【一覧表付き】障がい者施設の種類|対象者やサービス内容・必要人員も解説

【一覧表付き】障がい者施設の種類|対象者やサービス内容・必要人員も解説

障がい者が尊厳ある生活を送るためには、個々に適切なサービスを提供することが大切です。
しかし、障がい福祉は高齢者福祉よりもマイナーなため、「障がい者施設の種類やサービスがよく分からない」という方も多いでしょう。

この記事では、障害者施設の種類を一覧表付きで解説します。
対象者やサービス内容についても紹介するので、障がい者施設の理解を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。

57c8166fb052ac107fd26b58a5e5c618.png

 

障がい者施設とは

障がい者施設とは、日常生活や就労でサポートが必要なときに支援を受けられる場所です。
ここでは障がい者施設の基礎知識として、以下の2つを紹介します。

  1. 対象者
  2. 分類方法

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

対象者

障がい者施設の対象者は、以下のとおりです。

  • 身体障がい
  • 知的障がい
  • 精神障がい※1
  • 難病

※1 発達障がいを含む

どのようなケースでも、安全で安心できる生活を送るためには、障がいに合った支援が必須となります。
受けられるサービスは、障がい支援区分(※2)によって決まるため、自治体での認定手続きが必要です。
※2 必要とされる支援の度合いとなり、数値が高いほど重い

サービスごとの具体的な対象者は、後述の「障がい者施設の種類一覧【主に成人した障がい者向け】」を参考にしてください。

 

分類方法

障がい者福祉サービスの分類方法は、下表の3つです。

根拠法令 サービスの利用形態 給付方法
障がい者総合支援法
・児童福祉法
・訪問
・通所
・入所
・介護給付
・訓練等給付

それぞれのサービスは、異なる目的や対象者をもちながらも、一部内容に共通点があります。
障がい者福祉サービスは、多様な分類に基づいて最適な支援を提供しているのです。

サービス別の根拠法令について内容や基準を詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

【関連記事】障がい福祉サービスと建築基準法|法的位置づけや適合が必要な規定など

引用元:厚生労働省|令和4年社会福祉施設等調査の概況

 

障がい者施設の種類一覧【主に成人した障がい者向け】

主に成人した障がい者が利用できる施設は、下表の通りです。

介護給付※1 ・居宅介護
・重度訪問介護
・同行援護
・行動援護
・重度障がい者等包括支援
・短期入所
・療養介護
・生活介護
・施設入所支援
訓練等給付※2 ・自立生活援助
・共同生活援助
・自立訓練
・就労継続支援
・就労移行支援
・就労定着支援
その他 ・相談支援
・地域生活支援事業

※1 日常生活に必要な介護の提供
※2 自立に必要な訓練等の提供

一部は、18歳未満でも利用可能です。
ここでは給付ごとのサービス内容や、支援事業について詳しく解説します。

なお、弊社ゴールドトラストでは、重度の障がいを持っている方に寄り添った「日中サービス支援型グループホーム」を提案しております。
障がい者グループホームの運営や新設に興味のある方は「障がい者福祉施設の運営支援・建設ページ」をご覧ください。

 

種類①:介護給付

介護給付には、以下9つのサービスがあります。

  1. 居宅介護
  2. 重度訪問介護
  3. 同行援護
  4. 行動援護
  5. 重度障がい者等包括支援
  6. 短期入所(ショートステイ)
  7. 療養介護
  8. 生活介護
  9. 施設入所支援

対象者やサービス内容について、詳しく見ていきましょう。

なお、超高齢化に突入して久しい現代では、障がい者の年齢層も上がっています。
今後は介護の需要が増し、障がい者施設のニーズも高まると予想されます。
施設の運営に興味があり、必要なノウハウについて専門家に詳しく相談したい方は、セミナー情報ページをぜひご覧ください。

引用元:厚生労働省|障害福祉サービス等について

 

介護給付①:居宅介護

利用形態 訪問
対象者※ 原則、障がい支援区分が1以上の方
障がい児の利用可否
サービス内容 ・排せつや食事の介助
・洗濯や掃除
・生活相談・助言 など

※障がい児は支援区分に相当する度合い

居宅介護では、ヘルパーが自宅などを訪問し必要な支援を提供します。
2022年の事業所数は2万5,263と最多であり、最もニーズが高いサービスの1つといえるでしょう。

 

