不動産クラウドファンディングの市場規模はどのくらい?拡大した要因は?
不動産クラウドファンディングは、近年になって生まれ、少しずつ人気が上昇しつつある投資方法です。通常の不動産投資とは異なり、わずかな金額でも始められることなどが人気の秘密。比較的低いリスクでそれなりのリターンを得られるという評判が少しずつ広がっています。
しかしまだ生まれて間もない投資方法であるため、「一般的な不動産投資と比べて市場規模はそれほど大きくないのでは?」と考える方もいるのではないでしょうか。市場規模の小ささは、良い物件を見つけにくいといったデメリットにもつながりかねません。
この記事では、不動産クラウドファンディングの市場規模がどれくらいなのかを解説するとともに、市場規模が拡大してきた要因や、どのような方が不動産クラウドファンディングに適しているかなどについても言及します。
目次
不動産クラウドファンディングの市場規模について
不動産クラウドファンディングの本場はアメリカで、世界の約4割を占めているといわれています。2008年にリーマンショックが起きて以降、不動産投資に魅力を感じる人が増えてきたことが理由の1つです。多くの人が不動産投資に手を出しやすくなるための有効な手段として、クラウドファンディングと組み合わせる手法が生み出されました。
そんなアメリカと比べると日本の市場規模はさすがに小さいといわざるを得ませんが、それでも年々拡大の一途をたどっています。ここでは具体的なこれまでの市場規模の変遷と、今後の市場規模に関する予測について解説します。
これまでの市場規模
2020年に一般社団法人日本クラウドファンディング協会が発表した市場調査によると、不動産クラウドファンディングの市場規模は以下のように大きくなり続けています。
・2018年:21億円
・2019年:48億円
・2020年:60億円
上記の金額は、主要9サービスの掲載金額から算出したものに過ぎません。実際にはそれ以外にも中小規模のサービスが無数に存在し、それらを含めた全体的な市場規模となると、数字ははるかに大きなものになります。たとえば矢野経済研究所の調査によれば、2020年度における不動産クラウドファンディングの国内市場規模は前年度比17.6%増の1,841億円とされています。
もちろん一般的な不動産投資の市場規模に比べるとまだまだ小さいと解釈せざるを得ません。同じく少額で投資が可能な不動産投資信託であるJ-REITの市場規模は約17兆円だからです。
しかし不動産クラウドファンディングも堅実に拡大し続けていることはデータから読み取れます。クラウドファンディング自体がまだ広く認知され始めたばかりの手法。それを考えれば、かなりの勢いで伸びている市場であるといえるのではないでしょうか。
今後の市場規模
不動産クラウドファンディングを取り巻く状況を考えると、今後この勢いが弱くなる要因は見当たりません。これまで以上の勢いで拡大していくことが推測されます。世界市場で見ると、2022年から2030年までの予測期間中には年間成長率21.6%、2030年には1,351億ドルまで成長すると予測されています。もちろんその4割から5割ほどはアメリカになるでしょうが、日本市場も同じように勢いに乗って成長していくであろうことは想像に難くありません。
不動産クラウドファンディングの市場規模が拡大した要因
不動産クラウディングの市場規模が拡大した原因としては、主に以下の4つが挙げられます。
①少額でも始められる
②収益性が高い
③不動産投資が広く知られている
④安全性の認知が拡大している
不動産クラウドファンディングは、これら4つの要素がうまく噛み合ったことで、多くの人を惹きつける投資方法として成長を続けているわけです。以下で1つ1つの要因について解説します。
要因①:少額でも始められる
不動産クラウドファンディングの最大の魅力は、少額でも不動産投資を始められることです。
一般的に不動産投資は、株式と比べてハードルが高い投資であるといわれています。主な理由として挙げられるのは以下の2つです。
①物件購入するためにまとまった資金が必要になる
②購入した物件の管理や維持をするのに手間がかかる
一方の不動産クラウドファンディングは、たとえば10,000円からでも不動産投資を始められます。不動産クラウドファンディング事業者は数多くの投資家から資金を募るため、1人1人の投資額が少なくても不動産購入は成立するからです。また物件の維持や管理も事業者がおこなうため、投資家は基本的に何もする必要がありません。
要因②:収益性が高い
不動産クラウドファンディングはリスクを抑えて投資を始めたい人にぴったりなだけでなく、高い収益性が見込める点でも魅力があります。この点も市場が拡大した理由の1つです。
