不動産投資で頭金はいくら必要?目安の割合やメリット・デメリットを解説
不動産投資のための物件を購入する際には、多くの方が金融機関のローンを利用します。その際、頭金となる自己資金を準備しなければならないことも少なくありません。ワンルームマンションであっても、購入金額は1,000万円、場合によっては2,000万円を超えることもあります。大金が動く投資であるため、頭金といってもそれなりの金額になります。
では実際のところ、どれくらいの頭金が必要になるのでしょうか。この記事では、不動産投資において頭金がどれくらい必要か、その具体的な目安、頭金を用意するメリットやデメリットについて解説します。
目次
不動産投資で頭金はいくら必要?
不動産投資において頭金がいくら必要であるかは、購入する不動産の金額に依存します。いくら用意しておけばよい、と断定することは不可能です。もちろん全額を自己資金で支払えるのであれば、頭金もローンも問題にはなりません。
しかしほとんどの場合において不動産購入のために金融機関からローンを受けることになりますから、頭金の概念はしっかり把握しておく必要があります。頭金なしで金融機関からローンを受けられる可能性は少ない、と考えておいてください。頭金は金融機関から見れば借主の返済能力を判断する最低限の指標でもあるので、まったく用意できない人物にお金を貸すことは考え難いからです。
不動産投資の始め方に関しては、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご一読ください。
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不動産投資の頭金の目安は?
不動産投資における頭金の目安は、一般的には不動産購入金額の20%程度といわれています。つまり3,000万円の物件を購入するのであれば、頭金は600万円程度となります。しかしこれはあくまでもだいたいの目安に過ぎません。野村不動産が実施した”不動産投資に関する意識調査”によれば、自己資金1割未満で物件を購入した割合は37.2%、1~2割未満で購入した割合が26.3%となっています。
逆に購入価格の5割以上の頭金を用意したケースも18.2%にのぼります。頭金をまったく求められないケースはほとんどないようですが、具体的にどれくらいの割合の頭金を求められるかは、時と場合によって大きく異なることがわかります。金融機関から最低限の頭金の割合を提示されることもありますが、明確な基準は存在しないので最終的には交渉次第となります。自分の経済的状況や投資方法にあわせて、柔軟に決めるとよいでしょう。
不動産投資で頭金を用意する3つのメリット
不動産投資において頭金を用意するメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
①ローン返済の負担が軽減できる
②融資を受けやすくなる
③金利変動リスクの対策になる
いずれも支払総額を減らす効果があり、しっかり考えて動くことで物件購入の負担を大きく減らすことが可能となります。以下で1つ1つ解説します。
メリット①:ローン返済の負担が軽減できる
シンプルな計算として、不動産購入金額のうち頭金の割合が大きければ、そのぶんだけ融資額を抑えられ、ローン返済の負担軽減につながります。たとえば3,000万円の物件を購入するとき、頭金を1,000万円用意できれば融資額は2,000万円で済みますが、500万円しか用意できなければ2,500万円の融資を受けなければいけません。
融資を返済する際には金利がつきますから、500万円の違いは返済総額に大きな影響をおよぼします。ローンの返済額は、修繕費や税金などと同じく不動産投資におけるランニングコストです。家賃収入からこれらのランニングコストを引いた残りが、収益として手元に残ります。頭金を多く用意できればできるほど、キャッシュが手元に残りやすくなり、安定した不動産経営が可能となります。
メリット②:融資を受けやすくなる
金融機関はお金の貸出を業務としていますが、誰にでも貸したがるわけではありません。返済能力のある人物をしっかり見極めたいと考えています。貸し倒れのリスクを少しでも減らしたいからです。そのためローン契約を結ぶ前には審査が用意されており、借主はその審査に通らなければ融資を受けることはできません。このとき、頭金を多く用意できれば、金融機関からの信頼を得られ、審査に通りやすくなります。
単に融資額が少なく済むというだけでなく、これから投資するにあたって頭金をしっかり用意できたという事実が、金銭的にしっかりしていることの証明となるからです。ただし住宅ローンなどと違い、不動産投資の場合は個人の属性だけでなく、物件の評価も加味されます。そのため頭金を入れたからといって、必ずしも希望通りの融資額が下りるわけでないことに注意しましょう。
メリット③:金利変動リスクの対策になる
頭金の割合が大きければ大きいほど、融資額は小さくなります。融資額を小さくするメリットとしては、金利が大きく上昇した場合の影響を受けにくくなることなどが挙げられます。
2022年現在の日本は超低金利時代であり、不動産購入のためのローンを組むにはとても適した状況です。しかし今後の経済の動向や政策の変化などによって、金利が上昇する可能性もゼロではありません。頭金をしっかり用意して融資額を小さくしておくことは、不動産投資における重要なリスク対策の1つです。
不動産投資で頭金を用意する3つのデメリット
不動産投資において頭金を用意するデメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
①自己資金を用意する必要がある
②レバレッジ効果が低くなる
③ほかのリスクに対応できなくなる
順番に見ていきましょう。
デメリット①:自己資金を用意する必要がある
当たり前の話ではありますが、頭金を用意するということは、そのぶんだけ自己資金を多く用意しなければならないことを意味します。どれほど頭金を用意するメリットが大きかったとしても、現実的な問題として、用意できる自己資金には限界があることがほとんどです。
仮に不動産購入金額の2割を頭金として用意することを金融機関から求められた場合、購入金額が2,000万円なら頭金は400万円となります。これを支払うための自己資金を用意できないのであれば、まずはコツコツと貯金することから始めなければいけません。結果として不動産投資のスタートが遅れてしまうことにつながります。
デメリット②:レバレッジ効果が低くなる
レバレッジ効果とは、少ない資金で大きな利益を得ることを指します。不動産投資におけるレバレッジとは、自己資金と融資額を組みあわせて、本来持っている自己資金のみで物件を購入したときよりも大きな収益を得ること。
このとき、自己資金の割合が低いほど、レバレッジ効果は高くなります。したがって頭金の額が大きくなると、不動産投資の醍醐味ともいえるレバレッジ効果が弱まってしまいます。この点はデメリットであるといえるでしょう。
デメリット③:ほかのリスクに対応できなくなる
不動産購入のための頭金を支払うことで、一時的に自己資金が減少します。頭金を差し引いてもなお十分な自己資金が手元に残っているならば大丈夫ですが、そうではない場合には注意が必要となります。自己資金が減っているあいだ、ほかのリスクに対応できなくなるからです。
災害大国である日本においては、いつどのような理由で不動産が損傷するかわかりません。突発的に補修や修繕が必要になる場合もあり、そのたびに少なくないお金が出ていくことになります。また空室が続いているあいだは家賃収入が入らないので、不動産を持っていれば常に収入が入るわけではありません。自己資金のほとんどを頭金につぎ込んでしまうと、上記のような場合にうまく対応できなくなってしまいます。
まとめ
不動産投資における頭金について、支払額の目安やメリット・デメリットなどについて解説しました。
頭金を用意することで、金融機関からの信頼が得やすくなり、支払総額を減らす効果が期待できます。一方で自己資金を減らすことによって、不測の事態に対するリスクには弱くなる可能性があります。
大切なのは、自分の現在の資産状況などを考慮したうえで、ちょうどよいバランスを模索することです。不動産投資のための物件を購入する際には、この記事を参考にして頭金の額を入念に検討してみてください。
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