FIREの達成にはいくら必要?算出方法や生活費別・年代別の必要資金も

FIREに興味があるものの、「実際にいくら必要なのか」と疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。
FIREに必要な資金は、生活水準や年代によって大きく異なります。
正しい計算方法を知らないまま目指すと、「資金が足りなかった」と後悔する場合があるため、注意が必要です。
この記事では、FIREにいくら必要かを算出する方法や、生活費別・年代別の必要資金を解説します。
FIRE達成後に取り組む資産運用のコツについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
FIREとは

FIRE(Financial Independence, Retire Early)とは、経済的自立を達成して早期退職を目指す生き方です。
FIREについて、以下の2点から解説します。
- 基本的な考え方
- 種類
FIREの達成にいくら必要かを計算する前に、まずは基礎知識について理解を深めましょう。
基本的な考え方
一般的な早期リタイアは、まとまった資金を貯めてから退職し、その貯蓄を取り崩しながら暮らす方法です。
これに対してFIREは早い段階から資産を投資に回し、運用益の範囲内で生活することで、元の資産を減らさずに済むという違いがあります。
そのため、理論上は資金が底をつく心配がありません。
なお、FIREのメリット・デメリットは下表の通りです。
| メリット | デメリット |
| ・時間と場所に縛られない自由な生活を送れる ・好きなことや家族との時間を優先できる ・働くか働かないかを自分で選択できる |
・達成までに多額の資金が必要になる ・市場の変動で資産が目減りするリスクがある ・社会とのつながりが希薄になる可能性がある |
FIREには自由な生活という大きなメリットがありますが、資金面や社会的なリスクもあるため、ご自身の状況や考え方に応じた選択をすることが大切です。
種類
FIREには下表のようにライフスタイルや必要資金に応じて5つの種類があり、それぞれ収入源や労働の有無が異なります。
| 種類 | 収入源 | 労働の有無・形態 | 特徴 |
| ファットFIRE(フルFIRE) | 投資収益のみ | 労働なし | 豊かな生活の維持が可能 |
| リーンFIRE | 投資収益のみ | 労働なし | 質素な生活が中心 |
| サイドFIRE | 投資+一部労働収入 | パート・副業・自営業など | 投資と軽い労働を両立させる柔軟型 |
| バリスタFIRE | 投資+パート収入 | パート勤務中心 | 生活費の一部を働いて補う実践型 |
| コーストFIRE | 投資+現役収入 | フルタイム勤務継続 | 老後資金の確保による自由な収入生活 |
完全に労働から解放されるファットFIREやリーンFIREは魅力的ですが、必要資金のハードルが高いのがネックです。
一方で、投資収益と労働収入を組み合わせるサイドFIREやバリスタFIREは、ハードルが低く実現しやすい選択肢として注目を集めています。
特にサイドFIREは、自由な働き方と経済的自立のバランスが取れており、30代〜40代の会社員から人気があります。
FIREの達成にいくら必要か知る「4%ルール」とは

