不動産投資の2棟目購入が可能な最低条件とは?留意点や成功するコツも解説
不動産投資の2棟目購入を考えて、「今の状況で買っても大丈夫?」「最低条件を知りたい」と考える方も多いでしょう。
2棟目を購入すれば、投資リスクを軽減できるなどさまざまなメリットを得られます。
ただし、最低条件を理解せずに購入すると経営が苦しくなり、物件を手放すケースも少なくありません。
この記事では、不動産投資の2棟目購入が可能な最低条件を解説します。
2棟目以上の経営がおすすめの理由や失敗例についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
不動産投資で2棟目以上の経営がおすすめの理由
不動産投資で2棟目以上の経営がおすすめの理由は、以下の5つです。
- 投資リスクが分散できる
- 家賃収入が増える
- 融資を受けやすい
- 金利が減る可能性がある
- 節税効果が期待できる
それぞれの理由について詳しく解説します。
理由①:投資リスクが分散できる
複数の不動産に投資することで、投資リスクが分散できます。
1棟目の不動産に何らかのトラブルが発生して収入が減少しても、2棟目の家賃収入である程度カバーできるためです。
例えば、家賃10万円の部屋を1棟6室運用している場合と2棟運用している場合で、家賃の減少率を比較してみましょう。
棟数 | 満室時の収入 | 空室が1室できた場合の収入 | 家賃収入の減少率 |
1棟(6室×10万円) | 60万 | 50万 | 約16.6% |
2棟(12室×10万円) | 120万 | 110万 | 約8.3% |
2棟へ投資していた場合には、家賃の減少率が半分で済むことが分かります。
ただし、同じエリアに投資先が集中すると地震などが起きた際にはリスクが上昇するので、地域の分散も重要です。
不動産投資で地震が起きた場合の対処法について知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】地震が起きたら不動産投資家が取るべき3つの行動!日頃備えておきたい事項も
理由②:家賃収入が増える
2棟目の不動産へ投資すれば、家賃収入が大幅に増える可能性があります。
維持費は増えるものの経営が良好であれば、同時に家賃収入も増えてキャッシュフローがプラスになりやすいのが利点です。
手元に利用できる資金が増えれば、種類の異なる投資に回すなどさらなる資産拡大につながります。
また、トラブルによって物件を修繕するなど予想外な出費が発生しても、スムーズに対応できるでしょう。
理由③:融資を受けやすい
2棟目の投資は1棟目の不動産投資ローン返済における実績が評価されるため、融資を受けやすくなります。
その他にも黒字経営が続いていたり、キャッシュフローが良好だったりすると、金融機関からも好印象です。
さらに、1棟目を担保にすれば、2棟目もローンを組めます。
2棟目の経営が順調に進めば、3棟目・4棟目の融資審査においても有利です。
ただし、2棟目の融資を1棟目と異なる金融機関に申し込む場合には、1棟目の金利など条件によって融資審査が通らない可能性もあるので注意しましょう。
理由④:金利が減る可能性がある
2棟目の不動産投資ローンを低金利の金融機関で借りられれば、全体の金利が下がる可能性があります。
金利を減らせるのは、1棟目よりも低い金利の金融機関で2棟目のローンを借り、1棟目分も一緒に借り換えをした場合です。
つまり、2棟目の購入は不動産投資ローンの金利が低い時期を狙う必要があります。
物件情報を日頃からチェックするのはもちろんですが、複数の金融機関の金利を定期的に確認・比較することも重要です。
理由⑤:節税効果が期待できる
2棟目の建物購入費用が減価償却費として計上できるため、節税効果を得られる可能性があります。
1棟目の減価償却費が減少していたり、償却期間が終了間際だったりする場合に2棟目の購入がおすすめです。
特に法定耐用年数が過ぎた物件は、木造であれば4年など短い期間で減価償却ができるため、高い節税効果を得られます。
ただし、節税目的だけで不動産を購入すると、キャッシュフローの悪化を招くケースもあるので注意が必要です。
不動産投資で節税したいと考えている方は、築22年以上を経過した国内の築古戸建てを活用する「中古再生:ズバッと節税ズバッと償却」をご覧ください。
