サ高住経営で失敗する要因とその対策方法をわかりやすく解説

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サ高住経営で多い失敗は、高齢者向け介護の知識不足です。

運営には介護事業者の存在が不可欠なため、現場を理解した経営が必要となります。

助成金や税率の優遇などのメリットがある反面、介護事業の落とし穴に気づかず失敗することも。

施設を建ててからが本番となるため、経営難易度は非常に高いといえるでしょう。

しかし、介護業界の基礎知識を学び、信頼できる事業者と協力することでリスクを軽減することも可能です。

本記事では、サ高住経営の失敗事例に触れつつ、対策方法について解説します。

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サ高住経営で失敗する要因

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サ高住経営は経験と知識が収益に影響を与えるため、パートナーとなる介護事業者の存在が鍵を握ります。

サ高住経営で失敗するおもな原因は3つです。

① 高齢者向け介護の知識不足
② 経営を委託する事業者選び
③ 保険に加入していない

介護業界は思わぬトラブルが多く、高齢者の転倒事故から損害賠償に繋がることも珍しくありません。

また、介護の知識を疎かにした結果、失敗した経営者も数多く存在します。失敗しないためにも、ぜひ参考にしてください。

要因①:知識不足

サ高住経営には介護特有のコストが掛かります。

・バリアフリー構造による建築費の増加
・介護スキルを持つ従業員の人件費
・必要な備品の購入費

サ高住経営は初期費用だけでなく、ランニングコストが多い点も特徴です。

バリアフリー構造とは、高齢者にとって物理的な障害を取り除いた設計を指します。

・建物内の段差をなくす
・車イスでの移動を補助するスロープ
・肩がぶつからない広い通路

通常の建物に比べて建築費が高くなるため、資金に余裕が生まれる計画を立てましょう。

高齢者介護の作業負荷を認識し、現場を理解することが安定化に繋がります。

介護経営を委託する場合も同様であり、事業者と協力することが重要です。

要因②:事業者の選び方

サ高住経営において介護サービスの提供は必須事項であり、介護事業者は物件よりも大切な要素となります。

・過去に実績を残しているか
・相談したときに誠実に対応をしてくれるか
・困った時にアドバイスや提案をしてくれるか

建物を建ててから事業者を探すのではなく、事業者を決めてから設計に進みましょう。

立地や構造よりも高齢者介護を担当する事業者を最優先にして考えることで、共倒れのリスクを軽減できます。

事業実績だけで判断するよりも、実際にケアマネージャーと面談して対応力を見定めることが重要です。

介護事業者と提携している建築会社と相談しつつ、経営内容に沿った事業者を検討しましょう。

要因③:保険の未加入

年齢を重ねるごとに事故リスクが高まるため、保険での備えが重要です。

・不注意による転倒
・認知症による人的トラブル
・事故による損害賠償

介護スタッフを守ることは、利用者と施設を守ることにも繋がります。

入居者が認知症を患っている場合、無意識の暴力行為や「徘徊」と呼ばれる脱走行為をおこなうことも。

高齢者に付きっきりで介護していても、利用者同士のトラブルが起こるケースも散見されます。

高齢者介護は、一瞬の不注意が事故に繋がる作業であるため、スタッフを手厚く補償することが長期的な運営のコツといえるでしょう。

【関連記事】サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の補助金制度とは?

サ高住経営の失敗事例

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サ高住経営は不動産経営の専門家でも難しく、数千万円の損失を出すことも珍しくありません。

