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マンション経営は相続税対策になる?2つの節税方法や相続時の準備を解説

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「マンション経営をしている親からマンションを相続された」「いつかは経営しているマンションを子供に相続する予定だ」という方も多いのではないでしょうか。

マンションを相続する際には「相続税」が発生しますが、マンションを建て、経営することは相続税対策になるといわれています。

本記事では、マンション経営における2つの節税方法を解説しています。

また実際に相続する時の注意点や流れも紹介しているので、マンション経営をしている方やマンションの相続で悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

 

マンション経営は相続税対策になるが注意が必要

マンション経営は相続税対策になるといわれていますが、注意が必要です。

まずはマンションの相続税について解説します。

一般的に相続税は、相続する対象物(現金や不動産)の評価額の10〜55%とされています。

土地や建物は現金に比べて評価額が低くなるため、相続税対策になる場合があります。
評価額が低くなる理由は、相続時の不動産の評価は「路線価」によってされるためです。

路線価は時価の7〜8割とされています。

さらに、土地に建物を建て賃貸物件として貸し出すと、より評価額が下がります。

例えば、現金1億円を相続するとき、現金のまま相続すると時価1億円の10〜55%が相続税として徴収されます。

しかし1億円で土地を購入し、相続した場合には、評価は路線価でされるため、相続税は7,000〜8,000万円の10〜55%です。その土地にマンションを建て、賃貸物件として貸し出すと、自己物件に比べて自由に活用できる自由度がさがるため、さらに評価額が下がります。

しかし、相続税を減らすことを意図して不動産を購入し、課税の公平に反していると判断されると、追徴課税の対象になることも。

実際に、路線価と時価の評価に大きく差が出た相続に対し、相続税を避けるため意図的に不動産を購入したとして、追徴課税された判例もあります。

過度な節税を控えて、残された相続人が大変な思いをしないよう、正しい相続税対策をしましょう。

【関連記事】マンション経営で節税する仕組みは?対象となる税金をわかりやすく解説


マンション経営で相続税を節税する方法

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マンション経営は、場合によって資産価値が高くなるので相続税が重くなることもあります。

そういった時に、どうすれば相続税を節税できるのか、方法は以下の2つです。

1.生前贈与をする
2.マンション経営を法人化する

いき過ぎた節税対策をしないためにも、事前に正しい知識を身につけておきましょう。


方法①:生前贈与をする

マンション経営において、相続ではなく生前贈与をすると節税できる可能性があります。

生前贈与にも「贈与税」がかかりますが、贈与税には下記の2種類の課税方法があります。

1.暦年課税
2.相続時精算課税

どちらにするかは自由に選べますが、選んだあとの変更はできないので注意してください。

暦年課税と相続時精算課税には贈与者・受贈者の限定や、申告の仕方など違いがありますが、ここでは税率に着目してそれぞれの課税方法を説明します。


暦年課税

まずは、暦年課税です。

1月1日から12月31日までの間に受けた贈与の財産の価額を計算します。

次に合計額から基礎控除額110万円を差し引きましょう。

差し引いた金額に下記表の税率をかけて、控除額を出します。

ただし、贈与を受ける人が成人で、贈与する人が直系尊属(父母や祖父母)の場合、税率が若干低くなる特例贈与に当たるので注意してください。

それ以外は一般贈与になります。

一般贈与 特例贈与
控除後の課税価格 税率(%) 控除額(万円) 税率(%) 控除額(万円)
200万以下 10 10
300万以下 15 10 15 10
400万以下 20 25 15 30
600万以下 30 65 20 90
1,000万以下 40 125 30 190
1,500万以下 45 175 40 265
3,000万以下 50 250 45 415

引用元:国税庁|令和4年No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)


相続時精算課税

相続時精算課税は、贈与財産合計の価額から特別控除額の2,500万円を差し引きます。

残りの金額に一律20%をかけた金額が贈与税になります。

たとえば、5,000万円と評価されたアパートを相続時精算課税で贈与をするときの贈与税は下記の通りです。

(5,000万円-2,500万)× 20%=500万円

そして相続する際に相続税から500万円を差し引いて計算します。

贈与税は、暦年課税、相続時精算課税どちらでも自由に選べますが、マンション経営を相続する際は相続時精算課税の方が節税できるケースが多い傾向にあります。

引用元:国税庁|令和4年参考 相続時精算課税制度のあらまし


方法②:マンション経営を法人化する

マンション経営における節税では、マンション経営自体を法人化する方法もあります。

相続税だけでなく、所得税も節税できる可能性がある法人化ですが、個人の所得が1,000万円以上の場合に適しているといわれています。

法人化すると法人税が適用され、所得税が8%減るので、所得税の節税にもなるのです。

また、法人所有の物件には相続税がかかりませんが、物件を所有する法人の株式などには相続税がかかるので注意してください。

【関連記事】アパート経営を法人化するメリット・デメリットやタイミングを解説


マンション経営を相続する時に対応すること

それでは実際にマンション経営を相続する際にやるべきことを説明します。

相続において、手順を間違えると大幅な損失や手間のかかる手続きが増えてしまうため事前に確認しておきましょう。

手続きの流れは次の通りです。

・ローンの確認
・所有者の決定
・名義変更
・賃借人に連絡
・アパート経営の継続について検討

それでは詳しく説明していきます。


対応①:ローンの確認

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相続の際、最初に確認することは、ローンの有無や残債です。

