独身の老後資金は5,000万円が必要?独身の目安と夫婦の目安は?
歳を重ね、退職した後の人生を考えたとき、金銭面で漠然とした不安を覚える方も多いのではないでしょうか。
「老後貧乏」や「老後破産」など不穏な単語を耳にすることも多くなってきた昨今、不況やインフレが止まらない世の中で果たして自分は老後を穏やかに過ごすことができるのか。2,000万円あればいいのか、それとも5,000万円必要なのか。
この記事では具体的な老後資金の目安を独身・夫婦別に解説します。
目次
独身の老後資金は5,000万円が必要?
安定した老後を過ごすために必要な貯蓄で目安とされる金額は、2,000万円や3,000万円など様々な説が唱えられています。中には「独身の老後資金は5,000万円必要だ」という人もいるようです。
そもそも老後資金とは、個人または夫婦が退職してから寿命を迎えるまでの生活をまかなえるだけの貯蓄のことを指します。
厚生労働省が2022年7月に発表した令和3年簡易生命表の概況によると、2021年の男性の平均寿命は81.64歳・女性は87.57歳となっています。
定年退職を迎える年齢は一般的に60歳から65歳までの間が多いとされているため、「老後」として生活していく期間は大体20年から30年くらいということになります。
そのため、人々はそれだけの期間を過ごしていくだけの老後資金を貯蓄しておく必要があるのです。
そこで、老後生活に必要な資金は実際のところいくらなのか、独身・夫婦別に算出します。
独身の場合
総務省が発表した家計調査年報(家計収支編)2021年によると、高齢単身無職世帯の平均実収入(年金などの社会保障受給+その他の収入)は13万5,345円で、平均支出は14万4,747円です。
つまり、毎月9,402円が不足しているという計算になり、年間11万2,824円の赤字であることがわかります。
老後を30年間とすると、独身者が安定した老後生活を送るために必要な貯蓄額は約338万円であると算出されます。
しかし、この家計調査年報には介護・葬儀費などの老後ならではの必要経費が含まれていません。
食費や光熱費・家賃など一般的な生活支出の他にも、老後は介護費や葬儀費など、高齢者ならではの大きな出費が予想されます。
生命保険文化センターが行った2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査を基に算出すると、一人当たりの介護費用の平均は月額8万3,000円です。
そして介護が必要な期間は平均5年1ヶ月とされているため、一人当たりの介護費用は平均507万1,300円という計算になります。
その他にも葬儀にかかる費用は一般的に一人当たり約100万円と言われるため、独身の方は上記で算出した老後資金に、介護費と葬儀費をプラスした合計約940万円の貯蓄があると最低限の生活を送ることができるといえます。
夫婦の場合
夫婦の場合も同じく、老後の一般的な毎月の収支を、2021年の家計調査年報を参考に計算していきます。
高齢夫婦無職世帯位の実収入(年金などの社会保障受給+その他の収入)の平均額は23万7,988円で、支出は平均26万94円となっています。つまり、毎月2万2,106円の赤字という計算になり、年間にすると不足額は26万5,272円にものぼります。
夫婦が最低限の生活を老後30年間送るためには、約800万円の貯蓄が必要であることがわかります。
そしてこちらにも、上述した独身の場合と同じように介護費や葬儀費を合算していきます。 夫婦だと、もちろんかかる費用は2倍になるので、介護費は約1,000万円・葬儀費は約200万円と見積もりましょう。
子供など親族からの支援を受けないと仮定し、夫婦が老後30年間の生活を最低限で送り、介護費や葬儀費を自身で出していくためには、約2,000万円の貯蓄が必要であるという計算になります。
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独身で老後資金が5,000万円の場合
ここまでは、老後資金として実際にいくら必要なのか解説しました。独身の場合、約940万円の貯蓄があれば、老後に最低限の生活を送ることができます。
それではもし老後資金が5,000万円あったとしたら、独身の方はどのような老後が過ごせるのでしょうか。
生活①:普段の生活や介護医療、施設も安心
上記で算出した通り、老後30年間を最低限の生活で送り、介護費・葬儀費も自分で払う場合、独身の方に必要な老後資金は約940万円だとわかりました。
しかし、この金額はあくまでも「最低限」の生活を送るためのもので、高齢者特有のその他の出費は含まれていません。
例えば、歳を重ねるごとに健康への不安は出てくるでしょう。高額な医療費を払わなければいけないこともあるかもしれません。
厚生労働省が発行した医療保険に関する基礎資料によると、65歳以上で発生する医療費の総額は障害医療費の6割弱に達するとのデータもあります。
また独身の場合、老人ホームへの入居を希望する場合も多いでしょう。民間の介護付き有料老人ホームは月額20万円以上、さらに入居一時金は500万円以上かかるところも多いようです。
