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法人税の引き上げはデメリットだらけ?実効税率の国際比較や節税対策も解説

法人税の引き上げはデメリットだらけ?実効税率の国際比較や節税対策も解説

税金は年々増加しており、法人税もその1つです。
法人格をお持ちの方は、法人税の引き上げによる影響やメリット・デメリットを知っておく必要があります。

法人税は利益が税率に大きく影響するため、理解を深めれば対策可能です。
引き上げの前に法人税に対する知見を深め、基礎知識をおさらいしましょう。

この記事では法人税の基礎知識を踏まえながら、引き上げによるデメリットを解説します。
実効税率の国際比較や節税対策もあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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法人税とは

法人税の基礎知識として、下記の3つを解説します。

  1. 税率
  2. 実効税率
  3. 税収

なお、会社を法人化する場合も、法人税の仕組みや節税方法を理解しておく必要があります。
法人化を視野に入れている方は、下記記事をご覧ください。

【関連記事】【不動産特化】法人の節税対策5選!法人化すべき人の特徴や相談先も解説

 

税率

法人税率は、法人の種類や所得により異なります。
法人税は原則23.2%でしたが、平成24年4月1日から令和7年3月31日までは軽減措置が取られ、年800万円以下の所得は15%となっています。
現行の税率は、下表の通りです。

区分 所得 税率
普通法人 中小法人 年800万円以下の部分 15%
年800万円超の部分 23.2%
中小法人以外 全額 23.2%
一般社団法人 年800万円以下の部分 15%
年800万円超の部分 23.2%
公益法人 年800万円以下の部分 15%
年800万円超の部分 19%
協同組合 年800万円以下の部分 15%
年800万円超の部分 19%

上記は中小法人における税率のため、全3事業年度の平均所得が15億円を超える法人には適用されません。
法人税の節税対策をする場合、まずはご自身の法人がどの区分に該当するかを確認しましょう。

引用元:中小企業庁|法人税率の軽減

 

実効税率

実効税率(法定実効税率)とは、法人税の他に課される法人住民税・法人事業税の損金算入額も入れて計算される、実際の税率です。
実効税率よりも簡素化されたものが、表面税率です。
しかし、表面税率は実際の税額と差が出るため、目安でしか使用されません。

下表は、日本国内における所得が大きいトップ企業の利益と、税金の割合(2021年度)です。

企業 純利益 法人3税※1 法定実効税率 実質税負担率※2
1位:トヨタ自動車 21,715億円 5,314億円 30.1% 24.5%
2位:日本電信電話 17,955億円 5,395億円 31.46% 30.0%
3位:ソニーグループ 11,175億円 2,291億円 31.5% 20.5%
4位:日本郵船 10,373億円 425億円 28.7% 4.1%
5位:日本郵政 8,412億円 2,215億円 30.6% 26.3%

※1 法人3税は法人税・法人住民税・法人事業税を指す
※2 実質負担率=法人3税÷純利益

実質税負担率が法定実効税率を下回る会社も多いのは、大企業優遇税制による減税があるためです。
しかし、億や兆単位で利益の出る企業において、税負担率が少ないことは今後の日本の社会保障費などに影響を与える可能性があります。

今後、不公平をなくすために税制改正がさらに進む可能性があります。
自社の損失が大きくならないよう、常にアンテナを張って最新情報を把握しましょう。

引用元:全国商工団体連合会|2022年大企業が史上最高益も 低いままの法人税負担率 原因は莫大で不公平な減税

 

税収

2012年と2022年における主要な税収は、下表の通りです。

税金の種類 2012年 2022年
法人税 9.8兆円 14.9兆円
消費税 10.4兆円 23.1兆円
所得税 14.0兆円 22.5兆円

消費税と所得税は10年で2倍近く増加しているのに対し、法人税は伸び悩んでいるようにみえます。
しかし、実際に法人が支払っている税金は法人税のみではなく、所得税もあります。

そのため、法人税のみでは所得税や消費税と比べ少ないように見えますが、実際に企業が負担している法人税は過去10年間で所得税や消費税と同程度増加しているのです。
2012年では2兆円、2022年では4兆円ほどが法人の所得税です。

このように、法人税収は一概に伸び悩んでいるとはいえません。
法人が支払っている税金は法人税だけでない旨を把握し、今後の税制改正に注目しましょう。

引用元
財務省|令和7年税収に関する資料
国税庁|会社標本調査

 

