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【法人向け】不動産を売却したときにかかる税金とは?計算方法や節税対策も

【法人向け】不動産を売却したときにかかる税金とは?計算方法や節税対策も_

不動産売却時には、さまざまな税金がかかります。
しかし、税金の種類は売却元が法人か個人かによって大きく異なります。
計算方法もそれぞれ異なるため、「実際にどれくらいかかるか試算したいが、よく分からない」という方もいるでしょう。

この記事では、法人が不動産売却する際にかかる税金の種類と、計算方法について解説します。
法人税の注意点や節税方法もあわせて紹介するので、不動産売却を検討している法人の方はぜひ参考にしてください。

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法人が不動産を売却したときにかかる6つの税金

法人が不動産売却時にかかる税金は、以下の6つです。

  1. 法人税
  2. 法人住民税
  3. 法人事業税
  4. 地方法人税
  5. 印紙税
  6. 消費税

各税金の概要・計算方法を把握し、税金への理解を深めましょう。

なお、弊社ゴールドトラストでは、資産形成や節税のノウハウを学べるプライベートサロンも運営しております。
不動産売却に関する有益な情報を知りたい方は、「100億円資産形成倶楽部」のページもぜひご覧ください。

 

税金①:法人税

法人税は、法人の企業活動として得られた利益にかけられる税金です。
法人化している企業は、利益の大小にかかわらず納税義務があります。
ここでは、法人税について以下の2つを解説します。

  1. 概要
  2. 計算方法

法人税は不動産売却時以外でも使える知識のため、きちんと理解しましょう。

 

概要

法人税は、すべての所得にかけられるものです。
不動産売却が事業になかったとしても、不動産売却益は所得として計算します。

なお、すべての損益を計算し赤字であればかかりません。
黒字の企業に対し、公平に課税される仕組みになっています。

 

計算方法

法人税の計算式は、以下の通りです。

法人税=所得×法人税率−控除金額

所得は、企業全体の利益から損失を差し引いた金額で計算します。
なお、法人税率は下記の3つによって細かく決められているため、注意が必要です。

  1. 法人区分
  2. 資本金
  3. 課税所得額

控除の内容は、欠損金額の繰越控除や租税特別措置が挙げられます。
該当する控除がないか、前年度の損益も加味しきちんと調べましょう。

引用元
国税庁|令和6年No.5759 法人税の税率
財務省|令和6年法人課税に関する基本的な資料

 

税金②:法人住民税

法人住民税とは個人の住民税と同様に、法人の事務所や事業所が所属する地方自治体に納める税金です。
ここでは、法人住民税について以下の2つを解説します。

  1. 概要
  2. 計算方法

複数の事業所や事務所がある場合、すべての自治体で納める必要があるため注意しましょう。

 

概要

法人住民税は地方自治体に納め、公共サービスやインフラの整備に使われます。

法人税と異なり、所得の損益に変わりなく納める税金です。
赤字だからといって納めないと、罰則の対象になります。
支払いは忘れずにきちんと納めましょう。

 

計算方法

法人住民税は、均等割と法人税割の合計金額です。

均等割は下表のように、法人の資本金や従業員数を元に算出されます。

資本金 都道府県民税
均等割
従業員数
50人越
従業員数
50人以下
1千万円以下 2万円 12万円 5万円
1千万円超1億円以下 5万円 15万円 13万円
1億円超10億円以下 13万円 40万円 16万円
10億円超50億円以下 54万円 175万円 41万円
50億円超 80万円 300万円 41万円

地方自治体によって金額が定められているため、注意が必要です。
一方、法人税割は下記の計算式で算出します。

法人税割=法人税額×税率

なお、税率は下記の通りです(2024年4月の時点)。

都道府県 1%
市町村 6%

法人税割は法人税を元に算出するため、企業の所得が大きくなるほど納める税金が増えます。
このように均等割と法人税割の2つを足すことで、どの法人にも公平に課税される仕組みになっているのです。

引用元:総務省|法人住民税

 

税金③:法人事業税

法人事業税とは、法人の事業で収益が発生したときのみ支払う税金です。
ここでは、法人事業税について以下の2つを解説します。

  1. 概要
  2. 計算方法

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

概要

法人事業税は法人税と同様に、収益が発生した黒字のときのみに納める税金です。
赤字の場合は、納める必要はありません。

法人税と異なるところは、納める先が地方自治体という点です。
事業を存続させるうえで必要なインフラなどを整える目的で納めます。

 

計算方法

法人事業税の計算式は、下記の通りです。

法人事業税=所得×法人事業税率

所得とは、法人全体における収益を指します。
法人事業税率は法人の種類や従業員数によって決められ、都道府県によっても異なります。
必ず地方自治体に確認しましょう。

引用元:総務省|法人住民税・法人事業税

 

税金④:地方法人税

地方法人税とは、国税の1つです。
ここでは、地方法人税について以下の2つを解説します。

  1. 概要
  2. 計算方法

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

概要

地方法人税は地方の財源を確保するために、国に納める税金です。
地方の財政力確保を図り、地域差をなくす目的があります。

課税対象は法人税になるため、所得が赤字で法人税を納めていない場合は納める必要はありません。

 

