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「サブリース2025年問題」とは?背景や実際に起きた場合の対処法を解説

「サブリース2025年問題」とは?背景や実際に起きた場合の対処法を解説

賃貸管理会社に不動産を貸し出す「サブリース」は、安定した収入を得られると注目を集めています。
ただし、サブリース2025年問題について理解を深めずに不動産投資を決めると、「想像よりもリスクが大きい」といった後悔を感じる場合もあるので注意が必要です。

この記事では、「サブリース2025年問題」の概要と影響を与えている要因を解説します。
サブリース2025年問題を理解するための基礎知識や実際に起きたときの対処法はもちろん、サブリース新法についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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「サブリース2025年問題」を理解するための基礎知識

「サブリース2025年問題」を理解するための基礎知識として、以下の2点を紹介します。

  • サブリース契約とは
  • サブリース契約の現状

それぞれ詳しく見ていきましょう。

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サブリース契約とは

サブリース契約の概要について、以下の2点から解説します。

  • 契約形態
  • 途中解約や更新拒絶の可否

サブリース契約のメリット・デメリットについて知りたい方は、以下の記事もあわせてチェックしてみてください。

【関連記事】不動産投資のサブリース契約とは?メリット・デメリットやポイントを解説

 

契約形態

サブリース契約とは、オーナーが不動産を丸ごと貸し出してサブリース業者が入居者に転貸する契約形態です。
サブリースとは「転貸」という意味で、いわゆる「また貸し」を指します。

具体的には、オーナーとサブリース業者が賃貸借契約を結び、サブリース業者が入居者と転貸借契約を結ぶ仕組みです。
また、サブリース契約とは本来「サブリース業者と入居者との間で結ぶ転貸借契約」を意味します。
オーナーとサブリース業者との間で結ぶ賃貸借契約は、正確には「マスターリース契約」と呼ぶので覚えておきましょう。

なお、サブリース契約には、以下の2種類があります。

種類 内容
家賃保証型 空室の有無に関係なく一定の保証賃料を受け取れる
パススルー型 入居状況に応じた保証賃料を受け取れる

サブリース契約ではサブリース業者へ手数料を支払う必要があり、家賃の10~20%が相場となっています。

 

途中解約や更新拒絶の可否

サブリース契約は、契約期間中に解約が可能です。
ただし、借地借家法によって借主であるサブリース業者が保護されるため、正当な事由がない限りオーナー都合での途中解約は困難となっています。

サブリース契約の途中契約が見込まれる正当な事由の例は、以下の通りです。

  • ローン返済が難しく不動産を売却する
  • 建物の劣化が激しく貸せる状況ではない
  • オーナー本人や親族が住む

例えば、「賃料減額の交渉が面倒なので解約したい」といった一方的な理由の場合には、サブリース契約の途中解約は認められません。
なお、サブリース契約の解約時には「違約金」や「立退料」が発生するケースがあります。
サブリース契約の途中解約における違約金は、家賃の3~6ヶ月分が目安です。

また、サブリース契約の更新拒絶は途中解約と同様に、オーナーの都合での解約は難しいのが実情です。
サブリース契約の更新拒絶をするには正当な事由や、契約満了6ヶ月前までに更新しない旨を通知することが必要になります。

 

サブリース契約の現状

2019年に調査が実施された国土交通省の「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査」によると、サブリース契約によって管理されている賃貸住宅の契約戸数は318.5万戸です。
サブリース契約の不動産がある都道府県の割合は、下表の通りです。

都道府県 割合
東京都 30.3%
神奈川県 21.9%
埼玉県 14.9%
千葉県 12.9%

上記の都道府県で全国の80%を占めており、サブリース契約の不動産は首都圏エリアに集中していることが分かります。
また、同調査によるとサブリース契約の不動産における入居状況は、下表の通りです。

概算入居率 割合
95%以上 58.1%
90%以上〜95%未満 19.3%
80%以上〜90%未満 8.4%
70%以上〜80%未満 2.5%
70%未満 2.2%
無回答 9.5%

