アパート経営が失敗する5つの理由とその対策をわかりやすく解説
初期投資が大きい不動産投資ほど、絶対に失敗したくないでしょう。とくにアパート経営の失敗はあなたの資産を失うだけでなく、大きな負債を背負ってしまう可能性もあります。
この記事では、アパート経営が失敗する5つの理由と対策を、わかりやすく解説します。この記事を読んで原因に対して先回りできれば、アパート経営の成功に大きく近づくことが可能です。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
アパート経営が失敗する5つの理由
まずは、アパート経営が失敗する理由について5つ解説します。
理由①:管理会社
サービスの質が悪い管理会社を見極められないと、アパート経営は失敗します。なぜなら、アパートの実質的な運営は管理会社に任されており、サービスの質は入居者の満足度につながるからです。
たとえば、管理会社の業務には以下のような例があります。
・共用部の清掃
・入居者からの問い合わせ対応
・近隣トラブルの解消
対応が遅れるほど、入居者は管理会社に対して不信感を抱くようになります。質の良い入居者がすぐに退去してしまい、そうでない入居者だけが残る状態になれば、経営としては危険な状態です。
理由②:サブリース契約
不動産業者が勧める「サブリース契約」には要注意です。業者がアピールするメリットだけでなく、自分でデメリットを調べた上で契約の本質を把握しておかなければなりません。
サブリース契約とは、サブリース業者がオーナーからアパートを一括で借り上げ、第三者にあたる入居者に「又貸し」する管理形態です。「家賃保証」や「空室保証」を謳い、安定した経営が見込めるとした広告もあります。
しかし、サブリース契約の家賃は減額される可能性が非常に高く、安定的な経営の継続には疑問が残ります。また契約の特性上、サブリース業者は借地借家法などに守られるため、サブリース契約は簡単に解約できません。
【関連記事】一括借り上げとは?サブリースとの違いやメリット・デメリットを解説
理由③:資金繰り
資金繰りの失敗は、経営破綻の典型例です。そして資金繰りがうまくいかなくなるのは、大きく分けて次の3つが原因です。
① 過剰な借入
② 空室率を考慮しない経営計画
③ 想定外の出費
アパート経営者が一般的に資金を調達する方法は、金融機関からの借り入れです。過剰な借り入れは返済計画に負荷をかけ続けるため、資金繰りのパランスを悪化させてしまいます。利回りが低い高額物件に手を出すのも、過剰な借入につながる原因のひとつです。
また、空室率を無視した経営シミュレーションも、資金繰りに影響を与えます。総務省が平成30年に実施した調査によると、共同住宅の空き家数は848万9,000戸と過去最多で、全国の住宅の13.6%を占めます。
引用元:平成30年住宅・土地統計調査 特別集計|総務省統計局
つまり、確率の上ではアパートの7部屋に1部屋は空室になる計算です。経営計画を練る際はひとつの参考値として覚えておく必要があります。
さらに、資金繰りに失敗するパターンのうち、想定外の出費例は、次のとおりです。
・共用部の修繕費
・専有部のリフォーム費
一定の自己資金を用意して、リスクに備えておかなくてはなりません。
理由④:物件選び
物件選びの失敗は、取り返しがつかない大きなミスです。入居者の決定率や定着率に直接の悪影響を及ぼすからです。
物件選びの際は物件そのものの絶対的評価はもちろん、周辺のアパート数や需要の有無といった相対的な評価も必要です。不動産会社のなかには「良い物件が見つかった」といいながら、手数料欲しさに収益性の低いアパートを勧めてくる業者もあります。自分で価値を判断できる目を持たなければ、アパート経営を続けていくのは非常に困難です。
理由⑤:自然災害
自然災害による被害で経営が悪化する事例もあります。災害の被害状況によって、家賃が請求停止や減額になる場合があるからです。
ポイントは、部屋が住める状態であるか否かです。最悪の場合、ローン残債が残ったままアパートの取り壊しになるケースもあります。
アパート経営のよくある失敗事例
ここからは、アパート経営のよくある失敗事例を紹介します。
失敗事例①
都市部の中心地にほど近い、高級アパートを購入したAさん。物件価格が高く住宅ローンの返済額は予算オーバーだったものの、人気の物件だったことから購入を決意します。全6部屋の入居者もすぐに決まり、良いスタートダッシュを切れたと思っていました。
しかし、しばらくして思わぬ落とし穴が発覚します。利回りが低すぎたため、毎月の収支はほとんどプラスマイナス0になってしまいました。
1年後にひとりの入居者が退去すると、収支はマイナスに転じローン返済地獄へ陥ります。なんとか工面したものの、その後も空室が出るたびに自己資金を切り崩して返済を続けています。
失敗事例②
地方でアパートを購入したBさん。築5年、駅から徒歩20分の場所にある物件です。駅からの距離が離れていたものの、車を1人一台所有する地域性だったことから購入を決意しました。