もともと不動産投資は比較的大きなリターンが期待できる投資手法ですが、不動産クラウドファンディングはそれをより関わりやすく改良したものとなっています。不動産投資がもともと持っているリターンの期待値をそのままに、リスクだけを小さくすることが可能であるため、参入する投資家が増えたという背景があります。
要因③:不動産投資が広く知られている
もともと不動産投資というものが広く知られていたことも、不動産クラウドファンディングが急拡大した要因の1つです。
まったく新しい種類の投資であれば、多くの人はより躊躇したかもしれません。しかし不動産投資そのものはすでに堅実なリターンが見込める投資手法として知られていたため、単にそれを細かく実行できるバージョンである不動産クラウドファンディングは、投資に興味を持つ多くの人々に抵抗なく受け入れられました。
要因④:安全性の認知が拡大している
誰もが不動産クラウドファンディング事業者になれるわけではありません。国からの免許を得られなければ、事業はおこなえない決まりになっています。それに付随して事業の透明性も担保されています。
したがって不動産クラウドファンディングは、安全性の面でもリスクの低い投資方法であるといえます。そのことが年月を経るごとに広く認知されていることも、市場規模が拡大している要因の1つです。
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不動産クラウドファンディングに適している人
不動産クラウドファンディングに適している人のパターンとしては、以下の4つが挙げられます。
①少額から投資を始めたい
②投資で時間を取られたくない
③リスクを抑えた投資をしたい
④将来不動産投資を行いたい
順番に見ていきましょう。
適している人①:少額から投資を始めたい
すでに述べたとおり、不動産クラウドファンディングの最大の魅力ともいえるのが、少額から投資を始められることです。本来であれば自分が不動産を購入して始めなければならない不動産投資を、10,000円からでもスタートさせられます。
将来的に大きく投資をするつもりであっても、まずは小さく始めたい。そのような方にはぴったりの投資方法であるといえるでしょう。
適している人②:投資に時間を取られたくない
投資に時間を取られたくない方にも、不動産クラウドファンディングは適しています。なぜなら不動産を管理するのは不動産クラウドファンディング事業者であり、投資家は出資する以外に何もする必要がないからです。
従来の不動産投資であれば、物件の維持や管理は自分でおこなう必要がありました。それにはどうしても時間や手間がかかってしまいます。不動産クラウドファンディングは、この点を解決した非常に参入しやすい投資方法となっています。
適している人③:リスクを抑えた投資をしたい
リスクを抑えた投資をしたい方にも、不動産クラウドファンディングは適しているといえるでしょう。もともと不動産投資自体、比較的低リスクで安定的なリターンを見込める投資として知られていますが、不動産クラウドファンディングはそこからさらに「まとまった資金を必要とする」という要素を排除したものだからです。
自分の資産額に見合った無理のない範囲で投資ができるので、「まずは堅実に始めたい」と考えている投資初心者にはぴったりの方法であるといえるでしょう。
適している人④:将来不動産投資をおこないたい
将来、本格的な不動産投資に手を出したい方にも、不動産クラウドファンディングはおすすめとなります。まずは不動産クラウドファンディングを通して不動産投資の感覚を身につけ、それから本格的に自己資金で不動産を購入するといったステップアップができるからです。
また不動産クラウドファンディングでコツコツと資産を増やし、それを不動産購入に充てるというビジョンを持つのも王道的でよいのではないでしょうか。
まとめ
不動産クラウドファンディングの市場規模について解説するとともに、市場が拡大してきた理由や、どのようなタイプの方が不動産クラウドファンディングに向いているかについて解説しました。
不動産クラウドファンディングはこれからもさらに伸びていく投資手法であり、事業者が提供するサービス内容もより充実していくことが期待できます。投資の初心者におすすめできる投資としても、いっそう信用度や安定性の高いものになっていくことでしょう。
この記事を参考にして、不動産クラウドファンディングの市場の勢いを感覚的に理解し、これからの投資に役立ててください。
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