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金融所得課税の引き上げは新NISAにも影響する?富裕層向けの投資戦略も

金融所得課税の引き上げは新NISAにも影響する?富裕層向けの投資戦略も

投資の利益に対して非課税が特徴の新NISAですが、金融所得課税の引き上げに影響するのか、気になる方も多いのではないでしょうか。
当初非課税だったにもかかわらず、今後課税対象になると大きな影響が生じます。
損をしないためにも、新NISAや金融所得課税について知見を深めておくことが大切です。

この記事では、金融所得課税の引き上げによる新NISAへの影響を解説します。
富裕層向けの投資戦略も紹介するので、金融所得課税の引き上げに不安を感じている方はぜひ今後の参考にしてください。

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金融所得課税とは

金融所得課税について、下記3つを軸に解説します。

  1. 課税対象
  2. 基本的な税率
  3. 2025年1月1日からは「ミニマムタックス」も

金融所得課税の基礎知識を得たうえで、投資戦略を検討しましょう。

 

課税対象

金融所得課税とは、以下をはじめとする金融商品から得た所得に対して課せられる税金です。

  • 利子
  • 配当金
  • 株式の譲渡益

金融所得課税の課税方式は下記3つで、それぞれ申告方法なども異なります。

  1. 申告分離課税
  2. 総合課税
  3. 申告不要

このうち、総合課税を選択すると累進課税制度が適用されます。
それぞれ税率も異なるため、きちんと理解し選択することが大切です。
金融商品の種類や概要をおさらいしたい方は、下記記事もあわせてチェックしましょう。

【関連記事】金融資産とは?純金融資産との違いや種類・日本人の保有額をわかりやすく解説

 

基本的な税率

金融所得課税は所得税に含まれますが、金利所得の税率は基本的に20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)です。
下表は、累進課税制度を適用した所得税と金融所得課税の比較です。

課税される所得金額 所得税 金融所得にかかる所得税
1,000円〜194.9万円 5% 20.315%

(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)

195万円〜329.9万円 10%
333万円〜694.9万円 20%
695万円〜899.9万円 23%
900万円〜1,799.9万円 33%
1,800万円〜3,999.9万円 40%
4,000万円〜 45%

累進課税制度で換算される所得税は所得が大きいほど税率も上がり、税負担も増加します。
一方で、金融所得課税の税率は一律になります。

株式の譲渡益は申告分離課税を選択すると、損益通算が可能です。
金融所得課税は申告方法により、他の所得との損益通算できるパターンもあるため、注意しましょう。

引用元:国税庁|所得税の税率

 

2025年1月1日からは「ミニマムタックス」も

金融所得課税は、2025年1月から実施されている「ミニマムタックス」の影響も受けます。
ミニマムタックスは超富裕層に対する追徴課税措置で、税負担を公平にする目的で実施されています。

対象となるのは年間所得が3.3億円以上かつ、超過した金額に対する税額の割合が22.5%を下回る極めて高い水準の高所得者です。
金融所得課税はミニマムタックスをはじめとして、今後も強化される可能性があります。

従来の所得税とは異なるため、知識のアップデートが必要です。
ミニマムタックスについてさらに詳しく知り、節税対策を検討したい方は、以下の記事を参考にしてください。

【関連記事】【2025年から】ミニマムタックスとは?影響を受ける・受けない人の違い

 

新NISA(少額投資非課税制度)とは

まずは下記2点を軸に、新NISA(少額投資非課税制度)を解説します。

  1. 制度の概要
  2. 旧NISAとの違い

旧NISAとの比較もしながら、新NISAの概要を把握しましょう。

 

制度の概要

NISA(Nippon Individual Savings Account)とは少額投資を推奨するもので、イギリスのISA(Individual Savings Account)をモデルにした制度です。

通常株式や投資信託などの金融商品に投資すると、税金がかかります。
しかし、NISA口座で投資を行えば、非課税となり税金がかかりません。

NISAは2014年からスタートしましたが、2024年には新NISAが開始となりました。
新NISAでは下表の通り、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能です。

つみたて投資枠 成長投資枠
非課税保有期間 無期限 無期限
制度(口座開設期間) 恒久化 恒久化
年間投資枠 120万円 240万円
非課税保有限度額(総枠) 1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)
投資対象商品 長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託 上場株式・投資信託等(除外条件あり)
対象年齢 18歳以上 18歳以上

新制度になって変わった非課税保有期間や年間投資枠にも、注意しましょう。
新NISAで見直された点について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

【関連記事】新NISAで上限が見直された4項目|メリットや注意すべき人の特徴も解説

 

旧NISAとの違い

NISAにはこれまで、以下3つの種類がありました。

  1. 一般NISA
  2. つみたてNISA
  3. ジュニアNISA

旧NISAと新NISAの大きな違いは、年間投資枠と非課税保有期間です。
年間投資枠は1年でどれだけNISAに投資できるかを示したもので、旧NISAでは40〜120万円でした。
一方で新NISAは120万円〜240万円で、旧NISAよりも大きな額を投資に割けます。