サブリース契約の不動産で概算入居率90%以上の割合は合計で80%近く、多くの物件が高い入居率を誇ります。
一方で、受託管理されている不動産で概算入居率を95%以上と回答した割合は34.4%であるため、サブリース契約のほうが高水準といえるでしょう。

引用元:国土交通省|2019年賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査

 

「サブリース2025年問題」とは?影響を与えている3つの要因

「サブリース2025年問題」とは、契約更新のタイミングでサブリース業者からの賃料を減額する交渉に対応せざるをえず、リスクが高まることを指します。
サブリース2025年問題に影響を与えている要因は、以下の3つです。

  1. 2015年の相続税法改正
  2. 2025年以降の人口動態
  3. サブリース契約の特性

それぞれの要因について解説します。

 

要因①:2015年の相続税法改正

サブリース2025年問題の背景には、2015年の相続税法改正により相続税対策のために契約したサブリース契約の不動産が10年後である2025年に契約更新を迎える点にあります。
2015年の相続税法改正において、下表のように遺産に関わる基礎控除の計算方法が変更されています。

項目 遺産に関わる基礎控除の計算式
改正前 5,000万円+(1,000万円×法定相続人数)
改正後 3,000万円+(600万円×法定相続人数)

例えば、7,000万円を1人で相続するケースを想定してみましょう。

項目 遺産に関わる基礎控除の計算式
改正前 7,000万円-{5,000万円+(1,000万円×1人)}=1,000万円
改正後 7,000万円-{3,000万円+(600万円×1人)}=3,400万円

改正前と改正後では基礎控除を差し引いた額に2,400万円もの差が発生しており、改正後に税金が大幅に増えると考えられます。
加えて、2015年の相続税法改正では相続税の最大税率が50%から55%に変更されたことも、相続税対策が盛んとなった要因です。

2015年に相続税対策としてサブリース契約をした多くの不動産で賃料減額を求められると想定され、サブリースの問題が2025年に顕著に現れる可能性があります。

引用元:国税庁|相続税及び贈与税の税制改正のあらまし(平成27年1月1日施行)

 

要因②:2025年以降の人口動態

2025年には、1947年~1949年の第一次ベビーブームに生まれた団塊世代のすべての方が75歳以上となることで日本社会の高齢化が進みます。
人口の高齢化にともない賃貸需要が下がるため、サブリース契約の不動産における賃料を下げざるをえなくなることもサブリース2025年問題が発生する要因の1つです。

厚生労働省のデータによると、2025年には75歳以上の人口が全体の約18%を占め、2040年には65歳以上の人口が全体の約35%にまで増加すると推測されています。
また、内閣府が公開している「令和5年版高齢社会白書」によれば、65歳以上の人口が占める割合である高齢化率の予測は下表の通りです。

高齢化率
2030年 30.8%
2040年 34.8%
2050年 37.1%
2060年 37.9%

上記のように高齢化率は2030年以降も上昇していくため、人口の高齢化による賃貸需要の低下は今後も懸念されます。

引用元:
厚生労働省|我が国の人口について
内閣府|令和5年版高齢社会白書

 

要因③:サブリース契約の特性

2015年の相続税法改正や2025年以降の人口動態とあわせて、以下のようなサブリース契約の特性がサブリース2025年問題に大きな影響を与えています。

  • 一定期間ごとの賃料見直しによって減額が要求される
  • サブリース契約を結ぶと途中解約や更新拒絶が難しい
  • サブリース新法の施行前は、サブリース契約を結ぶ際にリスクに関する説明が不十分な場合があった

サブリースの契約期間は10〜35年で設定する傾向にあるものの、契約期間中に賃料の見直しを実施しないケースはほとんどありません。
2年など契約書に記載された期間に沿って賃料を見直し、賃料の減額を要求される場合があります。

また、「途中解約や更新拒絶の可否」の章で紹介したように、借地借家法によってオーナー都合での途中解約や更新拒絶は困難です。
賃料の減額や賃貸需要の低下によって解約しようと考えても途中で解約できず、サブリース2025年問題が深刻化する可能性があります。

2025年以降の不動産価格に関する予測や売買のポイントについて知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

【関連記事】2025年以降に不動産価格が大暴落する?価格上昇が期待できる地域も解説

 