都道府県や施設のタイプによって様々ですが、このような老人ホームに10年間入居するとなんと2,900万円もかかります。
しかし独身で老後資金が5,000万円ある場合には、普段の生活に加え、医療費や介護施設代も安心して払うことができるでしょう。
生活②:旅行などの交際費にもゆとりができる
独身で老後資金が5,000万円あれば、旅行などの趣味への資金や交際費にもゆとりが持てるでしょう。 独身で迎える老後は、自分のために使える時間がたくさんあることが容易に想像できます。
お金のかかってしまいがちな旅行などが趣味だとしても、5,000万円の老後資金があればあまり制限をつけずとも自分の時間を楽しむことができるでしょう。
・国内旅行の平均予算:3万6,200円 /回
夫婦で老後資金が 5,000万円の場合
夫婦二人で蓄えた老後資金が5,000万円の場合の生活はどうでしょうか。 結論から言うと、独身の場合ほどゆとりはありませんが平均的な日常生活はキープできて趣味を楽しむ余裕もあります。
生活①:日常生活では問題なく過ごせる
子供など親族からの支援を受けないと仮定し、夫婦が老後30年間の生活を最低限で送り、介護費や葬儀費を自身で出していくためには、約2,000万円の貯蓄が必要であることが前述の計算によってわかっています。
そこに子供や孫への仕送り・プレゼント、年に一度の旅行や趣味にかける費用などを加え、さらに予期せぬ医療費など高齢者ならではの出費が発生したとしても、二人で5,000万円の老後資金があれば無理なく老後を過ごす事はできるでしょう。
生活②:介護医療、老人ホームへの入居などの負担が重い
しかしながら、夫婦で老後資金5,000万円では、独身とは異なり、介護医療・民間老人ホームへの入居への負担感は大きくなってくるでしょう。
一人が民間の一般的な老人ホームへ10年間入居するのに約2,900万円かかると上記で算出しました。
もちろん公営の施設を選んだり、介護サービスの程度を変えたりすることで費用を抑えることは可能ですが、普段の生活のみで2,000万円の貯蓄が必要にな夫婦の老後生活では、このような民間老人ホームへの長期入居は厳しくなってくるといえるでしょう。
老後資金5,000万円のためにおすすめな資産運用3選
ここまで、老後資金が5,000万円あれば独身でも夫婦でも、穏やかでゆとりのある老後が過ごせると解説してきました。
それでは、老後資金5,000万円のために今からできる貯蓄の方法はあるのでしょうか。
おすすめの資産運用を3種類、紹介します。
方法①:不動産投資
不動産投資は、マンションの部屋や戸建て住宅などの不動産物件を購入し、賃貸物件として貸し出して家賃収入を得るという資産運用です。
不動産投資は比較的低いリスクで安定したリターンを見込めると人気があり、最近ではサラリーマンでも始める方が増えてきています。
「不動産を購入する」と聞くと莫大な費用がかかるのではと思う方も多いかもしれませんが、不動産投資では購入する不動産物件を担保にすることで投資用のローンの借り入れが可能です。
そのため、初期費用を抑えられることも多く、手元に大きな金額がなくても始めやすい投資の一つです。不動産投資を始めることで資産の形成も行え、第二の収入の柱も得られるため、老後資金の形成には非常におすすめの投資です。
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方法②:投資信託
投資信託は、自身たち(複数の投資家)が投資したお金をまとめて、運用のプロが国内外の株式や債権などに投資・運用をして、生まれた利益を投資家に分配するという投資の仕組みです。
プロが投資先を選定して運用してくれるので、金融や経済情勢に精通していなくても効率的に資産を運用できます。
投資信託は他の運用商品に比べると利回りが低い(平均3〜5%)傾向にあることがデメリットの一つといえますが、初心者にははじめやすい投資です。
「積立信託」は最低限のリスクで安定したリターンを期待できるため、老後資金の運用に適しているといわれています。
方法③:株式投資
株式投資は、投資信託とは対照的に全て自身で行う投資の仕組みです。投資家たちは個人で株式の個別銘柄を選んで売買します。
金融や経済情勢の知識が必要になり、より高いリスクも伴いますが、投資信託よりも良い利回りで(平均4〜7%)大きなリターンが期待できます。
またNISA(少額投資非課税制度)が併用できるのも株式投資の魅力の一つです。
まとめ
老後資金は本当に5,000万円必要なのか、5,000万円あればどのような生活ができるのか、そして実際の老後資金の現実的な目安を独身・夫婦別で解説しました。
5,000万円あれば独身ならかなりゆとりのある生活が、夫婦でも平均的で喜びのある生活が老後に送れるでしょう。
そんな幸せな老後を過ごすためにも不動産投資や投資信託、株式投資などの資産運用を今からはじめて備えておく事が大切です。
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