4%ルールとは、FIRE達成に必要な資金を算出する際の基本的な考え方で、「年間生活費を25倍した資産があれば、運用益だけで生活できる」という指標です。
つまり、投資で年率4%の収益が確保できれば、その範囲内で生活費をまかなうことで元手を減らさずに暮らし続けられる仕組みとなっています。
例えば、年間240万円で生活する場合は6,000万円(240万円×25)、年間480万円の場合は1億2,000万円(480万円×25)といった具合に、生活費に応じて必要額が決まります。
また、総務省の家計調査によると、日本の2人以上世帯による消費支出は月額平均で30万243円です。
年間では約360万円となるため、4%ルールを適用すると約9,000万円の資産が必要という計算になります。
ただし、この金額は基本的な生活費のみの目安であり、住宅購入や医療費などの突発的な支出は含まれていません。
また、年率4%の運用益を安定的に得るのは簡単ではないため、余裕を持った資金計画が重要といえるでしょう。
【3ステップ】FIREの達成にはいくら必要?計算方法をチェック
FIREに必要な資金を正確に把握するには、3つのステップで計算することが重要です。
- 年間生活費を算出する
- 4%ルールを用いて資金がいくら必要か計算する
- 課税やインフレ状況を加味する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ステップ①:年間生活費を算出する
FIRE達成に必要な資金を計算する第一歩は、年間生活費を正確に把握することです。
まずは現在の家計簿を見直し、以下のような支出項目をすべて洗い出しましょう。
- 住居費
- 食費
- 光熱費
- 通信費
- 保険料
- 娯楽費
- 交際費
その際、通勤費や仕事関連の交際費など、退職後に不要となる支出は除外します。
一方で、FIRE後は自由な時間が増えるため、趣味や旅行などの娯楽費が増える可能性もあります。
また、医療費や介護費用など、年齢とともに増加する支出も見込んでおきましょう。
ステップ②:4%ルールを用いて資金がいくら必要か計算する
年間生活費が算出できたら、4%ルールを使ってFIRE達成に必要な総資産額を計算しましょう。
前述の通り、計算式は「年間生活費×25倍」で計算します。
年間300万円の支出であれば、約7,500万円が目安です。
ただし、4%ルールはアメリカ株式市場のデータをもとにした理論であり、日本の投資環境では必ずしも同じ結果が得られるとは限りません。
そのため、算出された金額はあくまで目安として捉え、ご自身のリスク許容度に応じて調整することが大切です。
ステップ③:課税やインフレ状況を加味する
4%ルールで算出した金額に、税金とインフレの影響を加味して最終的な必要資金を調整しましょう。
投資で得た利益には約20%の税金がかかるため、税引き後の手取り額で生活費をまかなえるよう計算する必要があります。
例えば、年間200万円の運用益が必要な場合、税金を考慮すると実際には約250万円の利益が必要です。
また、インフレによって物価が上昇すると、同じ金額でも購入できるものが減ってしまいます。
年率2%のインフレが続けば、20年後には現在の100万円が約67万円の価値になる計算です。
長期的に物価の値上がりを考慮した資金計画を立てることで、FIRE後も安定した暮らしを維持できるでしょう。
FIREの達成にいくら必要か【生活費別編】

FIREに必要な資金は、毎月の生活費によって大きく変わります。
4%ルールを適用した場合の生活費別の必要資金は、以下の通りです。
| 毎月の生活費 | 年間の生活費 | FIRE達成に必要な資金(25倍) |
|---|---|---|
| 10万円 | 120万円 | 3,000万円 |
| 15万円 | 180万円 | 4,500万円 |
| 20万円 | 240万円 | 6,000万円 |
| 25万円 | 300万円 | 7,500万円 |
| 30万円 | 360万円 | 9,000万円 |
| 35万円 | 420万円 | 1億500万円 |
| 40万円 | 480万円 | 1億2,000万円 |
月10万円の質素な暮らしなら3,000万円、月30万円のゆとりある生活なら9,000万円というように、生活水準によって必要額は3倍も異なります。
上記の表で、ご自身の生活水準に応じた必要資金を確認しましょう。
なお、FIRE後も余裕のある生活を続けるためには、5,000万円以上の資産が必要になってきます。
効率的に資産を増やす方法について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
【関連記事】3,000万を1億に増やす方法とは?目標の利回りや投資・節税のコツも解説
FIREの達成にいくら必要か【年代別編】