【2025年以降も要注目】サブリース新法とは

サブリース新法とは、2020年12月に施行された「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」の通称です。
ここでは、サブリース新法について以下の2点から解説します。

  1. 施行の背景
  2. 主な内容

サブリース新法は2025年以降も要注目であるため、1つずつチェックしていきましょう。

 

施行の背景

サブリース新法が施行された背景には、サブリース契約に関するトラブルが多発したことにあります。
2019年に調査が実施された国土交通省の「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査」によると、サブリースの契約におけるトラブルの例は以下の通りです。

  • オーナーに十分な説明がないまま契約を求められた
  • サブリース契約の条件変更などを拒否された
  • 大幅な賃料減額などの予期せぬ条件変更を要求された
  • 想定していなかった修繕費用などの請求を受けた
  • 不適切な入居審査や賃貸契約を実施していた

サブリース契約では賃料はもちろん、サブリース業者の説明態度や管理体制などがトラブルの要因となっていました。
また、同調査によれば契約内容に関する各事項の事前説明を受けた段階について、「事前説明を受けていない」と回答した割合は下表のようになっています。

項目 「事前説明を受けていない」と回答した割合
サブリース業者が賃料減額を請求できること 30.9%
賃料減額のリスク 29.0%
空室のリスク 28.2%
設定家賃額の根拠 35.1%

重要な賃料に関する項目について30%前後の方が「事前説明を受けていない」と回答しており、サブリース契約のトラブルに発展していたと推測されます。

引用元:国土交通省|2019年賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査

 

主な内容

サブリース新法の主な内容は、以下の3つです。

  1. 不当な勧誘の禁止
  2. 誇大広告の禁止
  3. 重要事項説明と書面交付の義務化

サブリース新法のポイントを押さえて、不動産投資のトラブルを回避しましょう。

 

内容①:不当な勧誘の禁止

サブリース新法では、第29条においてサブリース契約において不当な勧誘を禁止しているので、サブリース業者の説明を聞く際には注意が必要です。
例えば、サブリース契約を結んでもらうために、オーナーに対して以下のような内容を故意に伝えていない場合は不当な勧誘に当たります。

  • 家賃減額のリスク
  • サブリース業者からの契約解除の可能性
  • オーナーからの解約には正当な事由が必要であること

メリットのみを伝えてサブリース契約を勧誘される場合は、不当な勧誘に該当するので避けるのが賢明です。
また、サブリース新法では、以下のような故意に事実ではない事柄を告げる行為も認められていません。

  • 絶対に家賃保証できる
  • サブリースの家賃は下がらない
  • 絶対に損しない

さらに、オーナーが「お断りします」など明確にサブリース契約の締結意思がないことを示している場合に勧誘をするケースも、不当な勧誘と見なされる可能性があるため、覚えておきましょう。

 

内容②:誇大広告の禁止

サブリース新法の第28条では、著しく事実と違う内容を表示して誤認させるような誇大広告を禁止しています。
例えば、賃料の減額が要求される可能性があるにもかかわらず、「◯年家賃保証!絶対に下がりません!」と記載する場合は誇大広告に該当します。
国土交通省の「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」で誇大広告が禁止されている事項は、以下の通りです。

  • サブリース業者がオーナーに支払うべき家賃の額
  • 支払期日及び支払方法などの賃貸における条件とその変更に関する事項
  • 不動産の維持保全の実施方法
  • 不動産の維持保全に必要な費用分担に関する事項
  • 契約解除に関する事項

誇大広告の禁止は新聞・テレビ・ホームページなど、広告媒体の種類を問わず適用される点も覚えておきましょう。

 

内容③:重要事項説明と書面交付の義務化

サブリース新法の第30条において、契約締結前の重要事項説明と契約締結時の書面交付が義務化されており、正しく手続きされているかの確認も大切になってきます。
サブリース業者はオーナー側の知識や経験などの状況に応じて、以下の点に留意しながら説明する必要があります。

