生産緑地法とは?2022年問題はどうなった?今後の予測を簡単に解説!

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生産緑地法は、日本で農業生産を支援するために1974年に制定された法律です。

長い間日本の農業に深く関連している生産緑地法は、この先も農業生産を支援する重要な法律となることが予想されています。

しかし、最近この法律に関する2022年問題と呼ばれる問題があがってきました。

そこで本記事では、生産緑地法の概要から2022年問題、そして今後の予測について詳しく解説します。

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生産緑地法とは?

生産緑地法は、日本での農業生産を支援するための法律です。

国が都市環境を良好に形成するために農地を市街化区域内農地として指定することで、計画的に街の農地を守っていこうという制度です。

この法律は、農業者が土地を保有して生産活動を行うことを支援することを目的としています。

特定の土地を30年間、農地・緑地として営農する義務を守ることを筆頭としたいくつかの条件と引き換えに、相続税・贈与税の納税猶予など税制面で多くの優遇が受けられます。

家族代々で農家を受け継いできた家計や、新たに農業を始めたい地主にとってはとても好都合な法律だといえます。

生産緑地法の概要と背景

生産緑地法は、1974年に制定されました。

当時の日本では、高度経済成長による都市部への急激な人口流入が起こり、それと共に宅地開発が無秩序に進み都市環境が悪化していました。

そこで国は都市環境の改善と、将来的な公共施設用地としての土地の確保を目的として、計画的に農地を保全する生産緑地制度を整備しました。

また、当時の日本経済は食料不足も深刻な状況で、農業生産の改善が急務だとされていましたため、国は地主が安心して土地を保有し続け生産活動を行えるよう、この仕組みを作ったのです。

生産緑地法の手続きの流れ

生産緑地法の手続きの流れは以下の通りです。

  • 農業者が、生産緑地法の適用を希望する土地について自治体に申請する。
  • 申請が承認された場合、農業者は都市開発の影響を受けることなく土地を保有し続け生産活動を行うことが可能になる。
  • 農業生産に関連する税金や固定資産税・相続税など税制面での優遇措置が適用される。


ただし、生産緑地に指定できる土地には条件があります。
それについては後の章で詳しく解説します。

生産緑地法のメリット

生産緑地法のメリットは以下の通りです。

  • 農業者が都市開発などの心配なく、農地を保有して生産活動ができる。
  • 相続税や贈与税の納税猶予など税制面での優遇措置が適用される。
  • 生産緑地にかかる固定資産税は、一般の農地と比べ税額が低く抑えられている。
  • 日本の農業生産の発展・改善に貢献できる。


30年の営農義務やその他の条件もありますが、デメリットを考えたとしてもこれらのメリットは長期的な目でみると非常に魅力的です。

生産緑地法の対象地域

生産緑地法の対象となる地域の条件は以下の通りです。

  • 現在、市街化区域内で農業などに適正に利用されている土地である。
  • 市民の良好な生活環境を形成し、将来的に公共施設の敷地としても使用可能である。
  • 単独または近隣の農地と合わせた面積が500平方メートル以上である。(市町村条例によっては300平方メートル以上の地域もある)
  • 用水設備など、農業の継続が可能な環境が整っている。


土地所有者が申請をし、農地が条件を満たしている場合、市区町村は都市計画の原案を作成します。

そして土地位利用者などの関係権利者の同意を得た上で、役所は都道府県知事と協議をし、都市計画審議会の調査・審議を経て、生産緑地地区の指定は決定されます。

生産緑地法と2022年問題の関係は?

25237373_s.jpg生産緑地法の改正により、全国の生産緑地は1992年に一斉に指定されました

これにより指定された土地には30年間の営農義務が課され、土地の売買ができなくなりました。

しかし、2022年はそれからちょうど30年が経過し、営農義務の終了と生産緑地としての指定が解除される年にあたります

そこで懸念されるのが、農地が大量に売り出されることによる地価の急激な下落です。

生産緑地の指定期間が終了するということは、地主がその土地を営農することによって得られていた税制優遇が得られなくなるということです。

営農義務もなくなるので、税制優遇を受けられなくなった農家の多くがその土地を売りに出して手放すのは予想できること。

市場に大量の農地が売りに出され、その土地に新しいビルや住宅が建てられることによって新築住宅・物件が過剰に供給されます。

これが空き家や不動産価格の下落、地価の下落に繋がるのではないかと考えられており、「2022年問題」と呼ばれているものです。

30年前に指定された生産緑地のほとんどが首都圏や近畿圏、中京圏などの都市部に集中しており、全国にある生産緑地の8割もの土地がこの2022年問題に該当するとみられています。 

生産緑地法が与える不動産への影響

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上述した通り、生産緑地の指定が解除されると地主は今まで受けてきた税制などの優遇を受けられず収入が減少することから、多くの農家は農地を手放すと考えられます。

各地で多くの土地が売り出されると、市場は過剰供給となり土地の価値は下落するでしょう。

そうなれば多くの資産家や投資家が価格の下がった土地を購入し、住宅を建て賃貸経営を始めます。

つまり、市場上の賃貸物件や不動産の母体数が増えるため、不動産の価値や賃貸物件の家賃は相対的に下がっていく可能性があります。

おすすめ!影響を受けにくい不動産

ここまで、生産緑地法と2022年問題が不動産へ与える影響、そして不動産価格や地価の下落などの懸念について解説しました。

生産緑地法の影響は地域によって受けにくい不動産もあります。

例えば都内の生産緑地の多くは東京23区外にあり、23区内では練馬区と世田谷区に多く存在します。

その上、練馬区の生産緑地の多くは埼玉県寄りに集まっているため、都内の生産緑地の大部分は東京郊外に散らばっているといえるでしょう。

このように地域によって産業緑地が異なるため、必ずしも全ての不動産が影響を受ける訳ではありません。

特に駅近で生産緑地がたくさんあるといった場所はほとんどありません。

そのため、都心部や市街地、駅近の土地や不動産は生産緑地法や2022年問題の影響を受けにくくなります。

影響を受ける不動産と受けにくい不動産を見極めておくのが大切です。

以下の動画では不動産投資のコツについて詳しく解説しているので、気になる方は是非チェックしてみてください。

まとめ

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不動産や土地の価値に大きく関わってくる生産緑地法と2022年問題について解説しました。

日本の農業生産を支援するために30年前に指定された生産緑地の期限がついに切れた2022年、農地の売り出しによる地価や不動産価格の下落が予想されるため、不動産業界の動向には注意していく必要があります。

しかし、全ての地域が対象になる訳ではなく、場所によっては生産緑地法の影響を受けない地域も。

現在所有している不動産の売却を考える方は、今回の記事を参考に売却のタイミングを考えていきましょう。


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この記事の監修者

西尾 陽平
西尾 陽平
役職
土地活用事業部 執行役員
保有資格
資産形成シニアコンサルタント、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後同社へ入社し、地主さんの土地活用という資産形成や節税を実践で学び、現在は土地のない方へ、土地から紹介し不動産の資産形成の一助を行っている。実践の中で身に付いた視点で、分かりやすく皆様に不動産投資のあれこれをお伝えしています。