介護給付②:重度訪問介護

利用形態 訪問
対象者 原則、障がい支援区分が4以上の方
障がい児の利用可否 不可
サービス内容 ・排せつや食事の介護
・洗濯や掃除
・生活相談・助言 など

重度訪問介護は、重い障がいがあっても在宅生活を続けるためのサービスです。
利用者が必要とする長時間の援助を提供し、生活の質を維持するために不可欠となっています。

入院時も訪問担当者のサービスを続けられるため、利用者に合った介護方法を維持できます。

引用元:厚生労働省|障害福祉サービス等について

 

介護給付③:同行援護

利用形態 訪問
対象者 原則、視覚障がいにより移動困難な方
障がい児の可否
サービス内容 ・移動や外出で必要な視覚的情報の支援
・外出時における必要な移動の援護
・外出先で必要な排せつや食事の援助 など

同行援護は、外出のときに不安がある視覚障がい者を支援するサービスです。
利用者が意思決定するときの判断材料を伝えるスキルが必要となるため、支援の従事者には資格が必要です。
身体だけでなく心も理解したサポートが、障がい者の活動拡大につながります。

 

介護給付④:行動援護

利用形態 訪問
対象者 原則、障がい支援区分が3以上の方
障がい児の利用可否
サービス内容 ・外出時における移動の支援
・新しい場所の説明といった予防的対応
・問題行動を適切におさめる制御的対応 など

行動援護では、危険を避けるための支援を提供します。
意思疎通が難しい方など、さまざまなケースに対応する必要があるためです。

サービスに携わるときは、行動援護従業者養成研修を修了するなどの要件を満たした資格取得が必要です。
障がい特性を理解したコミュニケーションにより、利用者が安心して社会参加できるようになります。

 

介護給付⑤:重度障がい者等包括支援

利用形態 訪問
対象者 原則、障がい支援区分6で意思疎通が困難な方
障がい児の利用可否
サービス内容 必要に応じて、以下のようなサービスを組み合わせることが可能
・居宅介護
・重度訪問介護
・同行援護 など

訪問と通所のサービスを組み合わせた援助が、重度障がい者包括支援です。
重い障がいを抱えていると、1つのサービスだけではケアが行き届きません。
在宅生活を続けるには、手厚いサポート体制が重要です。

 

介護給付⑥:短期入所

利用形態 入所
対象者 福祉型 障がい支援区分が1以上の方
医療型 ・遷延性意識障がい者
・重症心身障がい者 など
障がい児の利用可否
サービス内容 施設で以下のサービスを提供
・排せつや着替えの介助
・見守り
・生活支援 など

ご家族の疾病で在宅生活が難しいケースや介護者の休息が必要なときに、短期入所できます。
同じ事業所がグループホームと一体でサービス提供しているケースもあり、形態はさまざまです。

 

介護給付⑦:療養介護

利用形態 入所
対象者 原則、長期入院による医療的ケアや介護を必要とする方
障がい児の利用可否 不可
サービス内容 入院し以下のサービスを提供
・機能訓練
・療養上の管理や看護
・入浴や排せつの介助 など

療養介護は医療的ケアが必要な障がい者に、病院や施設で日常生活の支援を提供するサービスです。
利用者の96%以上が障がい支援区分6に該当するため、常にサポートが必要となります。

施設では、医療従事者の配置やケアに対応できる設備が必須となるでしょう。
なお、社会貢献事業の具体例や注意点について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

【関連記事】社会貢献事業とは?資産家が取り組むべき理由や具体例を解説

 

介護給付⑧:生活介護

利用形態 通所
対象者 原則、障がい支援区分が3以上の方
障がい児の利用可否 不可
サービス内容 ・入浴や食事の介助
・生活相談・助言
・レクリエーション活動の提供 など

生活介護は介護のほか、自立を目的とした訓練や日中活動機会を提供するサービスです。
知的障がい者による利用が約70%となっており、生活力を高める支援が必要です。
昼間に行うサービスでは生活介護が97.4%と多く、ニーズの高いサービスとなっています。

引用元:厚生労働省|障害者支援施設のあり方に関する実態調査(概要版)

 

介護給付⑨:施設入所支援

利用形態 入所
対象者 生活介護を受けていて障がい支援区分が4以上の方 など
障がい児の利用可否 不可
サービス内容 ・居住の場を提供
・入浴や排せつの介助
・食事の提供 など

施設入所支援は、夜間に介護が難しいときの援助や相談を受けられるサービスです。
重い障がいのケースが多いため、1つの施設で総合的なサポートが実施されています。
日中活動と同じ場所でサービスを提供しており、一体的な支援となっています。

