不動産投資でリフォームすべきタイミングとは?場所別の費用や注意点も解説

不動産投資でリフォームすべきタイミングとは?場所別の費用や注意点も解説

不動産投資において、リフォーム・リノベーションは避けられない支出です。
不動産のオーナーとして修繕することは必須ですが、重要なのはそのタイミングです。
タイミングを間違えると、支出が多くなり損をしてしまうことがあります。

この記事では不動産投資でリフォームすべきタイミングや、場所別の費用を解説します。
予算の計算方法やリフォームの流れはもちろん、コツや注意点もあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

57c8166fb052ac107fd26b58a5e5c618.png

 

不動産投資でリフォームすべきベストなタイミング

賃貸物件をリフォームすべきベストなタイミングは以下の3つです。

  1. 入居者の要望が増えたとき
  2. 退去者が出たとき
  3. 設備の保証期間が終わるとき

タイミングを見極めて、不動産に必要なリフォームをしましょう。

築年数が経っている投資物件の取り扱い方に関して詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

【関連記事】築古アパートのメリット・デメリットとは?築浅との違いや失敗しないコツも

 

タイミング①:入居者の要望が増えたとき

入居者の要望が増えたときは、リフォームをする絶好のタイミングです。
アパートやマンションの入居期間が長くなると、以下のような修繕が必要となるケースが少なくありません。

小さな修繕 大きな修繕
・パッキン取替
・網戸張替
・照明取替
・シャワーヘッド取替
・便座取替
・配管工事
・屋上防水
・外壁塗装
・設備入替、新規搬入(ガス衣類乾燥機、給湯器など)

上記のほとんどは入居中に水漏れや電球切れといった不具合が起きて必須となる修繕ですが、大きな修繕の新規設備搬入などは入居者の希望で行うことがあります。
小さな修繕に関しては日常生活に支障をきたす不具合なので、早期に業者を手配しましょう。

大きな修繕に関しては、例えば一部屋の入居者からのみの要望であれば優先度は低くなります。
しかし、多くの入居者から要望が出た場合、退去者が増えてしまう可能性があります。

入居者との信頼関係も構築・維持するためにも、要望が増えたタイミングにはリフォームを積極的に検討しましょう。

 

タイミング②:退去者が出たとき

以下のように入居者がいるときの実施が難しいリフォームは、退去者が出たタイミングで実施するのが一般的です。

  • ガス衣類乾燥機の設置
  • コンロの設置
  • 床の張替えやワックス剝離
  • 間取りの変更を伴うリノベーション

申込希望が入るように、リフォームだけでなくリノベーションをしても良いでしょう。

長く住んだ入居者が退去する際には、原状回復に金額がかかる可能性もあるため、注意が必要です。
入居期間が短い場合でも、使い方が悪いと多くの修繕を必要とすることもあります。
退去者が出たタイミングで室内を確認し、どこまで原状回復するか、次期申込者のためにどの程度リノベーションするかをきちんと検討しましょう。

 

タイミング③:設備の保証期間が終わるとき

設備の保証期間が終わるときも、リフォームの良いタイミングです。
設備というのは賃貸物件に入れている、下記のような大型設備を指します。

  • キッチン
  • ユニットバス
  • トイレ
  • 給湯器
  • ガス衣類乾燥機

大型設備の保証期間は、ほとんどが10年や20年で設定されています。
そのため、保証期間が終わる前に修繕を実施すると、無駄な修繕費用を払わずに済みます。
物件に入れている設備の保証期間を把握し、適切なタイミングでリフォームしましょう。

物件の選び方について復習したい方は下記の関連記事をご覧ください。

【関連記事】不動産投資における物件の探し方ガイド!着目したい条件やポイントも解説

 

不動産投資の物件をリフォームする際にかかる費用

リフォームは場所や内容によって金額に差が出ますが、大まかな金額は下記のとおりです。

場所 金額(円)
水回り 30万~150万
居室 15万~60万
内装 6万~30万
構造・外装 20万~300万
その他外構 100万~200万

それぞれ詳しく見ていきましょう。

引用元:国土交通省|リフォームの内容と価格について

 