計算方法

地方法人税の計算式と税率は、下記の通りです。

計算式 地方法人税=法人税額×地方法人税率
税率 令和元年10月1日以前に開始 4.4%
令和元年10月1日以降に開始 10.3%

申告納付となるため、ご自身の法人が課税対象になるかしっかりと確認しましょう。

引用元:総務省|地方法人税(国税)

 

税金⑤:印紙税

印紙税とは、不動産売却時の契約書に課される税金です。
ここでは、印紙税について以下の2つを解説します。

  1. 概要
  2. 計算方法

契約書に記載される金額によって納める税金が変わるため、注意しましょう。

 

概要

印紙税は印紙税法に基づいた税金の1つで、課税対象となる契約書などに収入印紙を貼ることで納税します。
不動産売却時には売主・買主で契約書が必要となるため、それぞれに貼ると納税完了です。

印紙税は、法人・個人関係なく納税義務があります。
軽減税率などもあるため、金額や軽減措置の対象要件を確認しましょう。

 

計算方法

印紙税は下表のように、契約金額ごとで税額が決まっています。

契約金額 税額 税額(軽減税率適用時)
1万円以下 非課税 非課税
10万円以下 200円 対象外
10万円越~50万円以下 400円 200円
50万円越~100万円以下 1,000円 500円
100万円越~500万円以下 2,000円 1,000円
500万円越~1,000万円以下 1万円 5,000円
1,000万円越~5,000万円以下 2万円 1万円
5,000万円越~1億円円以下 6万円 3万円
1億円越~5億円以下 10万円 6万円

なお、軽減税率は2027年3月31日までに作成された文書に適用されるため、注意しましょう。

引用元:国税庁|2024年不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

 

税金⑥:消費税

消費税は、法人・個人に関わらず何かを購入する際に納める税金です。
不動産売却時にも、例外なく課されます。
ここでは、消費税について以下の2つを解説します。

  1. 概要
  2. 計算方法

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

概要

消費税は、商品やサービスなど取引が完了した際に支払い義務が発生します。
実際は納税者の代わりに事業者が支払いをしますが、法人・個人で課税対象も変わるため注意しましょう。

 

計算方法

消費税の計算式は、下記の通りです(2024年時点)。

消費税=取引金額×10%

どの取引においても同様の税率になるため、注意しましょう。

 

【不動産売却時の税金】法人と個人の違い

法人が不動産を売却する際の税金は、下記の2点で個人取引と異なります。

  1. 収益や経費の考え方
  2. 引き渡し日の考え方

なお、不動産投資を事業として法人化する場合のベストなタイミングや設立方法について知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。

【関連記事】【早見表付き】不動産投資で法人化すべきタイミング!判断基準や設立方法も

 

違い①:収益や経費の考え方

個人の場合、税金は不動産売却の取引でのみ発生した売却益を収益とみなします。
売却益には譲渡所得税というように、個人の収入は所得により細かく区分され、それぞれに税金がかかる仕組みです。

一方で法人での不動産売却時は、会社として得たすべての売上を収益とみなすのです。
不動産売却が業績に影響を与えることもあるため、売却益と会社全体の売上、双方を視野に入れ取引しましょう。

 

違い②:引き渡し日の考え方

引き渡し日の考え方も、個人と法人とでは下表のように違いがあります。

個人の場合 法人の場合(下記より選択)
不動産を引き渡した当日 不動産売買契約書を作成し、契約締結した日
支払いが済み、不動産を引き渡した日

不動産の売買契約締結には賃貸とは異なり、多くの場合時間を要します。
契約締結から引き渡しまで、1か月以上かかるケースも少なくありません。

法人の場合、事業の決算日や事業年度により収益や税金が変わってしまうため、引き渡し日が選択できます。
決算日や事業年度をまたぐと計算がややこしくなるため、例外として上表から選べるようになっているのです。

 

不動産売却時にかかる法人税の注意点

不動産売却時にかかる法人税については、下記の2点に注意が必要です。

  1. 低額譲渡時の税金は時価で算出される
  2. 消費税は建物のみにかかる

それぞれの注意点に留意し、損のない不動産売却をしましょう。

 

注意点①:低額譲渡時の税金は時価で算出される

低額譲渡とは、相場・時価価額よりも安く譲渡する取引、もしくは無償譲渡などの取引を指します。
売却金額の目安は、時価の2分の1です。
これを下回った場合に、税金が時価で算出されます。

例えば、時価5,000万円の不動産を低額譲渡として1,000万円で譲渡した場合、課税対象となるのは5,000万円です。
1,000万円が対象とならないため、法人税は予想よりも跳ね上がります。

なお、時価は下記の価格を基準としている場合が多数です。

  • 不動産取引価額
  • 不動産鑑定士の評価額
  • 公示価格

低額譲渡時は時価で算出される注意点を頭に入れ、計算を間違えないようにしましょう。

引用元:国税庁|2024年No.3217 時価より低い価額で売ったとき

 

