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木造住宅の減価償却とは?節税に向いている理由や計算方法を解説

木造住宅の減価償却とは?節税に向いている理由や計算方法を解説

木造住宅の購入を考える際に、「そもそも減価償却とは何か?節税に役立つか気になる」という方も多いでしょう。

減価償却とは、固定資産の購入費用を法定耐用年数に応じて経費を分割計上することです。

購入年以降も経費として計上できるため、継続的な節税対策につながります。

しかし、減価償却について正しい基礎知識を持っていないと、木造住宅を購入してから後悔する場合もあるため注意が必要です。

本記事では、木造住宅の減価償却の定義や節税に向いている理由について解説します。

減価償却の計算方法や仕訳方法についても紹介するので、参考にしてください。



 

減価償却とは

減価償却とは、原則法定耐用年数に応じて固定資産の購入費用を分配・経費計上することです。

減価償却の対象は、取得価額が10万円以上で法定耐用年数が1年以上の資産になります。

具体的には、次のような資産が減価償却の対象です。

  • 車両
  • 工具・運搬具
  • 器具・備品
  • 機械・装置

なお、減価償却は時間の経過に比例して資産の価値が下がっていくという考え方に基づいています。

不動産の場合は物件が対象となる一方で、土地は対象外となるため注意しましょう。

引用元:国税庁|No.2100 減価償却のあらまし

【関連記事】マンションの減価償却とは?必ず知っておくべき計算方法と確定申告の変更点

 

木造住宅の減価償却は法定耐用年数が鍵

木造住宅の減価償却について、以下の観点から解説します。

  • 日本の場合
  • 海外先進国の場合

日本だけではなく海外の事例も紹介するので、海外で物件を探す予定のある方も参考にしてください。

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日本の場合

日本の木造住宅は、使用目的によって法定耐用年数が異なります。

使用目的別の法定耐用年数は、下表の通りです。

使用目的 法定耐用年数
事務所用 24年
店舗用・住宅用 22年
飲食店用 20年
旅館用・ホテル用・病院用・車庫用 17年
公衆浴場用 12年
工場用・倉庫用(一般用) 15年

また、減価償却には毎期同額の経費を計上する「定額法」と未償却残高に一定の償却率をかけて計算する「定率法」の2つがありますが、木造住宅は定額法で計算します。

コストのシミュレーションを正しくするためにも、使用目的に合った法定耐用年数を把握しておきましょう。

引用元:国税庁|主な減価償却資産の耐用年数表

 

海外先進国の場合

海外先進国の木造住宅における法定耐用年数と住宅寿命は、下表の通りです。

法定耐用年数 住宅寿命
アメリカ 27.5年 104年
イギリス なし 140年
日本 22年 30年

>日本はアメリカと比べて法定耐用年数が短く、住宅寿命に関しても欧米の3分の1程度に留まっています。

欧米では年数が経過したほうが資産価値が高くなる傾向にあり、リフォームして長く住む文化が定着しているのが特徴です。

一方で日本国内では、気候や災害などの要因もありますが、中古住宅よりも新築住宅を好むため住宅寿命が短くなっています。

日本の減価償却制度を利用して海外の不動産を買うのが人気でしたが、2020年の税制改正により個人購入の場合は減価償却が適用されなくなったため注意しましょう。

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日本の木造賃貸住宅が節税に向いている理由

日本の木造住宅は法定耐用年数が22年と海外よりも短く、特に中古住宅は短期間で減価償却できるため節税に向いています。

例えば、法定耐用年数を経過した築23年目の木造住宅を4,000万円で購入した場合、4年で減価償却するので1年あたり1,000万円の経費を計上することが可能です。

購入年以降は出費を伴わずに経費として処理できるため、効果的な節税対策ができるでしょう。

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木造住宅における減価償却の計算方法

木造住宅における減価償却の計算方法について、以下のケースに分けて解説します。

  • 居住用建物
  • 業務用建物

自身の所持している物件や、購入予定の物件の種類に合った計算方法をチェックしましょう。

 

