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【相続税の評価額】調べ方と計算方法を解説

【相続税の評価額】調べ方と計算方法を解説

被相続人が所有していた土地や建物などの不動産を相続する際に発生するのが、相続税です。

課税される相続税は土地や建物などの評価額によって計算されますが、評価額の調べ方や計算方法が気になる方も多いのではないでしょうか。

土地の評価額を計算する場合は「路線価方式」と「倍率方式」というのがあり、その他にも賃貸マンションや上場株式などがあるため、相続にかかる評価額の調べ方や計算方法を知っておくと役立ちます。

この記事では、相続税の評価額の調べ方と計算方法について解説していきます。


相続税の評価額とは?国税庁を参考に解説

相続税や贈与税を計算するときに、相続や贈与などにより取得した土地や家屋を評価する必要があります。

ここで注意しておきたいのは、相続した財産によって相続税が発生することです。

相続税は納税義務があるので必ず支払わなければなりませんが、納税する相続税の金額を算出するために相続税評価額を出さなければなりません。

相続する財産は土地や建物、賃貸マンションや株式などがあるので、それぞれの評価額を算出する必要性があります。

相続税の評価額とは、それぞれの財産の評価方法に基づいて計算して算出された金額のことです。

相続税評価額の合計金額によって、納税する相続税の金額が判明します。

もし相続税の基礎控除額を下回る金額であれば申告する必要性はありませんが、1円でも上回るようであれば必ず申告する義務が発生します。

引用元:国税庁|令和4年No.4602 土地家屋の評価

相続税の評価額の調べ方と計算方法

調べておきたい相続税の評価額は、以下の7つです。

  1. 土地
  2. 建物・家屋
  3. 賃貸マンション
  4. 上場株式
  5. 生命保険金
  6. 退職手当金
  7. 預貯金

それでは、上記の相続税評価額の調べ方と計算方法についてご説明しましょう。

種類①:土地の評価額

土地の評価額の調べ方には、路線価方式と倍率方式の2種類があります。

路線価方式と倍率方式の2種類の方法を知ることで、大まかな評価額が分かるでしょう。

それでは、土地の評価額の計算方法について説明していきます。

路線価方式

路線価方式とは、「路線価×各種補正率×土地面積」で算出される計算方法です。

路線価とは道路に面する土地1㎡あたりの評価額のことで、この路線価を算出した上で計算する必要性があります。

たとえば1㎡あたりの価格が30万円で各種補正率が1.0倍、土地面積が100㎡だった場合、「30万円×1.0×100=3,000万円」となります。

とはいえ、各種補正率を正確に割り出すのは難しいので、必要に応じて専門家に相談するのがおすすめです。

倍率方式

倍率方式とは「固定資産税評価額×倍率」で算出される計算方法です。

この固定資産税評価額については毎年市区町村から発送される固定資産税・都市計画税納税通知書、通称名寄せに記載されているので簡単に確認できます。

肝心の倍率ですが、毎年7月頃に国税庁のホームページで発表されるのでそちらを確認しましょう。

ホームページで確認できる倍率表には、大きく分けて以下の3種類に分かれています。

  1. 各都道府県、市町村ごとの区分
  2. 市街化区域、市街化調整区域等の適用地域名の区分
  3. 地目ごとの区分

以上の区分によって倍率が違うので、被相続人が所有していた土地に該当している区分の倍率を確認しましょう。

たとえば固定資産税評価額が1,500万円で倍率が1.2倍だった場合は、「1,500万円×1.2=1,800万円」となります。

種類②:建物・家屋の評価額

建物や家屋の評価額を算出するには、上記の土地の評価額を倍率方式で求める場合に利用した固定資産税・都市計画税納税通知書、通称名寄せに記載されている固定資産税評価額を確認することで分かります。

ただし、相続した建物の状態によって評価額の計算方法が違うので注意が必要です。

状態によって変わる計算のやり方は、以下の通りです。

相続した建物の状態 計算方法
被相続人が利用していた場合 固定資産税評価額×1.0
賃貸アパートの場合 固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
第三者に貸していた場合 固定資産税評価額×(1-借家権割合)
亡くなる前にリフォームしていた場合 リフォーム前の建物の固定資産税評価額+(リフォーム等費用-死亡日までの償却費)×70%
建築中の建物の場合 費用原価の額×70%