FIRE達成を目指す年代によっても、必要な資金は大きく異なります。
年齢が若いほど年金受給までの期間が長くなるため、より多くの資金が必要です。
ここでは、年収500万円の子なし夫婦が90歳まで生活するという前提で、年代別の必要資金を試算しました。
ご自身のライフプランに近い年代を参考に、目安を確認してみましょう。
| 必要資金 | 生活費の目安 | 年金受取総額 | |
| 30代 | 1億3,330万円 | 28万円 | 5,150万円 |
| 40代 | 1億1,995万円 | 33万円 | 5,825万円 |
| 50代 | 6,600万円 | 36万円 | 6,500万円 |
ただし、年金受給額は加入履歴や収入額によって個人差が大きくなります。
ご自身の正確な受給見込み額を確認したい場合は、日本年金機構の「ねんきんネット」や厚生労働省の「公的年金シミュレーター」をご活用ください。
引用元:
・総務省|令和6年家計調査報告(家計収支編)
・日本年金機構|令和7年4月分からの年金額等について
・日本年金機構|令和2年9月分からの厚生年金保険料額表(令和7年度版)
30代でのFIREを目指す場合
年金受給開始まで約30年という長期間をカバーする必要があるため、30代は最も多くの資金準備が求められます。
35歳でFIREする場合、夫婦(子なし)の生活費を月28万円と想定すると、90歳までの生活費として約1億3,330万円が必要になります。
これを20年間で達成するには、年率5%で運用しても年間約400万円の投資が必要です。
つまり、生活費を大幅に切り詰める必要があり、実際にはかなりハードな目標といえるでしょう。
ただし、30代は長期投資による複利効果を最大限に活用できる年代でもあります。
米国株式インデックスファンド(※)を中心とした分散投資で年率4〜6%を目指しつつ、副業で収入を増やすことで実現できる可能性は高まります。
※市場全体の値動きを示す指数に連動するように運用される投資信託で、低コストで幅広い銘柄に分散投資できる
ハードルが高すぎると感じる場合は、必要資金を約半分に抑えられるサイドFIREもご検討ください。
40代でのFIREを目指す場合
40代からのFIREは、30代に比べて運用期間が限られるため、より効率的に資産を積み上げていく必要があります。
45歳でFIREする場合、夫婦(子なし)の生活費を月33万円とすると、約1億1,995万円が必要です。
これを15年間で達成するには、年率5%運用で年間約560万円の投資が必要となるため、収入の多くを資産形成に充てる覚悟が求められます。
また、40代はキャリアの最盛期にあたり、昇進や転職で年収を最大化できる年代です。
住宅ローンが低金利の場合は、繰上返済を急がずその資金を投資に回すことで、より効率的に資産を増やせる可能性があります。
米国株式インデックスファンドを中心に年率5〜7%を目指しつつ、高配当株やREIT(不動産投資信託)でインカムゲイン(※)も確保しましょう。
※配当金や分配金など、資産を保有することで定期的に得られる収入
50代でのFIREを目指す場合
50代からのFIRE達成は、年金受給までの約10年間を乗り切れば良いため、必要資金は大幅に少なくなります。
55歳でFIREを目指す場合、夫婦の生活費を月36万円とすると、必要な資金は約6,600万円になります。
例えば、退職金など2,000万円の資産があれば、年率4%運用でも年間170万円の追加投資で達成可能です。
なお、50代はリスク管理を重視した安定運用が基本となります。
債券中心のポートフォリオに株式を30〜40%組み入れることで、年率3〜5%の安定した運用を目指しましょう。
さらに、住宅ローン完済や子どもの独立により固定費が削減されるため、年間100〜200万円程度の投資資金を確保しやすいのも50代の強みといえるでしょう。
FIRE達成後に資産を守る・増やすコツ