費用①:水回り系

水回りのリフォーム内容と金額は、下表の通りです。

価格帯(万円) リフォーム内容の例
0~20 ・水栓パッキン取替
・シングルレバー水栓へ変更
・温水洗浄便座設置
・バスタブ取替
20~50 ・独立洗面台交換
・トイレ(便器)交換
・IHコンロへ変更
・ガス給湯器取替
50~100 ・洗面所の改築
・システムキッチン交換
・システムバス交換(マンション)
100~300 ・システムキッチン交換(背面→対面)
・システムバス交換(戸建て)
・オール電化へ変更
・高効率給湯システムへ変更
300~500 ・アイランドキッチン取付

耐用年数や保証期間は設備によってさまざまですが、おおよそ10年〜20年が相場です。
大きな設備の取替や導入は金額がかさむため、あらかじめ予算を組んでおくと良いでしょう。

 

費用②:居室系

居室系のリフォーム内容と金額は、下表の通りです。

価格帯(万円) リフォーム内容の例
0~20 ・畳の表替え
・畳→フローリングに変更
・クロスの張替え
・段差解消
20~50 ・壁の材質変更(クロス→珪藻土)
50~100 ・間取りの変更
・床暖房追加
・バリアフリー仕様に変更
100~300 ・ダイニングの間取り変更
(収納棚追加、キッチン場所変更など)
300~500 ・ホームシアター設置

クロスは素材によって価格はさまざまで、1㎡あたりの単価にも違いがあります。

また、和室を洋間にする、3DKを2LDKに変更するなど間取りにかかわるリフォームは、高額になることがほとんどです。
需要に合わせてリフォームできるよう、流行りの間取りをチェックするとともに予算を準備しておきましょう。

 

費用③:その他内装

居室系に含まれない内装の設備にも、下表のような費用が掛かります。

価格帯(万円) リフォーム内容の例
0~20 ・火災報知器取付
・モニターホンの設置
・手すりの設置
20~50 ・廊下の改修
(床張り替えや研磨など)
50~100 ・階段の改修
・バルコニーの改修

古い建物の場合、火災報知器がついていない場合もあります。
火災報知器の設置は現在では義務付けられているため、消防点検を定期的に行い、きちんと作動するかを確認しましょう。

また、廊下やバルコニーの改修も築年数が経過するにつれて必要となる工事です。
改修工事が必要になったときにできるよう、しっかりと費用の積み立てをしておくことが大切です。

 

費用④:構造・外装系

構造・外装系のリフォーム内容と金額は、下表の通りです。

価格帯(万円) リフォーム内容の例
0~20 ・雨どいの交換
・集合ポストの設置
・宅配ボックスの設置
20~50 ・スレート屋根塗り替え
・シロアリ防止処理(戸建て)
50~100 ・外壁塗装、屋上防水
・耐震補強
・シャッター式雨戸の設置
・サイディング上塗り(戸建て)
100~300 ・瓦屋根交換(戸建て)
・玄関改修
・耐震補強(基礎から)
300~500 ・躯体以外の全面リフォーム
・増築、減築
・二世帯住宅に変更
・古民家再生

外装に含まれる集合ポストや宅配ボックスの設置は、大幅な工事よりも安価に行えるリフォームです。
特に、近年共働き家庭が増えたことにより、宅配ボックスの需要が高まっています。
空室に悩まされている方は、宅配ボックスや集合ポストの設置も視野に入れると良いでしょう。

 

費用⑤:その他外構

その他外構工事の費用は、下表の通りです。

価格帯(万円) リフォーム内容の例
20~50 ・ウッドデッキの新設
・太陽光温水システム(戸建て)
100~300 ・太陽用発電システム(戸建て)

太陽光システムは近年流行りの大型設備ですが、物件の立地などによって向き不向きがあります。
物件に必要な費用かどうか判断し、設置を検討しましょう。

 

不動産投資の物件で優先的にリフォームすべき場所

物件のリフォームは、基本的には下記の順番で優先的にリフォームしましょう。

  1. 壊れた場所
  2. 耐用年数が過ぎた場所
  3. 不具合の多い場所
  4. 需要がある場所

壊れたままにしておくと他の設備や近くの場所にも不具合が広がり、さらに費用がかさんでしまいます。

特に、水回りは配管の水漏れなどによって物件自体の劣化にもつながるため、迅速にリフォーム手配をすることが大切です。
積み立て費用に余裕があるときには、不具合の多い場所もまとめて直すと将来的な支出を抑えられます。

