【早見表付き】遺産1億円の相続税はいくら?計算方法や節税対策も解説
相続税対策を検討するなかで、「遺産1億円の相続税はいくら?」と疑問を持つ方も多いでしょう。
遺産1億円の相続税は、相続人の数や非課税財産の有無など条件によって税額が異なります。
相続税について曖昧な認識のままでいると、いざ遺産1億円を相続する際に「想像以上に税金がかかった」と後悔を感じる可能性があるので、注意が必要です。
この記事では遺産1億円の相続税がいくらかを、早見表付きで解説します。
相続税の基礎知識や節税対策のほか、注意点もあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
相続税の基礎知識
相続税の基礎知識として、以下の3点を解説します。
- 仕組み
- 法定相続分
- 適用される控除
遺産1億円の相続税がいくらかを把握する前に、基礎知識について理解を深めましょう。
最新の相続税・贈与税の改正内容を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
【関連記事】【2024年から】相続税・贈与税の改正内容|節税のポイントも解説
仕組み
相続税とは、亡くなった方から財産を相続する際に、受け取った財産に対して発生する税金のことです。
具体的には、相続により受け取った財産の合計価額から、以下の要素を差し引いた額が基礎控除額を超える場合に相続税が発生します。
- 債務
- 葬式の費用
- 非課税財産
また、相続税の基礎控除額の計算方法は以下の通りです。
600万円×配偶者や子どもなど法定相続人の数+3,000万円 |
法定相続人とは、民法で定められた相続人のことで、亡くなった方である被相続人の配偶者と血族を指します。
相続税の基礎控除額は、法定相続人の数が増えれば増えるほど大きくなる点がポイントです。
例えば、法定相続人が1人の場合は3,600万円、3人の場合は4,800万円が基礎控除額となります。
なお、相続した財産が相続税の基礎控除額以下の場合は、原則申告の必要はありません。
相続税の課税対象となる額は、相続した財産の合計価額と基礎控除額によって変わるので注意しましょう。
相続税における基礎控除額の計算や改定内容について理解を深めたい方は、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】相続税の基礎控除額の計算や改定内容を徹底解説
引用元:
・国税庁|財産を相続したとき
・国税庁|No.4152相続税の計算
法定相続分
法定相続分とは、法定相続人が2人以上いる場合に各人が受け取る相続分の割合のことです。
下表のように、法定相続分は被相続人との関係性によって割合が変化します。
想定ケース | 被相続人との関係性 | 法定相続分 |
子どもあり | 配偶者 | 2分の1 |
子ども | 2分の1 | |
子どもなし | 配偶者 | 3分の2 |
父母 | 3分の1 | |
子ども・父母なし | 配偶者 | 4分の3 |
兄弟姉妹 | 4分の1 |
上記の子どもの法定相続分は子ども全員分であり、法定相続分に分けたあとに子どもの人数に合わせて割当てます。
民法で定められている法定相続分は遺産分割の合意が得られない場合の基準であり、協議によって全員の合意を得られれば任意の割合で分割が可能です。
遺言書があるケースでは、原則として遺言書で指定された相続分が優先されます。
なお、一定の法定相続人には遺産取得分を最低限保証する「遺留分」が認められているため、考慮したうえで配分を決めることが重要です。
法定相続人の続柄や人数によって法定相続分の割合が変化するので、ご家族の状況を踏まえてどの程度の相続額になるか見当をつけましょう。
引用元:
・国税庁|財産を相続したとき
・国税庁|No.4132相続人の範囲と法定相続分
適用される控除
相続税において適用される控除は、下表のとおりです。
種類 | 内容 |
配偶者控除 | ・相続する正味の遺産額が1億6,000万円までは相続税が発生しない ・配偶者の法定相続分に相当する額までについても発生しない |
未成年者控除 | 相続人が18歳未満の場合、18歳に達するまで1年あたり10万円を控除する |
障害者控除 | 相続人が障害者もしくは特別障害者の場合、85歳に達するまで1年あたり10万〜20万円を控除する |
相次相続控除 | 被相続人が死亡する10年以内に支払った相続税のうち、一定額を相続人の相続税額から控除する |
暦年課税に係る贈与税額控除 | 正味の遺産額に加算された暦年課税による贈与税額を控除する |
