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資産1億円の贈与税はいくら?税率の早見表や税負担を減らす特例も解説

資産1億円の贈与税はいくら?税率の早見表や税負担を減らす特例も解説

資産1億円の生前贈与となれば、無視できないのが贈与税です。
資産1億円の贈与税がいくらになるかは、課税方式の種類や適用される控除によって異なります。
なんとなく資産の贈与をスタートさせると、「想像以上に税金がかかる」などの後悔を感じるケースがあるので注意が必要です。

この記事では、資産1億円の贈与税がいくらかを課税方法別に解説します。
資産1億円を贈与する際に利用できる控除・特例一覧や、贈与税の納付で相続税を減らせるケースも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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贈与税の基礎知識

贈与税とは、贈与によって個人から財産を取得する際に発生する税金のことです。
贈与税の課税対象は、以下のようなものがあります。

  • 現金
  • 預金
  • 株などの金融商品
  • 土地・建物などの不動産
  • 保険金

現金や預金はもちろん、金融商品や不動産なども含まれており、贈与する際は幅広い資産が課税対象となるので注意が必要です。
ここでは贈与税の基礎知識として、以下の2点を解説します。

  1. 課税方式別の税率【早見表付き】
  2. 相続税との関係

贈与税の具体的な計算方法をチェックする前に、基礎知識を押さえましょう。

 

課税方式別の税率【早見表付き】

贈与税の税率を課税方式別に、以下の2パターンに分けて解説します。

  1. 相続時精算課税の場合
  2. 暦年課税の場合

それぞれの特徴も解説するので、参考にしてください。

 

相続時精算課税の場合

相続時精算課税とは、60歳以上の父母や祖父母から18歳以上の子や孫に対して2,500万円まで贈与税を納めずに贈与できる方式です。
具体的には、贈与者の死亡時に贈与財産の価額と相続財産の価額とを合計した金額をもとに相続税額を計算します。

相続時精算課税を利用する場合、特別控除の限度額である2,500万円を超えるときに贈与税が発生します。
贈与税の税率は、2,500万円を超えた分に対して一律20%です。
また、2023年度における相続税・贈与税の税制改正によって基礎控除の110万円が新設されており、1年間の贈与額が110万円を超える場合に特別控除へ加算されます。

なお、相続時精算課税を利用するには、最初の贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日の期間内に所轄税務署に対して「相続時精算課税選択届出書」の提出が必要です。
相続時精算課税を使う際は、特別控除2,500万円と各年の基礎控除110万円という大きな非課税枠があるのが魅力だといえます。

引用元:
国税庁|No.4103相続時精算課税の選択
国税庁|令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし

 

暦年課税の場合

暦年課税とは、1年間に贈与された資産の合計額に応じて課税される方式です。
暦年課税には年間110万円の基礎控除が設定されており、基礎控除額を超える際は110万円を超えた部分に所定の税率を乗じて税額を計算します。
贈与の種類によって暦年課税の条件が異なるため、税率をチェックする前に贈与の種類について特徴を押さえましょう。

種類 内容
一般贈与 特例贈与に当てはまらないすべての贈与 親から未成年の子・夫婦間・兄弟姉妹間などの贈与
特例贈与 直系尊属から18歳以上の直系卑属への贈与 父母・祖父母から子・孫への贈与

暦年課税の税率は下表のように、10〜55%の8段階に設定されています。

一般贈与 特例贈与
基礎控除後の課税価額 税率 控除額 基礎控除後の課税価額 税率 控除額
200万円以下 10% 200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円 400万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円 600万円以下 20% 30万円
600万円以下 30% 65万円 1,000万円以下 30% 90万円
1,000万円以下 40% 125万円 1,500万円以下 40% 190万円
1,500万円以下 45% 175万円 3,000万円以下 45% 265万円
3,000万円以下 50% 250万円 4,500万円以下 50% 415万円
3,000万円超え 55% 400万円 4,500万円超え 55% 640万円

一般贈与と特例贈与では課税価額などに違いがあり、一般贈与よりも特定贈与のほうが贈与税を抑えられる傾向にあります。
暦年課税を検討する際は、一般贈与と特定贈与で条件が異なるので、それぞれの税額をシミュレーションしてから決めることが重要です。

引用元:国税庁|No.4408贈与税の計算と税率(暦年課税)

 

