なぜ外国人は日本の不動産を爆買いする?人気の投資先や規制の動きも解説
近年、日本の不動産は外国人から投資先として注目を集めており、爆買いしているというニュースもたびたび流れています。
しかし、「なぜ外国人に日本の不動産が人気なのか」「購入時の条件・規制の有無が分からない」という方もいるでしょう。
この記事では、外国人の日本における不動産購入について、人気が高い理由や規制の有無を踏まえて解説します。
外国人が不動産を購入する流れや、注意点もあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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目次
日本の不動産は外国人も購入できる?
日本の不動産は外国人も購入できるのかについて、以下に挙げる2つの観点から解説します。
- 日本における購入規制の有無
- 海外における購入規制の例
それぞれ詳しく見ていきましょう。
日本における購入規制の有無
現状、日本では不動産の購入規制がないため、外国人でも所有権を取得可能です。
不動産の所有権には期限が設定されておらず、売買や贈与も自由にできます。
ビザの種類や国籍の有無による規制もないことから、外国人にとって日本の不動産は購入しやすい状況です。
ただし、不動産の購入規制に関する法案の提出や検討に関する発言もあります。
例えば、2023年5月11日に、国民民主党は「外国人土地取得規制法案」を提出済みです。
2024年3月25日には、岸田元首相が参院予算委員会で、「安全保障に関わる土地売買の規制について検討する」旨を発言しています。
現在は外国人でも不動産の購入に規制はありませんが、今後厳しくなる可能性もあると認識しておきましょう。
引用元:
・国民民主党|【法案提出】「外国人土地取得規制法案」を提出
・日本経済新聞|岸田首相、安保に関する土地の売買規制「検討進める」
海外における購入規制の例
海外では外国人が不動産を購入する場合、国によって規制が設けられています。
外国人による不動産購入に規制がある国の例は、以下の通りです。
- オーストラリア
- ニュージーランド
- 中国
- フィリピン
- タイ
オーストラリアでは外国人による不動産購入に、ほとんどの場合で外国投資審査委員会(FIRB)の事前認可が必要です。
しかし、原則として居住者でない外国人であれば、投資を目的とした中古物件の購入はできません。
また、中国では非居住者によって、土地の所有権や開発権が取得できないようになっています。
ただし、中国国内の建物不動産(私用)を購入することにより、土地使用権を取得することは可能です。
国によって不動産購入における規制の有無や内容が異なるため、事前に必ず確認しましょう。
引用元:
・ジェトロ(日本貿易振興機構)|オーストラリア 外資に関する規制
・国土交通省|中国の不動産関連情報
外国人に人気が高い日本の不動産
外国人に人気が高い日本の不動産について、以下に挙げる3つポイントを紹介します。
- 人気が高い理由
- 人気が高いエリア
- 人気が高い物件の種類
それぞれ詳しく見ていきましょう。
人気が高い理由
日本の不動産が外国人に人気な理由は、以下の通りです。
- 世界的に見ると比較的安い
- 利回りが高い
- 外国人でも購入・保有にほとんど規制がない
- 政治的に安定しているためリスクが低い
- 円安傾向が続いている
世界の主要都市における高級住宅(ハイエンドクラス)のマンション賃料を比べると、東京は相対的に安くなっています。
例えば、東京のマンション賃料を100.0とした場合、ニューヨークは265.2でロンドンでは264.6と約2.6倍です。
同じアジアで比較しても香港が203.0で約2倍、シンガポールは163.1で約1.6倍となり、東京よりも高額であることが分かります。
また、近年は円安傾向が続いているのも、外国人の不動産購入に拍車をかけている理由の1つです。
日本に多くの外国人旅行客が訪れているのと同様に、不動産の人気も高まっています。
上述したように規制の動向にもよりますが、不動産の人気は続くと考えられるでしょう。
引用元:一般財団法人 日本不動産研究所|第23回「国際不動産価格賃料指数」(2024年10月現在)の調査結果
人気が高いエリア
日本の不動産で外国人に人気が高いエリアは、六本木や恵比寿などの繁華街に近い場所です。
立地が良さがポイントで、反対に東京23区から離れてしまうと、土地勘のない外国人からは人気も下がります。
また、湾岸エリアや北海道のリゾート地も外国人から人気です。
湾岸エリアは部屋から望める景色がきれいだと評判で、特に高階層が好まれています。
北海道のリゾート地は自然の豊かさが魅力になっており、別荘地としての人気が高いエリアです。
利便性の高さや周囲の景観などが、外国人からの人気につながっていると捉えましょう。
資産価値が落ちない街を地域別に知りたい方は、下記の記事もあわせて参考にしてください。
【関連記事】【地域別】資産価値が落ちない街ランキングTOP5!おすすめの地方も解説
人気が高い物件の種類
個人に人気が高い物件の種類は、マンションの1室やセカンドハウスとしての戸建てです。
観光やビジネスで頻繁に日本を訪れる方が、滞在時に利用するのを目的として購入しています。
一方、法人に人気が高い物件の種類は、マンション・ビルの1棟全体や土地です。
