アパート経営で自分も住むのは可能?メリット・デメリットを解説
これからアパート経営を検討している人の中には、アパート経営をしながら自分も住むことは可能か疑問に感じている人もいるでしょう。
結論からお伝えすると、アパートを経営しながら自分も住むことは可能です。
本記事では、
・具体的な方法
・収益物件に自分も住むメリット・デメリット
を詳しく解説します。
自分にとって最適な形で、アパート経営とマイホームの両方を手に入れるヒントにしてください。
目次
アパート経営で自分も住むのは可能
収益物件に自分も住むことは、法律上の問題もなく可能です。
経営するアパートに自分も住むことで、マイホームと収益物件の両方を手に入れられます。
さらに、経営するアパートの自己管理が可能なため、管理委託料を節約できる点も魅力です。
しかしデメリットもあるため、よく理解し取り組むことが重要です。
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アパート経営で自分も住む方法は2つ
収益物件に自分も住む方法は以下の2パターンがあります。
1.投資用物件に住む
2.賃貸併用物件に住む
本章ではそれぞれの違いについて説明します。
パターン①:投資用物件に住む
投資用物件を購入または新築し、1室に自らが住めます。
投資用物件とは、アパートを貸し出すことで家賃収入を得るために所有する物件のことをいいます。
投資用物件に自らが住むことは可能ですが、さまざま条件・リスクもあるため注意が必要です。
次章で詳しく解説します。
パターン②:賃貸併用物件
賃貸併用物件を新築し、その一部に自分も住む方法があります。
賃貸併用物件とは、オーナーの居住スペースと入居者の住む賃貸スペースが同じ敷地内、または建物内にある物件のことをいいます。
自宅と投資用物件が同時に手に入るうえ、賃料をマイホームのローンの支払いに充てられるため、経済面・心理面の負担が少ない不動産投資の方法です。
投資用物件に住む場合のメリット・デメリット
投資用物件に住むメリットは、以下の2点が挙げられます。
1.空室問題の対策ができる
2.リノベーションして物件価値を上げられる
対するデメリットは以下の4点が挙げられます。
1.住むためには、金融機関への申請と許可が必要
2.住宅ローンへの切り替えができない
3.さまざまな節税メリットが対象外
4.自分が住む部屋の家賃収入が得られない
メリット
①空室問題の対策ができる
自分の経営しているアパートに空室がある場合、家賃収益が発生しないにもかかわらず、毎月の維持費がかさんでいきます。
対策として、入居者が見つかるまでの期間、自らが空室に住む方法があります。
もし賃貸アパートを別に借りて住んでいる場合、所有するアパートに引っ越すことで空室を有効活用できる点はメリットでしょう。
②リノベーションして物件価値を上げられる
自分で購入した投資用物件であれば、自由にリノベーションができます。
リノベーションを施し物件価値が上がれば、より高い賃料で貸し出しでき、収益アップに繋がるでしょう。
デメリット
①住むためには、金融機関への申請と許可が必要
投資用物件を購入する際、金融機関とは「賃貸運用をする前提」でお金を借りています。そのため、投資用物件に住めば、契約違反とみなされ一括返済を求められる可能性があります。
投資用物件に自分も住む場合は、金融機関へ申請し許可を取りましょう。
ただし、自分も投資用物件に住めるかは、金融機関の判断によります。
金融機関が許可しなかった場合は、所有者やその家族であっても投資用物件に住めないので注意しましょう。
②住宅ローンへの借り換えができない
金融機関の許可がおりて自分も住める場合でも、住宅ローンへの借り換えは難しいでしょう。
住宅ローンが利用できる条件に、
・物件の50%以上が自宅である
・自宅の最低面積の制限は40㎡以上
などがあるためです。
投資用物件を購入した場合は、それらの条件を満たしていないことが大半です。