相続税との関係

贈与税と相続税の関係は、下表の通りです。

贈与税 相続税
概要 生存している贈与者が、別の個人である受贈者に資産を与える際に発生する 亡くなった被相続人の資産を、遺族である相続人が受け継ぐ際に発生する
課税対象 贈与した資産のみ 死亡時に保有しているすべての資産

また、贈与税は相続税逃れを防ぐ役割を持っており、下表のように相続税よりも高い税率構造となります。

税率 課税価額
相続税 贈与税(特例贈与) 贈与税(一般贈与)
20% ~5,000万円 ~600万円 ~400万円
30% ~1億円 ~1,000万円 ~600万円
40% ~2億円 ~1,500万円 ~1,000万円

ただし、贈与税と相続税は税率だけでは比較できないので注意しましょう。
複数回にわたって贈与することで税額の合計が相続税よりも贈与税のほうが低くなるケースもあるため、あらかじめシミュレーションすることが重要です。
2024年から実施された相続税・贈与税の改正内容や節税のポイントを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

【関連記事】【2024年から】相続税・贈与税の改正内容|節税のポイントも解説

引用元:国税庁|相続税・贈与税のあらまし~令和5年度税制改正(相続税・贈与税の一体化関係)を中心に~

 

資産1億円の贈与税はいくらになる?計算方法をチェック

資産1億円の贈与税がいくらになるかを、以下の2パターンに分けて紹介します。

  1. 相続時精算課税の場合
  2. 暦年課税の場合

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相続時精算課税の場合

相続時精算課税で贈与を受ける場合は、以下のように贈与税を計算します。

(贈与額-特別控除2,500万円-基礎控除110万円)×20%

相続時精算課税を選択して資産1億円を2,000万円ずつ5年間に分割して贈与を受けるケースで、シミュレーションしましょう。

(贈与額1億円-特別控除2,500万円-基礎控除110万円×5年間)×20%=1,390万円

また、資産1億円を1年間に一括で贈与を受けるケースの税額は、以下の通りです。

(贈与額1億円-特別控除2,500万円-基礎控除110万円)×20%=1,478万円

相続時精算課税で資産1億円の贈与を受ける場合、一括で贈与を受けるよりも複数年にわたって贈与を受けたほうが贈与税を抑えられます。
これは、基礎控除が積み重なり、課税対象額が少なくなるためです。

相続時精算課税を利用する際は、各年の基礎控除によって課税対象額を減らすためにも、なるべく早めに贈与をスタートさせましょう。

 

暦年課税の場合

暦年課税の計算方法は、以下の通りです。

(1年間に贈与された合計価額-基礎控除110万円)×税率-控除額

資産1億円を暦年課税で贈与する場合の贈与税を、以下の3パターンに分けて解説します。

  1. 一般贈与のみ
  2. 特例贈与のみ
  3. 一般贈与と特例贈与

それぞれのパターンを確認して、贈与税を押さえられる方法を選びましょう。

 

パターン①:一般贈与のみ

資産1億円を一般贈与のみで受け取る場合、2,000万円ずつ5年間に分割して贈与を受けるケースの贈与税額は下表の通りです。

{(贈与額2,000万円-基礎控除110万円)×50%-250万円}×5年分=3,475万円

また、1年に一括で1億円を一般贈与で受け取る場合は、以下のような計算となります。

(贈与額1億円-基礎控除110万円)×55%-400万円=5,039万5,000円

同じ1億円であっても贈与期間が5年間と1年間を比較すると1,564万5,000円もの差が発生し、長期的に贈与したほうが得です。
なお、一定期間に一定の資産を贈与すると定期贈与と判断され、課税対象額が増えるリスクがあるので、毎年違う時期に贈与するなど工夫が必要になります。

 

パターン②:特例贈与のみ

特例贈与のみで資産1億円を受け取るケースで、贈与期間を5年間と1年間と設定した場合の税額をシミュレーションしましょう。

ケース 贈与税額
2,000万円ずつ5年間に分割して贈与 {(贈与額2,000万円-基礎控除110万円)×45%-265万円}×5年分=2,927万5,000円
1億円を1年で贈与 (贈与額1億円-基礎控除110万円)×55%-640万円=4,799万5,000円

