RCと木造賃貸住宅の価格変更

もう3年前ですが、『ウクライナショック』と共に『ウッドショック』が話題になりました。ウッドショックとは建築資材の高騰のことです。今現在は資材の値上がりは止まっていますが、値上がったままの高い金額で高止まりしていて下がる気配は全くありません。①ラワン材は1.5倍②コンクリート型枠合板は1.4倍③米松平角材は1.5倍④杉正角材は1.8倍⑤H型鋼は1.3倍⑥異形棒鋼は1.4倍⑦普通鋼板は1.4倍⑧板ガラスは1.2倍です。
これらを合わせると全ての建築工事の原価率は6%〜10%値上がりしているのです。注文住宅の業界のハウスメーカーさんや住宅会社さんは、ウッドショックの直後から10%〜20%の値上げをしました。アサヒグローバルホームも仕方なく値上げを少しさせていただきました。そしてハウスメーカーさんの住宅の価格は坪当たり100万円が常識になってしまって、一般ユーザーさんの多くはもう注文住宅を建てられなくなってしまいました。ですから建売住宅や中古住宅を買う人たちが増えているのです。
しかし賃貸住宅のアパートやマンションは家賃をもらう事業経営ですし、多額の借金をしていて返済もあります。そしてそもそも家賃というものは市場の相場があって簡単には値上げできないのです。ということでいくらウッドショックで資材が高騰していても建築費を値上げすることができませんでした。
ゴールドトラストの建築費もずっと値上げせずにいましたが、今回値上げすることに決定しました。やはり一番の理由は会社の存続のためでしょうか。経常利益が下がって、税金を支払って、残ったお金で借入金の元金の返済をするのが会社の経営ですが、このままだと元金が返済できなくなってしまいます。会社が倒産すると皆様にもご迷惑をおかけしますので仕方なく値上げをすることを決定しました。
私は基本的に売上や利益を目的に会社経営はしていませんが、元金が返せなくなる会社になってはいけません。ギリギリまで頑張ったんだとご理解ください。その証拠は決算書に表れています。この3年間はウッドショックの資材高騰が原因でも値上げをせずに頑張り過ぎた結果が過去最低経常利益だったのです。
今回、私は値上げをして、手取りの利回りが下がるのが死ぬ程嫌いです。私自身が1,300戸の賃貸を所有していますので、賃貸経営はこの手取り利回りが命なのだということを誰よりも理解しているからです。そこで当然に考えたのが家賃を上げることでした。しかし家賃は上げられない。安易に上げてしまえば空室だらけになるのが賃貸の一番恐いところです。
半年以上考えて考えて出した結論は、建築費を上げた分の家賃を上げて適正な利回りを必ず守る。そのためには家賃を上げる分のメリットを入居者に与えることでした。それは①ペットの飼える賃貸②ロフト付賃貸(10㎡広い屋根裏部屋付)③室内用造作ベッド付ロフト(上がベッドで下が机とクローゼット収納付)④防音室付賃貸(ピアノを弾いても音が漏れない部屋)⑤サウナ付健康賃貸などです。これで1部屋1,000円、1,500円、2,000円の家賃アップでも入居者が喜んで入居してくれる賃貸ができたと私も喜んでいます。
しかし一番喜んでいるのはアパート・マンションのオーナー様ではないでしょうか。商売ですからお互いが少しずつ欲を抑えていただいて『適正な利回り』を追求したいものです。