亡くなる前にリフォームしていた場合に算出する必要性がある死亡日までの償却費の計算方法は「リフォーム等費用の×90%×経過年数÷耐用年数」です。

種類③:賃貸マンションの評価額

賃貸マンションの評価額を算出する際に忘れてはならないのが、建物と土地の両方の評価額を算出しなければならないことです。

賃貸マンションを相続する場合、評価額の算出方法は「固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)」となります。

たとえば固定資産税評価額が3億円、20部屋中10部屋を賃貸にしている場合の計算式は「3億円×(1-30%×10/20)=2億5,500億円」となります。

一方の土地の評価額の計算式は「路線価×土地面積×敷地権割合」です。

たとえば1㎡あたりの価格が40万円で賃貸マンションの土地面積が2,000㎡、敷地権割合が8,000/400,000だった場合「30万円×2,000×8,000÷400,000=1,600万円」となります。

敷地権割合は不動産の全部事項証明書に記載されているので、算出する際に確認しましょう。

【関連記事】マンション経営で節税する仕組みは?対象となる税金をわかりやすく解説

種類④:上場株式の評価額

上場株式の評価額を算出するには、以下の4つから金額を割り出した上で最も低い金額を採用する必要があります。

  1. 被相続人が亡くなった日の最終価格
  2. 相続日の月の最終価格の月平均額
  3. 相続日の月の前月の最終価格の月平均額
  4. 相続日の月の前々月の最終価格の月平均額

上記のいずれかのうち、最も低い平均額が2,000円で3万株ほど上場株式を所有していた場合「2,000円×3万株=6,000万円」となります。

種類⑤:生命保険金の評価額

生命保険金の評価額を算出する際に忘れてはいけないのが、生命保険契約の非課税枠があることです。

本来であれば被相続人が亡くなった時に受け取る生命保険金が相続税評価額となりますが、法廷相続人一人あたり500万円までが非課税となる税制上のメリットがあります。

したがって、生命保険金の評価額を算出する場合「法定相続人の人数×500万円=非課税限度額」となります。

生命保険金が2,000万円で法定相続人が3人いた場合「2,000万円-500万円×3=500万円」です。

種類⑥:退職手当金の評価額

退職手当金の評価額を算出する場合、大事なのは本来、退職手当は被相続人が受け取るものだったお金だという点です。

したがって、被相続人が亡くなってから3年以内に支給が確定したものに限り、退職手当金が課税対象になります。

ただし、生命保険金と同様に法廷相続人一人あたり500万円までが非課税になります。

つまり、退職手当金の評価額を算出する場合、「法定相続人の人数×500万円=非課税限度額」としましょう。

退職手当金が4,000万円で法定相続人が2人いた場合、「4,000万円-500万円×2=2,000万円」となります。

種類⑦:預貯金の評価額

預貯金の評価額を算出する場合、普通預金か定期預金かで方法が違ってきます。

普通預金の場合、被相続人が亡くなった日時点での現残高がそのまま相続税評価額になるのが特徴です。

定期預金の場合、普通預金と同様に被相続人が亡くなった日時点での現残高がそのまま相続税評価額になります。

しかし、相続開始日までの利息から、発生した利息にかかる税金を差し引いた金額を定期預金に含めた上で相続税評価額とします。

まとめ:相続税の評価額の調べ方

相続税の評価額の調べ方は、土地・建物・家屋・賃貸マンション・上場株式・生命保険金・退職手当金・預貯金によって大きく違います。

もしも相続税の基礎控除額を下回る金額であれば申告する必要性はありませんが、1円でも上回るようであれば必ず申告する義務が発生するので、大まかでも評価額を計算することが大切です。

評価額の計算は初めての人には難しいと思われるかもしれませんが、やり方さえ分かれば大まかに計算できるので、この記事を参考に計算してみましょう。

オンラインセミナーも随時開催しておりますので、スケジュールについては弊社ホームページ
セミナー情報」よりご確認ください。


この記事の監修者

西尾 陽平
西尾 陽平
役職
土地活用事業部 執行役員
保有資格
資産形成シニアコンサルタント、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後同社へ入社し、地主さんの土地活用という資産形成や節税を実践で学び、現在は土地のない方へ、土地から紹介し不動産の資産形成の一助を行っている。実践の中で身に付いた視点で、分かりやすく皆様に不動産投資のあれこれをお伝えしています。