上記のように、資産1億円を特例贈与のみで受け取る場合、5年間と1年間の贈与期間を比較すると1,872万円の差があります。
特例贈与のみで資産1億円を受け取る際は、なるべく早めに贈与を開始することが重要です。

また、特例贈与においても、一定期間に一定の資産を贈与すると定期贈与と判断される可能性があるため注意しましょう。

 

パターン③:一般贈与と特例贈与

1年間に一般贈与と特例贈与で贈与を受けた場合の計算手順は、以下の通りです。

  • 全贈与資産を一般税率で計算する(①)
  • 全贈与資産に占める一般贈与財産の贈与税額を計算する(②)
  • 全贈与財産を特別税率で計算する(③)
  • 全贈与資産に占める特例贈与財産の贈与税額を計算する(④)
  • ③と④を合計する

例えば、一般贈与で4,000万円、特例贈与で6,000万円の合計1億円を贈与された際は、下表のように計算します。

手順 計算方法
全贈与資産を一般税率で計算する(①) (1億円-110万円)×55%-400万円=5,039万5,000円
全贈与資産に占める一般贈与財産の贈与税額を計算する(②) 5,039万5,000円×4,000万円/1億円=2,015万8,000円
全贈与財産を特別税率で計算する(③) (1億円-110万円)×55%-640万円=4,799万5,000円
全贈与資産に占める特例贈与財産の贈与税額を計算する(④) 4,799万5,000円×6,000万円/1億円=2,879万7,000円
③と④を合計する 2,015万8,000円+2,879万7,000円=4,895万5,000円

一般贈与と特例贈与の割合によって贈与税額が変化するので、ご自身の状況と照らし合わせながらシミュレーションしましょう。

 

資産1億円を贈与する際に利用できる控除・特例一覧

資産1億円を贈与する際に利用できる控除・特例一覧は、以下の6つです。

  1. 基礎控除
  2. 配偶者控除
  3. 住宅取得等資金の贈与
  4. 教育資金の一括贈与
  5. 結婚・子育て資金の一括贈与
  6. 特定障がい者への贈与

それぞれの控除・特例について、解説します。

 

控除・特例①:基礎控除

贈与を受ける際には、基礎控除である110万円が1年間の資産合計額から差し引かれます。
基礎控除は、相続時精算課税と暦年課税のどちらを選択しても適用されるのが特徴です。

なお、複数人から資産を贈与される場合でも、基礎控除は110万円となるため注意しましょう。
贈与者の人数に関係なく、1年間に受け取った資産合計額から基礎控除の110万円が差し引かれます。

引用元:国税庁|No.4402贈与税がかかる場合

 

控除・特例②:配偶者控除

20年以上の婚姻期間がある夫婦間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭が贈与された場合に配偶者控除が適用されます。
具体的には、基礎控除額110万円に加えて最高2,000万円まで控除される制度です。

配偶者控除を受けるには、贈与された年の翌年3月15日までに取得した居住用不動産に受贈者が住む必要があるなど条件が設けられています。
相続税で損をしない不動産相続の基礎知識を知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

【関連記事】相続税で損をしないための不動産相続の基礎知識とは?評価額の計算方法も解説

引用元:国税庁|No.4452夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

 

控除・特例③:住宅取得等資金の贈与

居住用住宅を新築・取得するための金銭を父母などの直系尊属から贈与された場合に、一定の要件を満たすと非課税限度額までの金額は課税対象となりません。
住宅取得等資金の贈与における非課税限度額は、下表の通りです。

種類 非課税限度額
省エネ等住宅 1,000万円まで
一般の住宅 500万円まで

住宅取得等資金の贈与における非課税期間は2024年1月1日〜2026年12月31日が対象となるため、贈与のタイミングに気をつけましょう。

引用元:国税庁|No.4508直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

 

控除・特例④:教育資金の一括贈与

教育資金に充てることを目的として祖父母などの直系尊属から30歳未満の受贈者が贈与を受ける場合、1,500万円までは贈与税が非課税となります。
教育資金に該当する費用の例は、以下の通りです。

  • 入学金
  • 授業料
  • 学用品の購入費
  • 修学旅行費

教育資金の一括贈与における非課税は2013年4月1日〜2026年3月31日が対象期間なので、贈与検討する方は早めに手続きましょう。

引用元:国税庁|祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし

 