ケース①:居住用建物

居住用建物とは、アパートなど賃貸として貸し出している建物のことを指します。

一見すると自宅用住居と認識しがちですが、自身が自宅として利用する建物は減価償却の対象外となるので注意してください。

ここでは、新築と中古に分けて計算方法を解説します。

どちらも購入金額に一定の割合をかけて毎年同額の経費を計上する「定額法」を採用していますが、法定耐用年数の扱い方が異なるのが特徴です。

新築アパートなどの場合

新築アパートなどの場合の計算方法は、以下の通りです。

建物の購入金額×償却率(もしくは建物購入金額÷耐用年数)=減価償却費

償却率は国税庁によって定められており、法定耐用年数に応じて比率が決まっています。

住居用の木造建物の場合には法定耐用年数は22年なので、償却率は0.046です。

7,000万円で新築アパートを建築したケースを想定して計算すると、以下の通りとなります。

7,000万円×0.046=322万円

引用元:国税庁|減価償却資産の償却率等表

中古アパートなどの場合

中古アパートなどの減価償却費を計算するには、償却率を把握するために法定耐用年数を求めます。

中古物件の法定耐用年数には2つのパターンがあり、簡便法と呼ばれる以下の計算方法を用いて算出しましょう(端数は切り捨て)。

  1. 法対耐用年数を超えていない:(法定耐用年数−築年数)+築年数×20%
  2. 法対耐用年数を超えている:法定耐用年数×20%

例えば、法定耐用年数を超えていない築15年の中古アパートを購入した場合、法定耐用年数は以下のように算出できます。

(22年−15年)+15年×20%=10年

また、法対耐用年数を超えている築25年の中古アパートを購入した場合の法定耐用年数は以下の通りとなります。

22年×20%=4年

築年数に合った法定耐用年数を求めたら、新築同様に「建物の購入金額×償却率」の定額法を用いて減価償却費を計算してください。

中古アパートを2,000万円で購入した場合を想定して計算すると、以下の通りです。

  • 築15年の場合:2,000万円×0.100=200万円
  • 築25年の場合:2,000万円×0.250=500万円

築年数によって経費計上できる期間と1年あたりの金額に違いが出るため、あらかじめシミュレーションしておくことが重要だといえます。

引用元:国税庁|No.5404 中古資産の耐用年数

 

ケース②:業務用建物

業務用建物は、事務所・店舗・飲食店として利用する建物が該当します。

居住用建物と同様に、以下の定額法を用いて計算しましょう。

建物の購入金額×償却率(もしくは建物購入金額÷耐用年数)=減価償却費

償却率を確認するためには建物の法定耐用年数を知る必要がありますが、業務用建物は用途によって違いがあります。

用途別の法定耐用年数と償却率は、以下の通りです。

用途 法定耐用年数 償却率
事務所用 24年 0.042
店舗用 22年 0.046
飲食店用 20年 0.050

上記の表に基づいて、1,500万円の業務用建物を購入することを想定すると、減価償却費は以下の通りとなります。

  • 事務所用の場合:1,500万円×0.042=63万円
  • 店舗用の場合:1,500万円×0.046=69万円
  • 飲食店用の場合:1,500万円×0.050=75万円

正確にコストを予測するためには、用途に合った法定耐用年数と償却率で計算することがポイントです。

 

減価償却費の仕訳方法

減価償却費の仕訳方法には、「直接法」と「間接法」の2種類があります。

直接法とは、固定資産から減価償却費を差し引く処理のことです。一方で間接法とは、固定資産を減らすのではなく、勘定科目「減価償却累計額」で処理することで現在までの合計を表します。

例えば、50万円の減価償却費計上する場合に、直接法での仕訳は以下の通りです。

借方 貸方
減価償却費 500,000 固定資産 500,000

同じ条件で減価償却累計額として仕訳すると、以下の通りになります。

借方 貸方
減価償却費 500,000 減価償却累計額 500,000

直接法を利用する場合は、残りの資産価値が一目で判断できる点がメリットになります。

また、間接法を用いる場合には資産の金額が変わらないため、取得原価をスムーズに把握できるでしょう。

 

まとめ:木造住宅は減価償却を活用すると節税効果が大きい

固定資産の減価償却とは、購入費用を一括で経費とするのではなく、原則法定耐用年数に合わせて分配し経費計上することです。

購入年以降は出費を伴わずに経費として処理できるため、継続的な節税につながります。

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この記事の監修者

西尾 陽平
西尾 陽平
役職
土地活用事業部 執行役員
保有資格
資産形成シニアコンサルタント、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後同社へ入社し、地主さんの土地活用という資産形成や節税を実践で学び、現在は土地のない方へ、土地から紹介し不動産の資産形成の一助を行っている。実践の中で身に付いた視点で、分かりやすく皆様に不動産投資のあれこれをお伝えしています。