不動産投資の利回り最低ライン10%説は本当?
「不動産投資における利回り平均の最低ラインは10%」と聞いたことはありませんか。
確かに、利回りは不動産投資における重要な指数です。
しかし、不動産の位置する地域やその他の条件を考慮せずに、利回りのみで投資先を判断してはいけません。
なぜなら、地域や建物の構造等によって利回りは大きく変動するためです。
更に、各種条件の変化によって、利回りの変化以外にも、メリットやデメリットが生じます。
これらの様々な要因を無視して、利回りだけで投資先を判断してしまった場合、大きな損害にもなりかねません。
反対に言えば、様々な条件による違いをしっかりと理解することで、目先の利回りだけに惑わされず、しっかりとした不動産選びが可能になります。
そこで当記事では、不動産投資の利回りの定義や利回り最低ラインの考え方を解説しているため、是非参考にしてください。
目次
不動産投資の利回りとは
「利回り」とは「投資額に対してどのくらいのリターンがあるのか」を表す指数です。
不動産投資において重要な要素は数多くありますが、利回りだけに着目した場合「利回りが高ければそれだけ投資効率が高い」と判断ができます。
しかし、利回りが高い不動産はリスクも高い傾向にあるという特徴もあります。
そして、一概に利回りと言っても「表面利回り」と「実質利回り」に分けることが可能です。
以下の記事で「表面利回り」と「実質利回り」の意味や計算例を詳しく解説しています。
【関連記事】不動産投資の利回り平均の目安は何%か?投資用不動産ごとの平均を解説
不動産投資利回りの最低ライン10%説は本当か
よく「不動産投資における利回りの最低ラインは10%」と言う方がいますが、実は一概にそうとは言えません。
なぜなら、投資の方針や条件によって、利回りの最低ラインは異なってくるためです。
最低ラインの利回りを判断するためには、その他全体の要素を踏まえて検討する必要があります。
一例を挙げると「入居率」があります。
入居率とは、建物全体の戸数に対する実際に入居している戸数の割合です。
上記でも触れた通り、不動産会社の広告やウェブサイトに記載されている利回りは、入居率が「100%」で計算されています。
そのため、仮に表面利回りが10%であっても、入居率が50%であれば、総家賃収入が50%となり、最終的な利益も半減します。
反対に言えば利回りが6%であっても、入居率が100%であれば、利回り10%の不動産よりも収益を確保できる可能性があるということです。
そして、この入居率に大きく影響するのが地域や立地等の、利回り以外の条件となるのです。
他にも、売買差益(キャピタルゲイン)を得る目的の不動産投資の場合は、利回りよりも不動産自体の需要変動の方が重要になるでしょう。
このように、利回り以外の要因によって不動産の収益性は大きく変動します。
そのため、利回りだけに執着し過ぎずに、不動産全体の状況や方針を総合的に判断した投資が必要となります。
不動産投資の利回り最低ラインは条件によって変わる
上記で解説した通り、不動産投資で成功するには、利回りだけでなく不動産全体の要素で判断した投資が必要となります。
そのため、条件の変化が利回りや収益性に与える影響を理解することは非常に重要です。
ここでは、様々な条件下において、不動産投資の利回りがどのように変化するのかを解説します。
条件①:都心か地方か
基本的に都心と地方都市の利回りを比較した際は、地方都市の方が高い利回りとなります。
そのため、不動産投資における利回り最低ラインの判断も、都心なら地方よりも低めに、地方なら都心よりも高めになりやすいです。
この違いが生まれる理由は、他の条件が同じ場合、地方都市の物件の方が安い価格で取得することができるためです。
しかし、利回りが高いという理由のみで、地方の物件の方が収益性に優れているとは判断できません。
なぜなら地方の物件は、空室のリスクや、家賃が下落するリスクがあるためです。
そのため、地方の不動産に投資をする際は、エリア選定や将来的な不動産の需要変動を抑えることもポイントとなります。
条件②:新築か中古か
新築物件と中古物件を比較した際は、通常中古物件の方が高い利回りとなります。
そのため、利回り最低ラインを判断する際は、新築物件の利回り最低ラインは低めに、中古物件は高めになりやすいです。
こうなる理由は、中古物件は新築物件と比較して物件の取得費用が割安であるためです。
しかし、中古物件は管理費用や修繕積立金が高額になる傾向があるため、実質利回りとの差が大きくなりやすい点を留意しましょう。
条件③:木造か鉄骨かRCか
また、物件の構造によっても不動産の投資利回りが変動します。
基本的に物件の構造が「木造」>「鉄骨」>「RC(鉄筋コンクリート)」の順番で利回りが大きくなります。
これは、建設に掛かる費用が「RC(鉄筋コンクリート)」>「鉄骨」>「木造」の順番で大きいため、それに伴って不動産の取得費用も大きくなるためです。
そのため、利回りを判断する際の最低ラインも、木造は高く、RCは低くなりやすいです。
しかし木造は表面利回りが高い一方で、耐火性や耐震性で劣り、劣化も早い傾向にあるため、それぞれの特徴をしっかりと把握することが大切です。
不動産投資の利回り平均
上記で解説した通り、不動産の地域や構造等の条件によって、利回りは大きく変動します。
そこで、条件ごとの利回りの平均を知っておくことによって、大まかな利回りの基準を作ることができます。
例えば、「健美屋株式会社」の「収益物件 市場動向四半期レポート」によると、健美屋に登録されている物件における東京都の平均利回りは「6.3%~6.4%」程度です。
一方で、地方都市の平均利回りは「8%~9%」程度を推移しています。
また、物件の築年数や投資用不動産の形態等によっても大きく異なり、一概に「利回りの最低ラインは〇%」と言えないと判断可能でしょう。
詳しいデータや解説は以下の記事で解説されているため、是非参考にしてください。
【関連記事】不動産投資の利回り平均の目安は何%か?投資用不動産ごとの平均を解説
参考:不動産投資と収益物件の情報サイト 健美家 ( けんびや )「収益物件 市場動向四半期レポート」
まとめ
「不動産投資における利回りの最低ラインは10%」と言う方もいますが、一概に正しいとは言えません。
なぜなら、不動産の利回り最低ラインは、入居率や地域、構造等の各種条件によって大きく異なるためです。
つまり、不動産投資を行う物件の条件によって、設定するべき利回りの最低ラインを変える必要があるということです。
当記事では、不動産の利回りの定義や設定するべき利回りの最低ラインにおける考え方の解説を行いました。
不動産屋の広告やウェブサイトに記載されている利回りのみを鵜呑みにせず、物件を総合的に見た不動産選びを行えるようにしましょう。
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