また旧NISAでは非課税保有期間の制限があったのに対し、新NISAでは無期限になっています。
旧NISAとの違いを明確に理解し、新NISAのメリット・デメリットを把握したうえで、新NISAを始めましょう。

引用元:金融庁|NISAを知る

 

金融所得課税と新NISAの関係

金融所得課税と新NISAの関係性について、以下の2つを解説します。

  1. 新NISAは金融所得課税の課税対象ではない
  2. 社会保険料の算定においても対象外とされている

金融所得課税と新NISAが、どのように影響し合うかを理解しましょう。

 

関係①:新NISAは金融所得課税の課税対象ではない

従来通り、新NISAは金融所得課税の対象にはなっていません。
しかし、課税対象ではないからといって、金融所得課税とまったく無関係でもありません。

金融所得課税が強化されると株式を所有していてもお金がかかり、株式を手放す投資家が増えます。
税金を多く納める必要があるなら、リスクの高い株式投資を控えようと考えるためです。

すると、ポートフォリオ(資産配分)に占める株式投資の割合を減らす流れになります。
その他にも運用面において方向性の見直しがされるなど、少なからず影響はあるのです。

新NISAは金融所得課税の対象外ですが、金融所得課税の強化は資産形成にも大きな影響を与えます。
無関係だとは考えず、今後の動向にも着目しながら資産形成を計画しましょう。

なお、弊社ゴールドトラストでは、投資家に向けた100億円資産形成のメソッドを提供しています。
金融所得課税の強化に備えて資産形成のノウハウを拡充させたい方は、「100億円資産形成倶楽部」をご覧ください。

 

関係②:社会保険料の算定においても対象外とされている

新NISAは社会保険料の算定においても、対象外になっています。
新NISAと社会保険料の仕組みや動向について、下記2点を中心に解説します。

  1. 金融所得を踏まえた社会保険料の算定可否に関する議論が加速中
  2. 新NISAが社会保険料の算定において対象外とされている理由

社会保険料の算定方法も踏まえたうえで、関係性を理解しましょう。

 

金融所得を踏まえた社会保険料の算定可否に関する議論が加速中

社会保障の手厚い日本ですが、少子高齢化社会の影響で社会保障費は年々増加しています。
国は金融所得課税の強化などで社会保障費をまかなおうとしていますが、将来的により一層足りなくなると予測されています。

そこで超富裕層から税金を徴収し、社会保障費に充てるのではないかと憶測がされ、議論が加速しています。
実際に算定対象内にはなっていませんが、変更される可能性もあるため、今後の動きを注視しましょう。

 

新NISAが社会保険料の算定において対象外とされている理由

通常、国民健康保険に加入しているフリーランスや自営業の方は金融所得があると、確定申告が必要になります。
確定申告をすれば、収入が上がったとみなされ、社会保険料も上がります。
しかし、被用者保険に加入しているサラリーマンなどは確定申告が不要で、金融所得がいくらあったとしても保険料に影響は出ません。

このように被用者保険と国民健康保険で差が出るという理由で、一時は金融所得が社会保険料算定の対象になる説も浮上しました。
従来と算定方法を変えてしまえば、「税金を増やしたいだけではないか」と国民から批判が出ることは目に見えています。

ただし、今後も同様に対象外になるとは限りません。
将来的に社会保険料算定の対象になる可能性もあるため、今後の政策に着目しましょう。

 

【富裕層向け】金融所得課税の強化に立ち向かう新NISA戦略

金融所得課税の強化に立ち向かう、新NISAの戦略は下記5つです。

  1. 従来通り長期・積立・分散を意識する
  2. 増配・成長株への投資を優先する
  3. インフレ対策として保有限度額の上限まで投資する
  4. 贈与に活用して手元に残る資産を増やす
  5. 他の投資方法と組み合わせる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

新NISA戦略①:従来通り長期・積立・分散を意識する

新NISAに限らず、投資では下記の3つを意識することが大切です。

  1. 長期:できるだけ長く投資する(少なくとも10年以上)
  2. 積立:一定金額、一定間隔を心がける
  3. 分散:さまざまな資産に分けて投資する

投資は短期間で成果がでるものは少なく、長いスパンで資産を増やします。
その際に大切なのが、積立と分散です。

積立は一定の金額を等間隔で投資すれば、安定した資産を得られます。
運用益は上下しますが、あまり気を取られずに安定した投資を心がけましょう。

また、資産の分散も大切です。
1つに固執すると、大損する可能性もあります。

なお、NISAの手本となったISAでは、100万ポンド(約1億9700万円)以上保有する「ISAミリオネア」と呼ばれる富裕層がいます。
積立と分散を意識して、長期的な投資を心がけ、資産を増やしましょう。

 

新NISA戦略②:増配・成長株への投資を優先する

長期的に安定した投資も大切ですが、増配・成長株への投資を優先することも戦略の1つです。
非課税保有期間が無期限の新NISAでは長期投資がおすすめですが、配当利回りだけでなく、配当を増やしてくれるかどうかも注目しましょう。