法人税を引き上げるデメリット

法人税を引き上げる場合、考えられるデメリットは下記の4つです。

  1. 日本企業の国際競争率が下がる
  2. 海外企業の日本進出が減る
  3. 消費者の購買意欲が下がる
  4. 日本経済がさらに落ち込む

デメリットを把握し、法人税が引き上げられた際の対策も一緒に検討しましょう。

 

デメリット①:日本企業の国際競争力が下がる

法人税を引き上げる場合、企業は支払うお金が増えるため、もちろん打撃を受けます。
さらに、研究・開発費用を圧迫し、日本企業が世界で戦えなくなる可能性があるのです。

日本の先進技術開発は世界でも屈指のもので、国際競争率が下がれば国自体が豊かになりません。
国際競争率は国の発展において重要になるため、法人税の税収が少ないからといってむやみに引き上げることは得策ではないでしょう。

 

デメリット②:海外企業の日本進出が減る

日本で法人化された海外企業は日本国内の税制度にならう必要がありますが、自国との二重課税が発生しないよう控除が設けられます。
しかし、日本国内の法人税が引き上げられた場合、海外企業が日本へ進出しにくくなる可能性が示唆されます。
海外企業の日本進出が減少すれば、国内の技術発展などが衰えることも考えられるのです。

逆に、日本企業の海外進出も進む可能性があります。
海外企業の日本進出が少なくなり、国内企業も海外に移転してしまえば、日本は衰えるばかりです。
法人税の引き上げは、日本の豊かさを左右するともいえるでしょう。

 

デメリット③:消費者の購買意欲が下がる

法人税の引き上げは、消費者の購買意欲にも影響します。
法人税を引き上げれば、企業の利益が減る分、サービスや商品への価格転嫁が進み、物価高になるでしょう。
消費者の財政状況は変わらないのにもかかわらず、物価が上がれば購買意欲はぐっと下がります。

法人税の引き上げが影響を与えるのは企業だけではなく、消費者である法人以外の国民であることも把握しましょう。

 

デメリット④:日本経済がさらに落ち込む

前述の3つのデメリットから、法人税の引き上げによって景気が悪くなると予想されます。
景気が悪くなれば、日本経済はさらに落ち込み、より厳しい状況になりかねません。

このように、法人税の引き上げは日本経済にまで影響を与えます。
もちろんそうならないような政策が必要ですが、今後どのような状況になるかは予想できません。
そのため、法人を持つ方は今のうちから対策を検討することが大切です。

 

法人税を引き上げるメリット

法人税の引き上げで国や自治体の収入が増えると、社会保障や公共サービスの充実が期待できます。
しかし、高齢化社会により社会保障費は年々増加しており、法人税の引き上げだけではまかないきれない可能性もあります。
国や自治体の収入が増えたら生活が豊かになるとは言い切れないため、法人税を引き上げるメリットはあまり期待しない方が良いでしょう。

それよりも、増税への対策を検討することが大切です。
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節税対策について知りたい方も、ぜひチェックしましょう。

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主要国における法人税の引き上げ状況

国外の法人税はどのような状況になっているか、下記2点に着目しながら解説します。

  1. 実効税率の国際比較
  2. 各国で実証されている「法人税のパラドックス」とは

なお、日本と海外では法人税のみならず、金融所得税も異なります。
海外の投資を検討されている方は、下記記事をご覧ください。

【関連記事】金融所得課税とは?日本と海外を比較!最新の動きや引き上げのリスクも解説

 

実効税率の国際比較

下表は、2022年における各国の実効税率状況です。

実効税率
日本 29.74%
ドイツ 29.83%
アメリカ 27.98%
カナダ 26.50%
フランス 25.00%
イタリア 24.00%
イギリス 19.00%

先進国の中でも、日本はトップクラスの実効税率を誇っています。
しかし、平成27年の法人税改革前は37%であったため、過去と比較するとかなり抑えられています。

平成27年からの「成長志向の法人税改革」は、稼ぐ力を持つ起業に対し、積極的な事業や前向きな投資を促すために進められたものです。
当時目標とされていたのは、法人税20%台でした。

グローバル化する企業において、法人税率が低い国に直接投資が集まるのは必然です。
反対に、法人税率が高い国からは企業の流出が懸念されます。
法人税は国の豊かさにも影響を与えるため、今後の動向に注目することが大切です。

引用元:財務省|令和4年もっと知りたい税のこと  6.「法人税」を知ろう

 