国からの補助金や税率優遇といったメリットはあるものの、デメリットやリスクを考慮することが成功の鍵となります。

高齢者介護の知識不足や、介護事業者との関係性悪化から失敗するケースも多く、前もって準備しておくことが重要です。

そこで本記事では、サ高住経営の失敗事例を2件紹介します。

失敗事例①

入居者30名前後のとある住宅老人ホーム。平均年齢は80歳を超え、多くの利用者がこの施設を”終わり住処”としていました。

行政から依頼され、入居者の介護レベルを引き上げたことでスタッフの負荷が高まり、人件費と備品購入費が経営を圧迫。

頼みの綱である介護報酬でも経営費を賄えず、従業員が無償で介助するも赤字は600万円まで膨らみました。

職員の機転により介護業務は効率化され、なんとか赤字を脱却したものの、低空飛行の運営に不安を感じているそうです。

失敗事例②

ゴールドトラスト(株)の取締役を務める「久保川 議道」代表は、サ高住経営で悲惨な失敗を経験したそうです。

・5年間で11億円の損失が発生
・10カ月で150人の入居者が退去
・月額16万円で運営しても入居者ゼロ

誰でも儲かるのは幻想であり、中途半端な気持ちでの経営はおすすめしないとのこと。

厳しい環境に耐え抜く覚悟を持つからこそ、利用者が安心できるサービス提供に繋がることを覚えておきましょう。

サ高住経営での失敗談をもっと知りたい方は、こちらの記事もご確認ください。

サ高住経営で失敗しない対策

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サ高住経営では、信頼できる介護事業者を見つけられるかで成否が決まります。

・不動産物件としての収益性
・事業者に対する信頼性
・介護スタッフが安心して働ける環境作り

サ高住経営で成功する秘訣は、物件の収益性はもちろんのこと、長期的に安定した運営がおこなえる労働環境が重要です。

本記事では、サ高住経営で確認しておくべきポイントに触れつつ、失敗しないための対策を3つ紹介します。

対策①:利回りを計算する

サ高住経営には、大きく2つの運営スタイルが存在します。

運営スタイル 運営方式 報酬携帯 経営難易度
一括型 介護事業者に委託 建物と土地の賃料
自社運営型 自社で運営 経営利益を含む全て

自社運営型の場合、運営に必要な資金を用意する必要があります。

高齢者介護は必要備品が多いため、ランニングコストを意識した資金繰りが重要です。

また、助成金は減額措置が取られることも多く、期待以上の受給は望めないと考えておきましょう。

対策②:事業者の経営実績を確認する

介護事業者の選び方はおもに3つです。

① 不動産会社
② 介護系コンサルタント
③ オンライン検索

経営基盤が整っていない介護事業者の場合、早期撤退のリスクも想定されるため、信頼できる不動産会社からの紹介が望ましいといえます。

費用だけで介護事業者を選ぶと、施設利用者への不誠実な対応に繋がりかねません。

最悪の場合、サ高住経営を揺るがすクレームに発展することも。

サ高住経営は介護事業者が抜けてしまうと、共倒れになることを忘れてはいけません。

優秀な介護事業者は長期的な運営に必要不可欠なため、社歴や実績を参考にして慎重に選びましょう。

対策③:保険に加入する

介護施設を経営する場合、保険に加入しないデメリットは計り知れません。

・転倒などによる事故
・入居者同士のトラブル
・介護スタッフの怪我

予想外の怪我によるリスクを考慮し、手遅れになる前に加入することを強く推奨します。

「気を付ければ事故は起きない」という慢心こそ、サ高住経営の天敵といえるでしょう。

介護施設として加入できる保険はおもに2種類です。

・施設にかける保険
・医療従事者にかける保険

飛び火による火災事故や自然災害など、施設内を守るための保険は必須といえます。

また、転倒事故から損害賠償へ発生することも散見されるため、2つの保険を上手く活用しましょう。

まとめ

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サ高住経営は高齢者介護の知識が必要になるため、経営の難易度も高くなります。

・介護関連の知識や相場を理解する
・介護事業者探しを妥協しない
・最悪のケースを想定して保険に加入する

▼難しい不動産経営が簡単になる方法は一つだけ!

この記事の監修者

西尾 陽平
西尾 陽平
役職
土地活用事業部 執行役員
保有資格
資産形成シニアコンサルタント、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後同社へ入社し、地主さんの土地活用という資産形成や節税を実践で学び、現在は土地のない方へ、土地から紹介し不動産の資産形成の一助を行っている。実践の中で身に付いた視点で、分かりやすく皆様に不動産投資のあれこれをお伝えしています。