注意点②:消費税は建物のみにかかる

法人が不動産を売却する際、消費税の課税対象となるのは原則建物のみです。
土地は消費税法上、非課税と定められているため消費税がかかりません。

例えば売却価格3,000万円(建物1,000万円、土地2,000万円)の場合、消費税は建物のみにかかるので、100万円になります。
このように、土地と建物で金額が明確になっていれば問題はありません。

しかし、土地と建物で金額が明確に分かれていない場合は、固定資産税や相続評価額を元にそれぞれの価格を出し、計算する必要があります。
計算がやや複雑になるため、注意しましょう。

引用元:国税庁|2024年No.6225 地代、家賃や権利金、敷金など

 

不動産売却時にかかる法人税の節税方法4選

法人で不動産売却する際に、法人税を節税する方法は下記の4つです。

  1. 減価償却できる物件を新たに購入する
  2. 不動産売却で得た利益を分散させる
  3. 自社事業へ再投資する
  4. 特例を有効活用する

不動産売却に特化した法人の節税対策を知りたい方は、下記の記事もぜひご覧ください。

【関連記事】【不動産特化】法人の節税対策5選!法人化すべき人の特徴や相談先も解説

 

方法①:減価償却できる物件を新たに購入する

減価償却とは、法定耐用年数に沿って費用を分配することです。
法人税は会社の利益に比例して増加するため、減価償却分を経費として費用を分配すれば税金対策になります。

また、法人は個人取引にはない任意償却も認められており、その年の利益に応じて償却額の調整が可能です。
減価償却は、会社の収支をまとめて、節税として不動産購入ができるか検討しましょう。

なお、弊社ゴールドトラストでは、築古戸建てを活用した不動産投資もサポートしております。
減価償却で節税対策をしたい方は、「中古再生:ズバッと節税ズバッと償却」のページをご覧ください。

ただし、減価償却は建物の造りによって耐用年数が異なるため、注意が必要です。
木造戸建ての減価償却について詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてチェックしましょう。

【関連記事】木造住宅の減価償却とは?節税に向いている理由や計算方法を解説

 

方法②:不動産売却で得た利益を分散させる

不動産売却で得た利益を分散させて、税率を下げるのも1つの手です。
法人の場合、不動産売却で得た利益だけでなく、会社全体での利益で税率が決まります。

そのため、損失を大きくすれば税金がかかる母数が減り、結果として節税になるのです。

あえて損失を作るのは困難ですが、例えば従業員に報酬を支払い、損失を作る方法もあります。
ただし、報酬を受け取った側は課税対象になるため、注意しましょう。

 

方法③:自社事業へ再投資する

法人の場合、自社事業へ再投資することで法人税の控除を受けられます。

主な特別控除として、中小企業等が機械等を取得した場合の税額控除制度があります。
自社の事業で使用する機械(160万円以上)を取得すれば、税額が控除されるものです。
法人の規模など細かい要件があるため、ご自身の法人が該当するか要件をきちんと調べましょう。

また、事業や設備に投資して減価償却のように差し引ける場合もあります。
投資する設備にも細かい決まりがあるため、むやみに再投資するのではなく、該当要件を確認してから計画しましょう。

引用元:国税庁|2024年No.5450 法人税の額から控除される特別控除額の特例

 

方法④:特例を有効活用する

法人の土地売却における特例は、主に下表の4つです。

特例 適用された場合の控除額
収用等の場合の特別控除 5,000万円~
特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の特別控除 2,000万円
特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の特別控除 1,500万円
平成21年及び平成22年に土地等を取得した場合の特例制度 1,000万円

譲渡所得から控除できる特例や併用可能な特例もあるため、該当するものがあるかきちんと調べましょう。
不動産の譲渡所得税についておさらいしたい方は、下記記事をご覧ください。

【関連記事】不動産の譲渡所得税とは?計算方法や特例を解説!シミュレーション例も

引用元
国税庁|2024年No.3552 収用等により土地建物を売ったときの特例
国税庁|第65条の3 《特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除》関係
国税庁|第65条の4 《特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除》関係
国税庁|2024年No.3225 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除

 

不動産売却時の節税ノウハウを知りたいなら

不動産売却時には、売却価格に比例して税金もかかります。
節税対策の有無によって支払う金額は大きく異なるため、注意が必要です。

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まとめ:不動産売却時の法人税は節税も可能

不動産売却時にかかる法人税は、譲渡所得税などと同様に節税ができます。
ただし、節税には法人税の内容や、特例の要件など細かく知っておく必要があります。
法人税に対しての理解を深め、無駄のない不動産売却をしましょう。

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この記事の監修者

西尾 陽平
西尾 陽平
役職
土地活用事業部 執行役員
保有資格
資産形成シニアコンサルタント、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後同社へ入社し、地主さんの土地活用という資産形成や節税を実践で学び、現在は土地のない方へ、土地から紹介し不動産の資産形成の一助を行っている。実践の中で身に付いた視点で、分かりやすく皆様に不動産投資のあれこれをお伝えしています。