 

種類②:訓練等給付

訓練等給付には、以下8つのサービスがあります。

  1. 自立生活援助
  2. 共同生活援助
  3. 自立訓練(機能訓練)
  4. 自立訓練(生活訓練)
  5. 就労継続支援A型
  6. 就労継続支援B型
  7. 就労移行支援
  8. 就労定着支援

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

訓練等給付①:自立生活援助

利用形態 訪問
対象者 ・障がい者支援施設から地域生活に移った単身者
・ご家族等の支援が困難な方
障がい児の利用可否 不可
サービス内容 ・生活相談・助言
・関係機関との連絡調整
・外出や手続き支援 など

地域で生活する障がい者に困りごとがあるときは、自立生活援助を受けられます。
生活を続けていくには、伴走型の支援が必要です。

利用者の要請や相談があったときには、その都度対応が可能です。
自立生活援助は、障がい者が生活する場を広げて、ともに安心できる環境を作っていくサービスといえるでしょう。

 

訓練等給付②:共同生活援助

利用形態 入所
対象者 障がいのある方
障がい児の利用可否 不可
サービス内容 ・おもに夜間の相談や生活支援
・利用者の就労先または日中活動サービスとの連絡調整 など

共同生活援助(グループホーム)では、障がい者の孤立防止や不安軽減を図るため、困りごとの相談支援を実施します。
サービスを提供することで、共同生活による身体・精神状態の安定が期待されます。

対象者の範囲が広いため、利用者の状態はさまざまです。
受け入れには、施設側の適切な人員配置が必要となります。

 

訓練等給付③:自立訓練(機能訓練)

利用形態 訪問・通所
対象者 身体機能や生活能力の維持・向上を図るために一定の支援が必要な方
障がい児の利用可否 不可
サービス内容 ・理学療法によるリハビリテーション
・運動機能や日常生活動作における能力の維持・向上を目的とした訓練・生活相談・助言 など

機能訓練は、地域生活へと移るために必要なサービスです。
日常生活では労力が必要な場面も多いため、支援の提供が利用者の自立につながります。

 

訓練等給付④:自立訓練(生活訓練)

利用形態 訪問・通所
対象者 生活能力の維持・向上を図るために支援が必要な方
障がい児の利用可否 不可
サービス内容 ・自立した生活に必要な掃除や食事面の訓練
・日常生活動作における能力の維持・向上を目的とした訓練
・生活相談・助言 など

約3分の2が精神障がい者となっており、自立して日常生活を送るためには、生活訓練が必要です。

目標となる自立の形は、それぞれ異なります。
コミュニケーション力や家事スキルというように、それぞれのニーズに応じた訓練が大切です。

 

訓練等給付⑤:就労継続支援A型

利用形態 通所
対象者 雇用契約により、継続的な就労が可能な65歳未満の方 など
障がい児の利用可否 不可
サービス内容 ・雇用契約を結び、農作業のような働く機会を提供
・就労に必要な知識や能力向上を図るための訓練 など

就労継続支援A型は、雇用契約を通じて働く機会を提供し、一般事業所へ就職を目指すためのサービスです。
仕事の知識や技術を得られるように設計されており、雇用型とも呼ばれています。
働くことへの意欲向上とやりがい創出のため、社会性やスキルを身につけられる場となっています。

 

訓練等給付⑥:就労継続支援B型

利用形態 通所
対象者 一般企業への就職が困難な方 など
障がい児の利用可否 不可
サービス内容 ・農作業のような働く機会を提供
・就労に必要な知識や能力向上を図るための訓練 など

就労継続支援B型は、仕事をしながら次のステップを目指すサービスです。
A型への移行を目指す前段階となり、スキル取得をサポートします。

事業所と雇用契約を結ばないため、給与ではなく作業に対して対価が支払われます。
障がいや体調の問題で雇用契約が難しいときでも自由に働けるため、自立した社会生活への一歩となるでしょう。

 

訓練等給付⑦:就労移行支援

利用形態 通所
対象者 仕事に就きたい65歳未満の障がい者で、一般就労を目指している方
障がい児の利用可否 不可
サービス内容 ・職場体験を通じて、就労に必要な知識や能力の向上を図るための訓練
・求職活動の支援
・利用者の適性に応じて職場を開拓 など

就労移行支援では、それぞれの能力やニーズに応じた援助を行い、包括的なサポートが受けられます。
基本的に給与はなく、利用できるのも2年間となっています。

 