相続時精算課税に係る贈与税額控除 | 遺産総額に加算された相続時精算課税による贈与税額を控除する |
配偶者控除を受けるには申告書の提出が必要になるので、利用する際は注意してください。
また、暦年課税と相続時精算課税は贈与税の課税方式の種類で、特徴は下表の通りです。
種類 | 内容 |
暦年課税 | 1年間に実施された財産贈与に対して課税する |
相続時精算課税 | 贈与者の死亡時に累計贈与財産と相続財産の合計から相続税額を計算して課税する |
ご自身がどのような控除を利用できるかあらかじめ確認し、控除の適用後に相続税がどの程度かかるかシミュレーションしましょう。
不動産贈与税の基礎知識や評価額の決め方を知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】知っておきたい不動産贈与税の基礎知識や評価額の決め方を解説
引用元:
・国税庁|No.4168相次相続控除
・国税庁|財産を相続したとき
【法定相続分別】納税額の早見表
納税額の早見表を法定相続分別に、以下の2つを想定して紹介します。
- 一次相続の場合
- 二次相続の場合
ご自身の状況と照らし合わせながら、チェックしましょう。
一次相続の場合
一次相続とは両親のいずれか一方が亡くなった場合に、配偶者や子どもに対して発生する相続のことです。
一次相続の納税額を、下表の早見表からチェックしましょう。
課税対象の遺産額 | 配偶者 子ども1人 |
配偶者 子ども2人 |
配偶者 子ども3人 |
8,000万円 | 235万円 | 175万円 | 138万円 |
9,000万円 | 310万円 | 240万円 | 200万円 |
1億円 | 385万円 | 315万円 | 263万円 |
1億5,000万円 | 920万円 | 748万円 | 665万円 |
2億円 | 1,670万円 | 1,350万円 | 1,218万円 |
子どもの数によっても異なるものの、一次相続で遺産1億円を受け取る場合の納税額は263万〜385万円が目安となります。
両親のどちらかが亡くなった場合は、一次相続の納税額をチェックしてください。
二次相続の場合
二次相続とは一次相続時の相続人であった配偶者が亡くなる際に、子どもに対して発生する相続を指します。
二次相続の納税額を、下表の早見表から確認しましょう。
課税対象の遺産額 | 子ども1人 | 子ども2人 | 子ども3人 |
8,000万円 | 680万円 | 470万円 | 330万円 |
9,000万円 | 920万円 | 620万円 | 480万円 |
1億円 | 1,220万円 | 770万円 | 630万円 |
1億5,000万円 | 2,860万円 | 1,840万円 | 1,440万円 |
2億円 | 4,860万円 | 3,340万円 | 2,460万円 |
子どもの数によっても違いがありますが、二次相続で遺産1億円を相続するケースの納税額は630万〜1,220万円が相場です。
二次相続の場合は、相続人が減っているのに加えて配偶者控除が利用できないため、一次相続よりも納税額が高くなるケースが多いといえます。
各相続人の納税額を知りたい方は、次の章で紹介する計算の流れを参考にしてください。
遺産1億円の相続税はいくらになる?計算の流れ
遺産1億円の相続税を計算する流れは、以下の4ステップです。
- 正味の遺産額を計算する
- 課税遺産総額を計算する
- 相続税の総額を計算する
- 各相続人の納税額を計算する
それぞれのステップを押さえて、遺産1億円の相続税がいくらになるかシミュレーションしましょう。
ステップ①:正味の遺産額を計算する
正味の遺産額とは、財産の合計額から被相続人の債務などを差し引いた額を指します。
例えば、下表のような財産・費用は財産の合計額から差し引くことが可能です。
種類 | 例 |
財産 | ・預貯金や ・有価証券 ・不動産 ・死亡保険金 |
差し引ける財産・費用 | ・未払金などの債務 ・葬式の費用 ・非課税財産 |
また、遺産の累計が1億7,000万円で債務が5,000万円・非課税財産が2,000万円である場合、正味の遺産額は以下のように計算します。
1億7,000万円-(5,000万円+2,000万円)=1億円 |
正味の遺産額を計算する際は、財産の総額に加えて、債務などの財産から差し引ける要素の金額も把握しましょう。
引用元:
・国税庁|財産を相続したとき
・国税庁|No.4126相続財産から控除できる債務
・国税庁|No.4108相続税がかからない財産
ステップ②:課税遺産総額を計算する
