老後資金をいくら貯めてる?平均貯蓄額と3つの貯める方法を解説
数年前に世間を賑わせたこの言葉「老後2,000万円問題」。安定した老後を過ごすためには2,000万円の貯蓄が必要だという説ですが、記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。
国民の平均寿命が年を追うごとに伸びていく長寿の国、日本。そんな国で実際にほかの人は、いくら老後資金を貯めているのでしょうか。
この記事では国民の老後資金の平均貯蓄額を未婚者・既婚者別に、そしてその貯金方法を3種類、詳しく解説していきます。
目次
老後資金をいくら貯めてる?
必要な貯蓄額は年齢や家族構成などによって異なります。ここからは実際にほかの人は老後資金をいくら貯めているのか、国民の平均貯蓄額を年齢・世帯別に見ていきます。
年齢別の平均貯蓄額
まず年齢別の平均貯蓄額です。金融広報中央委員会が実施した「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](2020年)」に基づいて年齢別の金融資産保有額を解説します。
【図1】単身世帯における金融資産保有額の平均と手取り収入に対する貯蓄割合
年代 | 平均金融資産 | 手取り収入に対する貯蓄割合 |
20代 | 203万円 | 18% |
30代 | 484万円 | 16% |
40代 | 1066万円 | 13% |
50代 | 1601万円 | 12% |
60代 | 1872万円 | 8% |
全体 | 1044万円 | 13% |
※単身世帯のデータ
表から見て取れるように、20〜60代までの単身世帯全体での金融資産保有額の平均値は1,044万円となっています。
20代の平均値が203万円と最も低く、それ以降は年齢を追うごとに高くなっていきます。最も高い金融資産保有額の平均値は60代で、1,872万円という結果となっています。
また、手取り収入に対する貯蓄の割合は20〜60代までの単身世帯全体で13%です。図1によるとこの割合は20代で最も高い18%で、以降は減少していく傾向が見られます。
この割合を参考にして貯金するよう努めれば、同世代の貯蓄額の平均と同じだけ貯めていくことができるでしょう。
世帯別平均貯蓄額
次に、異なる家族構成を持つ世帯別の平均貯蓄額を見ていきます。
単身世帯(独身)の場合の平均貯蓄額は上述の通り、20代から60代までの世代全体で1,044万円。60代になると平均1,872万円の金融資産を保有しているようです。
二人以上の世帯(夫婦)の場合はどうでしょうか。
金融広報中央委員会が実施した「」の結果に基づく、二人以上世帯の金融資産保有額に関する表は以下のとおりです。
【図2】二人以上世帯における金融資産保有額の平均と手取り収入に対する貯蓄割合
年代 | 平均金融資産 | 手取り収入に対する貯蓄割合 |
20代 | 350万円 | 13% |
30代 | 644万円 | 13% |
40代 | 1177万円 | 11% |
50代 | 1955万円 | 10% |
60代 | 2156万円 | 8% |
全体 | 1256万円 | 11% |
※二人以上世帯のデータ
二人以上世帯(夫婦)の場合、20〜60代まで全体の平均金融資産保有額は1,256万円で、60代夫婦は二人合わせて平均2,156万円の金融資産を保有していることがわかります。
単身・二人以上世帯ともに60代では一見十分な貯蓄があるようにも見えますが、上記のデータはあくまでも平均値です。莫大な資産を持つ資産家の世帯も含んでいるため、平均的な収入の一般家庭の平均貯蓄額はこれよりも低くなることが予想されます。
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老後資金はいくら必要?