法人の場合は、主に投資目的として不動産を購入しています。
個人・法人のどちらにも需要があることからも、人気の高さを表しているといえるでしょう。
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【5ステップ】外国人向け不動産を購入する流れ
外国人向けの不動産を購入する流れは、以下の5ステップです。
- 購入したい不動産を探す
- 必要書類を準備する
- 購入代金を支払う
- 売買契約を取り交わす
- 決済や登記を済ませる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
なお、海外不動産の節税効果や売却時の注意点について振り返りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
【関連記事】海外不動産の節税効果は低下した?損をしないために必要な対応も解説
※不動産投資による節税は物件などの条件により効果が異なります。節税を目的とした投資をする際は専門家のサポートを受けながら行いましょう。
ステップ①:購入したい不動産を探す
日本では物件を取引する場合、基本的には不動産会社を介します。
主な探し方は、民間のポータルサイトや不動産会社のみが利用できる「REINS」というシステムです。
インターネットからでも検索でき、希望する条件に絞り込んで不動産を探せます。
購入したい不動産が決まれば、実際に足を運んで内覧するのがベストです。
海外に住んでいる場合でも、できる限り来日して物件内や立地などを確認しましょう。
また、不動産投資における物件の探し方について、着目したい条件やポイントを知りたい方は、下記の記事もチェックしてください。
【関連記事】不動産投資における物件の探し方ガイド!着目したい条件やポイントも解説
ステップ②:必要書類を準備する
日本に居住している方が不動産の購入に必要な書類は、以下の通りです。
- 住民票
- 印鑑証明書(宣誓供述書+パスポートの写しでも可)
中長期で在留している方や特別永住者の場合は、日本人と必要な書類は変わりません。
続いて、日本に居住していない方が不動産の購入に必要な書類は、以下に挙げる2つのいずれか一方です。
- 本国または居住国の政府の作成に係る住所を証明する書面(日本における住民票の写しにあたる書類)
- 本国または居住国の公証人の作成に係る住所を証明する書面(宣誓供述書)+旅券(パスポート)の写し
法務省の通達により2024年4月1日以後、日本に居住していない外国人の住所証明情報に関する取り扱いが変更されているので注意してください。
なお、外国語で作成されたものについては、翻訳した文書もあわせて添付します。
旅券の写しは上記2の書面が作成された日、または登記申請の受付日に有効であることが必要です。
購入をスムーズに進めるためにも、不備のないよう事前に用意しておきましょう。
引用元:法務省|外国居住の外国人や外国法人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合の住所証明情報について
ステップ③:購入代金を支払う
日本の不動産取引では、売買契約を締結したタイミングで手付金、決済時に残りの代金を支払うのが一般的です。
銀行振り込みで支払う場合、日本の口座を所有していなければ、海外から資金を送金する必要があります。
しかし、海外からの送金では着金日の調整が困難なため、あらかじめ不動産会社の口座に預けてから支払うケースがほとんどです。
多額の資金を預けることになるため、信頼のおける不動産会社を選択しましょう。
ステップ④:売買契約を取り交わす
不動産を売買する旨に売主と合意した場合、契約を取り交わします。
売買契約では、印鑑や印鑑証明書を準備しておきましょう。
また、売買契約を取り交わした際には、物件購入価格の10〜20%に相当する手付金を支払います。
保証金としての役割があり、契約締結後に購入者の都合でキャンセルすると返金されないため注意してください。
無事に契約が進むと、手付金は売買代金から差し引かれます。
あとからキャンセルすることのないよう、売買契約を取り交わす前に改めて確認しましょう。
ステップ⑤:決済や登記を済ませる
売買契約を取り交わしたあとは、決済や登記を済ませます。
ステップ②およびステップ③で紹介した内容をもとに、手続きを進めましょう。
また、日本に居住していない外国人が不動産を取得した場合、20日以内に日本銀行を経由して財務大臣に報告する必要があるので注意してください。
取得者本人のほか、代理人(不動産仲介業者など)による報告書の作成・提出も可能です。
外国為替および外国貿易法(外為法)で定められているため、必ず20日以内に報告しましょう。
引用元:財務省|外為法に基づく「本邦にある不動産又はこれに関する権利の取得に関する報告書」の提出
外国人が日本の不動産を購入する際の注意点
外国人が日本の不動産を購入する際の注意点は、以下に挙げる3つです。
- ローンは審査ハードルが高い
- 投資用の不動産は確定申告が必要になる
- 相続発生時は本国の法律にのっとる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
注意点①:ローンは審査ハードルが高い
日本でローンを組むのは、外国人にとって審査ハードルが高くなっています。
