マンション経営のローンの種類や審査基準、審査を通過するポイントを解説

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マンション経営をしたいけれど資金が足りない場合、金融機関のローンを検討する人も多いのではないでしょうか。

ローンを利用し投資用物件を購入することで、少ない資金でも資産形成や資産運用を始められます。

マンション経営のローンの種類は複数あり、金融機関によって審査基準や審査を通過するポイントはさまざまです。

本記事では、

・マンション経営のローンの種類
・審査基準
・審査を通過するポイント

をそれぞれ解説します。

マンション経営を始めるうえで重要なプロセスなので、ぜひ参考にしてください。

 



マンション経営に必要なローンとは?

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マンション経営をするために融資を受けたい場合、「アパートマンションローン」が利用できます。

アパートマンションローンとは、その名の通り、アパートやマンションなどの投資用物件の購入に適用されるローンのことです。

少ない自己資金でマンション経営が始められる魅力的なプランである一方、住宅ローンと比べて金利が高く、借入条件が厳しい傾向があります。
アパートマンションローンと住宅ローンは考え方や審査基準が大きく異なります。

マンション経営を検討している人にとって必要不可欠な知識なので、把握しておきましょう。


アパートマンションローン

アパートマンションローンは、都市銀行・地方銀行・信用金庫・ノンバンクといった金融機関が提供しています。

借入額や金利、借入期間等は金融機関によって異なるため、複数を検討し、好条件の金融機関を探すことが大切です。

融資金はアパートの購入だけでなく、リノベーションや建築費用にあてることも可能です。


マンション経営のローンと住宅ローンの違い

アパートマンションローンと住宅ローンの違いは、おもに以下の通りです。

・物件の利用目的
・金利
・借入期間
・融資額など

居住用の物件には「住宅ローン」、マンション経営するための不動産投資用物件には「アパートマンションローン」がそれぞれ適用されます。

アパートマンションローンは、住宅ローンに比べて回収リスクが大きい融資のため、金利が高く返済期間も短く設定されています。
さらに、住宅ローンよりも条件が厳しく金利も高いことが特徴です。

最高融資額にも違いがあります。
一般的に住宅ローンの融資額は、年収の6倍〜7倍程度なのに対し、アパートマンションローンでは、年収の10倍以上の融資を受けることが可能な場合もあるのです。


マンション経営のローン4種類

マンション経営のローンには、以下の4種類があります。

1.都市銀行
2.地方銀行
3.信用金庫・信用組合
4.ノンバンク

基本的に審査基準は低金利である程厳しくなる傾向ではありますが、それぞれ金利の設定や審査基準は異なります。
自分にとって相性が良く、好条件な金融機関から検討していきましょう。


種類①:都市銀行

審査基準は厳しいですが、好条件なのでまず挑戦したい金融機関です。

金利相場 1% 程度
特徴 ・最も金利が低い
・属性の高さが重要(年収目安は700万円以上)
・不動産投資の実績がないと難しい
・審査に時間がかかる

一口に都市銀行といっても、銀行によって審査基準は異なります。
各銀行の情報を集め、自分にとって有利な銀行に挑戦しましょう。


種類②:地方銀行

都市銀行の次に金利が低く、都市銀行ほど審査基準が厳しくない金融機関です。

金利相場 1%〜4% 程度
特徴 ・都市銀行ほど厳しくない
・都市銀行の次に金利が低い
・エリアが限定的な可能性もある
・不動産投資ローンに力を入れている地域とそうでない地域によって条件が異なる
・年収目安は500万円以上

融資を受けられるエリアが支店の近隣に限られていたり、融資額の上限が決められていたりする場合があります。

条件が合えば、積極的に検討したい金融機関です。


種類③:信用金庫・信用組合

地方銀行よりもさらに、地域密着型の金融機関です。
審査基準は緩めですが、融資額の上限が低い傾向にあります。

金利相場 1%〜4% 程度
特徴 ・地方銀行よりも地域密着型
・金利が低め
・融資を受けられるエリアは支店の近隣に限定されている
・勤務先や自宅がエリア内かの制限がある可能性もあり
・年収の審査基準が300万円以上のケースもあり現実的

地域に根ざした不動産経営を考えているのなら、検討したい金融機関です。


種類④:ノンバンク

ノンバンクとは、融資専門の金融機関のことを指します。
他の金融機関より審査基準は低く通りやすいですが、金利が高く設定されています。

金利相場 1%〜5%程度
特徴 ・融資が通りやすい
・審査のスピードが早く柔軟性な対応力がある
・金利設定が高め
・物件価格の90%程の借入が可能な場合もある
・さまざまな提携先がある

ノンバンクはさまざまな提携先があることも特徴です。
投資用物件を取り扱う企業と提携している場合、物件の担保評価が高くなり、購入価格に対して100%の融資を受けられる可能性もあります。

エリア制限がなく、資産価値の低い築古物件でも融資を受けられるなど、柔軟な対応力は魅力的でしょう。

他の金融機関のアパートマンションローンが利用できない場合や、相談元の不動産投資会社や不動産と提携している場合に検討したい金融機関です。


マンション経営のローンの審査基準4つ

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マンション経営のローンの審査基準はおもに4つあります。

1.融資を受ける人の属性
2.資産価値
3.収益性
4.収益シミュレーション

審査前にしっかりと確認しておきましょう。


審査基準①:融資を受ける人の属性


空室リスクがあっても返済可能なのか見極めるため、融資を受ける人の属性を重要視します。

おもに、勤務先・勤続年数・年収・既存借入額・年齢・家族構成などの要素が審査基準となるでしょう。

年収は金額よりも、長期的に安定して返済可能なのかを調査する傾向にあります。 たとえば、年収の高い個人事業主よりも、年収はやや低い公務員や大企業務めなど、安定した職業のほうが有利になります。