団体信用生命保険に加入していれば、本人が亡くなった際にローンは全額返済されますが、団体信用生命保険に加入していない場合もあります。

マンション経営を相続する際に、ローンがあればそれも一緒に相続となるので、残債の有無や金額などをしっかりと確認し、遺産分割協議をしましょう。


対応②:所有者の決定

相続人が複数人いる場合は、遺産分割協議により財産分与をします。

現金であれば、分割は簡単ですが、土地や建物といった不動産は簡単に等分ができないため、協議が難航しがちです。

前もって遺言書やほかの財産も確認しておくと、協議がスムーズにできます。協議で所有者が決定したら、速やかにローンを組んでいる銀行に連絡をしてください。

連絡をしないとローンも一緒に相続・分割されてしまうため注意しましょう。


対応③:名義変更

所有者が決定したら、マンションの名義を相続を受ける人へ変更します。

これを「相続登記」といいます。

相続において、いつトラブルが発生するかわかりません。

急に相続人が増える可能性もあるので、協議により所有者が決定したら、速やかに相続登記を行いましょう。

相続登記は法務局への申請が必要なので、注意してください。


対応④:賃借人に連絡

マンション経営を相続した場合、賃借人にとっては大家が変わるということになります。

トラブルがあった際に対応が必要になるため、可能であれば相続が発生した際に速やかに賃借人へ通達することが望ましいでしょう。

その後、新たな所有者が挨拶回りをすると、トラブルが起きにくくなります。もし、賃料を直接大家の口座振込等にしている場合は、その変更も忘れずに行ってください。


対応⑤:マンション経営の継続について検討

マンション経営を相続したからといって、必ずそのまま経営を引き継がないといけないわけではありません。

資金繰りが難しい物件や、マンション経営をする自信がないときは、売却するのも1つの手です。

ただし、賃借人がいる場合は、一方の都合のみで決定はできないので、しっかりと下調べを行ってから経営存続するかを判断しましょう。


マンション経営を相続した時の注意点

マンション経営を相続した場合には次の3点に注意してください。

1.銀行に申し出を忘れない
2.共有名義にしない
3.保証人は負債を放棄できない


注意点①:銀行に申し出を忘れない

1つめは銀行に申し出を忘れないということです。

マンションを相続する際には、ローンも一緒に相続することになります。

民法では、債務の相続は法定相続分通りにされることになっているため、マンションを相続しなかった人にもローンが相続されてしまう可能性があります。

相続登記を行っても、銀行のローンとは連動していないので、ローンを組んでいる銀行への申し出が必須です。


注意点②:共有名義にしない

2つめは複数人で相続を受ける場合に共有名義にしないことです。

相続は平等にしたいといって兄弟や親族で不動産を共有名義を選ぶ方もいるでしょう。しかし、共有名義にすると、次のようなデメリットがあります。

・権利関係が複雑化する
・マンション経営に関する決め事は共有者で話し合い必須
・売却には共有者全員の同意が必要

上記のように、何かを決めるためには共有者同士の話し合いが必須になります。

デメリットを理解し、共有名義にするかどうかを検討しましょう。


注意点③:保証人は負債を放棄できない

3つめは、保証人は負債を放棄できないということです。

相続をする人がローンを組んだ際に、相続を受ける人が保証人になっている可能性もあります。

その場合、相続を放棄しても保証人としての債務は放棄できないので注意してください。


まとめ

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マンション経営は相続税対策になる場合もありますが、追徴課税になるケースも判例ででているため、注意が必要です。

節税方法としては、以下の2つがあげられます。

1.生前贈与をする
2.マンション経営を法人化する

実際にマンション経営を相続した後の流れは以下の通りです。

・ローンの確認
・所有者の決定
・名義変更
・賃借人に連絡
・アパート経営の継続について検討

相続後は速やかに相続登記や賃借人への通知を行いましょう。

マンション経営を相続するにあたり、様々な知識が必要になります。

相続する側も相続を受ける側もプラスになるように、正しい知識を持っておくことが必要です。

オンラインセミナーも随時開催しておりますので、スケジュールについては弊社ホームページ
セミナー情報」よりご確認ください。


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不動産投資による節税は物件などの条件により効果が異なります。節税を目的とした投資をする際は専門家のサポートを受けながら行いましょう。

この記事の監修者

西尾 陽平
西尾 陽平
役職
土地活用事業部 執行役員
保有資格
資産形成シニアコンサルタント、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後同社へ入社し、地主さんの土地活用という資産形成や節税を実践で学び、現在は土地のない方へ、土地から紹介し不動産の資産形成の一助を行っている。実践の中で身に付いた視点で、分かりやすく皆様に不動産投資のあれこれをお伝えしています。