※不動産投資による節税は物件などの条件により効果が異なります。節税を目的とした投資をする際は専門家のサポートを受けながら行いましょう。
不動産投資で2棟目の購入を検討できる最低条件
「1棟目の減価償却期間が終わる」「不動産投資ローンの金利が低い」といったタイミングで2棟目を購入する傾向にありますが、以下の条件を満たすことも大切です。
- 黒字経営を維持している
- 自己資金を確保できている
- ローンの返済比率が良い
最低条件について理解しておけば、2棟目の不動産投資での失敗を回避できるでしょう。
条件①:黒字経営を維持している
不動産投資ローンの融資審査では1棟目の経営状況が重視されるため、黒字経営を維持している必要があります。
損益計算書や貸借対照表はもちろん、キャッシュフロー計算書を含めて審査されるのが一般的です。
また、以下の条件もクリアしておくと、審査が有利になります。
- 空室率が低く不動産経営が健全に進んでいる
- 資産価値が維持できている
1棟目の不動産は2棟目の担保となり、資産価値が維持できていないと審査でマイナスな印象を与えるため注意が必要です。
金融機関によっては経営状況に関わらず1棟目の借入金が多く残っている場合には、融資を受けられない可能性もあります。
2棟目を検討し始めた早い段階で、金融機関に相談しておくと「融資審査に通らなかった」などのトラブルを避けることが可能です。
ただし、1棟目が黒字経営であっても、ローンの元金返済額が減価償却費を上回る「デッドクロス」には注意しましょう。
デッドクロスについて理解を深めたい方は、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】不動産投資のデッドクロスとは?原因や予防策を解説|購入後の対策も
条件②:自己資金を確保できている
1棟目同様に2棟目についても頭金や諸費用が必要となるため、自己資金を確保できるのが条件となります。
自己資金の目安は物件価格の15〜30%で、自己資金別に購入できる物件は下表の通りです。
自己資金額 | 購入可能な物件 | 物件例 | 分類 |
100万円 | 300万~600万円 | 安価な区分マンションなど | 中古 |
300万円 | 1,000万~2,000万円 | 区分マンション 戸建て住宅など |
中古 |
500万円 | 1,600万~3,300万円 | 一棟アパート 戸建て住宅など |
中古・新築 |
1,000万円 | 3,300万円~6,600万円 | 一棟アパート 区分マンションなど |
中古・新築 |
また、中古の不動産を購入する場合には、リノベーションやリフォームの費用が追加で発生する可能性が高く、事前に試算することが重要となります。
築5年以内の築浅物件など比較的新しい不動産は修繕費が少なく済む場合もありますが、築30年以上を経過した築古物件などは十分検討しましょう。
築古アパートに興味のある方は、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】築古アパートのメリット・デメリットとは?築浅との違いや失敗しないコツも
条件③:ローンの返済比率が良い
2棟目の不動産投資ローン審査では、1棟目のローン返済比率もチェックされるので、良好な状態を保つ必要があります。
ローン審査で見られる返済率の指標は、以下の2つです。
- 返済比率
- DSCR(元利金返済カバー率)
それぞれの概要やシミュレーションについて解説します。
返済比率とDSCR(元利金返済カバー率)
返済比率とDSCR(元利金返済カバー率)は、どちらもローンの返済割合を表す指標となります。
まず、返済比率とは「満室時の収入に占める不動産投資ローンの返済割合」で、計算式は下表の通りです。
計算式 | (返済額÷満室時収入)×100=返済比率(%) |
望ましい数値 | 50%以下 |
返済比率が高い場合は空室が増加しているなどの状態を表しており、不動産運用が健全に進んでいないことを意味しています。
続いて、DSCRとは、「総営業収益が不動産投資ローン返済額と比べてどの程度大きいかを表す数値」で、計算式は下表の通りです。
計算式 | 総営業収益÷返済額=DSCR(倍) |
望ましい数値 | 1.2~1.5倍 |
DSCRの数値が大きいと返済に余裕があると判断されますが、DSCRが1を下回るような場合には返済が難しいと見られるので注意が必要です。