FIRE達成後も資産を長く維持する・増やすコツは以下の3つを紹介します。
- 新NISAやiDeCoを有効活用する
- ポートフォリオを見直す
- 資産収入を増やす
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コツ①:新NISAやiDeCoを有効活用する
FIRE達成後も資産を効率的に増やすには、新NISAやiDeCoといった税制優遇制度を最大限活用することが大切です。
新NISAは運用益が非課税になる制度で、非課税保有限度額が1,800万円まで拡大されました。
通常は運用益に約20%の税金がかかりますが、非課税で運用できるため効率的に資産を増やせます。
一方、iDeCoは掛金が全額所得控除の対象となり、運用益も非課税です。
ただし、積み立てた資産は原則60歳まで引き出せないため、FIRE後の生活費として使えません。
そのため、新NISAをFIRE後の生活資金として活用し、iDeCoは老後資金の準備として併用しましょう。
コツ②:ポートフォリオを見直す
ポートフォリオとは、株式や債券などの保有資産の配分のことです。
FIRE達成後は、「攻め」の運用から「守り」の運用へと切り替えをおすすめします。
具体的には、株式の比率を減らして債券や預貯金など安定性が高い資産の割合を増やしましょう。
守りの運用により、株価が大きく下落した際にも生活資金への影響を最小限に抑えられます。
また、最低でも2〜3年分の生活費は、すぐに引き出せる預貯金として確保しておくと安心です。
市場が低迷している時期に無理に資産を売却する必要がなくなり、相場の回復を待つ余裕が生まれます。
コツ③:資産収入を増やす
資産を取り崩すだけでなく、定期的に収入が得られる仕組みを作ることで、元本の減少を抑えられます。
資産の一部を、以下のような定期収入が見込める投資に回しましょう。
- 高配当株からの配当金
- 債券の利子収入
- 不動産投資による家賃収入
特に不動産投資は、毎月の家賃収入により安定した収益が期待でき、インフレにも強い資産として注目されています。
ただし、物件選びや利回りの見極めが重要になるため、投資を始める前に十分な知識を身につけることが大切です。
不動産投資の利回りについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
【関連記事】不動産投資の利回りとは?平均や理想の数値・最低ラインを解説|計算方法も
FIREを目指すならゴールドトラストのトチプラスがおすすめ

FIREの達成に向けた資産形成はもちろん、達成後の安定した資産収入を得る手段としても、不動産投資は非常に相性が良い選択肢です。
毎月の家賃収入により継続的なキャッシュフローが得られるため、4%ルールに基づいた資産運用と組み合わせることで、より安定したFIRE生活を実現できます。
弊社ゴールドトラストの「賃貸マンションアパート(一棟買い):トチプラス」では、FIRE達成を目指す方に最適な不動産投資のノウハウを提供しています。
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FIREの必要資金に関するよくある質問
最後に、FIREの必要資金に関するよくある質問と回答を紹介します。
- 40代や50代の夫婦でFIREするなら資金はいくら必要?
- FIRE達成後も安定した生活を続けるコツは?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
質問①:40代や50代の夫婦でFIREするなら資金はいくら必要?
40代夫婦の場合、月33万円の生活費で約1億1,995万円が必要です。
50代夫婦の場合は、月36万円の生活費で約6,600万円が目安となります。
年齢が上がるほど年金受給までの期間が短くなるため、必要資金は少なくなる仕組みです。
ただし、これらの金額は4%ルールに基づいた基本的な生活費のみを想定しています。
住宅購入や医療費、突発的な支出に備えるには、さらに余裕を持った資金計画が必要です。
完全なFIREが難しい場合は、必要資金を約半分に抑えられるサイドFIREもご検討ください。
質問②:FIRE達成後も安定した生活を続けるコツは?
FIRE達成後も安定した生活を続けるには、以下の3つのポイントが重要です。
- 新NISAやiDeCoを最大限活用して効率的に資産を運用する
- 株式中心から債券や預貯金など安定資産へ移行する
- 高配当株や不動産投資で定期的な収入を確保する
特に不動産投資は、毎月の家賃収入が見込めるため、FIREとの相性が良い投資方法といえるでしょう。
これらを実践することで、元本を減らさずに安定した生活を送れる可能性が高まります。
まとめ:FIREの達成にいくら必要かは生活水準による

FIREに必要な資金は生活水準や年代によって異なりますが、計画的に取り組めば実現可能です。
4%ルールを基準に年間生活費×25倍で計算すると、月30万円の生活なら約9,000万円が目安です。
また、30代なら1億円以上、50代なら6,000万円台と、年代によっても必要額は変わります。
FIREを目指したい方はご自身の保有資産や収支の状況を振り返りつつ、実現可能性の高い運用計画を立てることが大切です。
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【関連記事】資産1億円の利息生活を叶える運用方法5選|安全に続けるコツも解説
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