各国で実証されている「法人税のパラドックス」とは

法人税を引き下げても税収が下がらず、安定的に推移する現象を法人税のパラドックスといいます。
下記2つに着目し、法人税のパラドックスを解説します。

  1. 概要
  2. パラドックスが起きる要因

国外でも実証されている現象を把握し、今後の予測に役立てましょう。

 

概要

法人税のパラドックスは法人税率を下げていたにもかかわらず、税収が増えていた時期があったという経験則から各国で実証されている現象です。

ただし、原因は明確になっておらず、法人税の引き下げと、各企業の収益が増えたタイミングが偶然重なった可能性もあります。
実際に同様の政策をした別の国ではパラドックスが起きず、法人税率と税収が比例したパターンもあります。

国外ではパラドックスに期待を込めて減税する国もありますが、明確な原因がわかっていないため、安易に減税するのも危険です。
逆にパラドックスのロジックが明かされれば、政策も変わる可能性も大いに出てくるでしょう。

 

パラドックスが起きる要因

パラドックスが起きる要因として挙げられるのは、下記3つです。

  1. 税率引き下げと同時に行われた課税対象の拡大(減価償却費の縮減など)
  2. 法人税が低くなったことによる自営業者の法人化
  3. 経済構造の変化などによる法人利益の増加

税率引き下げにより法人税収も下がりますが、それと同時に企業の成長力が上がって利益が増加した可能性もあります。
また元々自営業であった個人が、所得税に対して法人税の負担が少なくなり法人化すれば、法人の母数が増え、実質法人税収は上がります。

ただし、これらは要因の可能性となるだけで、はっきりとした原因は分かっていません。
法人税のパラドックスは税率を下げる理由にも、下げない理由にもならないため、過度な期待はせずに節税対策を積極的に進めましょう。

引用元:総務省|平成26年御説明資料(法人税改革の議論)

 

法人税の引き上げ前に始めたい節税対策

法人税の引き上げ前に、以下のような節税対策を事前に検討することが大切です。

  • 役員報酬を増やす
  • 福利厚生を充実させる
  • 未払費用を計上する
  • 不要在庫を処分する
  • 経営者の自家用車を社用車にする

利益と法人税は比例するため、利益を算出できれば節税が可能となります。
例えば、役員報酬は経費のように損金として計上ができます。
役員報酬の増額や福利厚生の充実は、役員・従業員にとってもプラスになるため、一石二鳥です。

未払費用を早めに支払うことも、節税対策の1つです。
会社負担分の社会保険料や給与など、未払いがないか確認し、支払い期日が少し先でも早めに計上しておくと良いでしょう。
特に所得が多い法人ほど、大きな節税効果が得られます。

このように一見節税対策に感じられないものでも、大きな節税効果が期待できます。
損金や減価償却費なども頭に入れながら、節税対策をしましょう。

※不動産投資による節税は物件などの条件により効果が異なります。節税を目的とした投資をする際は専門家のサポートを受けながら行いましょう。

 

法人税の引き上げに備えるなら不動産投資もおすすめ

不動産投資は、法人税の節税対策としても有効です。
例えば、会社で不動産を購入する際は借入金を利用することで購入時のみならず、減価償却によって長期的に節税できます。

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※不動産投資による節税は物件などの条件により効果が異なります。節税を目的とした投資をする際は専門家のサポートを受けながら行いましょう。

 

まとめ:法人税の引き上げはデメリットが大きい

法人税の引き上げは企業だけではなく、日本経済や国際競争力にまで影響を与えます。
日本企業の海外流出や、海外企業の日本進出減少も示唆され、デメリットはかなり大きいでしょう。

法人税の引き上げがされる前に、できる節税対策を把握し、今のうちから準備することが大切です。
損金計上や不動産投資などに着目し、対策を検討しましょう。

なお、弊社ゴールドトラストの100億円資産形成倶楽部では法人・個人関係なく、100億円の資産を築く節税方法を伝授しています。
投資をしながら節税対策したい方は、「100億円資産形成倶楽部」をご覧ください。

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この記事の監修者

西尾 陽平
西尾 陽平
役職
土地活用事業部 執行役員
保有資格
資産形成シニアコンサルタント、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後同社へ入社し、地主さんの土地活用という資産形成や節税を実践で学び、現在は土地のない方へ、土地から紹介し不動産の資産形成の一助を行っている。実践の中で身に付いた視点で、分かりやすく皆様に不動産投資のあれこれをお伝えしています。