日頃から返済比率とDSCRの両方をチェックして、不動産ローンの返済割合を確認しましょう。
シミュレーション例
実際に返済比率とDSCR(元利金返済カバー率)を、下表の条件で計算してみましょう。
満室時の年間家賃収入 | 720万円(6室×10万円×12ヶ月) |
年間のローン返済額 | 326万円 |
年間経費 | 108万円(家賃収入の15%) |
税引き前の収入 | 286万円 |
上記の条件で返済比率とDSCRを算出すると、下表の通りとなります。
返済比率 | (326万円÷720万円)×100=45.2% |
DSCR | (720万円-108万円)÷326万円=1.87倍 |
返済比率は50%以下、DSCRは1.5倍を超えているものの返済に余裕のある状態です。
融資審査はもちろん、経営状態を把握するのにも役立つ指標なので、ぜひ活用してください。
不動産投資で2棟目を購入する際の留意点
不動産投資で2棟目を購入する際の留意点は、以下の2つです。
- 管理業務の負担が増える
- 一時的にキャッシュフローが悪化する
注意点を事前に把握しておけば、2棟目を購入後もスムーズに運用できるでしょう。
留意点①:管理業務の負担が増える
2棟目を購入すると家賃収入が増えるものの、管理業務も2倍に増えるため注意が必要です。
1棟目・2棟目の両方を管理会社に任せている場合には大きな負担とならない場合もありますが、自己管理している際には業務が増えます。
また、1棟目は管理会社に委託し、2棟目は自己管理しようと考えているケースでは管理業務に慣れていないので気をつけましょう。
なお、主な管理業務は以下の通りです。
- 入居者の募集
- 家賃の集金・督促
- 物件の修繕
- 内覧・退去の立ち会い など
普段は管理会社に任せている業務を自力で実施する必要があるため、規模の小さな不動産であっても管理できるか事前に十分検討してください。
留意点②:一時的にキャッシュフローが悪化する
1棟目の維持費に加えて2棟目の初期費用が発生するため、一時的にキャッシュフローが悪化します。
改めて不動産購入にかかる主な初期費用を、おさらいしましょう。
- 不動産仲介手数料
- ローンの頭金・保証料
- 印紙代
- 登録免許税
- 固定資産税・都市計画税
- 司法書士報酬
- 火災保険料など
また、1棟目の大きな支出が予想される時期に2棟目を購入すると、著しくキャッシュフローを悪化させる危険性があります。
例えば、1棟目の大規模修繕やリフォームといった時期は避けるのが無難です。
1棟目の収支計画と照らし合わせながら、2棟目の購入時期を検討してください。
不動産投資の2棟目購入に失敗した例
不動産投資の2棟目購入に失敗した例として、以下のケースを紹介します。
- 融資を受けられず購入できなかった
- 自己資金が減って経営が苦しくなった
失敗例を参考にしながら、対策を検討しましょう。
失敗例①:融資を受けられず購入できなかった
何らかの理由で融資を受けられず、そもそも2棟目を購入できなかった失敗例があります。
2棟目の不動産投資ローンで審査に受からない人の特徴は、以下の通りです。
- 赤字経営が続いてる
- 自己資金を確保できない
- ローンの返済比率が悪い
- 1棟目を購入してから日が浅い
赤字経営が続いていたり、ローンの返済比率が悪かったりすると、金融機関の印象が良くないため審査を通過できない可能性があります。
また、1棟目を購入してから日が浅い場合には、不動産投資経験が少ないと判断されるケースもあるため注意が必要です。
不動産投資ローンの審査に受からない人の特徴に当てはまるのであれば、以下の対策を実施しましょう。
- 空室対策を徹底する
- 経営や融資について勉強する
- 経費を抑える
- 専門家のアドバイスをもらう
家賃収入を増やす、あるいは経費を削減するなど、安定した経営を目指すことが重要です。
失敗例②:自己資金が減って経営が苦しくなった
2棟目を購入できてもフルローンで購入したために、自己資金が減って経営が苦しくなった失敗例があります。
例えば、2棟目に自己資金がある場合と、自己資金がなくフルローンで組んだ場合を比較してみましょう。
2棟目に自己資金がある場合 | 2棟目をフルローンで組んだ場合 | |
物件価格の合計 | 1億円 (1・2棟目:各5,000万円) |
1億円 (1・2棟目:各5,000万円) |
自己資金 | 3,000万円 (1・2棟目:各1,500万円) |