訓練等給付⑧:就労定着支援

利用形態 訪問
対象者 原則、一般就労後6か月を経過し、社会生活に課題を抱えている方
障がい児の利用可否 不可
サービス内容 以下に挙げるような事業所と連携し、生活面の課題を支援
・勤務先の事業主
・障がい福祉サービスの事業者
・通院する医療機関 など

就労定着支援は、障がい者が働き続けることを目的としたサービスです。
仕事を続けるためには長期のフォローアップが重要となります。
働き続けることで人とのつながりが生まれ、経済的な自立も実現します。

 

種類③:その他

その他として、下表のような相談支援や地域生活支援事業があります。

相談支援 ・計画相談支援
・地域移行支援
・地域定着支援 など
地域生活支援事業 ・移動支援
・地域活動支援センター
・成年後見人制度利用支援 など

地域生活に移行するときに包括的なサポートを提供するのが、相談支援です。
サービス利用の適性をモニタリングして計画を見直すなど、継続的にフォローしています。

地域生活支援事業は、都道府県が市町村をサポートする広域的な活動です。
障がい者が安全に安心して生活できる環境を整えるために、重要な支援となっています。

 

障がい者施設の種類一覧【障がい児向け】

障がい児向けの施設は、下表の通りです。

利用形態 サービス名 内容
訪問 居宅訪問型児童発達支援 外出が難しい重度障がい児に、生活動作の指導や教育などを実施
保育所等訪問支援 保育所等を利用中の障がい児が集団生活に適応するための専門的支援
通所 放課後等デイサービス 就学中の障がい児に、生活能力が高まる訓練などを実施
児童発達支援 生活動作の指導や集団生活への適応訓練などを実施
医療型児童発達支援※1
入所 福祉型障がい児入所施設 施設に入所中の障がい児に生活指導や教育などを実施
医療型障がい児入所施設※2

※1 支援および治療も実施
※2 対象は、施設または指定医療機関に入院中の障がい児

障がい児向けの施設では、個々の発達に応じた指導や教育が求められます。
子どもの発達には幅があり、個別性を考慮した適切なサービスが重要となるうえ、ご家族も含めた包括的な支援が大切になります。
支援を利用するときの申請窓口は、サービス内容によって異なるため留意してください。

引用元:社会福祉法人全国社会福祉協議会|障害福祉サービスの利用について

 

障がい者施設に必要な人員の種類

障がい者施設ではさまざまな特性を持つ利用者へ対応するために、多様な職種が必要です。
配置が必要な職種は以下を中心として、提供するサービスによって異なります。

  • 介護福祉士
  • 看護師
  • 理学療法士
  • 相談支援専門員
  • 保育士
  • 児童支援員 など

国が定める人員基準を満たしていないと、開業や運営継続はできないため注意しましょう。
なお、弊社ゴールドトラストは、サ高住の介護事業で培ったノウハウを障がい者福祉施設向けに拡充しています。
サ高住の経営に関する事例や施策を参考にしたい方は、下記の記事も参考にしてください。

【関連記事】サ高住経営で失敗する要因とその対策方法をわかりやすく解説

 

まとめ:障がい者施設の種類はたくさんある

障がい者施設の種類は、サービス内容など多岐にわたります。
利用形態や対象者ごとに設備も異なるため、事業計画は慎重に検討することが重要です。

なお、弊社ゴールドトラストでは、障がい者が安心して生活できる住まいを提供するゴールドテラスを提案しております。
障がい者施設の運営や新設を検討している方は、「障がい者福祉施設の運営支援・建設ページ」をご覧ください。

また、弊社ゴールドトラストでは、障がい者グループホーム特別セミナーや資産運用セミナーも常時開催中なので、あわせてチェックしましょう!

57c8166fb052ac107fd26b58a5e5c618.png

【関連記事】サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の補助金制度とは?
【関連記事】医師が投資を始めるメリットとは?おすすめの方法や注意点も解説
【関連記事】サ高住経営は儲かる?メリット・デメリットや注意点をわかりやすく解説

この記事の監修者

西尾 陽平
西尾 陽平
役職
土地活用事業部 執行役員
保有資格
資産形成シニアコンサルタント、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後同社へ入社し、地主さんの土地活用という資産形成や節税を実践で学び、現在は土地のない方へ、土地から紹介し不動産の資産形成の一助を行っている。実践の中で身に付いた視点で、分かりやすく皆様に不動産投資のあれこれをお伝えしています。