また、今後業績が伸びていくであろうIT系商社や、需要が減らないと予想される企業などもおすすめです。
一時的な成長ではなく、長期成長を見込める企業を選択しましょう。

 

新NISA戦略③:インフレ対策として保有限度額の上限まで投資する

所得が30億円を超える富裕層でも、インフレ対策として保有限度額まで投資することがおすすめです。
インフレはお金の価値が下がるため、お金ではない資産を持っておく点がキーポイントになります。
例えば年3%でインフレが進むと、20年後には1億円の資産は5,530万円になってしまいます。

富裕層の方は特にですが、上限の1800万円まで金融商品に変えておけば、インフレにも負けない資産形成が可能です。
お金があるから安心と思わず、インフレ対策も視野に入れた投資で資産形成を進めましょう。

 

新NISA戦略④:贈与に活用して手元に残る資産を増やす

長期投資と贈与は相性が良いため、有効活用するのも1つの手です。
非課税保有期間が無期限になった点に加え、投資可能枠も拡大された新NISAは贈与を受けた側にもメリットがあります。

現在の税制では、年間110万円以上の贈与を受けると、受け取る側に贈与税の支払い義務が発生します。
しかし、贈与後に受け取る側のNISA口座で運用益が大きくなっても贈与税は増加しません。
また、贈与による課税資産の減少もあり、非課税部分が贈与税を上回っていればトータルで大きなメリットがあるのです。

贈与と新NISAを活用し、次世代の資産形成や手元に残る資産を守ることも検討しましょう。

 

新NISA戦略⑤:他の投資方法と組み合わせる

新NISAだけでなく、下記のような他の投資方法と組み合わせることも大切です。

  • iDeCo
  • 国債
  • 不動産投資
  • 実物資産 など

新NISAは低利回りになる場合もあるため、上記のような投資とかけ合わせると、高利回り・長期投資と理想的な形になります。
また、インフレが進む可能性を想定し、金融商品だけではなく不動産投資などをしておくと安心です。

なお、弊社ゴールドトラストでは、高齢社会での需要が高まっている「サービス付き高齢者住宅:ゴールドエイジ」を取り扱っています。
不動産投資や土地活用にもおすすめの投資なので、ぜひお気軽にご相談ください。

 

金融所得課税の強化が進むなかでご自身の資産を守りたい方は

金融所得課税の強化が進む昨今、大切なのはご自身の資産を守る資産形成です。
資産形成はご自身の資産を守るだけでなく、増やして次世代につなげられます。

なお、弊社ゴールドトラストでは、資産形成のノウハウを伝授するプライベートサロン「100億円資産形成倶楽部」を開催しております。
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金融所得課税と新NISAに関するよくある質問

金融所得課税と新NISAに関するよくある質問として、以下の2つを紹介します。

  1. 新NISAが金融所得課税の対象になる可能性は?
  2. 富裕層も新NISAを活用すべき?

疑問を解消し、ご自身に合った投資や資産形成を検討しましょう。

 

質問①:新NISAが金融所得課税の対象になる可能性は?

2025年の金融所得課税の強化では、新NISAは課税対象に含まれていません。
しかし、今後も含まれないとは言い切れないため、税制改正は引き続き注視する必要があります。

金融所得課税の強化は、将来増加するであろう社会保障費への充填も目的の1つです。
今後少子高齢化が進めば、新NISAも課税対象になる可能性も十分にあります。

新NISAが金融所得課税の対象になっても影響を最小限にできるよう、不動産など他の資産運用も併用しましょう。

 

質問②:富裕層も新NISAを活用すべき?

多額の資産を保有している富裕層の中には「新NISAは必要ない」と考える方もいますが、通常20%前後かかる税金がかからないのは大きなメリットになります。
資産の大小関係なくお得に投資できるため、富裕層でも新NISAの活用がおすすめです。

新NISAで投資をすべてまかなうのではなく、ポートフォリオの一部として効率的に投資ができるように組み込むと良いでしょう。

 

まとめ:新NISAは2025年時点で金融所得課税の対象外

2025年の金融所得課税強化では、新NISAは金融所得課税の対象外でした。
しかし、将来的に課税対象となる可能性はゼロではないため、今のうちから資産形成を進めておきましょう。

なお、弊社ゴールドトラストでは財産を次世代に残せるノウハウを「100億円資産形成倶楽部」にて伝授しております。
効率良く資産形成をしたい方は、ぜひ弊社へご相談ください。
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この記事の監修者

西尾 陽平
西尾 陽平
役職
土地活用事業部 執行役員
保有資格
資産形成シニアコンサルタント、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後同社へ入社し、地主さんの土地活用という資産形成や節税を実践で学び、現在は土地のない方へ、土地から紹介し不動産の資産形成の一助を行っている。実践の中で身に付いた視点で、分かりやすく皆様に不動産投資のあれこれをお伝えしています。