不動産投資ローンは住宅ローンに比べて金利が高く、借り入れ期間も短いので注意しましょう。
③さまざまな節税メリットが対象外
投資用物件に住むと、マイホームなら使える住宅ローン・住宅ローン控除が使えないだけではなく、投資物件であれば使える減価償却も利用できなくなってしまいます。
減価償却とは、アパートなどの不動産が経年劣化する分を、経費として計上する手続きのことをいいます。
減価償却ができないことで税負担が増える可能性もあるため、事前に確認しましょう。
④自分が住む部屋の家賃収入が得られない
投資用物件に自分も住む場合、その部屋の家賃収入が発生しません。
自分が住むことで、収益の基となるインカムゲインが減ることは考慮する必要があるでしょう。
賃貸併用物件に住む場合のメリット・デメリット
賃貸併用物件に住む場合、以下の3つの形態があります。
1.自宅と賃貸アパートを個別に建築
2.建物面積の50%以上を自宅にする場合
3.建物面積の50%以下を自宅にする場合
それぞれのメリット・デメリットは異なります。
自分にとってどの形態が適しているのか見極めることが大切です。
パターン①:自宅と賃貸アパートを個別に建築する場合
自宅と賃貸アパートを分けて建てる場合のメリットは、以下の4点が挙げられます。
1.プライバシーが守られる
2.設計の自由度が高い
3.別々の資産運用が可能
4.固定資産税が安くなる
対するデメリットは以下の2点が挙げられます。
1.建築費用が高い
2.土地の分筆が必要
メリット
①プライバシーが守られる
自宅を別棟で建てるため、プライバシーが守られ快適に暮らせます。
オーナーと同じ建物に住むことを好まない入居者も多いため、分けることで入居率が上がる可能性もあるでしょう
②設計の自由度が高い
自宅とアパートを個別で建てるため、それぞれの設計の自由度が高くなります。
自宅は自分の好みに設計し、アパートは収益性を重視した設計にすることも可能です。
③別々の資産運用が可能
自宅とアパートを分けて建てることで、別々の資産運用が可能になります。
例えば、将来的にアパートと自宅を別々に売ることや、2人の相続人に1棟ずつ相続することも可能です。
④固定資産税が安くなる
建物を建てることで住宅用地の特例が適用され、固定資産税が安くなります。
自宅だけでは土地が余ってしまう場合、アパートを建設することで固定資産税を節約できる点はメリットでしょう。
デメリット
①建築費用が高い
別々に建築するため、初期費用が高くなる点はデメリットといえます。
②土地の分筆が必要
1つの土地に2棟建てる場合、土地の分筆が難しい場合があります。
土地の分筆とは、1つの土地を複数に分けることをいいます。
分筆する理由は、以下の建築基準法にあります。
・建物を建てるには幅員が4m以上の道路に、間口が2m接している必要がある
このルールに従って土地を分けると、理想通りに分けられなかったり、土地面積に対して建物面積が小さくなる可能性があります。
どのように土地を分ければいいのか、複数のパターンで検討しましょう。
パターン②:建物面積の50%以上を自宅にする場合
建物面積の半分以上を自宅にする場合のメリットは以下の2点が挙げられます。
1.自宅部分は住宅ローンが対象になる
2.住宅ローン控除が適用される
対するデメリットは以下の4点が挙げられます。
1.賃貸収益が限定される
2.空室数によってローン負担が重くなる
3.売却しづらい
4.暮らしや家の設計に制限がかかる
メリット
①自宅部分は住宅ローンが対象になる
自宅部分の専有面積が50%以上の場合、自宅部分に住宅ローンが適用されることは大きなメリットです。
住宅ローンはアパートローンと比べて、低金利で借り入れ期間も長く設定できるため、月々の返済額が少なくてすむ点は大きなメリットといえます。
②住宅ローン控除が適用される
一定の条件を満たしていれば、マイホーム部分に対して住宅ローン控除を受けることも可能です。
住宅ローン控除の条件は、
・世帯所得額が3,000万円以下
・借り入れ期間が10年以上ある
などが挙げられます。
デメリット