しかし、募集をかけても入居希望者は一向に現れませんでした。問題はアパート需要の少なさです。
Bさんが購入したのは近隣には大学や商業施設がなく、車で移動するにも大通りに出にくい土地でした。近隣住民の属性も昔から住んでいる高齢者のみで、新しい人が住む地域ではありません。
結局、想定よりも低い家賃での再募集となります。なんとか入居者は決まったものの、経営に大きな打撃となりました。
失敗事例③
「家賃保証」の広告に魅力を感じ、いわゆるサブリース契約を締結したCさん。契約から5年後、Cさんは入居者が退去予定との情報を掴みます。その際、まとまった資金が必要だったため、空室で物件を売却したいとの考えが浮かびました。そこでサブリース業者に対し、書面をもって「サブリース契約を更新しない旨」を伝えます。
しかしサブリース業者は、Cさんの更新拒絶は正当な理由がなく、契約は自動更新されたと主張しました。物件の売却を進めたいCさんは「契約解除」と「物件の明け渡し」を求めて提訴に踏み切ります。
裁判の結果、Cさんの訴えは退けられ、主張は認められませんでした。サブリース契約について事前知識があれば、契約解除の難しさを把握できていたはずです。
アパート経営で失敗をしないための対策
ここからは、アパート経営で失敗しないための対策について解説します。
対策①:管理会社を吟味する
管理会社を決める際は、複数の選択肢の中から吟味して業者を選定するのが適切です。1社だけでは比較検討できず、情報が偏ってしまう恐れがあるからです。
そのため、少なくとも3社の管理会社から話を聞いてみましょう。
話を進めてみて、合わないなと感じたら他の会社を検討してみてください。
比較する条件には、以下の項目を確認するのがおすすめです。
・管理費
・契約形態
・物件と担当支店の距離
・担当者との相性
また、ネットやSNSを使って口コミを調べると、利用者側のさまざまな意見が把握できます。実際に利用した人の体験談も、ひとつの指標として活用してみましょう。
対策②:物件・立地を調査する
周辺環境の良し悪しは、アパート経営における重要キーワードのひとつです。物件や立地は、入念に調査しておくべきです。
物件や立地選びを失敗すると、空室率は自然に悪くなります。入居してほしい人の層を考えながら、需要があるかをしっかり見極めなければなりません。
立地調査の具体的なチェックポイントと具体例は、以下のとおりです。
・最寄駅からの距離(実際に歩いてみるとなお良い)
・生活施設(スーパー、コンビニ、クリーニング店)
・公共施設(学校、郵便局、銀行、警察)
・避けたい施設(工場、火葬場)
・地域性(人通り、飲食店の属性、周辺住人の属性)
・道路との関係(再建築不可かの見極め)
・物件の外観(外壁の塗装歴、エントランスの清潔度合い)
物件選定はアパート経営の根幹になります。時間をかけて丁寧に調べるのがおすすめです。
対策③:災害保険に入る
火災保険や地震保険といった、災害保険に加入しておくと安心です。アパート投資では自然災害によって被害を受けると、修復に相当な費用がかかります。被害に遭う確率は決して高くはありませんが、損失が大きいぶん保険でカバーしておきましょう。
補償内容がほとんど同じでも、保険会社によって保険料は異なります。必要な補償範囲と価格を比較した上で、保険会社を決定するのが適切です。
対策④:保証会社を付ける
家賃を取りこぼすリスクを軽減するために、保証会社との契約をおすすめします。保証会社とは、入居者の家賃をオーナーに保証する会社のことです。もしも入居者が家賃を滞納した場合は、保証会社が家賃を立て替えてくれます。
保証会社の保険料を負担するのは「入居者」です。保険料の目安は初年度で家賃の0.5〜1ヶ月、2年目以降は年間1〜2万円といわれています。
引用元:賃貸保証会社(家賃保証会社)とは?仕組みとメリット、デメリット|UR賃貸住宅
経営のシミュレーションに出来るだけ狂いが生じないよう、対策を講じておきましょう。
対策⑤:入居審査を行う
好ましくない属性の入居希望者を減らすため、入居審査を行いましょう。入居審査で重視するべきポイントは「家賃の支払い能力」と「人柄」です。
まず、家賃の支払い能力は一般的に次の要素によって構成されます。
・勤め先
・年収
・勤続年数
・預貯金
上記の項目を精査して、家賃を継続して払い続けられるかチェックしましょう。
また、不動産会社によっては担当者から見た入居希望者の印象や態度を教えてくれる場合があります。横柄な態度や良くない印象であれば、審査で落とすのも今後の経営のために重要です。
まとめ
アパート経営が失敗する原因の多くは、リスク管理不足による破綻です。
失敗の典型的なパターンを理解しておけば、最初からリスクを回避した行動選択が可能です。
ぜひあなたも、アパート経営の成功者への道を歩んでみませんか。
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