そもそも老後資金とは、個人または夫婦が退職してから寿命を迎えるまでの生活をまかなえるだけの貯蓄のことを指します。
厚生労働省が2022年7月に発表した令和3年簡易生命表の概況によると、2021年の男性の平均寿命は81.64歳・女性は87.57歳となっています。
そして、定年退職を迎える年齢は一般的に60歳から65歳までの間が多いとされているため、上記の平均寿命を参考にすると、「老後」として生活していく期間は大体20年から30年ということになります。そのため、人々はそれだけの期間を過ごしていくだけの老後資金を貯蓄しておく必要があるのです。
ここからは、老後のために必要な貯蓄額を具体的に、独身・夫婦別で解説します。
独身の場合
総務省が発表した家計調査年報(家計収支編)2021年によると、高齢単身無職世帯の平均実収入(年金などの社会保障受給+その他の収入)は13万5,345円で、平均支出は14万4,747円となっています。
つまり、毎月9,402円が不足しているという計算になり、年間11万2,824円の赤字であることがわかります。
老後を30年間とすると、独身者が安定した老後生活を送るために必要な貯蓄額は約338万円であることがわかります。
夫婦の場合
夫婦の場合も同じく、2021年の家計調査年報を参考に計算していきます。
高齢夫婦無職世帯位の実収入(年金などの社会保障受給+その他の収入)の平均額は23万7,988円で、平均支出は26万94円となっています。つまり、毎月2万2,106円の赤字という計算になり、年間にすると不足額は26万5,272円にものぼります。
夫婦が30年間の老後を安心して過ごしていくためには、約800万円の貯蓄が必要であることがわかります。
老後にかかる費用の内訳
安定した老後生活を送るために、実際に必要な貯蓄額を独身・夫婦別に解説しました。
ここで一つ注意しておきたいのは、上記で参考にした総務省の家計調査年報には介護・葬儀費などの老後ならではの必要経費が含まれていないことです。
ここからは老後には具体的にどのような費用がどのくらいかかるのか、その内訳を紹介します。
独身の場合
老後生活の毎月の支出として考えられるのは、食費や光熱費・家賃など一般的な生活支出です。こちらは上述の通り独身の場合、毎月14万円ほどと考えてよいでしょう。
そしてここからは老後ならではの必要経費を見ていきます。
まずは介護費です。生命保険文化センターが行った2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査を基に算出すると、介護費用の平均は月額8万3,000円となります。
そして介護が必要な期間は平均5年1ヶ月とされているため、一人当たりの介護費用は平均507万1,300円という計算になります。
次に葬儀費です。一般的に、葬儀にかる費用は一人当たり約100万円と言われています。
ですので、独身の方は上記で算出した老後資金のほかに、介護費と葬儀費を合わせて約600万円ほど備えておくと「もしも」のときでも安心でしょう。
夫婦の場合
夫婦の場合でも同じです。老後生活の毎月の支出として考えられる、食費や光熱費・家賃など一般的な生活支出は、夫婦で毎月24万円ほど。
そして二人分の介護費と葬儀費を考慮すると1,200万円ほど、プラスアルファで蓄えておけると理想的でしょう。(子供など親族からの支援を受けない場合)
老後資金を貯める方法3選
介護や葬儀にかかる費用なども含めると、老後にはかなりの資金が必要であり、実際に人々が貯めている平均貯蓄額と釣り合っていないことがわかりました。不安な気持ちになってしまった方も少なくないかもしれません。
ここからはそんな方々のために、今のうちから賢く資産を増やすおすすめの方法を3種類、紹介します。
方法①:NISA
NISAは、少額投資非課税制度のことで、NISA講座で運用して得た利益に対しては税金が一切かからないという制度です。
「NISA」と「つみたてNISA」の2種類から選べ、非課税になる最大金額や期間が異なります。NISAは5年間・年間120万円までを非課税で運用でき、つみたてNISAでは20年間・年間40万円までを非課税運用できます。
どちらも小額から始められ、低コストかつ長期的に運用ができるので、特に初心者には魅力的です。自分の年齢や、理想の資産の増やし方に合った種類を選択しましょう。
そしてNISAはいつでも自由に資産が引き出せるため、まだ老後資金の形成は早いと感じる方にもおすすめです。
方法②:iDeCo
iDeCoの正式名称は「個人型確定拠出年金」で、これは自分で自分の年金を作るという制度のことです。毎月決まった金額をiDeCo講座に積み立て、運用して得た利益は非課税となります。
さらに、その積み立てた掛け金の全額が所得控除の対象になるため、所得税や住民税の節税にもなります。ただし、iDeCoは原則60歳まで引き出すことができません。受取時には税制優遇も受けられます。
老後資金の形成という面ではメリットの多い運用方法でしょう。
方法③:不動産投資
不動産投資とは、マンションの部屋や戸建て住宅などの不動産物件を購入し、賃貸物件として貸し出して家賃収入を得るというものです。
不動産投資は比較的低いリスクで安定したリターンを見込めると人気があり、最近ではサラリーマンでも始める方が増えてきています。不動産を購入すると聞くと「莫大な費用がかかるのではないか」と思う方も多いかもしれません。
しかし、不動産投資では、購入する不動産物件を担保にすることで投資用のローンの借り入れが可能なため、初期費用を抑えられる可能性もあります。不動産投資を始めることで資産の形成も行え、第二の収入の柱も得られるため、老後資金の形成には非常におすすめの投資です。
まとめ
「老後2,000万円問題」が騒がれる中、実際に他の人たちはいくらくらい老後資金を貯めているのか、平均貯金額を年齢・世帯別に解説しました。
老後にかかる費用は、生活費だけなら平均的な蓄えで足りることが多そうですが、それに加えて介護費や葬儀費など、老後ならではの出費までをまかなうのは厳しそうです。
「もしも」のことが起こっても余裕のある老後を過ごすために、老後資金の形成はNISAやiDeCo・不動産投資などで、若いうちから始めておくことが大切です。
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