建築資材の高騰はいつまで?原因や不動産投資家ができる対策も解説
木材をはじめとして建築資材の高騰に関するニュースを耳にする機会も増えており、いつまで続くのか気になる方も多いでしょう。
「いつか下がるだろう」と楽観的に構えるのではなく、今後の投資環境を見通すためにも高騰している理由を正しく理解しておくことが重要です。
本記事では、建築資材が高騰している5つの理由や推移データを紹介します。
2023年以降の予測や不動産投資家ができる3つの対策についても解説するので、参考にしてください。
目次
建築資材高騰の推移をグラフでチェック
国土交通省によれば、2022年と2021年を比較すると鋼材で30〜55%程度、木材では40〜85%程度高騰しているという結果が出ています。
グラフ中の資材分類は、以下の通りです。
- 鋼材・鉄筋材:異形棒鋼(紫)/H形鋼(赤)
- 木材:型枠用合板(黄緑)/管柱杉(緑)
- セメント・コンクリート:セメント(グレー点線)/生コンクリート(青)/コンクリート用砕石(黒)
鋼材や木材の上昇が顕著ですが、生コンクリートやセメントも緩やかに上がっており、今後も高騰が見込まれます。
引用元:国土交通省|2022年最近の建設業を巡る状況について【報告】
建築資材はなぜ高騰している?5つの理由
建築資材が高騰している理由は、以下の5つです。
- ウクライナ情勢
- 原油価格の高騰
- ウッドショック
- アイアンショック
- 円安
それぞれ詳しく見ていきましょう。
理由①:ウクライナ情勢
2022年2月に開始したロシアによるウクライナ侵攻が要因で、木材や鉄鋼などの建築資材が高騰しています。
木材を例に挙げると、ロシアは日本を含む非友好国に対してチップ・丸太・単板の輸出を禁止しました。
しかし、日本の木材は下表のようにロシアからの輸入が多く、その影響を多大に受けています。
種類 | 輸入量にロシアが占める割合(2021年) |
チップ | 8.1% |
丸太 | 4.1% |
単板 | 82% |
「ウッドショックの再燃」ともいわれており、情勢をチェックし続ける必要があるでしょう。
引用元:
・林野庁|ロシアからの木材輸入動向などについて
・林野庁|ロシアによる「非友好国」に対する一部木材輸出禁止について
理由②:原油価格の高騰
建築資材の製造・輸送に必要となる原油価格が高まっており、建築資材の高騰につながっています。
レギュラーガソリンの1リットルあたりの値段は、2023年8月時点で15年ぶりに180円台を突破し、記録的な高値をつけました。
原油価格上昇の主な要因は、以下の3つです。
- ウクライナ情勢
- 円安
- 需要の増加
2021年時点で日本の石油輸入量でロシアが占める割合は全体の3.6%と高くありませんが、世界的にエネルギー価格が上昇している状況が大きく影響しています。
円安やコロナ禍から経済が回復しつつあることで需要も増加しており、原油価格が高騰し続けているのです。
引用元:経済産業省|ロシアを原産地とする原油及び石油製品の輸入について
理由③:ウッドショック
前述でも触れたように、「ウッドショック」の発生も建築資材の価格高騰に影響しています。
主な原因は、新型コロナウイルスの流行によって引き起こされた以下のような現象です。
- リモートワークが普及して海外では郊外に転居する流れが起こり、建築資材の需要が増加した
- カナダで木材を伐採する労働者が減少した
- ネットショッピングの利用量が増えて、コンテナが不足した
上記の理由から日本に供給される建築資材の量が減少して、価格が高騰しました。
ウクライナ情勢が建築資材不足に拍車をかけたことにより、ウッドショックが継続・再燃しているという見方が有力となっています。
理由④:アイアンショック
木材の価格が高騰することを「ウッドショック」と呼ぶように、鉄の価格が上昇する現象を「アイアンショック」といいます。
鉄は鉄筋や鉄骨の原材料となり、住宅だけではなく商業施設やビルなど幅広く利用される建築資材です。
コロナ禍では、需要が落ちて鉄の価格も下落しました。
しかし、経済が回復するとともに中国などでの需要が高まったことで価格が高騰しています。
鉄の原材料となる鉄鉱石はほぼ100%を輸入に頼っている状態であり、国内で新たに住宅を建築する際は海外の情勢もこまめに確認する必要があるでしょう。
理由⑤:円安
2022年10月には1ドル151円台後半という32年振りの水準に達し、2023年9月時点でも1ドル140円台後半です。
日本の低金利政策により円安が進んだ結果、輸出製品の価格が高くなり、建築資材も高騰しました。
輸入が大きな割合を占める木材や鉄などは、素材そのものの価格が高騰している上に、円安が進むことでさらに価格が上昇します。
円安が落ち着かない限りは、建築資材の価格が安定するのも難しいでしょう。
引用元:
・林野庁|2021年木材需給表
・一般社団法人 産業環境管理協会資源・リサイクル促進センター|鉄鉱石と石炭はどこからきているんだろう?