また、入居者の要望をすべて受け入れることは難しいものの、投資においてプラスの要素になる設備、かつ予算に余裕がある場合はリフォームすると良いでしょう。

なお、弊社ゴールドトラストでは、賃貸経営に必要な種々の業務をサポートしております。
リフォームの検討を含め、プロの支援を受けて不動産投資を成功させたい方は、「賃貸マンションアパート(一棟買い):トチプラス」からぜひご相談ください。

 

不動産投資のリフォーム費用として組む予算の目安

投資物件として運用している場合、リフォームに多く予算を割くと利益が出ず、投資物件として成り立たなくなってしまいます。
リフォームの費用対効果がきちんと出るよう、利回りも考慮しながら予算を組むことが大切です。
具体的な計算方法は、以下の2つです。

費用回収メインの計算式 費用回収期間
=リフォーム費用 ÷ 家賃
利回りメインの計算式 リフォームの利回り
=(実施後の家賃収入-実施前の家賃収入)×12か月÷リフォーム費用

例えば、家賃が5万円で6か月で費用を回収したい場合、リフォーム費用の目安は30万円と算出できます。

費用回収期間=リフォーム費用 ÷ 家賃

6か月=x÷5万円
6か月×5万円=x
x=30万円

また、年間のリフォーム利回りを10%とし、実施後に家賃を5,000円上げるとするなら、費用の目安は60万円です。

リフォームの利回り=(実施後の家賃収入-実施前の家賃収入)÷リフォーム費用

10%=(5万円5,000円-5万円)×12か月÷x
0.1=5,000円×12か月÷x
0.1=6万円÷x
0.1x=6万円
x=6万円÷0.1
x=60万円

回収期間と利回り、どちらに重きを置くかを検討し、予算を決めましょう。

 

不動産投資におけるリフォームの流れ

リフォームの流れは、下記のとおりです。

  1. リフォーム後の利回りを計算する
  2. リフォーム箇所の優先順位を決定する
  3. 業者の選定
  4. リフォームに着手

リフォームを行う目的は入居者募集をスムーズに進める、あるいは入居者の退去を減らし、家賃収入を維持することにあります。
そのため、家賃収入とリフォームの予算を検討し、マイナスの収支にならないよう検討しましょう。

利回りの計算後は、予算の範囲内でどの箇所をリフォームするかを考えます。
施工業者は不動産管理会社に紹介してもらうか、ご自身で探すかのどちらかです。
業者によって価格も異なるため、見積もりを取って比べると良いでしょう。

 

不動産投資のリフォーム費用を抑える3つのコツ

リフォーム費用を抑えるコツは、以下の3つです。

  1. 水回りを綺麗にする
  2. 照明を工夫する
  3. 装飾品を活用する

投資物件の場合、収支も視野に入れながらのリフォームになるため、慎重に行うことが大切です。

リフォーム以外にも入居率を上げる方法を知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。

【関連記事】賃貸収入に直結!入居率を上げるコツや計算方法・地域別の平均一覧を解説

 

コツ①:水回りを綺麗にする

間取りや内装がいくら綺麗で便利でも、水回りが汚いと印象は非常に悪くなり、入居希望者は増えません。
水回りを綺麗にする方法は、下表の通りです。

場所 綺麗にする方法
キッチン ・水栓の交換
(シングルレバー水栓にする、古いものを取り替える)
トイレ ・タンクレストイレにする
・便座を取り替える
お風呂場 ・カビや汚れを落とす
・鏡を取り替える
共通 ・水垢や錆をなくす
・排水の臭いがないかチェックする

大規模なリフォームをしなくても、錆びている蛇口を取り替えるだけで第一印象は大きく変わります。
蛇口や水栓の交換であれば、費用は5,000円〜10,000円程度で済みます。
大きなリフォームを検討する前に、まずは清掃をしっかり行い第一印象を良くする努力をしましょう。

空室問題に悩まされている方は、こちらの記事もご覧ください。

【関連記事】空室問題に悩まない!成功するための7つのアイデアとポイント解説

 