①賃貸収益が限定される
初めからマイホーム部分を50%以上として建築した場合、居住スペースを減らし、その分を賃貸スペースにすることで賃貸収益を上げる施策ができません。
居住スペースの割合が少ない賃貸併用物件と比べると、家賃収入は少なくなるでしょう。
②空室数によってローン負担が重くなる
空室が増えると月々の支払いを家賃収入でまかなえず、ローン負担が重くなってしまいます。
居住スペースの割合が高い賃貸併用物件は、賃貸部屋数が少ない傾向があります。
部屋数が少ないことで空室のリスクが分散されず、空室数によっては家賃収入のみでローン返済ができない可能性があります。
他の収入をローン返済にあてるなどの対策が必要になるでしょう。
③売却しづらい
建物面積の50%以上が居住スペースの場合、売却しづらくなる可能性があります。
売却が難しい理由は、
・住居を失うことになるので簡単に売却できない
・収益物件として見定めた場合、通常のアパートに比べると収益性が低く買い手がつきづらい
などがあります。
売却がしづらいことで、出口戦略やリスクヘッジができない可能性がある点は、デメリットといえます。
④家の設計や暮らし方に制限がある
家の設計や暮らし方にある程度の制限が必要になります。
建物面積の50%以上が居住スペースの場合、自宅とアパートの配置には「縦配列」か「横配列」が通常のパターンです。
縦配列の場合は、自宅と賃貸部分を縦で区切って配置し、横配列の場合は、1階が自宅・2階がアパートという配置になるでしょう。
このように、設計の自由度は低くなります。
さらに、暮らし方にも気をつける必要があるでしょう。
子供がいる場合、騒がないように注意する・テレビや音楽の騒音に気を使うなど、入居者への配慮が大切になります。
パターン③:建物面積の50%以下を自宅にする場合
建物面積の50%以下を自宅にする場合のメリットは、以下の2点が挙げられます。
1.賃貸収入を増やせる
2.売却しやすい
対するデメリットは、以下の2点が挙げられます。
1.住宅ローンが適用されない
2.自宅スペースが狭くなる
メリット
①賃貸収入を増やせる
賃貸部分を広くすることで部屋数を増やし、満室時の賃貸収入を最大化できます。
敷地面積が狭い場合は、賃貸部分を多く取ることで、スペースを効率良く活用できる点も魅力です。
部屋数が多くなれば空室時のリスクを分散でき、安定した家賃収益を得られたり、満室時には最大化した収益で早期完済し早期の資産拡大が目指せたりと収益面のメリットが大きくなるでしょう。
②売却しやすい
自宅部分が少ない賃貸併用物件は、将来的に売却がしやすい点もメリットとして挙げられます。
自宅部分をアパートの1室として住めば、賃貸併用住宅としてではなく投資用物件として売却できるでしょう。
自宅部分の広い賃貸併用住宅よりも売却しやすい傾向のため、将来的な出口戦略がスムーズにでき安心です。
デメリット
①住宅ローンが適用されない
住居部分が50%以下の場合、住宅ローンが適用されないため、アパートローンを利用する必要があります。
ほとんどの金融機関は住宅ローンの適用される賃貸併用住宅の条件を、延床面積の50%以上が自宅であるとしています。
アパートローンは住宅ローンと比べ金利が高く審査も厳しい傾向があります。
さらに、返済期間を短く設定する必要があるため、月々の負担額も割高になるので注意が必要です。
②自宅部分が狭くなる
賃貸部分の割合が高い設計のため、当然、自宅スペースは狭くなります。
家族構成や今後の暮らし方を考慮したうえで、快適に住めるスペース配分を検討するといいでしょう。
まとめ
アパート経営で自分も住むメリット・デメリットを投資用物件と賃貸併用物件に分けて解説しました。
賃貸併用物件は、自宅部分と賃貸部分の建て方や割合によってもメリット・デメリットが異なります。
自分の理想とする形態を選択し、長期的に安定したアパート経営を目指しましょう。
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