【関連記事】円安が不動産投資に与える影響とは?有効な3つの理由も解説
建築資材高騰はいつまで?2023年以降の予測
建築資材の2023年以降の予測は、このまま高騰が続くと考えられます。
要因としては、建築資材高騰に影響を与えている以下の状況が簡単に解決できるとは想定できないからです。
- ウクライナ情勢
- 円安
- 経済回復による不動産需要の増加
例えば、ロシアとウクライナの関係が落ち着いた場合にも、即座に2022年以前のような貿易関係に戻るとは考えられません。
また、輸入に依存している建築資材については、自給率を短期間でアップさせるのも難しく、今まで通り輸入製品を利用すると想定されます。
建築資材の高騰は長期戦であると考え、国内だけではなく海外の動向にも目を向けましょう。
投資環境や投資メソッドについてさらに理解を深めたい方は、弊社ゴールドトラストのセミナー情報・活動報告をご覧ください。
建築資材の高騰に対して不動産投資家ができる3つの対策
建築資材の高騰に対して不動産投資家ができる対策は、以下の3つです。
- 質の高い中古物件を購入する
- 既存物件をリフォームする
- 新築物件は建材費用を抑える
対策のポイントを押さえて、より多くの収益を確保しましょう。
【関連記事】不動産投資で成功する人の特徴5つと失敗する人の特徴5つを紹介
対策①:質の高い中古物件を購入する
物件の新築時は建築資材の高騰により多額の費用がかかるため、質の高い中古物件を購入するのも対策の1つです。
2021年と2023年で比較すると建設コストが14〜17%アップしているというデータもありますが、中古であれば割安で購入できます。
なお、中古マンションを購入する場合には、新築の60〜70%の価格で手に入る築10〜20年の物件がおすすめです。
中古物件で不動産投資を始める際は以下の項目を中心にチェックし、購入先を見極めましょう。
- エリア・利便性
- 築年数
- 物件の状態
- 周辺の環境(騒音や安全性)
引用元:日本建設業連合会|建設工事を発注する民間事業者・施主の皆様に対するお願い
対策②:既存物件をリフォームする
新築するよりも建築資材を抑えられるリフォームを選択して、費用を軽減する方法もあります。
修繕費に該当する部分は、経費として処理することも可能です。
また、リフォームすることでデザイン性が高まり、家賃を上げやすくなる点もメリットになります。
ただし、リフォームに対してこだわりが強いと高額な費用が発生する可能性があるため、新築や中古なども含めて幅広く検討するのがおすすめです。
対策③:新築物件は建材費用を抑える
大手ハウスメーカーを選んで、建築資材を含めた工事費用を抑える方法もあります。
大手ハウスメーカーは一度に大量の資材を購入することで建設コストを下げられるため、リーズナブルな価格で新築物件の購入が可能です。
また、アフターフォローやオプションなども期待でき、さまざまなメリットを受けられます。
ハウスメーカーを決める際は、複数の業者の見積もりを比較すると失敗しないでしょう。
新築物件での不動産投資を検討している方は、支援実績が豊富な弊社の資産形成事業をご覧ください。
まとめ:建築資材の高騰は今後も続く見通し
2021年頃から始まった建築資材の高騰は、ウクライナ情勢や原油価格の高騰などが原因です。
海外の要因が大きなボリュームを占めており、日本はもちろん海外の経済や社会情勢をこまめに把握することが重要だといえます。
なお、弊社では少額からでも不動産投資ができるゴールドクラウドを展開中です。
建築資材の価格高騰による影響を直接的に受けることなく、着実に資産形成したい方はぜひ一度ご相談ください。
オンラインセミナーも随時開催しておりますので、スケジュールについては弊社ホームページ
「セミナー情報」よりご確認ください。
【関連記事】住宅ローンの金利は今後どうなる?金利が変動する要因も解説
【関連記事】日本は不動産バブルなのか?1990年バブル崩壊との違いやバブル崩壊の仕組みを解説
【関連記事】不動産投資で失敗したらどうなる?失敗する原因と対策を解説