍ほどなので、物件価格が高いエリアの場合は相対的に利回りが下がるという点も押さえておきましょう。
国内の不動産投資との違いや注意点
アメリカ不動産に投資するメリット・デメリットを踏まえ、国内の不動産投資との違いや注意点も確認しておきましょう。具体的には、以下の3点に注意が必要です。
・言語や考え方の違い
・生活習慣の違い
・為替の変動
注意点①:言語や考え方の違い
国内であれば言語の壁はありませんが、アメリカの場合は英語でやりとりしなければなりません。時差の問題でコミュニケーションをとりづらい以上に、言語の違いにも注意しましょう。
そのほかにも、不動産(住宅)に対する考え方も異なります。日本国内の場合は新築至上主義で、中古住宅は活発に取引されていません。日本の場合は「一戸建て=一生住み続けるもの」ですが、アメリカは違います。
アメリカの持家平均所有年数は5〜8年とされており、ライフステージに応じて住み替えるのが当たり前。しかも、新築住宅市場よりも中古不動産市場の方が活発で、市場規模も大きいという特徴があります。
不動産に対する考え方が日本とアメリカで異なるため、物件情報の良し悪しを判断する際は気をつけましょう。
注意点②:生活習慣の違い
両国の不動産を比較すると、生活習慣の違いにより、物件に求められる条件も異なります。
そもそも日本とアメリカで土地の面積が大きく異なるため、アメリカでは「大きなガレージ」「広い庭」が人気です。そのほかにも、バスルーム付きの部屋である「マスタールーム」のある物件も人気。
両国の生活習慣の違いを知ることで、アメリカにおいて求められる物件の条件を理解できます。日本人が求める基準ではなく、あくまで現地の基準で不動産を判断しましょう。
注意点③:為替の変動
日本国内の不動産は円で売買しますが、アメリカの場合はドルで売買します。ドルと円の為替相場は日々変動し、2022年は総じて円安が進んだためドルの価値は大きく上昇しました。
円安ドル高の状態ならアメリカ不動産への投資妙味がありますが、為替は常に安定するものではありません。自国通貨以外で投資をする以上、為替変動のリスクはつきものです。
不動産投資は短期売買で利益を出すものではなく、長期的に見てリターンを得るのが一般的。価格差だけでなく、為替の変動にも注意しましょう。
まとめ
アメリカの不動産に対する投資は、他国と比べて投資ハードルが低く、円以外の資産・投資アセットを持つという意味でリスクを分散できます。
しかし、まとまった自己資金が必要で、コミュニケーションの取りづらさや物件価格自体の高さは予め理解しておきましょう。
そのほかにも、日本とアメリカでは不動産への考え方も異なります。アメリカは中古物件の市場規模が大きく、築年数が経過していても状態次第で高い資産価値を保つ物件も。
日本にはない物件に対する判断基準があるため、生活習慣の理解も必要不可欠です。
あらゆる投資にはメリット・デメリットがあり、リスクの範囲内で投資するのが大原則。本記事を通じ、アメリカの不動産に対する投資理解が進めば幸いです。
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