法定相続人の数をもとに計算した基礎控除額を正味の遺産額から引くと、課税遺産総額を算出できます。
正味の遺産額が1億円を配偶者と子ども2人で相続するケースを想定して、課税遺産総額を試算しましょう。
1億円-(3,000万円+600万円×3人)=5,200万円 |
配偶者と子ども2人で相続するケースでは基礎控除額が4,800万円なので、1億円から差し引くと課税遺産総額は5,200万円です。
ステップ③:相続税の総額を計算する
課税遺産総額を把握したら、法定相続分の割合に合わせて相続税の総額を計算します。
正味の遺産額1億円を配偶者と子ども2人で相続し、課税遺産総額が5,200万円のケースで、相続税の総額を試算しましょう。
配偶者と子ども2人の相続税は、下表のように計算します。
種類 | 計算式 | |
配偶者 | 法定相続分 | 5,200万円×1/2=2,600万円 |
相続税 | 2,600万円×15%-50万円=340万円 | |
子ども | 法定相続分 | 5,200万円×1/2=2,600万円 2,600万円÷2=1,300万円/人 |
相続税 | 1,300万円×15%-50万円=145万円/人 |
相続税の税率は10〜55%の8段階で、法定相続分に所定の税率をかけ、金額に応じた控除額を差し引くと相続税額の算出が可能です。
配偶者と子ども2人の相続税を合計すると、総額を把握できます。
340万円+145万円+145万円=630万円 |
正味の遺産額1億円を配偶者と子ども2人で相続する場合、相続税の総額は630万円です。
ステップ④:各相続人の納税額を計算する
各相続人が実際に相続する遺産の割合に合わせて、それぞれの納税額を計算します。
正味の遺産額1億円を配偶者と子ども2人で相続し、3人で均等に遺産を相続する場合では、各相続人の納税額は下表の通りです。
種類 | 計算式 |
配偶者 | 630万円÷3=120万円 |
子ども | 630万円÷3=120万円/人 |
また、法定相続分に合わせて遺産を配分する場合では、各相続人の納税額は下表のように計算します。
種類 | 計算式 |
配偶者 | 630万円÷2=315万円 |
子ども | 630万円÷2=315万円 315万円÷2=157.5万円/人 |
なお、配偶者は相続する正味の遺産額が1億6,000万円までは相続税が発生しないという配偶者控除が適用されるので、上記のケースでは相続税は発生しません。
各相続人の納税額は、遺産総額から実際にどの程度相続するかによって変化するので、さまざまな割合でシミュレーションしましょう。
資産を守るために行いたい遺産1億円の相続税対策
資産を守るために行いたい遺産1億円の相続税対策は、以下の3つです。
- 生命保険を活用する
- 小規模宅地等の特例で減額を図る
- 二次相続も考慮する
それぞれの対策を実践して、利用できる資産を多く残しましょう。
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相続税対策①:生命保険を活用する
遺産1億円の相続税対策として、生命保険を活用する方法があります。
被相続人の死亡によって生命保険を得る場合は非課税枠の利用が可能で、計算方法は以下のとおりです。
500万円×法定相続人の数=非課税限度額 |
例えば、配偶者と子どもが3人いる家庭では法定相続人は4人となるため、500万円×4名=2,000万円の非課税枠が適用されます。
ただし、生命保険の非課税枠を使うには、被相続人が保険料を支払い、受取人が相続人であることが求められるので注意してください。
引用元:国税庁|No.4114相続税の課税対象になる死亡保険金
相続税対策②:小規模宅地等の特例で減額を図る
小規模宅地等の特例とは、被相続人の居住用などに利用していた土地を相続で取得する場合に、一定の要件を満たす宅地については評価額が減額される制度です。
小規模宅地等の特例を利用すると、下表のように土地の評価額が減額されます。
利用区分 | 要件 | 限度面積 | 減額割合 | |
居住用 | 特定居住用宅地等 | 330㎡ | 80% | |
事業用 | 貸付事業以外の事業用の宅地等 | 特定事業用宅地等 | 400㎡ | 80% |
貸付事業用の宅地等 | 特定同族会社事業用宅地等
貸付事業用宅地等 |
200〜400㎡ | 50〜80% |
土地の評価が減額される小規模宅地等の特例を活用して、高額になりがちな土地の相続税を減らしましょう。
相続税における土地評価の計算方法や控除についてもっと知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】相続税で損しない!土地評価の計算方法や控除を紹介
