REIT(リート)とは?仕組みやメリット・デメリットなどをわかりやすく解説

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近年は以前にも増して不動産投資が盛んになっています。そのなかでも注目を集めている投資方法の1つとして「REIT(リート)」が挙げられます。この記事をご覧になっている方は、REITという名前は知っているけれども具体的にどのようなものかがわからない、という方が多いのではないでしょうか。

この記事ではREITの具体的な仕組みや種類について解説するとともに、REITのメリットやデメリットについても詳しく紹介していきます。最後まで読むことで、自分がREITを始めるべきなのかを正しく判断できるようになるでしょう。

 


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REIT(リート)とは

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REITとは、投資家から資金を集めて不動産への投資をおこない、得られた家賃収入や不動産売却益を配当金として投資家たちに再配分する金融商品のことです。日本語では「不動産投資信託」と呼ばれています。

具体的な仕組みは後述しますが、REITの主な特徴は以下の3点です。

①比較的安定した配当を期待できる
②流動性が高く換金が容易である
③専門知識を活用した分散投資が可能である

1ヶ所に大金を投じることなく「小さく始められる」ことによって人気を集めています。

不動産投資との違い

一般的にいわれる不動産投資は、自己資金と金融機関から受けた融資で不動産を購入し、管理会社に委託するなどしてその不動産を運営することを指します。投資対象は主に住居向けの不動産であり、個人である入居者から得られる家賃が収入源となります。

1つの不動産をまるまる購入しなければならないため多額の資金が必要になること、分散投資が困難であることなどが、REITとの大きな違いです。また一般の不動産投資は証券市場ではなく不動産市場でやり取りされるため、流動性が低い点もREITと異なる点であるといえるでしょう。

不動産投資に関しては、以下のYouTubeで詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

【YouTube】くぼかわよしみち.com

REITの仕組み

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REITは不動産投資の一種ではありますが、「不動産をやりとりする」というよりは「不動産を取り扱う証券をやり取りする」というほうが正確です。投資家は不動産を購入するのではなく、不動産を購入するプロジェクトに出資する形を取ります。

REITは投資法人がプロジェクトを立ち上げて「不動産投資信託証券」を作り、出資者を募るのがスタートです。投資家たちから一定の資金を集めることに成功したら、投資法人はそれを元手にさまざまな不動産を保有・管理します。対象は一般住居に限定されません。リゾートホテル・オフィスビル・商業施設の場合もあります。

運用している不動産から家賃収入や売却益を得られた場合、そこから手数料を差し引いた金額を投資家たちに分配します。これによって投資家たちが利益を得るのがREITの仕組みです。

投資家たちが直接不動産を扱うわけではない点、そして1つの不動産に複数の投資家が関わる形になる点が注目すべきポイントでしょう。

REITの種類

REITにはいくつかの種類があります。ここでは投資エリアによる分類と、投資対象による分類を紹介します。

投資エリアによる分類

REITは世界的に人気が高まっている不動産投資の手法ですが、エリアごとに具体的な仕組みが異なります。日本国内の不動産に投資するREITは「J-REIT」と呼ばれています。海外の不動産に投資する場合には、「米国REIT」や「英国REIT」「豪州REIT」など海外の仕組みを選ぶシステムです。

海外のREITには、不動産そのもののリスクだけでなく為替変動のリスクもあることに注意する必要があります。不動産を売買する際に日本円を外貨に換えたり、外貨を日本円に換えたりするので、タイミングが悪ければ為替差損が生じることも念頭に置いておかなくてはいけません。

もちろん、反対に為替差益を受け取れる可能性もあります。

投資対象による分類

一般的な不動産投資は、そのほとんどが住居不動産を対象にしていますが、REITはその限りではありません。たとえば以下のような不動産もREITの投資対象となります。

・オフィスビル
・商業施設
・物流施設
・ホテル

REITには、「住宅運用型」「オフィスビル運用型」など投資対象を単一に絞って為される「単一用途特化型REIT」と、複数の種類を投資対象とする「複数用途型REIT」の2種類があります。

REITがもつ5つのメリット

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不動産投資においてREITを選ぶメリットとしては、以下の5つが挙げられます。

①少額から投資できる
②分散投資でリスクを抑えられる
③収益性が高く安定している
④流動性が高く容易に売却できる
⑤維持管理の手間がかからない

それぞれ異なる内容ではありますが、気軽に投資できる要因となっている点が共通しています。順番に見ていきましょう。

メリット①:少額から投資できる

一般的な不動産投資においては、最大限1つの不動産を購入しなければいけません。具体的な価格は物件によりますが、平均的にみて1,000万円単位のお金を動かすことになるでしょう。