コツ②:照明を工夫する

室内の間取りやクロスの張替えなど大きなリフォームはせず、照明を工夫するだけで室内の雰囲気や印象は大きく変わります。

また、ターゲットにする世代に応じて、部屋の明るさや照明の種類を工夫することが大切です。
一般的には暗い部屋より明るい部屋が好まれますが、若い世代には間接照明のようなおしゃれで個性的な照明が人気です。
リモコンでON/OFFができるシーリングライトは、1万円弱で安価に取り替えられます。

まずは安価なリフォームから実践してみるのも、1つの方法です。

 

コツ③:装飾品を活用する

装飾品を活用することで、リフォーム費用の削減につながります。
例えば、以下のような装飾品は実用性があり、ワンポイントでおしゃれに見えるのでおすすめです。

  • 玄関付近の飾り棚
  • レースカーテン
  • 木枠の照明スイッチ

いずれも1万円程度で取り付けができ、おしゃれな部屋という印象を与えられます。
室内の雰囲気に合わせ、装飾品を工夫しましょう。

 

不動産投資の物件をリフォームする際の注意点

最後に、リフォームする際の注意点を3つ紹介します。

  1. 見積もりは複数の会社から取る
  2. 安易にDIYしない
  3. ローンの利用可否を確認する

リフォームの予算や内容も大事ですが、損をしないよう無駄のないリフォームを心がけましょう。

 

注意点①:見積もりは複数の会社から取る

リフォームは、複数の会社から見積もりを取ることが大切です。
1つの会社のみで見積もりを取った場合、相場よりも高い金額で出されていても気づけません。
相見積もりを取ることで、だいたいの相場感もつかめるので今後のリフォームにも役立ちます。

また、相見積もりを取っている旨をリフォーム会社に伝えると、安く見積もりを出してくれる場合もあります。
さまざまなリフォーム会社とやり取りすることでサービスや工期も分かるため、必ず複数の会社から見積もりを取るようにしましょう。

 

注意点②:安易にDIYしない

安易にDIYしないことも、リフォームする際の注意点の1つです。
DIYに慣れていない初心者が行うと、時間がかかってしまったり、失敗してしまったりするケースが多いためです。
材料費だけで済んだとしてもDIYに時間がかかると、その期間の家賃収入がないため、実質損をしている場合もあります。

また、失敗すると結局リフォーム会社に依頼しなければいけないという事態もあり得ます。
DIYをする場合には金銭面と労力が見合うか、完成形がイメージできるかなど慎重に検討したうえで行うようにしましょう。

 

注意点③:ローンの利用可否を確認する

リフォームする際には、ローンの利用可否を確認しておくことも大切です。
特に以下のような大規模なリフォームは、一括での支払いが難しいケースも少なくありません。

  • 外壁塗装
  • 屋上防水
  • 間取り変更

無理して一括で支払いをすると、その後のリフォームができなくなってしまったり、突発的にかかる必要費用が出せなくなったりします。
将来のことも見越して、
リフォーム業者を決定する前にローンや分割払いの可否を確認しておきましょう。

 

まとめ:不動産投資のリフォームは物件の資産性を上げる

不動産投資のリフォームは予算を組み、優先順位を加味したうえで行うことが大切です。
収支や利回りも計算しながら、無理のないリフォームをしましょう。

不動産運用のノウハウを学びながら資産形成したい方は、弊社ゴールドトラストの100億円資産形成倶楽部をご覧ください。
「将来のための投資をしたい」と考えている方は、オンラインセミナーもあわせてチェックしましょう!

57c8166fb052ac107fd26b58a5e5c618.png

【関連記事】中古マンション投資とは?物件の選び方や融資を成功させるコツを解説
【関連記事】中古マンション投資のメリット・デメリットとは?失敗しないためのポイントもあわせて解説
【関連記事】オーナーチェンジマンションとは?初心者におすすめな理由や選び方を解説

この記事の監修者

西尾 陽平
西尾 陽平
役職
土地活用事業部 執行役員
保有資格
資産形成シニアコンサルタント、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後同社へ入社し、地主さんの土地活用という資産形成や節税を実践で学び、現在は土地のない方へ、土地から紹介し不動産の資産形成の一助を行っている。実践の中で身に付いた視点で、分かりやすく皆様に不動産投資のあれこれをお伝えしています。