  • 相手方の賃貸住宅経営の目的や意向を十分確認する
  • 相手方の属性や賃貸住宅経営の目的などに照らして、リスクを十分に説明する
  • 相手方が高齢の場合は、説明の相手方の状況を踏まえて、慎重に説明する

また、重要事項として説明が必要な内容の例は、以下の通りです。

  • 契約期間に関する事項
  • 家賃の額・支払期日・支払方法などの条件とその変更に関する事項
  • 不動産の維持保全の実施方法
  • 不動産の維持保全に必要な費用分担に関する事項
  • 違約金に関する事項

このように、不動産投資でトラブルを回避するには、情報収集が欠かせません。
弊社ゴールドトラストでは不動産投資セミナーを開催しておりますので、興味のある方はセミナーページをご覧ください。

引用元:
e-Gov法令検索|賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律
国土交通省|2020年サブリース事業適正化ガイドラインの策定~法の規制対象を事例等で明確化しました~
国土交通省|2020年賃貸住宅経営に関する注意喚起のリーフレット・チラシを作成しました!~サブリース規制 12月15日施行~

 

「サブリース2025年問題」が実際に起きたときの対処法

「サブリース2025年問題」が実際に起きたときの対処法は、以下の3つです。

  1. まずは当事者間で協議する
  2. 必要に応じて調停や裁判に持ち込む
  3. 【最終手段】違約金を支払ったうえで解約する

投資用マンションの一棟買いでよくある失敗を知りたい方は、以下の記事もあわせてチェックしてみてください。

【関連記事】投資用マンションの一棟買いでよくある失敗5選!原因や成功するコツも解説

 

対処法①:まずは当事者間で協議する

サブリース契約で問題が発生したら、まずはサブリース業者とオーナーの当事者間で協議しましょう。
発生したトラブル内容にもよりますが、ご自身で対応するのが難しい場合は、以下に相談するのも選択肢の1つです。

  • 全国賃貸住宅経営者協会連合会(ちんたい協会)
  • 日本賃貸住宅管理協会
  • 法テラス
  • 消費者ホットライン
  • 国土交通省

サブリース契約に関するトラブルをスムーズに解決するためにも、問題が発生した後はなるべく早く対処してください。

 

対処法②:必要に応じて調停や裁判に持ち込む

サブリース業者とオーナーの当事者間で協議しても解決できない場合は、必要に応じて調停や裁判に持ち込みましょう。
サブリース契約を途中解約する場合には、以下のような手順を踏みます。

  • 契約書を確認する
  • 解約通知書を送る
  • サブリース業者と解約の交渉をする
  • 必要に応じて調停や裁判に持ち込む

解約交渉は法的な知識や判断が必要になるケースが多いため、弁護士に相談するのがおすすめです。

 

対処法③:【最終手段】違約金を支払ったうえで解約する

最終手段として、違約金を支払ったうえで解約する方法があります。
サブリース契約の途中解約における違約金は、家賃の3~6ヶ月分が相場です。
ただし、サブリース業者が別のサブリース業者に転貸しているケースでは、違約金が二重に発生する場合があります。

また、入居者に立ち退きを拒否される場合には交渉をする必要があり、立退料を負担する可能性もあるので注意しましょう。
不動産投資の相談窓口が気になる方は、以下の記事を参考にしてください。

【関連記事】不動産投資の相談窓口どこがいい?見極めポイントやすべき質問も紹介

 

まとめ:「サブリース2025年問題」に備えよう

「サブリース2025年問題」とは、契約更新のタイミングでサブリース業者からの賃料を減額する交渉に対応せざるをえず、リスクが高まることです。
サブリース2025年問題の背景には、2015年の相続税法改正や2025年以降の人口動態などがあります。
2020年12月に施行された「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」、いわゆる「サブリース新法」は2025年以降も要チェックです。

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この記事の監修者

西尾 陽平
西尾 陽平
役職
土地活用事業部 執行役員
保有資格
資産形成シニアコンサルタント、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後同社へ入社し、地主さんの土地活用という資産形成や節税を実践で学び、現在は土地のない方へ、土地から紹介し不動産の資産形成の一助を行っている。実践の中で身に付いた視点で、分かりやすく皆様に不動産投資のあれこれをお伝えしています。