しかしREITにおいては、不動産は証券化しています。不動産そのものを購入するのではなく、不動産を分割する形で用意された証券を購入するのがREITの仕組みです。そのため数万円から数十万円といった少額の資金から投資することが可能となります。

メリット②:分散投資でリスクを抑えられる

REITは一般的な不動産投資とは異なり、複数の不動産に分散投資しやすい点にメリットがあります。前項で述べたとおり不動産そのものではなく証券を購入する仕組みであるため、たとえば100万円程度の資金しかなくても、複数の不動産に同時に投資できます。

できるだけリスクを分散させるのは、不動産に限らず投資の基本です。REITを手段として選ぶことで、その基本に忠実な形で不動産投資に参加できるのは大きなメリットであるといえるでしょう。

メリット③:収益性が高く安定している

REITは一般的な不動産投資よりは株式投資に近い性質を持っていますが、いわゆる株式投資と比べると収益性が高く安定的だといわれています。

株式と違って利益のほとんどがそのまま投資家へ分配されることや、扱う商品が不動産であるため長期にわたる収益を期待できることが理由です。

メリット④:流動性が高く容易に売却できる

一般的な不動産投資の場合、購入した不動産を売却するのは大ごとです。一度に数千万円単位の商品を動かすことになるため、流動性は低いといわざるを得ません。

それに対してREITは不動産ではなく不動産を分割する形の証券を購入したにすぎないため、市場を通して簡単に売却でき、換金も比較的容易です。気軽に始められるだけでなく、撤退の際にも気軽に決断できるのはREITのメリットの1つです。

メリット⑤:維持管理の手間がかからない

REITにおいては、不動産の管理はプロの資産運用会社が責任をもっておこなうため、投資家は管理に携わる必要が一切ありません。投資家が考えなければいけないのは、どの証券にいくら投資するかだけです。

もちろん運用中の不動産の稼働状況や収支の状況は、投資法人が開始している決算短信や有価証券報告書などでチェックできるので、透明性が高く安心できます。

REITの3つのデメリット

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REITのデメリットを挙げるとすれば、以下の3つとなるでしょう。

①投資法人の倒産リスクがある
②海外REITは情報収集が難しい
③配当控除の適用がない

順番に見ていきます。

デメリット①:投資法人の倒産リスクがある

REITは投資法人が立ち上げたプロジェクトに対して投資家が投資する手法です。投資家が出資する先は不動産そのものではなく投資法人となります。

そのため不動産が何事もなく存在し続けたとしても、投資法人が倒産してしまうと投資家が損害を被ることになります。

したがって投資先を選ぶ際には、経営状態の安定した優秀な投資法人をしっかり見極める必要があるでしょう。

デメリット②:海外REITは情報収集が難しい

海外REITを利用すれば海外の不動産に投資することも可能ですが、現状では情報収集が難しいというデメリットがあります。

英語でリリースされた最新情報に直接アクセスできる程度の英語力がないと、海外REITにおいて満足のいく投資はできないかもしれません。

また海外の投資法人に投資することになるため、トラブルが起きた際のやり取りも、日本のJ-REITの場合と比べてどうしても面倒なものとなります。

デメリット③:配当控除の適用がない

REITにおいて手に入れた分配金は配当所得にあたるため、株式と同じ扱いになります。しかし株式の場合は配当に対して配当控除が適用されるのに対し、REITでは適用されません。

したがって同じ金額の株式配当金と比べると、実際に懐に入る額は少なくなってしまいます。収支についてシミュレーションする際には、この点をあらかじめ念頭に置いておく必要があります。

まとめ

不動産投資の1種であるREITについて、仕組みやメリット・デメリットなどを解説しました。

ごく一般的な庶民にとって、REITの最大のメリットは少額投資が可能になることでしょう。10万円程度の自己資金であっても、REITならしっかり不動産投資に参加できます。もちろん投資額が少なければ配当金も少なくなりますが、思い立ったときに小規模ですぐ始められるのは大きな魅力ではないでしょうか。この記事を参考にして、ぜひREITにチャレンジしてみてください。

オンラインセミナーも随時開催しておりますので、スケジュールについては弊社ホームページ
セミナー情報」よりご確認ください。



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この記事の監修者

西尾 陽平
西尾 陽平
役職
土地活用事業部 執行役員
保有資格
資産形成シニアコンサルタント、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後同社へ入社し、地主さんの土地活用という資産形成や節税を実践で学び、現在は土地のない方へ、土地から紹介し不動産の資産形成の一助を行っている。実践の中で身に付いた視点で、分かりやすく皆様に不動産投資のあれこれをお伝えしています。