マンション経営で節税する仕組みは?対象となる税金をわかりやすく解説
マンション経営は諸経費が膨らみやすく、経費処理で所得を相殺しやすい特徴を持ちます。支出を節税に繋げることで税負担を軽くし、資産を有効活用することが重要です。
また、マンション経営だけに活用できる特例措置も存在するため、不動産投資の中でも税遇面で優れています。経費上の所得を減らすことで、所得税率を3〜10%引き下げることも可能です。
そこで本記事では、マンション経営の節税について徹底解説します。対象となる税金や節税のコツにも触れるので、ぜひチェックしてみてください。
目次
マンション経営で節税できる仕組み
マンション経営が節税に繋がる主な理由は、大きく3つに分類されます。
・黒字を赤字で相殺する「損益通算」
・マンション購入費を分割して計上する「減価償却」
・特例措置による減税の活用
税金は所得によって決まるため、経費上の総所得を減らすことで節税効果を生み出します。
とくにマンション経営は空室が埋まるまで赤字になるケースが多く、黒字化まで時間を要することも。損益通算を利用することで、総所得から損失額を相殺することが可能です。
例えば給与所得が400万円だった場合、損益通算による節税効果をシミュレーションしてみましょう。
総所得 | 所得税の金額 |
400万円 | 372,500円 |
350万円(50万円の赤字) | 272,500円 |
300万円(100万円の赤字) | 202,500円 |
上記の結果から分かるとおり、マンション経営は長期的な収入源を育てつつ、節税効果によって支出を抑えられるといえます。
減価償却でマンションの購入費を分割計上することも、節税効果が期待できます。さらにマンション経営は特例措置が設けられており、条件を満たすことで固定資産税が減額される点も特徴です。
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マンション経営で節税できる代表的な3種類の税金
マンション経営で節税できる税金はおもに3種類です。
・住民税
・所得税
・固定資産税
総所得によって税率が変動する税金もあるため、損益通算を活用して所得を減らすことが重要です。本記事では、それぞれの税率と内容について解説します。
税金①:住民税
住民税は所得に問わず、一律10%が税金として徴収されます。収入を抑えても一定量の税金が徴収されるため、あらかじめランニングコストに組み込んでおきましょう。
マンション経営の初期費用で赤字が発生した場合、経費相殺により節税が見込めます。例として、マンション経営で赤字が発生したときのシミュレーションを見てみましょう。
年間の総所得 | 住民税率 | 課税金額 |
500万円 | 10% | 50万円 |
500万円-50万円(マンション経営で50万円の赤字) | 10% | 45万円 |
マンション経営は初期投資や空室状況によって、経営が安定するまで時間がかかるため、赤字相殺による節税効果が期待できます。
税金②:所得税
所得税は収入に応じて税率が変動するため、総所得をコントロールすることで節税に繋がります。
所得税の税率は次のとおりです。
総所得金額所得税率控除金額
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円~330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円~695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円~900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円~1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円~4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 4,796,000円 |
マンション経営の平均収入は700万円前後と言われており、所得税率の目安は23%です。赤字相殺によって総所得金額を抑えられるため、節税効果が期待できます。
税金③:固定資産税
固定資産税は土地や建物の所有者に発生する税金です。住民税と同様に、所得によって税率が変動することはありません。
固定資産税の計算方法は次のとおりです。
マンションは特例措置が設けられており、条件を満たすことで税率が軽くなる場合があります。
減税の条件は次のとおりです。
減税の条件 | 軽減率 | 区分 |
土地面積部分が200平方メートル以下の部分 | 価格×1/6 | 小規模住宅用地 |
土地面積部分が200平方メートルを超える部分 | 価格×1/3 | 一般住宅用地 |
マンションの特例措置は他にも存在するため、条件を満たすことで複数の節税が可能となります。
マンション経営で節税できない項目
マンション経営は収入に対して経費を相殺することで、節税効果が見込めます。しかし、2つの項目に関しては、経費計上がおこなえないため注意が必要です。
・マンションの取り壊し費用
・プライベートな出費
マンションを壊して更地にし、土地を売却する場合の解体費用は経費としてカウントされません。また、マンションの一部を私生活で利用する場合、プライベートな出費は経費として扱えないため注意しましょう。
マンション経営で節税する際の注意点3つ
マンション経営で節税する際の注意点はおもに3つです。
・確定申告で青色申告を活用しない
・赤字が膨らまないようにする
・節税ばかり考えない
とくに青色申告の活用は節税効果が高く、最大65万の減税効果を生みます。マンション経営で利益を出すことも重要ですが、無駄な支出を減らすことも同時に心がけましょう。
ポイント①:確定申告で青色申告を活用しない
確定申告で青色申告を利用することで、2つの節税効果が生まれます。
・最大65万円の特別控除
・3年間の赤字繰り越し
とくに青色申告の赤字繰り越しは、マンション経営のような初期費用がかかる投資にうってつけです。青色申告ソフトを活用すれば、簿記や帳簿の知識がなくとも申告書が作成できます。
しかし、青色申告は個人事業主のみ対象となるため、届出を出していない人は適用できません。マンション経営を検討している場合、税務署に個人事業主の開業届を提出しておきましょう。
ポイント②:赤字が膨らまないようにする
損益通算によって赤字を黒字相殺できるとしても、赤字が膨らまないように心がけましょう。マンション経営の赤字は損失であり、支出が増えているとも言い換えられます。
・防犯設備を増やしてマンションの価値を高める
・評判のいい管理会社に切り替える
・家賃を引き下げて占拠率をあげる
マンションの資産価値を高める施策を打ち出し、収益性を伸ばすことを意識しましょう。
ポイント③:節税ばかり考えない
マンション経営による節税も重要ですが、長期的に居住してくれる入居者を集める方が重要です。節税はあくまで赤字を補填する施策であり、収入を増やすことには結びつきません。
マンション経営は収入を増やすための物件投資であり、収益性を伸ばすことが肝となります。節税効果に振り回されず、安定した黒字化を目指しましょう。
まとめ
マンション経営は支出が多く、経費計上によって節税しやすい物件といえます。
・赤字を黒字と相殺する「損益通算」を活用する
・購入費を分割計上する「滅価償却」でキャッシュフローを最適化する
・マンション経営の特例措置を適用する
税遇面に優れているとはいえ、赤字が続けば経営は成り立ちません。空室がでないようにマンションの資産価値を高め、収益性を伸ばすことを優先させましょう。
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