控除・特例⑤:結婚・子育て資金の一括贈与

結婚・子育て資金に充てるために祖父母などの直系尊属から18歳以上50歳未満の受贈者が贈与を受ける場合、1,000万円までは贈与税が非課税扱いになります。
結婚・子育て資金の例は、以下の通りです。

  • 挙式費用
  • 新居や転居費用
  • 妊婦健診に必要な費用
  • 子どもの医療費

結婚・子育て資金の非課税は2025年が期限となっていましたが、2027年3月31日まで延長されたため、該当する方は積極的に活用しましょう。

引用元:
国税庁|No.4511直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税
こども家庭庁|令和7年度税制改正の概要

 

控除・特例⑥:特定障がい者への贈与

特定障がい者の生活費などを目的として贈与する場合、下表の金額が非課税となります。

種類 非課税額
特別障がい者である特定障がい者 6,000万円まで
特別障がい者以外の特定障がい者 3,000万円まで

特定障がい者への贈与で非課税の適用を受けるには、信託会社を通じて所轄税務署長に申告書を提出する必要があるので、早めに準備しましょう。

引用元:国税庁|障害者と税

 

「贈与税>相続税」なのに生前贈与が行われる理由

「贈与税>相続税」なのに生前贈与が行われる理由は、以下の通りです。

  • 複数回に分けて贈与を実施することで基礎控除が積み重なり、課税対象額を下げられる
  • 贈与で手渡す財産の金額が少なければ、相続税よりも贈与税のほうが税金は低くなる
  • さまざまな控除・特例を使って、贈与税を抑えられる

上記は一般的な理由であり、贈与税と相続税のどちらが得になるかは資産状況などの条件によって変化するので、専門家にアドバイスを求めましょう。

また、不動産投資をしている方は今後値上がりが予想される物件を価格が低いうちに贈与するのも、相続税対策として有効です。
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【資産1億円の方向け】贈与税の納付で相続税を減らせるケース

資産1億円の方が贈与税の納付で相続税を減らせるケースは、以下の2つです。

  1. 生前贈与で税率が高い区分の財産額を減らす
  2. 基礎控除内で長い年月をかけながら贈与する

遺産1億円の相続税がいくらかや節税対策が気になる方は、以下の記事を参考にしてください。

【関連記事】【早見表付き】遺産1億円の相続税はいくら?計算方法や節税対策も解説

 

ケース①:生前贈与で税率が高い区分の財産額を減らす

生前贈与で税率が高い区分の財産額を減らすことで、相続税を抑えられる可能性があります。

相続税は8段階の税率が設定されており、累進課税を採用しているため、相続税額が高ければ高いほど税率も高くなるのが特徴です。
例えば、相続税の税率は相続額が5,000万円超えから1億円以下では30%であるのに対して、1億円超えから2億円以下は40%です。

生前贈与によって1億円超えの資産を1億円以下にすると、相続税を大幅に減らせます。

 

ケース②:基礎控除内で長い年月をかけながら贈与する

贈与税の基礎控除である110万円を活用し、基礎控除額内で長い年月をかけながら贈与すると、相続時の資産が減少します。
例えば、3人の子どもに対して1人あたり年間110万円を20年間贈与する場合、以下のように相続開始前までに6,600万円の相続資産を減らすことが可能です。

基礎控除110万円×子ども3人×20年間=6,600万円

ただし、一定期間に一定の資産を贈与する際は定期贈与だと判断されるケースがあり、基礎控除額内でも課税される可能性があるので注意しましょう。
相続税対策のノウハウについて理解を深めたい方は、以下の記事を参考にしてください。

【関連記事】相続税対策のノウハウを紹介!おすすめの相続税対策7選

 

まとめ:資産1億円にかかる贈与税は課税方式や贈与回数によって異なる

資産1億円にかかる贈与税は課税方式や贈与回数によって異なり、事前のシミュレーションが欠かせません。
配偶者控除など贈与の際に利用できる控除・特例を積極的に活用して、贈与税の負担を減らしましょう。

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この記事の監修者

西尾 陽平
西尾 陽平
役職
土地活用事業部 執行役員
保有資格
資産形成シニアコンサルタント、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後同社へ入社し、地主さんの土地活用という資産形成や節税を実践で学び、現在は土地のない方へ、土地から紹介し不動産の資産形成の一助を行っている。実践の中で身に付いた視点で、分かりやすく皆様に不動産投資のあれこれをお伝えしています。