また、本業以外の収入や過去に経営実績があれば、属性を上げられる可能性もあるでしょう。

審査を受ける前に、自分の属性を上げるにはどうすればいいのか自己分析をしたり、不動産投資会社や金融機関と相談したりしましょう。


審査基準②:資産価値

物件の資産価値も重要な審査基準です。

たとえば、再建築不可に指定された物件はローンが下りないことも少なくありません。
再建築不可物件とは、現在の建築基準法の条件を満たさない物件のことを指します。
狭い道路にしか接していない物件や、土地が道路に面していない物件は注意しましょう。

また、立地のよい新築に比べると、利便性の悪い中古物件も資産価値は低く、ローンの審査が厳しい要因になります。

これらの判断は素人には難しいため、建築士や住宅診断士などの専門家に相談することをおすすめします。


審査基準③:収益性

基本的には家賃収入でローンを返済するため、収益性に信用があるかは大事な要素です。

収益性の評価基準は金融機関によって異なりますが、きちんと収益が得られる物件なのか、立地・周辺相場・入居率相場などから総合的に判断されます。

収益性の簡単な判断の1つに、表面利回りを計算する方法があります。
表面利回りとは、物件価格に対する年間家賃収入の表面的な収益性を現す数値のことで、計算方法は以下の通りです。

「(年間家賃収入÷物件価格)×100」

たとえば、3,000万円の物件の年間家賃収入が300万円なら表面利回りは10%となります。

資産価値が低いと判断された物件でも、値段が安いことからマンション経営としての利回りは高くなる可能性もあります。

投資用物件の特徴を活かし、収益性を高める施策を練ることが重要です。


審査基準④:収益シミュレーション

実現可能な収益シミュレーションがあるのかも重要な審査基準です。

収益シミュレーションは、利回り・税金・空室率・返済比率・返済後利回りなどを含めて総合的に審査されます。

空室が発生した際の対応方法や、家賃相場が下がった際の施策など、万が一のリスクへの対処方法について質問される場合もあるため、事前の準備は欠かせません。

不動産投資会社やファイナンシャルプランナーと、現実的で具体的なシミュレーションを作成しましょう。

【関連記事】アパート経営の年収はいくら?収入・支出の内訳と年収を増やす方法は?


マンション経営ローンの審査を通過するポイント

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アパートマンションローンの審査を通過するには、以下の3つがポイントです。

1.事業収支計画表をきちんと作る
2.自分にあった金融機関を見つける
3.複数の金融機関に交渉する

自分の属性や物件を分析し、複数の金融機関に挑戦しましょう。

どの金融機関に対しても、現実的な収益性や返済計画をアピールすることが審査を通過するうえで必須です。


ポイント①:事業収支計画表をきちんと作る

事業収支計画表をしっかりと作ることは、アパートマンションローンの審査を通過するうえで大切なポイントです。

事業収支計画表とは、マンション経営のスタート時から長期的な物件の事業収支をまとめたものです。

金融機関は物件の収益性や資産価値はもちろんのこと、オーナーが長期的に安定して返済できる計画立てをしているのかも判断基準にします。

事業収支計画表には、おもに以下の内容を記載します。

・賃貸経営の収支見込み
・ローンの返済額
・返済期間

現実的で長期的なシミュレーションが大切なので、不動産投資会社やファイナンシャルプランナーに相談しながら作成するといいでしょう。


ポイント②:自分にあった金融機関を見つける

自分の属性にあった金融機関を見つけることも重要なポイントです。

審査の基準や重要視をするポイントは金融機関によって異なります。
審査を受ける前に自己分析をし、自分にとって有利になる金融機関を選びましょう。

審査を通過するためには、熱意や信頼、誠実な態度も重要です。
面接でそれらをしっかりと伝えられるよう、基本的な不動産やファイナンシャルの知識は把握しておく必要があるでしょう。

自分の判断のみで金融機関やプランの選定が難しい場合は、信頼できる不動産投資会社やファイナンシャルプランナーから適切なアドバイスを受けることも視野にいれましょう。


ポイント③:複数の金融機関に交渉する

1つの金融機関だけでなく、複数の金融機関に交渉しましょう。

自分にとって最適な金融機関でも、審査が通らない可能性もあります。
柔軟に対応できるよう、複数の金融機関を視野にいれて計画立てをしましょう。


まとめ

マンション経営に必要なアパートマンションローンについて解説しました。

金融機関によって審査基準や金利、借入条件はさまざまです。
ローン審査に通過するためには、自分の利用したい金融機関の特徴を理解することはもちろんのこと、自分の属性を上げるための自己分析や現実的な事業終始計画表を立てることが重要です。

融資を受けることはマンション経営をスタートさせる大きな一歩です。

自己判断が難しい場合は、不動産投資会社やファイナンシャルプランナーなどに相談することも検討しましょう。


オンラインセミナーも随時開催しておりますので、スケジュールについては弊社ホームページ
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【関連記事】アパート経営にかかる資金はいくら?諸費用の内訳や自己資金の目安を解説

この記事の監修者

西尾 陽平
西尾 陽平
役職
土地活用事業部 執行役員
保有資格
資産形成シニアコンサルタント、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後同社へ入社し、地主さんの土地活用という資産形成や節税を実践で学び、現在は土地のない方へ、土地から紹介し不動産の資産形成の一助を行っている。実践の中で身に付いた視点で、分かりやすく皆様に不動産投資のあれこれをお伝えしています。