一般的に外国人がローンを利用するための条件として「永住許可を有すること」が挙げられるためです。
永住権を保有していない場合でもローンを組める可能性はありますが、日本語能力や連帯保証人の要件など、審査基準がさらに厳しくなります。
そのため、ビザや資格を持ち、中長期で在留しているような方でなければ、ローンの利用は難しい状況です。
しかし、金融機関によって審査基準は異なるため、複数の選択肢を検討するようにしましょう。
ローンの金利相場について知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
【関連記事】不動産投資ローンの金利ランキング!相場や返済額のシミュレーションも解説
注意点②:投資用の不動産は確定申告が必要になる
日本における投資用の不動産購入では、確定申告が必要となり、税金の支払いが発生します。
不動産の購入時にかかる税金は、以下の通りです。
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 所得税
- 固定資産税
また、日本に居住していない外国人が源泉徴収する場合には、「納税管理人」を定めることとされています。
納税管理人とは、確定申告や税金の納付を行う代理人のことです。
納税管理人制度によって、日本の知人や不動産会社の方に依頼できます。
投資用の不動産を購入した場合には、必ず確定申告および納税をしましょう。
引用元:国税庁|非居住者・外国法人が日本国内にある不動産を取引した際の税金について
注意点③:相続発生時は本国の法律にのっとる
相続発生時は、亡くなった不動産所有者の国籍がある法律が適用されます。
日本に住んでいたとしても、外国籍であれば本国の法律が適用となるため注意してください。
本国の法律によっては、結果として日本法に従う可能性もあります。
しかし、本国の法律に従う場合は、内容を十分に調べたうえで、相続の手続きに移ることが大切です。
相続の手続きを進める場合には、まず本国の法律を必ず確認しましょう。
【最新】外国人投資家における国内不動産の購入状況
外国人投資家における国内不動産の購入状況について、以下の2つを解説します。
- 購入割合
- 主な投資先
それぞれ詳しく見ていきましょう。
購入割合
令和2年に国土交通省が行った海外投資家アンケート調査では、日本の不動産市場のうち34%が外国人投資家によるものでした。
これは金融危機以降最大となっており、外国人からの不動産人気が伺えます。
また、地域別の購入割合を見ると、アメリカだけでなく中国やシンガポールからの購入も多いのが特徴です。
アメリカは以前から高い割合でしたが、2010年以降、中国や香港からの購入が増加傾向にあります。
購入割合を見ても、日本の不動産が外国人から注目されているといえるでしょう。
引用元:
・国土交通省|令和2年度 海外投資家アンケート調査業務
・国土交通省|不動産市場の国際化に向けた環境整備
主な投資先
日本における主要な不動産投資先の種類と割合は、下表の通りです。(複数回答可)
オフィス | 80% |
物流施設 | 80% |
レジデンス(高級住宅、高級マンション) | 70% |
商業施設 | 60% |
ホテル | 60% |
その他 | 50% |
高齢化社会を見据えてヘルスケアや病院といった回答もあり、社会の状況によって投資先も変わっています。
続いて、日本における不動産投資先として検討可能な地域(該当する都市すべて)と割合は、下表の通りです。
東京 | 100% |
大阪圏 | 90% |
名古屋圏 | 90% |
その他の大都市(札幌、仙台、広島、福岡) | 80% |
その他の地方都市 | 50% |
基本的には大都市に集中しており、リスクを避けるため地方都市への投資を検討する方は少ない傾向にあります。
日本での不動産投資を考えている方は、上記のデータも参考に検討しましょう。
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資産形成を実現したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
引用元:国土交通省|令和2年度 海外投資家アンケート調査業務
外国人の不動産購入が増えると生まれるメリット・デメリット
外国人の不動産購入が増えると生まれるメリット・デメリットは、下表の通りです。
メリット | デメリット |
・活発な投資で市場が安定的に推移する ・多様な情報が反映され、適正な価格が形成される ・不動産の有効活用が進み、生産性が向上する |
・山や森などの資源を奪われてしまう可能性がある ・公共工事などの対象区域となった場合、円滑に進行できない可能性がある |
外国人の不動産購入が増えると市場の活性化につながり、適正な価格が形成されるなど、好影響をもたらします。
デメリットとしてあげた点についても日本の領土内である以上、法律で適正に管理されるため、過度に心配する必要はありません。
外国人の不動産購入は、日本の市場にとってプラスに働くと認識しましょう。
まとめ:外国人による不動産の購入数は右肩上がり
日本では不動産の購入規制がなく、外国人でも所有権を得られます。
特に大都市の物件は外国人からも人気が高く、円安の状況も後押しし、購入数は右肩上がりです。
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