引用元:国税庁|No.4124相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
相続税対策③:二次相続も考慮する
二次相続は配偶者控除が利用できず、相続税が高くなりやすいため、節税対策を検討しておくことが大切です。
例えば、以下のような節税対策を実施すると、二次相続の相続税を抑えられる可能性があります。
- 生前贈与を実施する
- 一次相続の際に遺産の取得割合をコントロールする
- 収益化された不動産は一次相続で子どもが相続する
- 生命保険金の非課税枠を利用する
- 価値が上がると予想される資産は一次相続で子どもが相続する
- 同居する子どもがいる場合は一次相続で子どもが自宅を相続する
一次相続で収益物件や実家を子どもが相続すれば、配偶者が相続する遺産を減らせるので、二次相続時に相続する遺産と相続税を軽減することが可能です。
一次相続の段階から遺産の取得割合をコントロールするなど早期から対策を実施することで、トータルの相続税を抑えましょう。
なお、弊社ゴールドトラストでは、定期的に不動産投資セミナーを開催しています。
不動産投資について情報収集したいという方は、セミナー参加をご覧ください。
相続税対策のノウハウについて理解を深めたい方は、下記の記事もあわせてチェックしましょう。
【関連記事】相続税対策のノウハウを紹介!おすすめの相続税対策7選
※不動産投資による節税は物件などの条件により効果が異なります。節税を目的とした投資をする際は専門家のサポートを受けながら行いましょう。
【納税だけではない】遺産1億円を相続する際の注意点
遺産1億円を相続する際の注意点は、以下の3つです。
- 申告漏れがないようにする
- 不動産を相続した場合は登記手続きも行う
- 財産が凍結される恐れがある【配偶者が高齢の場合】
スムーズに相続を進めるためにも、それぞれのポイントをチェックしましょう。
注意点①:申告漏れがないようにする
相続税の申告は、被相続人の死亡日など死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に手続きする必要があります。
相続税に申告漏れがある場合、以下のようなペナルティが課されるケースがあるので注意してください。
- 延滞税
- 過少申告加算税
- 無申告加算税
- 重加算税
また、納税額がゼロの場合でも配偶者控除など適用する控除や特例によっては申告義務があるため、あらかじめ確認する必要があります。
期限内に相続税を申告して、追加の税金が発生するのを防ぎましょう。
注意点②:不動産を相続した場合は登記手続きも行う
被相続人が死亡して相続により不動産を取得した場合の登記は相続登記と呼ばれており、2024年より申請が義務化されました。
なお、相続登記は相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に実施することが定められています。
相続登記をしないと罰則が課せられるだけではなく、不動産を売却できないといったトラブルを招くので早めに手続きしてください。
不動産を相続した場合は、登記手続きをして不動産の名義を変更しましょう。
注意点③:財産が凍結される恐れがある【配偶者が高齢の場合】
遺産相続のトラブルを避け、故人の資産を守るために金融機関が故人名義の口座を凍結するケースがあります。
金融機関が故人名義の口座を凍結するのは、相続人が金融機関に死亡の事実を知らせたり、新聞のお悔やみ欄などで死亡を確認したりするタイミングです。
口座が凍結されると必要な資金が引き出せないといったトラブルが発生するので、遺言書の作成など生前に対策を講じましょう。
まとめ:遺産1億円の相続税は配偶者の有無や子どもの人数で異なる
遺産1億円の相続税がいくらかは、法定相続人の人数や控除の有無によって異なります。
同じ遺産1億円を相続するケースでも、一次相続よりも配偶者控除を利用できない二次相続のほうが高い相続税になりやすいので注意が必要です。
生命保険の非課税枠を活用したり、小規模宅地等の特例で評価額の減額を図ったりして、相続税を軽減しましょう。
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【関連記事】【相続税の評価額】調べ方と計算方法を解説
【関連記事】相続税で損をしないための不動産相続の基礎知識とは?評価額の計算方法も解説
【関連記事】相続税が気になる方必見!マンション相続税の評価額の計算方法や節税方法を解説