1,500万円 (1棟目:1,500万円) |
融資額 | 7,000万円 | 8,500万円 |
自己資金の割合 | 30% | 15% |
2棟目をフルローンにしたことで、全体の自己資金の割合が15%にまで低下しており、月々のローン返済額が高額になってキャッシュフローの悪化を招く可能性があります。
その他にも、フルローンには金利上昇のリスクがあるので、注意が必要です。
2棟目をフルローンで組むリスクに不安を覚える場合には、自己資金を用意する必要があります。
空室対策を充実させるなどして、キャッシュフローを改善するところから始めてください。
不動産投資で2棟目経営も成功させる3つのコツ
不動産投資で2棟目経営も成功させるコツは、以下の3つです。
- 2棟目の購入目的を明確にする
- リサーチを徹底したうえで物件を選定する
- 1棟目の管理会社と連携する
コツをつかんでおけば、迷いなく不動産運用に取り組めるでしょう。
コツ①:2棟目の購入目的を明確にする
何となく2棟目を購入すると、「キャッシュフローが悪化した」「管理業務で忙しくなった」など後悔する場合があるので、購入目的を明確にしましょう。
特に心当たりがない場合には、1棟目を購入した際に掲げた目的を振り返ってみるのもおすすめです。
不動産を購入する一般的な目的には、以下のような種類があります。
- 副収入源を増やしたい
- 老後のために資産形成したい
- 不動産投資を本業にしたい
- 売却益を得たい
- 節税したい
目的によって選ぶべき物件が変化するので、しっかり検討しておくことが重要です。
「1棟目が順調に運用できているから2棟目も買おう」といった曖昧な目的の場合は、ミスマッチな物件を購入する可能性もあるため注意してください。
コツ②:リサーチを徹底したうえで物件を選定する
1棟目と同様に、リサーチを徹底したうえで物件を選定することも重要です。
具体的にチェックしておきたいポイントは、以下の2つとなります。
- 1棟目とエリアが違うか
- 1棟目の築年数と近すぎないか
基本的な探し方について振り返りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】不動産投資における物件の探し方ガイド!着目したい条件やポイントも解説
チェックポイント①:1棟目とエリアが違うか
同じ地域の物件を購入すると災害時にリスクが高まるため、1棟目と違うエリアの不動産を購入しましょう。
地震や水害などが発生した際に、同じ地域に物件があると2棟ともキャッシュフローが極度に悪化して、ローン返済などに支障をきたす場合があります。
また、大規模災害のケースでは、都道府県をまたがって被害が出る危険性もあり、なるべく異なるエリアに投資してください。
チェックポイント②:1棟目の築年数と近すぎないか
2棟目を購入する際は、異なる築年数の物件を選びましょう。
2棟目が1棟目の築年数と近すぎると同じ時期にリフォームやリノベーションをする必要があり、修繕費がかさむためです。
将来的に3棟目を購入する際にも、2棟とも築年数が経過して資産価値が低いと、ローン審査が通らない可能性もあります。
投資先をさらに拡大するためには、築年数を考慮して物件を購入することも重要です。
コツ③:1棟目の管理会社と連携する
1棟目の管理会社と連携すると、優良物件を優先的に案内してもらえる可能性があります。
また、別の管理会社と関係性をゼロから構築するのは骨が折れるため、効率良く運用するためにも同じ管理会社がおすすめです。
ただし、1棟目の管理会社との関係性が良好ではない場合には、無理に2棟目の管理を依頼する必要はありません。
新たに管理会社を見つける場合には、以下がチェックポイントとなります。
- 対応エリア
- 管理戸数
- 提携業者
- 空室対策
現在利用している管理会社との関係性を振り返りながら、業者を決めましょう。
まとめ:不動産投資の2棟目購入は慎重な判断を
不動産投資の2棟目購入が可能な最低条件には、「黒字経営を維持している」「自己資金を確保できている」などがあります。
焦って2棟目を購入するのではなく、経営状態を踏まえて慎重な判断をすることが重要です。
購入目的を明確にしたり、十分なリサーチをしたりして、2棟目の不動産投資も成功に導きましょう。
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